第三百三十九話 猛攻ビーチバレー
グアハルド侯爵家のプライベートビーチにて。
皆が集まるまで、ボールを使ってトスとレシーブだけの遊びを六人だけでやっている。
セシリアさんは、パラソルの下にあるデッキチェアで涼んでいる。
アムたちが遊んでいた流れでボール遊びをやっているが、暑いしせっかく海へ来たんだからそろそろ海水浴がしたいぞ。
そこへ、ヴェロニカ、エルミラさん、スサナさん、マイ、オフェリアが砂浜まで降りてきた。
ああ…… この肉弾系メンバーだと、次どうなるか想像つくよな。
女王やパティたちはまだ来そうにない。
「おい、おまえたち。面白そうなことをやってるじゃないか」
ヴェロニカは私たちがボール遊びをしているのを見て、ニヤリとしながら言う。
マイなんて、あの顔は臨戦態勢やる気満々の顔だよな。
エルミラさんたちも、アマゾネス的な戦闘オーラが漂っている。
「あの、わたスたち…… あっちで砂のお城を作って遊んでまスね」
『おおっ そっちのほうが面白そうだな』
ジュリアさんがそう言うと、ビビアナ、マルヤッタさん、アイミまで海辺に近い方へ行ってしまった。
私も砂のお城を作ってみたいなあ。
「私はセシリアさんと休んでるわー じゃーねー」
エリカさんまでそそくさと行ってしまい、残ったのは私とアムを含めて体力系女子の七人になってしまった。
これじゃあジュリアさんたちが逃げるよね。
この間を利用して、ヴェロニカたち五人の水着を紹介しよう。
ヴェロニカは上下白の無地で、ショーツとスポブラタイプのビキニ。
彼女が着ていると下着みたいでドキッとする。
大きな胸はしっかりブラに覆われており安心だが、ムチムチの太股は男子ならば目が釘付けになるだろう。
エルミラさんは…… うほぉっ!?
青をベースにした競泳用ハイレグワンピース!
白く長い美脚がさらに長く見え、あの脚で蹴られたら本望なドM男子は多いことだろう。
スサナさんは、ヴェロニカと同じタイプのスポブラビキニだが、軍服の色のようなカーキグリーンだ。
色が濃いからバストの控えめさが目立たず、良い選択だ。
スサナさんの生肌はあまり見る機会が無いけれど、お腹は引き締まっており六つに割れている。
マイは黒のハイレグワンピースだが、胸の谷間がはっきり見えるくらい大胆に胸元が開いており、細い肩紐が二本ずつあって背中で交差して固定されている。
セクシーな背中で魅了させる、これは間違いなく私がデザインした水着だ。
オフェリアは、胸が半分こぼれているブラと、ひひっ 紐パン!?
上下が白波っぽい幾何学模様の、とても大胆なビキニだ。
紐パンは結構攻めてるローライズ。
あっ そうか……
大柄なオフェリアに合うサイズの水着がこれで精一杯だったのかも知れない。
元々このような大胆なものを着る彼女じゃないから、早く気づいてあげてオーダーメイドで作ってあげれば良かった。
ありゃりゃ、お尻の割れ目がちょっと見えてる。
これはこれで目の保養になるから、今度機会があれば新しいのを作ってあげよう。
――それにしても、彼女が一番筋肉質で背の高さも相まって肌の露出面積が多いから、素晴らしい肉体美を披露している。
模様のおかげで紐パンのエロさは軽減されているが、どうか紐が解けるようなドジはしないでもらいたい。
さて、七人がまとまったところでアムが何か考えがあるのか、それを言う。
『うーん、せっかくだからもっと面白いルールでやろっか』
アムが手を挙げて振りかざすと、黒い網のようなものが宙に発生した。
これはバレーボール競技のネット!?
『おまえたち、こういうのがあればいいんだな?』
「お、おう。それでいい……」
「うむ。便利な術があるものだな」
あいつよく知ってるな……
この世界にもバレーボールに良く似たスポーツがある。
王宮の訓練所で兵士がやっていたのを見たことがあるので、ヴェロニカが見て反応するのは当然だろう。
私たちはビーチバレーのルールに則って、二対二で勝負する。
まず最初は、ヴェロニカ・エルミラ vs アム・私。
よく見たらネットが少々高すぎる気がするが、私自身ビーチバレーに詳しくないしあくまで遊びなのでそこは構わないことにする。
ヴェロニカはたぶんガチでやるつもりだから、あまりふざけてると怒りそうだなあ。
アムが変なことをしなければ良いけれど。
ルールは簡潔に、1セットずつメンバー交代で、先に10点を取った方が勝ち。
魔法や術が使える者は、それを使用しない。
七人でそれに該当するのが私とアム、マイだ。
はっきりとしたコートが無いので、ネットの幅に応じて適当に、ボールが地面に落ちたら負け。
私からサーブをすることになる。
あんまり球技は得意じゃないんだが、まあ遊びだし普通にアンダーハンドサーブで。
「いくよー! それっ!」
ボールは緩やかに弧を描いて向こうのコートへ飛んで行く。
そしてヴェロニカがボールへ向かって行くが……
「どありゃぁぁぁぁぁぁ!!」
ヴェロニカは高く飛び上がり、強烈なアタックをぶちかました。
えええっ? 本当にガチのガチでやってくるとは。
私が急いでレシーブで受け止めるも、ボールは明後日の方向へ飛んで行ってしまった。
手首がちょっと痛い……
「ハッハッハッ! おまえはコントロールが下手だな。だが私は遠慮無くやらせてもらうからな」
『ダメだなあマヤ。今度はあたしに任せてよ』
「ううう……」
ヴェロニカが煽るし、アムには残念な目で見られるし……
今度はエルミラさんがサーブ。
「やあ!!」
彼女はボールを高く上げ、強力なジャンプフローターサーブでわざと私の方へ向けて撃ってきた。
また私がミスをすると思って…… エルミラさん、意地悪だよおおお!
何とかアムに続くようにしないと!
「たあ!」
レシーブで受け止めることが出来たが、ボールはほぼ真上に高く飛んでしまった。
ああ…… やっぱりコントロールが上手く行かない。
このままアタックするべきか!?
そこへアムが大きく飛び上がり、腕を大きく振りかざす。
『うりゃぁぁぁぁぁ!! 必殺! アムちゃんアタァァァァック!!』
と、アムは強くボールを叩き付け、スパイクを撃った。
ボールは強い衝撃で変形し、ヴェロニカとエルミラのちょうど間に落ちてコロコロと砂浜を転がっていった。
だんだんスポ根アニメっぽくなってきたな。
「ズ、ズルいぞ! 魔法を使うなんて!」
ヴェロニカがアムを指してそう叫ぶが、術や魔法を使ったようには感じられなかった。
冗談みたいな力業でやったに過ぎない。
『えー? 人聞きが悪いな。魔法もなーんにも使っていないよ。これがあたしのほんの一部の実力だよ。ふっふーん』
「ぐぬぬぅ……」
アムは両手を腰に当ててふんぞり返り、ドヤ顔に。
ヴェロニカは悔しそうにアムを睨み、エルミラさん隣で苦笑い。
「そういうことならば、徹底的にやらせてもらうからな!」
さっきヴェロニカは遠慮無くと言っていたが、徹底的とどう違うのだろうか。
再び私がアンダーハンドサーブで緩りと向こうへ飛ばす。
それをエルミラさんがレシーブで受け止め、ボールは高く上がった。
ヴェロニカのスパイクが来るぞ! 私は身構える。
予想通りヴェロニカは渾身のスパイクをこちらへ撃ってきた。
『よっと』
アムが瞬間的にボールの着地点に移動し、ヴェロニカの強力なスパイクを軽々とトスで向こうへ返してしまう。
あんなのをトスで返そうとしたら普通、突き指するでしょ!?
はあ…… あの動きなら私がいなくても一人で戦えそうだ。
神すごい。
――結局私たちの組が10対5で勝ってしまう。
私がおまけでアム一人の攻撃力のお陰であるが、それでもヴェロニカたちがアムを相手に5点も取れたのが脅威である。
ヴェロニカが悔しそうな顔をしているのは変わりないが……
次は、マイ・オフェリア vs エルミラ・スサナ。
エルミラさんは再出場だ。
コンビネーションが期待できるこの四人ならば、良いゲームをしそうだ。
「んじゃいくよー!」
スサナさんがサーブ。
それをマイがレシーブで受け止め、高く上げてオフェリアへ渡す。
オフェリアは巨体を持ち上げるようにジャンプし、強力なスパイクでボールを叩き付けた。
――ベィィィンッッ
「わきゃあっ!?」
スサナさんがレシーブで取ろうとしたところ、ボールが頭にぶつかってしまった。
ボールはオフェリアの強力スパイクの反動もあり、高く垂直に上がる。
大丈夫かなスサナさん……
「よし、いいぞスサナ!」
いいのかよっ!? バレーボールではルール範囲内だが……
エルミラさんがそう言って、ジャンプしスパイク!
オフェリアのような力強さではないが、二人がいない地点へ向けてボールを叩き付ける!
『えやあああっ!!』
なんとマイは持ち前の瞬発力で、ワンハンドレシーブにてボールを打ち返した。
さすが魔族の運動能力だ。
だがボールは高く上がらなかったので、オフェリアはレシーブで向こうへ返す。
それをエルミラさんがまたレシーブで受け、スサナさんに渡す。
「それっ」
「よーし! てぇぇぇぇぇぃぃっ!!」
スサナさんがジャンピングスパイク!
彼女は小柄だが、跳躍力はずば抜けている。
高身長なオフェリアのブロックにも対応出来るだろう。
『させるかああああ! あっ!?』
――ボイィィィィィンッ
オフェリアがブロックしようとしたがボールが抜けてしまい、偶然大きな胸でスサナさん側へ弾け返した。
スサナさんはそれに対応出来ず、ボールは地面へ落ちてしまった。
オフェリア側、先制1点。
すまんが、おっぱいでブロックなんて誰でも出来ないから笑ってしまう。
『マヤさん、笑わないで下さいよぉ』
「あいや、ごめん。ププッ」
「ウキーッ あたしへの当てつけかーっ」
Bカップのスサナさんが地団駄を踏んでいる。
やっぱりぼいんぼいんに憧れてるんだろうなあ。
『おい、おまえはこういうのが良いのか?』
アムがそんなことを言うので彼女のをほうを見たら、うげっ!?
おっぱいがはち切れんばかりに膨らんでるぞ!
神だから術を使って何でも有りなのか……
それを見たスサナさんは砂浜で悔し紛れに転げ回っている。
「ギャー! ここの人たちみんなおっぱいデカくていやああ!!」
Cカップのエルミラさんは残念そうに彼女を見ながらこう言う。
「気持ちはわかるが…… ゲームするのかしないのか?」
「――する」
スサナさんは渋々立ち上がり、ゲームを再開。
観戦していたヴェロニカがスサナさんの言葉で自分の胸が気になって、自分で揉んでいるのを私は見逃さなかった。
(そ、そんなに私の胸は大きいのか? 母上も大きいからあまり気にしたことが無かったが…… そういえばエルミラの胸は小さいが、すごく綺麗だったな……)
ゲームを再開し、この四人はボールをしぶとく落とさないプレイを続けているため、時間が長くなってしまった。
結局10対8で、マイ・オフェリアチームの勝ち。
四人ともやや疲れ気味のようだ。
「ぜいぜい…… 暑い…… 海に入ろっかなー」
プレイ中は跳んだり跳ねたり忙しかったスサナさんが両手を膝につき屈んで言う。
ゲームはこれで終わりかな。
『うーん、もうちょっとボール遊びしたかったけれど、まいっかあ。あたしも海で泳ごっと』
アムは真っ先に海へ駆けて行ってしまった。
師匠が剣神アーレスだという神だから、体力は無尽蔵にあるのかね。
敵にはしたくないよな。
私を除いた六人は海へ泳ぎに行ってしまった。
ビビアナたちが砂遊びしてるのが気になったので、私はそちらへ向かう。
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「うぉっ!? すごっ」
なんと四人でマカレーナのガルシア侯爵邸を作って、完成しようとしていた。
どうやったのかわからないくらい随分精巧に出来ている。
「どうだニャ。あてしにかかればこんなものニャ」
「ビビアナちゃんは頑張ったものね。うふふ」
『やっぱり玄関とバルコニーが苦労しましたね』
ビビアナ、ジュリアさん、マルヤッタさんの三人で作ったようだ。
ちゃんと庭や、馬小屋、パンチョさん夫妻が住んでる小屋まで作ってあって、感心してしまった。
おや? アイミはどうした?
『おい、ちょうど良かった。おまえが出来たぞ』
「はぁ?」
ゲゲゲッ!?
砂で出来た女の私が寝てる状態で、脚をパックリさせてるポーズ!
しかも、おっぱいでかっ!
ブラもぱんつも何にも着けてない!
股間の造形がヤバいぞぉぉぉ!
『こういうのも面白いな』
アイミは術を使って砂の塊を持って来て、股間に盛り付ける。
すると妖しい形の棒が出来上がった。
「おいやめろ」
『なんだと。今のおまえの希望だろ?』
「あら…… ステキでス…… ポッ」
「もう! ジュリアさんまで……」
顔を赤くして美味しそうに棒を眺めてるジュリアさん。
マルヤッタさんは顔を隠して覗き見してる。
「あー なんかソーセージが食べたくなったニャ」
「後で本物がバーベキューで食べられるんじゃないか?」
ビビアナが美味しそうな顔をしているのはフランクフルトソーセージね。
お約束の展開じゃないか。
――ああ…… どうでも良くなった。
『おおおおおいっ!!』
アムが一人でこっちへ走ってくる。
泳いでいたんじゃないのか?
『ドッカーン!!』
――グシャ
『あああっ!?』
『ん? なんか刺さった?』
何故かアムは、私の砂人形にドカンと飛び込んだ。
ちょうど棒があった場所へ、お尻を砂人形の頭があるほうへ向けて座った状態で。
とてもエッチな体勢だが、いくら砂とはいえアムの股間は大丈夫なのか?
「あの、アム大丈夫?」
『なに? 何ともないけれど?』
「あ…… そう」
何も無いなら良いけれど、砂の城を壊されないで良かった。
アイミはぷるぷる震えて怒ってる。
『おまえ! なんで壊した!?』
『あれ? そういえばなんかあるね』
アムが立ち上がると、砂人形の股間部分にアムのお尻の形がくっきり。
棒はアムのお尻に潰されてとても小さくなっていた。
『ごめーん! これもしかして、マヤ?』
『そうだ。せっかく傑作が出来たというのに……』
『アッハッハーッ 面白そうなことやってそうだからつい飛び込んじゃった。確かにマヤだねー』
理由も無しに飛び込んじゃうやつなのか。
ヤバくないか?
『んじゃあお詫びに、ホイッ!』
アムは術を使うのか、手を振りかざすと周りから砂が集まってアムが潰した場所に何かが出来ようとしていた。
あれ? 人の形?
『ほら出来たよ。おまえこういうの好きなんだろ?』
『こここここれは好きだが、恥ずかしいぞ!』
「ぎゃあああ!!」
「しゅしゅしゅ、しゅごいでスう!」
「なんでマヤさんとアーテルシアが合体してるのかニャ?」
「わわわっ 何てものを……」
はい、ビビアナが言った通りのものが出来上がってしまいました。
パティたちに見られたら嫌なので、すぐに破壊しました。
酷いオチだな……
正式なビーチバレーではないので、ルールについてはツッコミ無しでよろしくお願いします。




