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第三百三十八話 いざ、ビーチへ!

 豪華な海鮮料理が並んだ昼食の後は、宿泊する部屋の割り振りをする。

 ここで三泊もする贅沢バカンスなのだ!

 グアハルド侯爵の屋敷は来客向けの部屋が十分に整っており、まるでホテルのよう。

 以下のように割り振られ、2~4人入る。

 ベッドはキングサイズが二台置いてあるので、細い人なら3人寝ても大丈夫だ。


 ◆マルティナ女王・ヴェロニカ ※特別室

 ◆ガルシア侯爵・アマリア・カルロス・ローサ・アベル

 ◆マヤ・エリカ・セシリア

 ◆ロシータ・ルナ・フローラ・モニカ

 ◆スサナ・エルミラ

 ◆アイミ・アム

 ◆パティ・マルセリナ様・サリタ

 ◆ジュリア・ビビアナ・マルヤッタ

 ◆マイ・オフェリア


 九部屋も提供して頂き、家族または仲良し組で収まった。

 着替えをしなければいけないから裸になっても大丈夫な相手で自然とそうなったわけだが……

 私と同室なのはエリカさんとセシリアさん。

 エリカさんはしょうがないから私が引き取ったというか、他の女の子にセクハラ行為をさせないためである。

 セシリアさんは男の身体なので、私と同室にするしかない。

 もう一室借りられたけれど、一人だけ使うというのは何だか仲間はずれっぽいので遠慮させてもらった。

 しかし、セシリアさんに対するエリカさんの扱いはどうしよう。

 この二人同士は特別親しいってわけじゃない。

 セシリアさんとエルミラさんとは三人で裸になった仲なので、エルミラさんのほうが良かったかなと。

 それを思いついたのがすでに部屋へ入って着替えようとした時なので、もう遅かった。


「うわあ! 海がすんごい良く見えるなあ!」

「本当ですね! あそこに大きな船も見えます! 領地は内陸だから初めて見ました!」


 部屋の窓から大海原が見える。

 セシリアさんが珍しく大はしゃぎしていた。

 ラミレス侯爵の領地は海から遠く、彼女は領地から外へ滅多に出たことがないと言う。

 屋敷の表である北側は市街地に面しているが、南側は海辺が目と鼻の先にある。

 だからプライベートビーチは屋敷の裏口から水着で直行出来るのだ。

 土地を詳しく説明すると、市街地と屋敷は台地になっていて南側の砂浜は十五メートルほどある崖の下にある。

 裏口から階段が作ってあり、砂浜へ降りられるようになっていた。


「ねえねえ二人とも! 早く着替えて行こうよお!」

「うわっ!」

「キャッ!?」


 エリカさんがそう言うので振り返ったら、まさに今ぱんつを脱いだばかりでスッポンポン!

 男のセシリアさんがいるのに、股間も隠さずドヤッと立っている。

 それでもセシリアさんは顔を手で半分隠しながらも、エリカさんの全身をくまなく見ているようだ。


「あのさあ、セシリアさんは男だよ。ちょっとは恥じらいを持って欲しいねえ」

「あっ!? そうだった! セシリアさんごめんねえ。でも私の身体に興味がありそう? にゅっふっふっふ」

「そっ それは……」


 やっぱりエリカさんは、セシリアさんが男だということを忘れていた。

 セシリアさんの容姿からすれば仕方がないことだが……

 一方セシリアさんはいつの間にか顔を隠していた手が外れ、エリカさんがあまりにも堂々とし過ぎているせいかジッと観賞しているように見えた。

 エロ目線というより、女の身体が羨ましそうな目だ。

 それはエルミラさんが裸になってくれたときもそうだった。


「さっ セシリアさん! 私たちも着替えよう!」

「はっ はい!」


 エリカさんのペースに乗せられてはいけない。

 私たちは部屋の隅で自分のバックから水着を取り出し、モソモソを着替えを始める。

 エリカさんがセシリアさんをチラチラ見ているのが気になるが……


「きゃああ!」

「どしたのセシリアさん! ああっ!」


 すでに水着に着替え終えたエリカさんが、裸になってるセシリアさんの横でジーッと観察していた。


「とっても可愛いアレが…… フガフガ…… あっ」

「ちょっとエリカさん! すごーく失礼だよ! 鼻血出てるし!」

「あうううっ」


 私もまだ着替え中の裸のままだというのに、エリカさんの腕を引っ張ってセシリアさんのいる場から引き離した。

 エリカさんを見ると薄い紫のビキニを着ていて、ショーツのサイドとブラのフロントのつなぎ目が、丸い金色の金属で留められている。

 案外普通だなーっとちょっと感心してしまった。

 もしかしたら紐だけとか、ホタテの貝殻みたいなもので隠しているだけの水着かと思っていたので。

 それにしても紫が好きだなー。ぱんつやジャケットも紫が多いし。


「セシリアさんごめんね。やっぱり別の部屋にしてもらおうかな」

「い、いえ…… 私はエリカ様と一緒で大丈夫です……」

「さっすがー! セシリアさんわかってるじゃなーい!」


 などと言いながら、M字開脚状態に床で転がり、まだ鼻血が垂れたままだ。

 セシリアさんはエリカさんのセクハラ行為を嫌がっていないって?

 彼女の表情を見ても、どちらかといえば照れてるように見える。

 もしかしてセシリアさん、何かに目覚め、見られることに興奮してるとか……

 ――チラッ

 セシリアさんは後ろを向いて水着を着始めているから、前がどうなってるかわからない。


「わかってる、じゃないってば。まったく……」

「マヤ君のヌードも良いねえ。ああもう、そのプリプリお尻にスリスリしたい! 挟まれたい! クンクンしたい! ペロペロしたい!」

「ヌードって言うな!」


 エリカさんの変態ダダコネが始まった。

 そんなことは放っておいて私もさっさと水着を着た。


「まあこんなもんかな」


 私は部屋にある姿見で、自分の水着姿を確認する。

 コーラルピンクのビキニで、縁には全体に小さな白いフリルがついていて可愛い。

 くるりとお尻を鏡に向ける。

 ショーツはハーフバックで、私の美尻を十分に魅せられる。


「マ、マヤ君可愛すぎるうぅぅぅぅ!! フガフガフガッ」

「フフン、当然だね」


 エリカさんの前でドヤってみた。

 ちょっと筋肉質だが、引き締まったボディは誰にも負けないぜ。

 あいや、オフェリアがもっと筋肉体型だった。

 ――おっ どうやらセシリアさんも着替えが終わったようだ。

 照れくさそうに私たちの方へ向く。


「ど、どうでしょうか……?」


 彼女は自信なさげな顔をしているが、これ以上にないくらい似合っている。

 ビキニ上下とも爽やかな若草色をベースに白い筋雲のようなグラデーションの模様が施されている。

 そしてCカップくらいに見えるパット入りのブラ、ショーツは同じ色のパレオで隠されている。

 もっこりが目立ってはいけないからねえ。

 海岸へ出るのは心配になるくらい白くて造形美のような肢体だ。

 窓から見たら砂浜にパラソルが準備されていたので、紫外線対策は大丈夫だ。


「セシリアさん、すっごい綺麗だよ! セシリアさんのイメージにぴったりでよく似合ってる!」

「あああありがとうございます。マヤ様に…… そんなに喜んでもらえるなんて……」


 セシリアさんがパァッと笑顔になる。

 絶対に男に見えない、癒やされる笑顔だ。

 本当に女になれるよう、エリカさんの働きに期待したい。

 そのエリカさんはというと……


「しゅ、しゅごい…… なんて尊いの…… セ、セシリアさん…… パレオをちょっと(めく)ってもらえないかしら? むふむふむふふっ」

「あの、それはちょっと……」


 エリカさん、それはダメだ。

 もし(めく)ってセシリアさんの分身君が元気だったら、頭がコンニチワしてるかもしれない。


「二人とも行くよ! ビーチへは私たちが一番乗りだ!」

「そうですね! 行きましょう!」

「二人ともせっかちねーん。そんなに早くイキたいのお?」

「何バカなこと言ってんだ。早く出るよ!」

「で、出ルうぅぅぅ!? あたしが受け止めてあげるわぁぁぁ!!」


 エリカさんが変態モードになっているので、構わず手を引っ張って砂浜へ向かった。


---


 屋敷から崖を伝って作られている階段を降りて、あっという間に砂浜へ到着。

 砂浜にはパラソルがいくつも立ててある。

 パラソルの下には、ビーチリゾート定番のデッキチェアが置いてあった。

 おおっ バーベキューが出来そうな開放小屋もあるぞ!

 午後は目一杯遊んで、夕方からあそこでバーベキュー大会なのかな?

 楽しみだぞぉぉ~

 ――おや、向こうから声が聞こえる。


「うりゃぁぁぁぁぁぁ!!」

「うひょぉぉぉぉ!!」


 砂浜へ降りると、なんとアムとアイミが先に来てボール遊びをしていた。

 ああそうか…… あいつら術で瞬間的に着替えられるもんな。

 アムは紺色に白い縁があるツーウェイワンピース……

 どう見ても平成のスクール水着だな。

 アイミは…… うわあ……

 ()()()がある、もろに昭和の旧型スクール水着だな。

 どこからそんな情報を仕入れてきたんだろうか。

 我々人間には計り知れない何かがあるのだろう。

 深く考えるのはやめた。

 これが日本の水着だなんてここの誰も気づくまい。

 で、二人で投げ合っているボール遊びのボールがなんかおかしい。

 真っ黒でただのボールではない。


「それぇぇぇぇぇぇ!!」


 ――ビギビギッ ビギャッ ビシビシッ


「たぁぁぉぉぉぁぁ!!」


 ――ビリビリッ バリバリッ バババババンッ


「とぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 あの黒いボール、絶対ヤバいやつだよね。

 何というか、暗黒エネルギーの塊のような。


「マヤ君さあ、あの黒いボールどっかで見たことあるんだけど……」

「うーん、私も見たような気がする」

「ぎゃー!! 思い出した!! アレって光線を発射して私が撃たれた黒い球じゃないの?」(第四十五話参照)

「そうか! あれだ!」


 エリカさんも私もヤラレた、恐怖の対象の黒い球体。

 あれと同じ物かわからないが、あの禍々(まがまが)しい暗黒エネルギー体は常軌を逸する。

 すぐにやめさせないと!

 私は二人の元へ駆け寄り、大声で()めさせるように言う。


「おーい! アイミいぃぃぃ!! アムうぅぅぅ!! その黒いのやめろぉぉぉ!!」


『おお、マヤたちやっと来たか。退屈だったからこいつでアムと遊んでおった』


「そんなもん危ねえだろうが!!」


『大丈夫だって。あたしが作ったんだけど、爆発したり危害があるわけじゃないから。ちゃんとおまえが言ったこと守ってるぞ』


「じゃ、なんであんな高いエネルギーを感じるんだよ?」


 どうやら私とエリカさんが知ってる黒い球体ではないようだ。

 一先ずホッとしたが、アレが何なのか知りたい。

 エリカさんもこちらへやってきた。

 日差しが強いのでセシリアさんは早速デッキチェアで休んでいる。


『確かにエネルギーの塊だが、これを爆発させようとしても大したことが無いからただ霧散するだけだ。ほれっ』


 アイミが黒い球体を手に持ち、そう言い終えるとポムッと小さく破裂したと思ったら黒い霧になってすぐに消えてしまった。


「で、元々あの黒い球は何のためにあるんだ?」

『あれを元に、もっと強力にして攻撃出来るようになるぞ。レーザーでピシュピシューンってな』

「ゲッ!? ヤダよあたし、それトラウマになってるから」

「やっぱりそれかよ! 誤解されるからやめろ」

『なんじゃつまらんのう』

『他に面白い遊びはないの?』


 アイミとアムが不貞腐れてると、ビビアナの声が聞こえてくる。

 同じ部屋のジュリアさんとマルヤッタさんも一緒にこちらへやって来た。

 余っ程早く遊びたかったような、清々(すがすが)しい笑顔だ。


「おーい! マヤさーん! ビーチバレーするニャ!」


 ビビアナが持っているのは、屋敷から貸してもらったであろうオレンジ色のボールだ。

 これなら良い! 普通に遊べるぞ!

 アイミとアムも喜ぶことだろう。

 力余ってボールを潰さなければ良いが……


「いやー ちょうど良かった。世界が破滅するかもしれないと思ったよ」

「ナニ言ってるニャ? 早くこれで遊ぶニャ」


 と、ビビアナは言うが、運動神経良さそうなメンバーがまだ出てこない。

 アイミ、アム、私、あとビビアナはパワー無いけれど猫のように身軽な動きが出来るから強いと思う。

 マルヤッタさんはあまり運動が得意そうでないしなあ。

 彼女に合わせてやるしかないか。


 それより、肝心の水着だ!

 ビビアナはベビーピンクと呼ばれる薄いピンクのワンピースで、縁が白いフリルがついている可愛い水着だ。

 ビビアナにはとてもよく似合う。尻尾が出ている穴もある。

 ジュリアさんは黄色のビキニで、ショーツはローライズで際どい。

 だが処理をしてあるようで、ハミ出ていないから結構なことだ。むひょひょ

 ランジェリーも黄色が多いし、黄色が好きなんだねえ。

 マルヤッタさんは水色、シアンといったら良いのかその色のワンピース。

 デザインは地味だが、シアンが彼女の銀髪を映えさせており、美しい。

 初めてマルヤッタさんの身体のラインを見たけれど、まあ…… 思っていた通りお胸は寂しい。


 さてと、皆が出てくるまでトスとレシーブだけの緩い遊びをすることにした。

 アム、アイミ、ビビアナ、ジュリアさん、マルヤッタさん、エリカさん、私で円で囲って。


「よっ」 「それっ」 『やっ』 「えいっ」 『よっと』 『ほいっ』


 平和だねえ。

 こんな時間がいつまでも続いているといいな。


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