第三百五十八話 満天の星空の下でダリアちゃんに
※女の子同士のキスがいっぱいで表現がやや過激になってますので、苦手な方は飛ばして読んでもストーリーに差し支えありません。
たこ焼きパーティーが行われたその晩、疲れていたのかお風呂から上がったらすぐに寝てしまった。
尿意を催して部屋のトイレに行った後、ふと窓の外を見ると満天の星空になっていた。
今日はほぼ新月のようで、空が月明かりで照らされておらず、星がはっきりと見える。
地球から見える星空とは全く違う。
見慣れた星座の形が無いので、今ここで私が立っていることすら何だか不思議な感じがする。
美しい星空を眺めていたら、目が冴えてしまった。
エリカさんとセシリアさんはスヤスヤ寝ている。
時計は二時半を差している。日本で言う丑三つ時だ。
せっかくだから、一人で砂浜へ行ってみようか。
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屋敷から砂浜へ降りる階段。
その途中で、月明かりが無くても淡い星の光に照らされている美しい金髪が見える。
白いシャツとショートパンツで、髪を下ろしているが見慣れたその後ろ姿は――
ヴェロニカだった。
彼女は階段の中腹で座り、星空を眺めていた。
驚かせないように、階段で下がる手前で声を掛けてみた。
「おーい! ヴェロニカ!」
「マ、マヤ!?」
彼女はキョドりながら後ろを振り向いた。
私は階段を降り、ヴェロニカの右隣に座る。
「やあ。眠れないの?」
「――あ、ああ…… 途中で起きて、眠れなくなった」
「私と同じだね」
ヴェロニカはそう応えるが、それからしばらく沈黙の間があった。
お風呂のことで気まずいんだろうなと思い、私から声を掛ける。
「――さっきはごめんね。急で、びっくりしたよね」
「そそっ そうだ。おまえが悪い」
彼女がそう言うと、また沈黙が始まる。
何かを話さなければ……
「ラガは星がとても綺麗に見えるね」
「ああ。私もしばらく眺めていた。星は良い。国のどこにいても星々は瞬いて、私たちに語りかけてくれるようだ」
「ロマンチストだね。ヴェロニカには何を語ってくれたのかな?」
「それは……」
ヴェロニカは何かを言いかけて、また黙りこくってしまった。
彼女の顔をチラ見してみたが、暗くてよくわからない。
(うううっ せっかくマヤが来てくれたチャンスなのに、何を話せば良いのだ? はははは初めて契りを結んで(第二百二十話参照)から時が経っているというのに、どうしてこんなに緊張せねばならんのだ…… やはり…… スキンシップというものがまだ足りないのだろうか。マヤが女になってから特にそうだ。ならば……)
不意にヴェロニカの右手が、私の左手を握った。
今度は私の方がドキドキしてくる。
彼女から積極的になるのは珍しい。
「マヤ、あのな……」
「うん」
ヴェロニカはスクッと立ち上がると、おもむろに私の太股へ対面の馬乗りになった。
突然のことで私は言葉を失う。
彼女は両手で私の後ろ首を掴まえ、こう言う。
「私の目をよく見ろ」
「あ、ああ……」
暗闇とは言えまじまじと彼女の顔を見る機会は、恋人となった今でも少ない。
吸い込まれそうなブルーの瞳に、よく見れば並外れた美形なので胸がゾクゾクと来る。
「マヤ、大好きだ」
「モゴッ!?」
ヴェロニカはそのまま私を抱きしめた。
私の太股に乗っかっているので、ちょうど私の顔はヴェロニカの胸でふわりと包み込まれる。
この感触…… ノーブラか。
フガフガ―― めちゃくちゃ良い匂い……
落ち着くなあ。
階段に座っているのでジタバタ動くことはやめて、ヴェロニカに任せる。
するとヴェロニカは抱くのをやめて、そっと私にキスをした。
やはり、いつもより随分積極的だ。
彼女の気持ちの高ぶり、冷めてしまわないようにしなければ。
――チュッ チュッ
前よりキスが上手くなっている。でも軽いキッスだ。
きっとエルミラさんといつもこんなことをしているんだろうな。
そういえば私が女になってから、たぶん初めて彼女とキスをした。
「久しぶりにキスしたね。女同士でも良かったの?」
「おまえが好きなんだから、どっちだっていい」
――チュッ チュッ
またヴェロニカからキスを始めた。
相当気分が高揚しているな……
柔らかい唇が着いたり離れたり、彼女の感触を味わう。
でもまだ子供のキスだ。もっと深く味わいたい。
「続きは向こうでしよう。階段は危ないから――」
「ああっ!?」
私はそのままの体勢でヴェロニカを抱きかかえ、砂浜に置いてあるデッキチェアのところまでグラヴィティで浮遊する。
デッキチェアに私が寝転び、ヴェロニカが馬乗りになる。
さあ、続きを始めよう。
「来て、ヴェロニカ」
私は寝転びながらヴェロニカを抱き寄せ、キスを再開する。
今度は大人のキスだ。
舌が組んず解れつ蠢き、彼女は私の動きに合わせて頭が空っぽになるほど無我夢中でキスを続けた。
もう何十分も続けたのかわからないくらい、長く、長く――
意識はトランス状態になり、私たちはいつのまにか一糸纏わぬ姿になり、まぐわう。
煌めく星空の下で、いつまでも愛し合った――
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「ハァ…… ハァ……」
「はふっ…… はふっ……」
私の胸の上で、ヴェロニカは見たこともほどの優しい顔になって、熱い行為が終わった余韻に浸っていた。
つまり、今度はヴェロニカの顔が私のふわふわおっぱいに包まれている。
エルミラさんより大きいんだぞ。良いだろう。
「ありがとう、私をこんなに好きになってくれて……」
「当たり前だ…… そんなの最初からだ……」
「次の性転換魔法で、きっと男に戻れると思う。だから今度は男と女で――」
「は、恥ずかしいことを言うな」
男と女で、何を想像しているのだろう。
ヴェロニカもムッツリだからなあ。
「恥ずかしいことなの? 愛し合う男女が二人っきりだけの世界なんだから、愛の形はどうであれ恥ずかしくないんだよ」
「初めての時…… エルミラと三人だったではないか」
「じゃあ三人っきりの世界だ」
「またエルミラとも……」
これは…… びっくりだ。
余っ程エルミラさんに心を許しているんだな。
初めての時はヴェロニカが先に寝てしまっていたから、私×エルミラさんの行為を見せていない。
だから本当の三人ではないのだが、実際見たらどう思われるのだろうか。
この後、再び軽いキスから楽しんだ。
キスっていいな。
下半身より、もっと相手と繋がっている気持ちになる。
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間もなく夜明け。海の向こうから空が白み始めたころに、一人の女性が階段から砂浜へ降りていった。
彼女はダリアちゃん。
グアハルド侯爵の第四夫人ダリア・グアハルド十九歳。
元船団員だった彼女は、毎日の日課で朝早く砂浜にて、軽くジョギングをやろうとしていた。
「今朝はちょっと早かったかなあ。まだ星空がこんなに綺麗だ」
ダリアちゃんは階段を降り、空一面の星々を眺めそう言った。
誰も居ないはずの砂浜は、ただ静かな波音だけが聞こえるだけだ。
――ザー ザー ザー ハァ ハァ フゥ
(ん? 何か聞こえた)
ダリアちゃんは波の音以外の音がするのに気づいた。
当たりを見渡すと、どこからか人の気配に勘づく。
(こんな時間に人が? まさかあ…… ハハハ)
――ハァ ァ…… ン…… チュ……
(え? やっぱり誰かいる。ええええ…… ここはグアハルド家の他に誰も入ってこられないんだよぉぉぉ ひいぃぃぃ怖ぁぁぁぃ……)
――チュ…… チュ…… ハァ クハァ
(なっ なに? パラソルがある所…… わっ 本当に誰かいる! あわわわわわどうしよう…… 怖いけれど、もうちょっと近づいてみようか…… 侵入者だったらとっちめてやる)
ダリアちゃんは身体をブルブル振るわせながら、パラソルとデッキチェアが並んでいる休憩所へ向かう。
ダリアちゃんと休憩所を遮る物は無く、彼女は魔力を持っていないのでキスに夢中になっている私では気配に気づくことがなかった。
――ゥ…… チュ…… ン…… チュ……
(ひえぇぇぇぇっ なんか白いのがいるぅ! ももももしかして幽霊かな…… もしそうだったらヤダなあ…… ううう、でも放って置いて何かあったらアブリルさんに叱られるし…… もっと近づいてみよう……)
砂を踏む音にも気を付けて、そっと私たちに近づくダリアちゃん。
そこで彼女が見たものは――
――ン…… ゥゥ…… チュ…… ンフ……
(えっ? お尻? 白いお尻だ。桃みたいな美味しそうなお尻…… あれって…… 女の子? でも、なんでぱんつ履いてないの? すごくエッチなんだけどお!? ――あれれ? 下にもう一人誰か居る! 二人とも金髪だ!)
ダリアちゃんが見たのは、デッキチェアに寝転んでいる私にヴェロニカが膝を立てて跨がり、お尻を空に突き出して夢中になってキスをしている姿だった。
暗闇でヴェロニカの白いお尻が浮き上がっているとはいえ、空が明るければ何もかも丸見えだっただろう。
――ァフ…… ンン…… チュ…… ハァ……
(はわわわわわわっ 本当にエッチなことしてるぅ!? もう一人も裸の女の子じゃん!! 女同士で、いけないんだー!)
だが極僅かな薄明かりで、ダリアちゃんはまだ私たちと気づいていない。
彼女は同性愛を許せないのか、他の奥さんたちともあまりベタベタとスキンシップするタイプではなかった。
それでも興味津々で私たちのキスをじっと見ていた。
(ううう…… ルイスとご無沙汰だからなあ。あたしもあんなふうにたくさんチュッチュされてみたい……)
ルイスさんはこのところお疲れ気味で、他の奥さんともしばらくベッドを一緒にしていないどころか、お風呂も一緒に入っていないようだ。
ダリアちゃんはルイスさんとの営みを思い出し、無意識にジョギングパンツへ右手をやり、モゾモゾし始めた。
徐々に彼女の下半身から快楽が滲み出る。
そこで脚がヨロッとふらつき、屋敷の庭木からたまたま砂浜へ落ちてきた枯れ枝を踏んづけてしまう。
――パキッ
「誰だ!?」
ヴェロニカがその音に気づき、ダリアちゃんの方へ向く。
彼女の姿を発見したヴェロニカは、裸のままそこへ猛進していった。
さすが戦闘王女。
――ズザザザザザザッ
「ひひっ ひえええええっ!?」
「お、おい! ヴェロニカ!」
ヴェロニカはダリアちゃんを押し倒し、馬乗りになって彼女の首元へ手刀を押し当てる。
あっという間の出来事で何が起きたのかわからないダリアちゃんは、あまりの恐怖で泣き叫ぶことも出来なかった。
「何者だ! 神妙にしろ!」
「ひひっ ひ……」
私は急いでぱんつとショートパンツを履いて、シャツも着てヴェロニカが向かった場所へ走って行く。
この時点で、私もヴェロニカが押さえ付けているのがダリアちゃんだとは知らない。
「ヴェロニカ! 何を捕まえた!?」
「わからん。暗くて顔がよく見えないが、人間の女のようだ!」
私は恐る恐るその人間の女の顔をジッと覗き込んで見た。
たこ焼きパーティーでも見たばかりの顔――
「ダリアさん!?」
「ダリア!? おまえはグアハルド侯爵の奥方か!」
「は、はい…… うっく ひっく……」
ダリアちゃんはそこで半べそを掻きながら、聞き覚えがある私たちの声でようやく気づいてくれた。
正体がわかったので、ヴェロニカはダリアちゃんの身体から退いた。
ダリアちゃんは自分で動くことも出来ないほど怯えており、私がそっと抱き起こしてそそのまま後ろから優しく抱いた。
私はダリアちゃんに質問する。
「こんな夜中に…… いや、もう朝になるか。ここで何をしていたの?」
「え…… いつもやってるただの早朝ジョギングだけど……」
「ああ…… それでたまたま私たちを見ちゃったわけだね」
「そう……」
これは余所の家の敷地でゴソゴソとしていた私たちが悪い。
ヴェロニカは右手であちゃーと顔を押さえていた。
それでも裸のまま堂々と立っている。
「あの…… ごめんなさい。びっくりさせてしまったね」
「いえ……」
ダリアちゃんが少し落ち着いてきたようだが、そのまま私は彼女を抱いていた。
まるで少年のような体型だが、フワッと女の子の良い匂いがする。
で、人妻なんだよね。女でなきゃこんなこと出来ないよ。
「公式ではないけれど、ヴェロニカ王女殿下と私は恋人同士で将来結婚の約束をした仲なんだ。だから…… まあ、ああいうことをしていて……」
「へっ? そうだったんですか……」
第三者から見れば完全にスキャンダル事案なので、正直に理由を話した。
侯爵家の奥方に見られたのだから、余計にそうしないといけない。
するとヴェロニカはダリアさんの前にズイッと寄り、しゃがんで彼女の顎をクイッと右手で掴んだ。
「いいか? ダリア殿。あなたは何も見なかった。ここに私たちはいなかった。誰にもさっき見たことは言ってはならん。侯爵家の誰にも、ルイス殿も含めて例外無くだ。いいな?」
「ひゃ、ひゃい……」
ヴェロニカは脅すように凄んで。ダリアちゃんにそう言った。
そしてスタスタとデッキチェアへ戻り、ぱんつを履いて着る物を着てさっさと一人で屋敷へ戻ってしまった。
あんなに熱かったのに、ダリアちゃんに邪魔されて興が醒めてしまったのだろうか。
砂浜に残ったのは、ダリアちゃんと彼女を後ろから抱いている私だけ。
(――女の人に抱かれたことって、子供の時にお母さんに抱っこしてもらった以来かなあ。マヤさんの匂い、お母さんみたいだ…… 背中に、マヤさんの胸が当たってる。あたしもお母さんも胸が小さいからなあ。柔らかくて大きい。いいなあ……)
しばらくの沈黙後、ダリアちゃんがボソッと口を開く。
「あのね…… マヤさん。お願いがあるんだけど……」
「えっ? なんだろう?」
「マヤさんって本当は男なんだよね?」
「まあ、そうなんだけど、もうすぐ男に戻るから……」
「じゃあ問題無いね!」
「はい?」
「あのこと黙ってる代わりにね」
「――うん」
「胸、触ってみたい」
「はひっ?」
ダリアちゃんはそう言った後、クルッと回って私の胸を両手で鷲づかみし、モミモミと揉み始めた。
子供がじゃれてる感じで全然気持ちよくないんだがっ
「あわわわわっ なんでー?」
「ああああすごおおおおい! おっぱいってこんなに柔らかいのー!? うひゃひゃ!」
なにこの展開!? 全く予想だにしなかった。
六人の奥さんの中では比較的ノーマルな印象だったけれど、元々そういう人なの?
それとも目覚めちゃったの?
「うひょひょ! 大きいおっぱいイイ! あたしも欲しい!」
「あひぃっ」
今度は、胸を掴んだまま顔を押し当てスリスリぱ◯ぱ◯を始めた。
可愛い女の子にこうされるのは嫌じゃなんだが、たかが外れたようにそれほど私と慣れていない彼女だから、びっくりしてどうしたら良いのかわからない。
エリカさんの時みたいにぶっ叩くわけにはいかないし。
「よーしっ 次はっ」
「ひゃんっ!?」
シャツを捲られ、同じようにスリスリぱ◯ぱ◯をし始めた。
ううううっ どうしたらいいのおお!?
「生のおっぱい、すっごい気持ちイイイイ!! ふわふわーっ! イイ匂いいいっ!」
私は為す術もなくダリアちゃんのしたいようにされ、しまいにはおっぱいチューチューされてしまう。
彼女が満足した時は間もなく日の出の時間で、空が白くなっていた。
「あー良かった! マヤさんありがとう! こんなに気分最高なのは久々だよ!」
「――ああ、どういたしまして……」
少々ゲンナリする気分……
ダリアちゃんは背伸びし、スッキリと英気を養ったような清々しい表情をしていた。
やっぱり私が何かに目覚めさせてしまったのだろうか。
さっきの質問で、男だから問題無いというのが意味がわからないが、本当の女の子だったら大事にしたいから? また乱暴な……
「でもマヤさん、明日で帰っちゃうんだよなー」
「帰るけれど…… またしたいの?」
「うん。女の人のおっぱいがあんなに気持ちイイなんて思わなかった。マヤさんが帰ったらオリビア…… は怒られそうだ。やっぱりアナしかいないな。そうだ、今度はアナに頼もう!」
「ああ…… あ……」
やっぱりするんだ。今晩のお風呂か?
ダリアちゃんの頭の中で話が勝手に進み、今度はアナちゃんが餌食になってしまいそうだ。
明後日からのアナちゃん、お労しや。




