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第三百六十五話 性転換魔法、三度目の正直

 今回の小説家になろう版は、極力表現をソフトにしています。

 今晩は性転換の儀式――

 いや、儀式といっても×××なことをするだけなのだが、突如この日の夕食時にエリカさんから皆へ報告されてしまう。


「えー、コホン。今晩はマヤ君が女から男へ戻る性転換の儀式を執り行います。明日の朝から久しぶりに男のマヤ君と再会出来ますよ! わーいパチパチパチッ」


 エリカさんが一人が盛り上がるだけで、食卓の空気が寒い。

 そこへパティが口を開く。


「本当に男性へ戻るんですの? マヤ様が今度はツルツル頭になったら承知しませんわよ」

「ツツッ ツルツル頭は困るなあ……」

「大丈夫よ。魔法術式は何回も見直したし、魔法人形を使ったシミュレートでは成功したわ」


 魔法人形とは、前にエリカさんの部屋で見かけたことがある、背丈が20cmほどののっぺらぼう人形。

 そんなことに使っていたのか…… 恐ろしや。


『男のマヤかあ。想像出来ないや』

『そういえばマイさんって、マヤさんが女になった直後に初めて出会ったんでしたね』

『私も知りませんよ。アスモディアで初めてお会いした時にもし男だったら、警戒して付いて行かなかったかも知れません』

「マルヤッタさん、私はそんな悪党面じゃないから……」


 どんな想像をされているのだろう。

 女の私はこんなに可愛いのに。


『うひゃひゃっ モグモグ…… 悪党面、ウケる! モグモグ……』

「アイミ、食いながら煽るんじゃない」

『モグモグ…… マヤがイケメンだったらどうしよっかなあ。食べてもいい?』


 アムたち邪神ズまでも食べながら煽る。

 食べるって何だよ。アムはどう見ても小学校高学年か中学生女子相当にしか見えない。

 それはいろいろマズいぞ。

 なんてったってグアハルド家の浴場で見てしまったのは\|/だったからな。


「食べても美味しくないし、イケメンでもない」

「マヤ様は私のお婿さんになるんですから、イケメンですぅ! もっと自覚して下さい!」

「え、ええ……」


 とまあ、モーリ家の食卓はいつものように賑やかだ。

 アマリアさんがいたら絶対怒るだろう。

 ん? エリカさんがまだ話の続きをするみたいだ。


「――モグモグ それでね。なんとなんと! セシリアさんも同時に、女になることになりました!」

「ええっ!? とうとう! 今晩でいいの?」

「はい。先ほどエリカ様からお話しを伺いまして、覚悟を決めました…… ポッ」


 私が性転換魔法の事を話して、セシリアさんが女になりたいことは前から言っていた。

 とうとう腹をくくったわけだ。

 しかし何でそこで赤くなるんだろう。

 ま、まあ確かにセシリアさんと×××をすることには変わらないけれど、その他に私は何をさせられるのだろうか。

 ちなみに、性転換のために×××をすることは、エリカさんとセシリアさんしか知らない。

 パティも今まで通りキスをするだけと思っているはずだ。

 セシリアさんとならば、きっとBLみたいな感覚でいるに違いない。

 ある意味それはそれで困ったものだ。


 ヴェロニカは話に参加せず黙々と食べているが、どこか表情が(ほころ)んでいた。

 まさか私が男に戻ることでエッチなことが再開できると思っている、というのはゲスな勘ぐりか。

 ジュリアさんも黙って食べているが、やや不気味な笑いはそのまんまだな。

 そうそう。ビビアナやルナちゃんたちも家族なので、使用人扱いでも極力食卓は皆と一緒にというのが我が家の方針だ。反対する者もいない。


「まあそういうわけで明日の朝になったら、マヤ君は男に戻り、セシリアさんは晴れて女になれるわけだ。いやー、めでたいめでたい」


「「「「「わーい! パチパチパチパチパチッ」」」」」


「やー、ありがとうありがとう!」

「ありがとうございます。ポッ」


 エリカさんからの締めの言葉で、みんなから拍手。

 性別転換するのに、常識から考えたらすごく軽い空気だよな。

 サリ様を始め神様たちも降りてきてるし、もう何でも有りで私もみんなも麻痺してしまったのだろう。


---


 夜も更け、私の寝室にセシリアさんとエリカさんが集まる。

 私とセシリアさんはブラとパンツだけになり、ベッドの上で正座をしていた。

 セシリアさんはBカップブラのパット入り。

 で―― エリカさんまで下着だけの姿で立ってるんだが。


「ねえ、なんでエリカさんもパンツとブラだけなのさ?」

「心理的な不安を少しでも解消する目的よ。精神系の病院は白衣じゃなくて普段着を着てる理由と同じよ」

「ふーん」


 日本にある心療内科の個人病院でもそうなので一理あるが、エリカさんは後で乱入して来そうだな。

 私はどちらでも良いが、セシリアさんはどうだろうな。

 右手で胸の中心を押さえているから、相当ドキドキしているのだろう。

 私がリードをしてあげなければ。

 さて、私が女に戻るにはセシリアさんのアレをしっかりと受け止めなければならなくなった。

 つまり女としていられる最後の時に、処女を失うのである。

 うう…… 緊張する……

 セシリアさんも同時に、男性でいられる最後の日にDTから卒業するのである。

 男性の身体で、女性に包まれているあの感覚がもう最後なのだ。


「今から下準備のような魔法を掛けるから、二人とも離れて横になってちょうだい。間に私が入る」


 何をするのかわからないが、ここは素直に言うとおりに寝転んだ。

 無駄にエッチなことをしたら叩いてやろう。

 エリカさんは私たちが寝転んでいる間に正座し、両手でそれぞれの下腹部を抑えた。

 ――精神を集中している。真面目にやってるようだな。

 下腹部がムズムズし、熱くなる。

 セシリアさんのほうをチラッと見ると……

 わっ おパンティーにテントが張ってる!

 エリカさんの魔法は、強制的に興奮させる魔法なのか?


「こっちは終わり。次は頭ね」


 エリカさん、今度は額に手を当てる。

 まるで子供の時の、母親の手のように優しく押さえる感覚が心地よい。

 でもあのエリカさんだぞ?

 ちょっと不気味だが、私たちのために真剣にやってるんだなあと思うと何だか安心する。


「準備は終わったわ。さっ 起きて初めてちょうだい」

「は? エリカさん、部屋から出て行って欲しいんだけど……」


 私はエリカさんが言っていることに憤慨し、飛び起きた。

 セシリアさんもゆっくり身体を起こす。


「魔法を完璧に動かすには、失敗しないように見届けなければいけないの。あなたたちのためよ」

「うーむ……」

「私はかまいません。人生最大の節目になるんですから、頑張ります! フンスッ」

「ほら。セシリアさんもそう言ってるんだからさあ」

「今、エリカさんの目がおかしい。不浄な目だ」

「男に戻っても、大事なところが無いままでも知らないよ」

「うぐっ…… わかった…… せめてベッドから降りて欲しい」


 なんか言いくるめられた気がするけれど、結局エリカさんはベッドの前に椅子を持って来て腰掛けている。

 女の身体では初めてになるので、念のためにベッドの上にタオルを敷いておいた。

 私はベッドの上で正座し、三つ指をついてこう言う。


「では、よろしくお願いします。リラックスして、ゆっくりで良いからね」

「よ、よろしくお願いします……」


 セシリアさんも慌てて私の真似をしてそう言った。

 三つ指をつくなんてこの国の習慣には無いが、私の真剣な空気でセシリアさんにそうさせてしまったのか。


---


 終わった。

 エリカさんがいつの間にか全裸になっており、半分アヘ顔で私たちを見ている。

 大丈夫か? この人……


 セシリアさんを二回、受け止めた。

 一回目は、セシリアさんが一分も持たずに果ててしまった。

 仕方が無い。

 二回目。華奢(きゃしゃ)なセシリアさんが二回目も出来るんだと少しびっくりした。

 でも、三分と持たなかった。

 セシリアさんの最初で最後は、彼女自身満足出来たのだろうか。


 私の方。

 やっぱり痛みがあった。

 セシリアさんがあまり動けなかったせいでツラい痛みではなかったが、不快感があった。

 そして、思わず「おうふっ」と声が出てしまう。

 二回目も短かったけれど、まずまず満足出来た。

 セシリアさんが生涯のDTを私に捧げてくれたのた。

 それだけでも嬉しかった。


「すみません…… 上手く出来なくて……」

「問題無いよ。初めては誰もそんなものさ」

「でも嬉しかったです。マヤ様が初めてで本当に良かった…… ポッ」

「そう言ってもらえると、私も嬉しいよ」


 私たちがそう言うと、エリカさんは裸のまま椅子からスクッと立ち上がった。

 そしてまたベッドへ上がり込む。


「大丈夫そうだし、これから再改良型性転換魔法【ジーナスムタティオ】を掛けるよ。さっきと同じように横になってね」


 私たちが横になると、エリカさんが間に正座する。

 エリカさんが魔族の身体になってから裸をあんまり見る機会が無かったけれど、十八歳の身体ともなるとさすがにおっぱいの張りが違ってるな。

 そういえば、エリカさんはこの身体になって処女に戻ったんだ。

 私が男に戻ったら、明日の晩は早速食いつきに来そうな気がする。

 エリカさんはまず私から、両手で私の下腹部をそっと押さえた。


『ジェニス マスキュリーニンス ウーテンス、コルプス エイウス ア フェミナ イン マスクルム トランスフォルマトゥル……』


 詠唱文は前の改良型と同じのようだ。

 実際にはとんでもない量の魔法術式が込められているはず。

 うう…… 私のお腹の中に入っているセシリアさんのアレが作用しているのか。

 数億人のセシリアさん、頼むよー

 一分足らずで終わり、エリカさんは手を離す。


「次はセシリアさんね」

「よろしくお願いします……」


『ジェニブス フェミネイス ウーテンス、コルプス エイウス ア マスクリーノ イン フェミニム トランスフォルマトゥル……』


 同じく下腹部を押さえ、詠唱を始めた。

 詠唱文が半分くらい違っているが、言葉の意味はだいたい同じだな。

 セシリアさんの分身君は可愛くなって鎮座している。

 そして彼女は、エリカさんの胸をじっと見ていた。

 あんな胸が欲しいんだろうねえ。


「終わったわ。二人ともご苦労さん。とても順調に事が済んだから、明日は晴れてマヤ君は男に戻り、セシリアさんは念願の女の子になれるのよ」

「ふう…… まあ、期待しないで今日は寝るよ」

「あっ ひどーい。ちゃんと戻ったらご褒美ちょうだいね」

「わかったよ」

「私はエリカ様を信じます! とても楽しみにしています!」


 私は起き上がってちょっと毒を吐いたが、本当はとても期待している。

 体感的に手応えはあった。

 セシリアさんもぴょこんと起き上がり、目をキラキラさせてそう言った。

 彼女こそ、自分の性に違和感があってから長い間耐えてきたことがたくさんあったろう。

 絶対に女性に生まれ変わって、幸せになって欲しい。


「マヤ様、ここまま朝までご一緒してよろしいですか?」

「勿論だよ。明日の朝起きたら、二人で喜びを分かち合おう」

「はい!」


 私はセシリアさんと握手し、裸のまま布団の中へ入った。

 彼女と寝るなんて初めてだなあ。

 髪の毛がイイ匂いー


「あの、マヤ君、セシリアさん…… 私も……」

「もう終わったでしょ」

「えー せっかく頑張ったのに、冷たいなあ」

「私はかまいませんよ。うふふっ」

「セシリアさんは優しいなあ。マヤ君もこれくらい素直だったらいいのに」

「マカレーナへ来てから誰かさんのせいで、かくて陶冶されたんだよ」

「――」


 結局エリカさんも裸のまま布団に入り、私はセシリアさんとエリカさんの二人に挟まれて川の字で寝ることになった。

 幅が広いベッドを置いたばっかりに……


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