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第三百四十三話 男の娘さん、大浴場へ入る

 バーベキュー大会がお開きになって、休憩してから一時間後。

 ちょうど腹がこなれてきたタイミングでお風呂へ入ることになる。

 人数が多いのでさすがに分けて入ることになった。

 ここからは私ことマヤに(ふん)した、()()()()()()が代弁してくれる。


 最初は、男だけで。

 ガルシア侯爵、ルイスさん、それからガルシア侯爵の子供たち二人、アブリルさんとの息子さんも一緒だ。

 みんな小さな男の子だが、パパと一緒にということでなかなか至誠(しせい)的に思う。

 で、セシリアさんも一緒……

 大丈夫なの?

 そんなわけで少数の男性陣がお風呂へ入る――


「いやーハッハッハッ 貴殿の屋敷の大浴場がこんなに広いとは思わなかった! 海のようにとても開放的ですなあ!」

「家族とみんなで、というのがウチのモットーなんです。使用人たちにも開放しているんですよ」


 ガルシア侯爵が一番小さなアベル君を抱いて、他の子たちは好きなようにジャブジャブとやってる。

 アベル君も遊びたそうだが、彼にこのお風呂はちょっと深そうだ。

 そこへ、少し遅れて後からセシリアさんが、タオルを身体に巻いて入ってきた。

 一緒に脱衣所へ入るのは恥ずかしかったのだろうか?

 ガルシア侯爵とルイスさんは彼を見て一瞬ギョッとしたが、セシリアさんとわかりホッとする。

 いや、ホッとはしていない。

 タオルを巻いていればセシリアさんの姿は女性そのものなのだから、二人とも緊張している。

 六人の奥さんがいるルイスさんでさえ。

 それほどセシリアさんの身体は白くしなやかで美しいのだ。


「――失礼します……」

「ああっ どうも……」

「ごゆっくりどうそ……」


 セシリアさんは静々と洗い場に向かい、身体を洗うために蛇口の前に座った。

 巻いていたタオルを取り外し、シャコシャコと身体を洗い始める。

 くびれたウエスト、スッとした背筋のくぼみからその下にある桃のようなお尻、全体的に丸みを帯びた後ろ姿は女性そのものである。

 その様子をチラッと見ていた侯爵の二人はボソボソと話し始めた。


(レ、レイナルド殿…… ラミレス侯のご子息の…… あの方は本当に男性なのですか? あの(なま)めかしい後ろ姿はどこからどう見ても女性ですよ?)

(マヤ君が言うには間違いなく男性らしいが、確かに男性とはにわかに信じがたい……)

(前を向いたときがチャンスですっ)

(ルイス殿、それは品が無いですぞっ だが…… 私も気になる……)

(そうでしょうそうでしょう?)


 セシリアさんが洗っている間、二人は気になって仕方がないようで、チラチラとその様子を見ていた。

 男とわかっていても美しければ見てしまうその性は、わかりますよ。


「パパ~ もうあつい~」

「そ、そうか。あっちでカルロスと遊んでなさい」

「は~い」


 アベル君は、カルロス君とアブリルさんの息子さんが風呂場の際でジャブジャブやってる所へ、テテテテと小走りで向かった。

 小さな子供たちだけで大丈夫なのかと心配したが、よく見たら水着のメイドさんが二人、側で見守っていた。

 ルイスさんは抜かりが無い。

 水着メイドさんたちのほうがデレデレと子供たちを見つめており、少々心配だ。

 三人の子供たち、みんな可愛いからね。


 ――セシリアさんが身体を洗い終わると、タオルを頭に巻いて股間をハンドタオルで隠し、侯爵二人から少し離れたところでお湯に足をゆっくり浸け、入浴する。


(胸が無いですね。やはり男性ですか…… もうちょっとタオルがズレていたら…… 惜しいですっ)

(ル、ルイス殿…… そういう()もあるのですか?)

(まさか。ただの興味本位ですよ)


 また二人でボソボソしゃべっている。

 そんな時、セシリアさんがお湯に浸かりながらススッと二人に近づいてきた。


「あの―― お隣、よろしいでしょうか?」

「えっ? ああっ どうぞどうぞっ ワハハハハッ」


 ガルシア侯爵がそう応えると、セシリアさんは彼と肌がくっ付く寸前まで寄ってくる。

 これはどういう意味なのか。

 そういえばセシリアさんは、ガルシア侯爵が履いていたビキニパンツのもっこりに熱い視線を送っていた。


「ルイス様、今回はこのような素敵で楽しい場をご提供下さり、ありがとうございます。なかなかお話しが出来る機会がございませんで、お風呂で失礼いたします」

「いえ、とんでもございません。こちらこそご丁寧にありがとうございます。ラミレス侯にも是非お越し頂けたら幸いです」

「はい、お父様にも伝えておきます。うふふっ」


 セシリアさんのその笑顔に、二人がドキッとした。

 可愛い女性の声で、絶世の美女のような笑顔を向けられれば無理もない。

 しばらくの沈黙の後、セシリアさんがガルシア侯爵へ話しかける。


「レイナルド様。とてもがっしりした体つきで、男らしくて素敵ですね」

「あはっ いや、照れますねえ。剣術を少々(たしな)んでおりましたから。あーははははははっ」


 ガルシア侯爵は何を調子良く応えているのか――

 と、そう言いたげな顔をしているルイスさん。

 セシリアさんの視線は、ガルシア侯爵の股間部分へチラッと向けている。

 そして何か満足したような笑みを浮かべていた。


「今はここだけのお話しにして頂きたいのですが……」

「ほう、なんと」


 セシリアさんが二人にそう言う。

 ガルシア侯爵が応え、ルイスさんは聞き耳を立てるように身体をセシリアさんのほうへ向けた。


「今エリカ様が取りかかっている性転換魔法の改良なんですが、マヤ様が男に戻ることに成功したら――」

「ふんふん、それはマヤ君から聞いてますよ。それで?」

「家族と…… エリカ様とマヤ様には相談をしてまして、本当の女性にしてもらおうと思っているんです。そうしたらマヤ様と結婚したいと思っています……」

「そっ そうなんですか! 考えてみれば、マヤ君だけでなく他の人にもその魔法が適用出来るというわけだ! で、結婚は……」

「はい。勿論親愛なるパトリシア様の邪魔はいたしません。私はマヤ様のお側にいさせてもらえるのなら、それだけで構いません」

「ふーむ。マヤ君は独立したから、パティときちんと事を進めてもらえるならば、私がとやかく言うことは無いからなあ―― わかりました! マヤ君と、パティやみんなとも幸せになって下さい!」

「――ありがとうございます…… 嬉しいです……」


 ガルシア侯爵の言葉に、セシリアさんは嬉し涙で目を擦る。

 彼女がそうなるのは、パティとの関係に心のどこか引っかかるものがあったのだろう。

 パティの肉親に自分の気持ちを話せてスッキリしたのだ。


「それにしても―― マヤさんに出会ってから不思議なことがたくさん見られるようになりました。マドリガルタから遠く離れた我が領地へ陛下の行幸(ぎょうこう)(たまわ)ることなど、ついこの前まで夢のようでした。お陰で私たちの言い分も良く聞いて下さり、領地はこれからも安泰ですよ」

「うんうん、全くその通りですなあ。セシリア殿、あなたはそんなすごい人を旦那に出来るんですよ。ワッハッハッハッ」

「そうですよね。強くて、優しくて、とても大きな方です――」


 セシリアさんはお風呂で火照った顔がますます真っ赤になり、微笑んだ。

 彼女の心の中は幸せで一杯だろう。


「――さて、私たちは先に上がらせてもらおうかな。おーい! 子供たちぃ! もう上がるぞぉぉぉ!」

「「「はあい!」」」


 ガルシア侯爵がそう言って立ち上がる。

 股間を何も隠さず、ザバーッと。

 それをセシリアさんは目前で見たわけだ。


「あああ…… とても…… 大きいです……」


 ――パタッ


「ありゃ!? セシリア殿! セシリア殿!」

「鼻血出てますっ お湯に当たったんでしょうか」

「すぐに外へ運ぼう!」


 湯あたりもあるだろうが、やはりガルシア侯爵のスーパーもっこりを生で見てしまったからであろう。

 フッと気を失って倒れてしまう。

 ガルシア侯爵はセシリアさんを抱き上げた。


「あっ やっぱり男の子だ」

「レイナルド殿、こんな時に何を言ってるんですかっ おーい、君たち! 子供たちを頼む!」


 水着メイドの二人は何が起きたのか状況把握できずオロオロしていたが、ルイスさんの言うとおり子供たちを連れて風呂場から上がる。

 一先(ひとま)ずセシリアさんは、二人によって無事に介抱されたようだ。


---


 さて、ガルシア侯爵たちがお風呂から上がったから、次は私たちの番だ!

 バタバタ騒がしかったけれど、何があったんだろうか。

 これから、『裸体だらけのお風呂大会』が始まる!

 私が女だから、みんなのヌードが合法的に見られる!

 全宇宙の男たちが夢見ていることが、今から叶うのだ!

 ――ただ残念なことに、パティ、マルセリナ様、サリタちゃん、マルヤッタさん、ルナちゃん、フローラちゃんはこの後、別に入るそうだ。

 大人数過ぎるからという理由と聞いたが、何だか私を避けているような気がする。

 将来はパティやマルセリナ様のムフフな姿は見られる予定だし……

 私はロ◯コンじゃないからサリタちゃんを見たいわけじゃない。

 パティがいなければ私が女の子たちの裸を見るのも邪魔されないで済むわけだ。むっひっひっひっ


 私と同じ回で入るメンバーは――

 ルイスさんの奥さんたち六人と、オリビアさんの娘さん。

 急成長したアナちゃんのスーパーボディが見られる!

 そして王宮・マカレーナ組は、マルティナ女王、ロシータちゃん、ヴェロニカ、アマリアさん、ローサさん、エリカさん、エルミラさん、スサナさん、ビビアナ、ジュリアさん、マイ、オフェリア、モニカちゃん、アム、アイミ。

 この中で、初めて裸を見る人が何人もいる。

 もう興奮するしかないだろ! うっひょー!

 セシリアさんは先にお風呂へ入っているので、私はエリカさんと部屋で準備をする。

 一応下着は着けているが、バスローブを羽織って大浴場へ向かうのだ。


「にっひっひっひっ マヤ君、とっても楽しそうだねえ」

「エリカさんのほうがそうじゃないの? なにそのエロいおっさん顔……」

「あっ バレたあ? ロシータちゃん、あとアナちゃん! 楽しみだなあー」

「アナちゃんは絶対に変なことしないでよ! とても良い子なんだから」

「あれえ? そういえばマヤ君、バーベキューの時にアナちゃんと仲良しだったよねえ。もう手をつけたの?」

「そうじゃない。それに人妻だからダメだってば」

「ふーん、そう言うわりにはおっぱいに挟まれてたけど?」

「み、見てたのかあ!」

「羨ましいなあー あんな若い子のおっぱい、さぞかし張りがあって良い香りだろうなあー」

「はぁ……」


 エリカさんが言ってることは実際そうだった。

 あれを再び体験出来るなど、二度と無いだろう。

 あいや、パティがもうちょっと成長してくれたらきっと…… むひひ


「マヤ君、いまエッチなこと考えてるでしょ。早くお風呂行くよ! 目指せ! 湯けむりのファンタジーワールドへ!」

「はいはい」


 エリカさんは私の手を引っ張って、張り切って部屋のドアを開けて廊下を歩く。

 まるでお風呂を覗きに行く中高生男子のようなノリだ。

 お楽しみは次回へ!


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