第三百五十九話 砂遊びをしていたら
未明はヴェロニカとハッスルして、ダリアちゃんにはおっぱいで遊ばれてしまったので部屋に帰って再び寝たが、一時間半後にセシリアさんによって起こされる。
夜中に出掛けていないことになっているので、ここは素直に起きることにする。
眠い目を擦って、セシリアさんとエリカさんとで朝食会場へ向かった。
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朝食会場には、グアハルド侯爵家の皆さんを除いた、女王を始めとしたお客様である私たちが集まって食事をする。
メインは、イスパル料理である白身魚のハーブソテー。
オリーブオイル、ニンニク、塩、胡椒で味付けられ、レモンスライスが添えてある。
朝からボリュームあるが、美味しそうだな。
魚大好きのビビアナは、デザートを食べているような幸せな笑顔で食べていた。
ヴェロニカは仏頂面で黙々食べてるな。
さっきダリアちゃんに邪魔をされて、機嫌が直っていないのだろう。
後で埋め合わせのために声を掛けておこう。
まさかヴェロニカに、私がダリアちゃんからおっぱいチューチューされてしまったの、見られていないよね?
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せっかく海辺の街へビーチリゾートへ来てるのだから、三日目の今日はどこへも行かず砂浜で目一杯バカンスを楽しむことにした。
水着は毎日メイドさんたちが洗ってくれており、翌朝には届けてくれる。
たぶん生活魔法が使えるメイドさんがいるのだろう。
だから三日間同じ、コーラルピンクのビキニを着る。
デザイナーとしては毎日替えてみるべきだろうが、滅多に着ることがないんだからどうも私は貧乏性で、洗いさえすれば同じ物を着てしまう。
まあ、人数が多いからアドリアナサルダの水着ショーにはなっている。
女王だけは毎日水着を替えており、初日はワインレッドのビキニ、二日目はサテンシルバーのビキニ、そして今日はベージュの紐パンビキニである。
そんなに自分の身体をアピールしているのは、枯れる前の花が目一杯綺麗に咲かせてる様にも見えた。
こんなこと女王にはとても言えないけれどね。
私は、未明にヴェロニカとイチャラブしたデッキチェアでもう一眠りする。
その前に水着メイドさんにオレンジジュースを持って来てもらい、飲みながらボーッとしていたらヴェロニカが隣のデッキチェアへやって来た。
「や、やあ――」
「マヤ。マカレーナへ帰ったらな」
「うん」
「エルミラと、さ、三人で…… 必ずだぞ」
「う、うん……」
ヴェロニカはそう言った後、目を瞑ってあっという間にスースーと寝てしまった。
それを言いたくて今まで眠気を我慢していたのか……
未明に行為をしたヴェロニカの性欲は尋常ではなかったし、ずっと欲求を溜め込んでいたのかも知れない。
運動をする女性はテストステロン値が高いと言われてるし、その理由もありそうだ。
しかし、私たちは屋敷を引っ越してしまったから、エルミラさんには夜中にヴェロニカの部屋へ来てもらわないといけない。
エルミラさんも大変だ……
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「うっ うーん……」
目が覚めると、バーベキュー小屋からイイ匂いがしてきた。
もう昼食の時間なのか……
バーベキューではなさそうだし、何を作っているのだろう?
おや、隣にヴェロニカがいない。
砂浜の向こうを見たら、先に起きてエルミラさんたちとビーチボールで遊んでいた。
おお! 今日はガルシア侯爵も混じってやってる!
相変わらず元気だなあ。
アムとアイミは……
『ひょほほー!!』
『わっはっはっはっ!!』
何だアレ? サーフボード無しで足だけのサーフィンみたいな遊びをしている。
自分たちでわざと高めの波を作って、すげえなあいつら。
たぶん水属性魔法でも出来るけれど、わざわざやる機会が無いからな。
女王は同じくデッキチェアで休んでいるが、ベージュビキニがよく見えず裸に見えるのがちょっとエロい。
アマリアさん、エリカさん、セシリアさんも同じくデッキチェアで休んでいる。
ローサさんは二人の子供たちと、ビビアナとジュリアさん、マルヤッタさんも一緒にまた砂遊びをしていた。
今度は山を作ってトンネルを掘ってるな。好きだねえ。
モニカちゃんたち三人は――
もうバーベキュー小屋にいるのが見えた。
「マヤさまぁっ!」
「マヤさまっ よく眠っておられましたね」
「おお……」
私の所へやって来たのは、パティとルナちゃんだった。
将来の第一夫人とメイド長になる二人だが、何だかんだで仲良くやってて嬉しい。
それにしても―― うへへ
白いおっぱい、褐色のおっぱい、たわわでぷりぷりに実った膨らみが目の前に存在している。
二人とも嫌がるかも知れないが、いつか頼み込んで生で顔を挟まれてみたい。
「あの…… その顔は、エッチなことを考えてますよね?」
「いやですわマヤさまぁ。結婚式の後は何でもして差し上げますからっ」
「な、何でも!? ブホッ」
ルナちゃんがジト目でそう言っているが、パティのほうは照れ照れしながら大胆発言。
何でもって、パティの知識は乙女かBL本の範囲内だろう。
BLかあ…… 変な方向にならなければ良いが。
「マヤ様、お昼ご飯ですから向こうで遊んでいる方たちを呼んできてもらえますか?」
「ああ、はい」
メイドであるルナちゃんが主人を使うなんて……
まあ、アイミたちを呼び戻すのは大変だし、私が動いた方が早いからな。
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バーベキュー小屋に皆が集まる。
今日のお昼ご飯は水着メイドさんたちがみんな用意してくれて、簡単な折りたたみの木製テーブルと椅子が設置されているのでそこで食べる。
メニューは、パエリアの米がパスタに変わった、『フィデウア』という食べ物だ。
わかりやすく言えば、スパゲッティパスタを短めに切ったシーフードスパゲッティの、もっと派手なやつだ。
この短いパスタを見ていたら、何だかベビー◯ターラーメンを思い出す。
大皿にいくつも盛られて、みんなで取り合って食べる。
今回のバカンスでは女王もガルシア侯爵らも身分差を気にせず無礼講で、みんなとワイワイ出来て親睦が深められているのも、ルイスさんの計らいのお陰だ。とても感謝したい。
それで、フィデウアはガルシア家でもたまにマルシアさんたちが作ってくれて豚肉や鶏肉ベースだったんだけれど、ここのフィデウアは本気で魚介類が使われており、イカリングやエビも乗っかって美味しそう。
おおっ!? これはあのグランド・オクトパスの欠片が入っているではないか!
「さっ マヤ様。どうぞ、召し上がって下さいね」
「ありがとう」
「パトリシア様もどうぞ」
「ありがとうございます」
左隣にいるルナちゃんが大さじで私の分を皿に取ってくれた。
ついでに、じゃないけれど右隣にいるパティにも取ってあげていた。
二人の豊乳水着少女に挟まれて、甘露である。
モニカちゃんは同じようにエリカさんの皿にフィデウアを取ってあげていた。
あれ? 女王の世話をしに来ているのに、いいのか?
まあ、食事はロシータちゃんとフローラちゃんがいれば十分だし、元々モニカちゃんはエリカさんと好き合っていたから、久しぶりの再会で一緒にいたいのだろう。
どれ―― グランド・オクトパス入りのフィデウアを食べてみよう。
短いパスタなので、スプーンで掬って食べる。
「うーん、トマトとオリーブオイルの酸味と隠し味に抑えたニンニクテイストが、タコの甘みを引き出してるねえ。これは美味いなあ」
「ですよねえ。このエビも―― モグモグ―― プリップリで食べ応えがありますねえ」
ルナちゃんもラガのシーフードフィデウアは気に入ったようだ。
パティは食べることに集中している。
「んんっ ――モグモグモグ ――これはいくら食べてぇも飽きまへんわねえ ――モグモグ」
行儀悪く食べているのでアマリアさんがチラッと見ていたが、空気を読んで、黙ってカルロス君の分の皿に盛っていた。
後が怖いぞー
私はパティのお腹をチラッと――
ぽっこりはしていないが、ぷにぷにとした感じだなあ。
摘まんだら怒鳴られそうだ。
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食事が終わり、ある者はデッキチェアで休み、ある者は砂浜で遊ぶ続きを、女王は一旦部屋へ帰って昼寝をするそうな。
あんたさっきデッキチェアで寝てたじゃないか!
私は体育会系のメンバーにはついていけないので、ビビアナや子供たちに加えてパティとルナちゃんと一緒になって砂遊びに興じていた。
アマリアさんとローサさんは子供たちについており、ジュリアさんとマルヤッタさんはデッキチェアで休んでいる。
人妻のセクシー水着を堂々と観賞できていいぞいいぞ。
二人に挟まれるなんて夢のまた夢だろうが、水着姿を見て妄想をするだけでも楽しい。
砂遊びは山を作ってトンネルを掘り、水路を通してみるという子供らしく他愛のないものだが、童心に返ってやるとこれが楽しい。
カルロス君とアベル君もキャッキャと言いながら楽しめているようだ。
「カルロス、川をもう少し深く掘って、水をたくさん通しましょう」
「そうだねおねえちゃん!」
「アベル君、こっちに新しい川を作ろうよ」
「ルナおねえちゃんこっちも」
「あてしも新しい川を作るニャー」
微笑ましいねえ。砂浜が水路だらけになって迷路のようになってるが。
ミカンちゃんが大きくなったらああいうふうに遊びたい。
それで今日は、このまま平和に終わるはずだったが――
『いぇっふー!!』
『あっはっはっはっはー!!』
そんな時も、アムとアイミは足だけサーフィンをして楽しんでいた。
また随分大きな高波を作って、よくやるな。
――なんかこっちへ向かってきてないか?
『あたしはこっちへ行きたいんだ!』
『私はこっちがいい!』
アムとアイミは違う方向へ行きたくて、その真ん中へ高波の方向が向いている。
ちょうどその方向が私たちへ…… はっ!?
『うぉぉぉぉぉい! どいてくれえええ!!』
『あぎゃぁぁぁぁぁ!!』
――ザバァァァァァァァァァァ!!
「おいおいおい! 大波がこっちへ来てるぞ!」
「マヤさま! 早く逃げましょう!」
「ダメですわ! 間に合いませええん!!」
「マヤ様! 水属性魔法を!」
「アマリアさん! 今やってるんですが、あいつらの力が強すぎて弾かれるんですよ!」
「きゃぁぁぁぁ!!」
「ギニャァァァァァァ!!」
「「うぇぇぇぇん!!」」
「こうなったらこれしかない!」
アマリアさんたちも大騒ぎで、子供たちは泣き叫ぶ。
水属性魔法で制御するか凍らそうとしたが、アムたちの暴走した神の力がそれをかき消してしまう。
私は急いで全員に高位魔法であるグラヴィティムーブメントを掛けて、宙に浮かせた。
『おわぁぁぁぁ!!』
『うひいぃぃぃ!!』
――ザッパァァァァァァァン!!
高波ごとアムとアイミが砂浜へ突っ込んでいく。
幸い波は左右狭い範囲なのでヴェロニカたちがビーチボールで遊んでいるところへは外れており、パラソルの下で休んでいる人たちのところまでは届かなかった。
だが、せっかく作った砂山と水路が流されてしまった。
「あああっ!? あてしたちが作った水の都が壊れてしまったニャ!」
あれ、ヴェネツィアやアムステルダムみたいな水の都のつもりだったのか。
波は退いて、砂浜で伸びているアムとアイミが残っていた。
私は砂で作った水の都があった場所まで皆を降ろす。
「うぇぇぇん!! ボクが作った川が壊れちゃったぁぁぁ!!」
「びえぇぇぇぇん!!」
「カルロス、また頑張って作りましょ」
「もうおんなじの作れないよぉぉぉ! うぇぇぇん!」
アマリアさんとローサさんが泣いている子供たちを宥めている。
いたたまれないよなあ。
私はうつ伏せになって伸びているアイミの首根っこを掴まえて、こう言う。
「おい、どうしてくれるんだ? せっかく作った砂山を流してくれちゃってさ」
『だってこいつが私に合わせようとしないのだ!』
『なにをを!? おまえこそあたしの言うこと聞かないからだろうがっ!』
『このくそぉぉぉ!』
『にいぃぃぃちっ うががっ』
うつ伏せになっていたアムも起き上がり、アイミと喧嘩を始める。
ほっぺたを抓ったり、耳を引っ張ったり、見苦しい姉妹喧嘩だ。
これが神様同士とは端から見たら考えられない。
「おいやめろ! おまえら仲が良かったんじゃないのか?」
『仲が良いとか悪いとか考えたこと無い! ムギギギギッ』
『ただ一緒に遊んでるだけだ! もぎゃググググッ』
埒が明かないな……
だがこいつらには百パーセント効く魔法の言葉がある。
今からそれを言おう。
「喧嘩やめないとおやつ抜きだぞ」
『なぬっ!?』
『それは困る!』
ほら喧嘩を止めた。
ジュリアさんを脅迫してドーナツを作らせることも出来るはずだが、食べ物については素直なこの二人。
これだけでは足らないのでもう一発。
「このままだとマカレーナへ帰っても、たこ焼きを作ってあげない」
『な、何てことを言うんだ!』
『うぬぬぬっ 私たちはただ遊んでいただけだぞ!』
アイミが反抗をし始めた。
面倒臭いなあ。
するとアムからアイミに話しかけ、そのまま話し合いが始まった。
――待つこと約三分。
『よしっ あたしが何とかする!』
「何とかするって、何をどうするんだ?」
『まあ見ててよ。あー、君たち。そこを退いてくれないか?』
アムが言うとおり、私はアマリアさんと子供たち、パティらを、砂山があった場所から下がってもらうようにお願いする。
アムはその位置で両手を挙げて、何かモゾモゾを言い始めた。
『――ううううやあああ! ドーナツ食べたいたこ焼き食べたい! 元に戻れええ!』
なんじゃそりゃー!?
詠唱じゃなくて、ただ願望を言ってるだけなのか。
そんなことを思っているうちに砂がひとりでにズズズッと動き出し、形を作り始めた。
子供たちは泣き止んでおり、その不思議な光景をジッと見ていた。
「何あれ! 砂が動いてる!」
「うわぁぁぁぁ!」
「サイコキネシス? いえ、違うわね…… ただの魔法じゃないわ」
アマリアさんは砂が動く様子を見て自分なりに解析しようとしていたが、理解出来そうに無かった。
私もよくわからない。これは神力だな。
砂山が下の方から徐々に形が出来上がっている。
これは…… さっきの砂山と形がそっくり、というよりそのものじゃないか。
水路も全体的に薄い形からだんだんと溝が深くなり、元のように形成されていった、
時間の巻き戻し? いや、時空のねじれのようなものは感じない。
どういう理屈なのか、全く分からない。
『ま、こんなもんだろう。どうよ?』
「おおっ 崩れる前と何から何まで同じだ!」
アムはえっへんと手を腰に当て、天狗になっている。
それだけの力が使えるのに、アイミとぶつかったら残念なことになったのか。
サリ様を始め、神様たちも適当だよな……
でも、子供たちは大喜びで早速遊びの続きを始めた。
「この力はどういう理論でやってるんだ? 時間は戻ってないようだが」
『ああ、時間の遡りじゃあないけれど、砂の一粒一粒の記憶みたいなものを辿って元の位置に戻したんだよ。砂の粒、全体で何億何兆どころじゃないのにどうせ今日でおしまいの物を頭フル回転で直したんだぜ? もっと褒めてよ』
「おー、すごいすごい! ほらみんなも!」
――パチパチパチパチパツパチッ
自分がやったとはいえアムが機嫌を損ねないように、アマリアさんやパティたち大人には拍手をお願いした。
アムはますます天狗になるが、これで済むならやっぱりチョロいな。
アイミは悔しそうな顔をしてるが、こいつには出来ない術なんだろうな。
まあ、直ったから許してやろう。
『腹減った』
「さっき食べたばっかだろうに」
『力を使うと腹が減るんだよ』
「わかった。メイドさんかジュリアさんに頼んで何か作ってもらおう」
アムとアイミを連れて、デッキチェアのところで世話をしている眼鏡の水着メイドさんに、何かお菓子を作れないか聞いてみた。
「そうですね…… では、せっかくですから『ペスティーニョス』というラガの名物をお作りしましょう」
「それはどんなものなんですか?」
「揚げ菓子なんですけれど、小麦粉で適当に形を作って油で揚げて、砂糖と蜂蜜をたっぷりつけます。うちはレモンの皮を切った物とシナモンもかけますね」
「ほほう、それは是非食べてみたいです」
「調理室でないと作れませんので、早くても三十分かかりますからお待ちくださいませ」
眼鏡水着メイドさんは階段を上がって屋敷へ戻っていった。
とても甘そうなお菓子だが、アムとアイミなら食うだろう。
「良かったな。良い物を作ってくれそうで」
『は、蜂蜜漬け……』
『たっぷり……』
アムとアイミはすでにヨダレをだらだら垂らしていた。
ふふふっ 眼鏡メイドさんナイス! 愛してるよー!
少し時間がかかるので、二人はデッキチェアでワクワクしながら寝転んだ。
ジュリアさんとマルヤッタさんはよく寝てるな……
わっ 向こうでガルシア侯爵がビキニぱんつ一丁で寝ている。
あの人も普段は忙しいからね。
フェルナンドさん、羽を伸ばせているかなー
エリカさんの魔力がずっと向こうの岩場で感じるが、何をしてるんだろうか?
モニカちゃんの姿も見えないし、まさか二人でよろしくやってたりしてな。
仲間に入りたいなあ。




