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第三百十九話 王宮/リーナ信じてくれ!

 夕方は私とビビアナで、商店街へ調理器具と食器の買い出し。

 ビビアナはオリビアさんの悲鳴にびっくりし気絶したが、私の気付け魔法で余計に元気になりやる気満々で出掛けた。


 金物屋と陶器屋はアリアドナサルダがある通りにあるが、お貴族様向けなので良い値段の物ばかり。

 どちらもビビアナに言われるがままに購入し店に用意してもらった複数の木箱へパンパン詰めたが、逆に私の財布はすっからかんになってしまった。

 食器は余裕を持って人数分より多めに買ってある。

 来客用はまた今度にした。

 総額で白金貨三枚分以上だから、屋敷の購入費用より高いじゃないか。

 それでも中古の屋敷を正規の値段で買うより遙かに安いから良しとする。


 夕食前にガルシア侯爵の執務室にて、女王へ渡す返事の手紙を受け取る。

 グアハルド侯爵の手紙もまとめて、明日の朝一で王都までひとっ飛びしてくることになった。

 引っ越しの件もあるので二泊ぐらいで帰るつもり。


 大聖堂から帰ってきたパティには、夕食の時にバルラモン家の伝手で旧モンタネール家の改装をするための業者選定を頼んでおいた。

 マカレーナへ帰って来た頃には決まることだろう。


 今晩はパティと軽くお茶をした後、ヴェロニカの部屋でお泊まり。

 分身君はいないが、私がしっかりご奉仕をしてまだ慣れない彼女に女の喜びを(はぐく)んでもらった。


---


 翌朝。

 私たちはそのまま裸で寝てしまい、ヴェロニカが少しだけ早く起きていたようだ。

 彼女は上半身を起こし、胸をシーツで隠そうともせず寝ぼけ頭をゆっくり覚ましている。

 引き締まった素晴らしい肉体であるが、バキバキの筋肉質ではなく程良く脂肪がのっている私好みのとても美味しい身体だ。

 パティみたいにあまり間食はしないが、食事はたくさん取っているからな。

 私の顔の横には、ヴェロニカの腰やお尻がある。た、たまらん……


「ああ、起きたか」


「ふわぁぁぁ…… おはようクロエ」


「そそその名前で呼ぶな」


「フフ…… 我慢できなーい! さわさわ…… クンカクンカ」


「うっ 朝からやめろお!」


 バシィィッ


 太股を触って匂いを嗅いだら頭を叩かれた。

 ヴェロニカは、自分の気が乗らないときはこうする。

 朝もノリノリなのはエリカさんとジュリアさんぐらいであるが。


「そういうことはまた今度だ!」


 つまりさわさわクンカクンカ自体は嫌でないということだ。

 このスケベ。


「さて、王都へ行ってくるね」


「もう行くのか? 母上によろしくな」


 ヴェロニカは私のほっぺたに軽くキスをした。

 今まで私がそうしていたが、彼女からもこういうことが出来るようになった。

 恋人且つ家族として心から認めてくれたのであろう。

 私は早々とパジャマを着て自分の部屋へ戻る。


「行ってきます」


「ああ、気を付けてな」


 今朝は朝練をせず、朝食も食べずに王都へ飛び立った。


---


 起床から三時間後には王宮にある女王の執務室にいた。

 早速女王へ、グアハルド侯爵とガルシア侯爵からの手紙を渡す。


「まあ! 速いのね」


「グアハルド侯爵が面白い企画を考えているようです」


「そう。読ませてもらうわ」


 ――女王が手紙を読んでいる間、私は直立不動で待つ。

 一分も経たないうちに、手紙を持っている女王の手がぷるぷる震えた。

 何か気にならないことでも書いてあったのか?


「ロシータ! 早速計画を立てるわ。出来るだけ早く、スケジュール調整するわよ!」


「は、はい! 承知しました!」


 女王は興奮気味に、側にいるロシータちゃんへ命令する。

 私はちょっとびっくりしてしまった。

 何故かは察しがつくが……


「水着よ! 水着を買うわ! 海でリゾートよ!

 ロシータ!!

 アリアドナサルダの…… インファンテの伯爵夫人をすぐにここへ呼びなさい!」

 あなたの水着も用意しないとね!」


「えええあああ!? はい!」


 執事代理のロシータちゃんは大慌てで執務室を退出していった。

 ロシータちゃんも、強引に呼びつけられるロレナさんも大変だねえ。

 水着より訪問の計画を立てるのが先だろうに。


「マヤさん! ビーチリゾートなんて何年ぶりかしらね。

 あなたにはこの訪問行事の間すべて、護衛をお願いします。

 明日の夕刻までには計画書を作っておきますから、それまでシルビアとミカンちゃんに会いに行ってあげなさい」


 訪問中、女王に付きっきりなのは予想していたけれど、明日の夕方までは自由なのは有り難い。

 出来たら二人ともマカレーナへ連れて帰りたいけれど、今はそうもいかない。


「ありがとうございます。

 それから、私的な報告があるんですが……」


「なあに?」


「マカレーナで、つい最近お家断絶した男爵家の屋敷を手に入れたんです。

 そこを私の家にすることにしました」


「まあ、それはおめでとう。

 でもマドリガルタでの家はどうするの?

 前にも話したとおり、ヴェロニカとの結婚とあなたの功績を称えて屋敷の一軒ぐらい建ててあげるつもりだったんだけれど」


「ええ…… アレ本当だったんですか」


 そういえばアウグスト王子とも交えて話していたを思い出した。(第百五十八話参照)

 冗談半分かと思って聞き流していたが……


「マヤさん、あなたはもっと王族の婚約者としての自覚を持ちなさい。

 ヴェロニカとは今どうなってるの?」


「あの…… 昨日は一緒に寝ました……」


「そう。ならいいわ。今度のマカレーナ訪問の時にその屋敷も見させてもらいますからね」


「買取の手配をしただけで、まだ引っ越しも改装もしてなくて綺麗じゃありませんよ」


「構いません。娘が住むんですから母親として実際に()()するのは当然ですからね」


「承知しました……」


 ()()ねえ…… なんだか重そう。

 ヴェロニカとエッチなことをするにも、女王が「検証します」と言ってジッと行為を見られそうな勢い。

 ああ、日本も昔はそういう風習がある土地もあったとか。

 それと、幽霊屋敷だから金貨五枚で買ったことは内緒にしておこう。


---


 女王との話が終わり、明日の夕方まではエスカランテ家で愛するシルビアさんとミカンちゃんとまったり過ごす……

 そうしたいところだが、しばらくリーナと会っていないのでガルベス家へ行って顔ぐらいは出しておかないと彼女は不機嫌になるだろう。

 まだお昼前だしこの時間なら部屋でエレオノールさんの授業をやっていると思う。

 だが私が女になっていることを二人はすぐ信じてくれるだろうか。


 王宮の玄関へ向かっている途中の廊下で、清掃具を積んだワゴンを押しているモニカちゃんと出会う。

 ちゃんと仕事をしているようだ。


「あれれ? マヤ様もう戻ってきたの!?」


「今日は陛下のお使いで来ただけだから、シルビアさんのところへ寄って明後日には帰るよ」


「えー、つまんなーい!」


「陛下のマカレーナとラガの訪問がさっき決まってね。

 だからしばらくの間は忙しくなるよ」


「いいなあ。私もマカレーナへ行ってみたいよ……」


 そうだなあ。いくら何でも付き添いがロシータちゃんと私だけ何てことはあるまい。

 着替えとか身の回りの世話はベテランのおばちゃんメイドがやってることが多いから、たぶんその人たちがついてくるだろうけれど……


「お世話係としてついて行けないの?」


「代理でお世話したことがあるけれど、私は陛下の担当じゃないから無理なんじゃないかなあ」


「ロシータちゃんも行くことになってるけれど、ラガのビーチリゾートでみんな水着になって遊ぶんだよ」


「ええええええ!!?? ずるーい!!!!」


 モニカちゃんが大声を出すものだから、通行している王宮職員の貴族が驚いていた。

 それと年輩のメイドのおばちゃんがギロッとこちらを睨んでいる。


「シー! 静かに…… あの人、モニカちゃんの上司じゃないの?」


「あわわわわ……」


「そう思うだろうから、陛下に口添えしておくね。フローラちゃんも一緒に」


「やった! よろしくねマヤさん。

 じゃあ、あの…… 怒られるから仕事に戻るね」


 モニカちゃんは急いでいるフリをして、ワゴンを押して行ってしまった。

 二人の水着姿も見たいからな。女王にはよく交渉しておこう。むひひ


---


 ガルベス公爵の屋敷。

 リーナの部屋は、庭に面している二階にある。

 私は外からふわふわと浮きながら部屋の窓を覗いてみた。

 おっ 二人ともいるいる。

 いつものように窓を軽く叩いてみよう。


 カツンカツンカツン


 リーナが真っ先に気づいて、笑顔で窓辺へ飛びつくように寄ってきた。

 こんな所から窓を叩くのって私しかいないからな。

 リーナが窓を開けると……


「おーおーマヤ! 久しいのう! あれ? 女…… 誰じゃおまえ!?」


 予想通りの反応だった。

 この展開はもう何回目なのか、読者もいい加減飽きているはず。

 エレオノールさんも窓辺までやって来たので、アスモディアへ行ったことからかいつまんで説明をした。

 リーナは半信半疑ながら、渋い表情をして部屋へ入れてくれた。


「まあ! マヤ様がそのまま女の子になったようなお顔ですね!」


「でしょう? エレオノールさんは信じてくれますよね?」


「いや…… 確かに(わらわ)とおまえの記憶は一致しているが、にわかに信じがたい……

 記憶をコピーする魔族がいるのかも知れない。

 まさか淫魔族(サキュバス)とやらが化けた出来損ないではあるまいな?

 (わらわ)のマヤはどこへやった?」


「正真正銘のマヤだってば。

 陛下にもお目にかかって、魔力の質が同じだからってすぐ信じてくれたんだ」


(わらわ)もエレオノールも魔法が使えないからわからん」


「ええ…… 困ったなあ」


 リーナはこれで頭が良いし、想像以上に慎重だな。

 淫魔族(サキュバス)が化けたり記憶をコピーする能力を持っているとは思えないが、アモールだったら余裕で出来そうだ。

 さて、どうしよう。

 押してダメなら退いてみな戦法でやってみるか。

 自分の想像の範囲を超えると、元々純粋な子だからチョロいはず。

 ちょっと芝居を打ってみる。


「はあ…… 信じてもらえそうにないから、これでお(いとま)するね。

 男に戻れるのはいつの日か……

 来年…… いやもっと十年、二十年……

 リーナがオバサンになった時にまた会おう。

 エレオノールさんならきっと信じてくれるから、これからもずっと仲良くしましょう」


「ふぇ!?」


「私はこの女の人がマヤ様だと思っていますよ。

 本当にマヤ様だったらお嬢様はどうなさるんですか?」


 それを聞いたリーナが段々半泣きの顔になってきた。

 よしよし、もう一声(ひとこえ)かな。


「いつか結婚したらリーナとエレオノールさん、パティ、ヴェロニカ王女もみんな一緒に暮らすんだよ。

 リーナだけいないなんて寂しいな。でも仕方がないよね。ううう……」


「ひぃぅ……」


「お嬢様…… ほら」


 ――リーナの顔がぐしゃぐしゃになって今にも大泣きしそうだ。

 やり過ぎたかな……


「うぇえええええん!! (わらわ)が悪かったあああ!!」


 リーナは顔に涙と鼻水いっぱいにして私に抱きついてきた。

 成長期とはいえまだちんちくりんで、顔がぱ◯◯ふ出来る位置まで届かない。

 頭をなでなでしてやる。


「びぇぇぇぇぇん!!」


 う…… こんなに大泣きするとは思わなかった。

 これでも王家を除けば国内一のお金持ちお嬢様である。


「ああもう大丈夫だから泣かないで。リーナも一緒だよ」


「うぐぅ…… 本当か?」


「リーナが結婚したかったらずっと一緒さ」


「なら良かった……」


 あれほど泣いていたリーナはケロッとして、笑顔でまた私を抱きしめた。

 最初に出会った時は幼女だったが、今は美少女になりつつある。


「良かったですね。私たちはずっと一緒なんですって」


 と、エレオノールさんからも言っている。

 彼女はもう完全にその気になってるのか?

 成就出来て良かった……

 早く男に戻って、この先のことを真剣に話し合いたい。


「ずっと一緒じゃ…… スンスン

 マヤ…… 女になったら良い匂いがするのう」


「リーナはいつもオレンジの香りがするね」


「妾は香水もシャンプーリンスもみんなオレンジじゃ。

 よく覚えておるのう。やっぱりマヤに違いない」


 リーナが抱きしめるのをやめると、貴族のジャケットに彼女の涙と鼻水がべっとり。

 洗濯の魔法は無いのかなあ。

 あったらジュリアさんがとっくに使っているはずだから、本当に無いのかも。

 エリカさんが作ってくれないかな。

 私は濡れたジャケットを脱いで上半身は白のブラウスの姿になる。


「おー汚してすまんすまん…… おお!? なんじゃそのおっぱいは!!」


「女になったからこうなるよ」


「まあ。すっかり女性の体型になられたんですね」


「エレオノールと同じくらいではないか? 二人で横に並んでみよ!」


「え? ああ……」


 私はエレオノールさんの横に立ってみた。

 背の高さも同じだし、Eカップおっぱいの形もほぼ同じだ。

 私の身体はエレオノールさんなのか!

 その理屈だと、私が裸になったらエレオノールさんの裸も同然!

 早く鏡を見て妄想したい!


「あら、マヤ様から本当に良い匂いがしてきますね」


「え? そんなに匂います?」


「とっても良い香りがしますよ。食べちゃいたいくらいです。うふふ」


 エレオノールさんから大胆発言。

 性的な意味ではなく、いちごミルクの匂いだから食欲の意味だろうけれど、エレオノールさんなら食べられても良いぞ。


「おお! マヤとエレオノールが姉妹みたいじゃ!」


「お嬢様からはそう見えますか? うふふ」


「どれ。おっぱいはどれくらい柔らかいのだ?」


「うお!?」


「きゃ! お嬢さま!」


 リーナは両手で私とエレオノールさんの胸を鷲づかみにしてモミモミ。

 偶然ぱ◯◯ふはあったけれど、私はまだ触ったことがない。羨ましい!


「ほほう。エレオノールのほうがトロリとして柔らかいのう。グフフフ」


「ううう…… マヤ様の前でそんなこと恥ずかしいです……」


 トロリ…… トロリとな!

 そんなに柔らかいのか!!

 まるでおっぱいそのものがフランス料理のようだ!

 エトワール料理人のエレオノールさんにはとても相応(ふさわ)しいおっぱいだ!

 早く正式にお付き合いして私もじっくり揉んでみたい!


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