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第三百四十七話 性転換魔法で男に戻る?

 大浴場での入浴はハチャメチャに終わり、その後パティたちが入浴してから食事が始まった。

 明日はゆっくり入らせてもらいたいが、あのメンバーじゃダメかなあ……

 いや、今晩は男に戻ることが出来たらガルシア侯爵やセシリアさんたちだけだから、ゆっくり出来そうだ。

 うーん―― しかしセシリアさんが一緒に入っていたガルシア侯爵とルイスさんの反応、どうだったんだろうな。


 食事するには皆に()()()()()()()()()を貸して頂いた。

 バスローブでもパジャマでもない、軽くて動きやすい服だ。

 パティやルナちゃんたちは湯から上がったばかりなので、ほっこりと石けんの良い香りが漂ってくる。

 パティは薄いピンクで可愛らしい。ちなみに私はブルーだ。

 抱きついて深呼吸してみたいが、それではエリカさんと同じ変態になってしまう。

 それで私の席の隣は当たり前のようにパティとルナちゃんに挟まれており、王都からマカレーナへ帰るときの馬車でもこうだった。

 近い将来の夫人と給仕長になる関係だから、この先もこういう席順になることもあるだろう。


 ――さて、食事の内容は冷製パスタがメインだった。

 時間的にまだバーベキューがお腹に残っていてそれほどお腹は空いていないが、このまま寝るには後でお腹が空いてしまいそうだったので、用意してくれたのは気が利いて有り難い。

 もっともこの国は地球のスペインのように一日五回の食事をすることが基本なので、その慣習に(のっと)っただけのことであるが。

 日本で言えば朝昼晩の食事の他、午前十時のおやつと午後三時のおやつのようなもので、バーベキューが三時のおやつでいつもより量が多かったから、晩ご飯は軽くパスタというわけだ。

 トマトをたっぷり使った冷製パスタは、ニンニク、玉ねぎに加えて赤唐辛子でピリッと仕上げており、空腹でもないのに食が進んでしまうほど美味い。

 サラダには生ハムとメロン、そしてショートパスタには螺旋(らせん)形状のフジッリが使われ、シーザーソースが絡んで良く合う。

 ああ…… 日本食はこっちへ転生してから全然食べることが無いけれど、イスパルは口に合う料理が多くて幸せだよ。うーん、美味しいっ

 アムはサラダパスタが気に入ってしまい、結局五、六皿は食べていたと思う。

 まあ、それくらいなら帰ってから私の屋敷でも用意は出来るだろう。


---


 部屋に戻る。

 同室のエリカさんとセシリアさんが私よりソワソワしていた。

 いよいよエリカさんが発動する性転換魔法【ジーナスムタティオ】で男に戻れるのだ。

 戻れるかどうかわからないので、最低限の人にしかこのことを話していない。

 エリカの性転換魔法説明では、まず準備に魔法を発動するための触媒が必要で、それが男性の遺伝子だという。

 アモールが男に戻そうとしたときは、元の男に戻るだけの場合は触媒が必要無かったが、それが失敗に終わった。

 エリカさんが作り直した性転換魔法は、戻るときも触媒が必要になった。

 血液の場合は多量が必要で、提供者の貧血と、血をたくさん飲むのはさすがに遠慮したいので、唾液または精液になる。

 身体は女でも男の心のままである私に、いくらセシリアさんが相手でも精液を受け止めるのは抵抗があるので、消去法で唾液をもらうことになった。

 セシリアさんとの濃密なキスは初めてではないが、ベッドの上で二人きりというのはやり緊張する。


 私のベッドの上で、セシリアさんと行為を始める。

 パティの時と同じように、唾液を流し込みやすいように私が下になって、セシリアさんが私の腰の上で馬乗りになる。

 華奢(きゃしゃ)な身体の彼女なので、重いとは感じない。

 私たちは湯上がりワンピースから着替え、セシリアさんは薄手の白いネグリジェで、チラリと見える白い太股が色っぽく、絶対に男には見えない。

 私は男女共用の青いパジャマで、普通の白いぱんつにノーブラ。

 で、エリカさんは黒のネグリジェ姿で、何故かベッドの前で正座をして楽しそうな顔をしている。


「あのエリカさん、そこで何をしているのかな?」

「ええっ? ちゃんと見届けないと、魔法が上手く出来るかわからないからよ」

「ただ唾液を取り込むだけでしょーに!」


 私はセシリアさんを下ろして起き上がり、エリカさんの首根っこを(つか)んで廊下へ追い出した。

 覗かれてると大事なキスに集中出来ないじゃないか。


 ――ドンドンドンッ

 ドアを叩くエリカさん。しつこい。


「えー! 見たいよー! マヤ君とセシリアさんが組んず(ほぐ)れつむっちゅんしてるの見たいよー!」

「それが本音か! 終わったら呼ぶからそこで静かに待ってな!」

「そんなのつまんないよー!」

「魔法で鍵を開けたら引っ(ぱた)くからね!」

「――グスン」


 やっと静かになった。

 周りの部屋の人から変に思われないだろうか。

 そのためにも、セシリアさんには悪いが早く終わらせよう。


「あのぉ…… 大丈夫なんですか?」

「エリカさんの変態はいつものことだから問題無いよ。さっ 始めようか」

「はい。うふふっ」


 セシリアさんは余程楽しみにしてるのか、ウキウキしながら再びベッドの上で私の腰に馬乗りになって、私の顔をジッと見つめる。

 これから男とキスをする意識をさせない、綺麗さではパティすら凌駕するであろう美形がゆっくり私の顔に近づく。

 身体や髪の毛から男の性欲をくすぐるような甘い香りが漂う。

 香水ではない、石けんかリンスの香りのようだ。

 大浴場に備え付けの物か。

 だとすればみんなの他、ガルシア侯爵もこんな香りがしてるのだろうか。うぷっ

 いやいや、キスに集中したいから余計なことを考えるのはよそう。


「では失礼します」

「――」


 セシリアさんがそう言った後、私が返事をする間もなく口が塞がれた。

 私の唇を挟んだり、舌で唇をペロリと舐め回したり、彼女はずいぶん積極的だ。

 何かを読んで勉強したのだろうか。

 もしかしたら誰かが読んでる妖しい小説に影響されたかも知れないなあ。


「んっ…… ふぅ」

「はふっ」


 キスが本格的になった。

 いつの間にかセシリアさんの右手は私の胸を揉んでいる。

 ぽっちの周りを優しくマッサージするような動きが、き、気持ちいい……

 他の相手がいるはずもなかろうに、きっと自分でやっているのだろう。


「羨ましい…… 早く私も女になりたい……」

「――」


 セシリアさんの本音が漏れた後、すぐにまた口を塞がれる。

 うわわっ 口の中がセシリアさんの舌でかき回されているぅぅぅっ

 頭の中までとろけそうだっ

 アマリアさんとは違った、およそ上品とは言えないディープキッスだが、こういうところは男らしい荒々しさがあるのだろうか。

 いや、単に慣れていないだけかも知れない。

 ここは私からも仕掛けてみよう。


「んんっ!?」

「――」


 意表を突かれたセシリアさんは腕がガクガクと震え、私の胸を揉むのが止まってしまう。

 私は構わずセシリアさんの口の中をまるでスィーツを舐めるように舌を動かした。

 セシリアさんの唾液がたっぷり流し込まれているのがわかる。


「んふっ」

「――」


 もうそろそろいいかな。

 セシリアさんはもうぐったりだ。

 ――ん? 何か股間に当たってる……

 ピクピクしてるぞ。

 するとセシリアさんが突然ガバッと起き上がる。


「ごめんなさい! ちょちょちょっと――」


 そして急いでトイレへ駆け込んでしまった。

 途中で催してしまったのかな?

 数秒後――

 トイレの中で、彼女から聞いたこともないような絶頂を迎えた声がした。

 ああ…… そういうことか。

 パジャマを介して股間に当たっていたのは、彼女のアレなのね。

 それにしても、エルミラさんがいたときもそうだったが、全く刺激を与えてないのに果ててしまうなんて、どのみちその方法ではうまく出来ないということか。

 セシリアさんはまだトイレから出てこないな……

 もしここにエリカさんがいたら、あのセシリアさんの様子では鼻血で部屋が血の海になっていたであろう。

 そろそろエリカさんを部屋に入れてやるか。


 ――ギィ


 ドアが重たい。

 ちょっと強引に開けて見た。


 ――バタッ

「あ痛たたたたたたたっ!」


 エリカさんがドアの前で転がっていた。

 ドアが重かったのはエリカさんのせいか?


「なにやってんの?」

「あはははは…… エッチな声が聞こえたのでちょっと……」

「聞き耳を立ててたってわけか」

「で、どうだったの? はぁはぁはぁ」

「どうだったって…… 終わったよ」

「それだけ?」

「そうだよっ 早く始めてよね!」

「へーい」


 エリカさんと私は部屋に戻り、私はベッドに寝転ぶ。


「ねえ、セシリアさんはどうしたの?」

「トイレだよ」

「ふーん…… ふひひ」

「何を想像してるのか知らないけれど、失礼だからやめなさい」

「はーい」


 と、エリカさんと言い合っているうちにセシリアさんがトイレから出てきた。

 恥ずかしそうな顔だが、どこかスッキリしている。

 私の身体とキステクニックで満足してくれただろうか?


「――あのぅ…… 先ほどは失礼しました……」

「ま、まあ気にするとこはないから」

「ねえねえセシリアさん! 何があったの?」

「だから聞かないであげてよ」

「――」

「はいはい。ウッシッシッシッ さてと…… 改良型性転換魔法【ジーナスムタティオ】を今からかけるからねー」


 いよいよこのおっぱいとはお別れで、明日の朝には分身君と再会出来るのか。

 しかし何ヶ月も生理が来なかったのは、女の身体も完全では無かったんだ……

 男には本当に機能的にも100%戻れるのか?

 男に戻っても子供が出来ませんでした、では済まされない。

 エリカさんは、私の下腹部に手のひらを当てた。

 ここはアモールの魔法と同じだ。


『ジェニス マスキュリーニンス ウーテンス、コルプス エイウス ア フェミナ イン マスクルム トランスフォルマトゥル』


 エリカさんはジーナスムタティオを唱えた。

 よく覚えていないけれど、詠唱文が少し違っていると思う。

 詠唱後、数十秒後にエリカさんの手が離された。


「これで終わりね。明日の朝、男の子に戻ってるといいね。もしかしたら男の()だったりして。ふひひっ」

「わ、私は元の(たくま)しいマヤ様の身体が良いですっ ポッ」


 セシリアさん的には当然男の身体が良いだろうね。

 女の身体の私にもギンギンに反応してくれたのは、私だからなのか、元々女でも大丈夫だったのか、本人すらよくわかっていないかも知れない。


「てことは、女の身体のまま股間から生えてくるの? 勘弁してほしい」

「冗談よ。魔法がとても精密に作ってあって理論上は完全な元の男の身体に戻る。もしダメだったらロックがかかって女の身体のままよ。中途半端なことはさせない」


 ここら辺は著名な大魔法使いらしく尊敬できるんだどなあ。

 可愛い女の子が大好きな変態性欲があるのはあまり知られていない。

 いや、知られて欲しくないが。


「それなら良いけれど…… でも、この女の身体は生理が一度も来なかったよ。おかしいって」

「そんな成熟したムチムチボディで生理が来ていないって? そんなはずは……」

「でも事実だし」


 エリカさんはまた私の下腹部に手を当てた。

 魔力を感じるので何か魔法を掛けているのだろう。

 ちょっと難しい顔をしているので、何だか不安になってくる。


「変ね…… あなたのここだけ、まだ初潮前の少女のようだ」

「そんなことがわかるの?」

「すごく難しいけれど身体の中を見る魔法があるの。それにしてもこれは…… お師匠様の元々の魔法のせいなのか、お師匠様が気を利かせて妊娠させないようにしたのか……」

「だ、大丈夫なの? 本当に……」

「私は必ず男に戻してみせるわ」

「頼もしいよ」

「だってえ、あなたの◯◯◯は私もみんなも楽しみにしてるんでしょー?」

「そ、その通りですっ ポッ」

「はあ……」


 露骨に分身君復活を楽しみにしていたのは、女王とエリカさんぐらいのものだろ。

 あ、ジュリアさんもだった。

 セシリアさんは一体全体どう楽しみにしているのか、ちょっと怖い。


「じゃあもう寝るから。明日を楽しみに…… おやすみっ」

「おやすみなさいませ」

「マヤくーん、一緒に寝よー」

「ダメ」

「うううん、ケチぃ」


 私はそのまま布団を被って眠りにつく。

 あ、ぱんつは女物のままだった。

 起きたら恥ずかしいことになるので…… モゾモゾ…… よし脱げた。

 パジャマズボンの下はノーパンだけど、まあいいや。

 しまった! 肝心の男の物ぱんつを持って来ていない!

 うううう…… あっ!? レディースボクサーブリーフを持って来てた!

 取りあえずそれを履いて、明日になったら男物の水着と一緒に下着を買いに街へ出掛けようっと。

 さて、寝るぞー


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