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第二百九十五話 エリカの復活パーティー

 アモールとカメリア、館の地下室で怪しげなことを……


 (2024.3.25) 物足りなさを感じ、前日投稿したばかりの「第二百九十五話 エリカの復活パーティー」の最後に、加筆をしました。



 アモールの館にある地下室。

 エリカの新しい身体が出来上がった後、そこに残っているのは抜け殻の臓腑。

 アモールとカメリアさんは片付けをすると言っていたが、そうではないあることを行っていた。


『カメリア、持って来ているわね?』


『はい、これが以前採取したマヤさんの体液です』


 カメリアさんはエプロンの(ふところ)から液体が入った試験管を取り出し、アモールへ差し出す。


『ずいぶんたくさんね。これだけあれば…… フフフ』


『いざという時、マヤさんもこれで安心ですね』


『いや、マヤさん自身があの魔法を覚えてくれなければ意味が無いわ。

 それにエリカの身体が完成するまでに八年以上掛かっている』


『そうでしたね。それまで無事であって欲しいものです』


---


 エリカさんの身体が復活したことで、アスモディアに滞在している一番の目的を叶えることが出来た。

 また、パティは持ち味の秀才を活かして魔法書で高度な魔法を会得していったようだ。

 攻撃魔法よりも、結界やマジックロックなど特殊な用途の無属性魔法が多いらしい。

 私がオフェリアたちと体術訓練をしている傍ら、屋敷の中で魔法の練習をしていた。

 ビビアナにも魔法を勉強させるつもりだったけれど、厨房のオレンカさんたちに料理を教えるのが忙しいと言って、いつも逃げていた。

 勉強嫌いはなかなか直らない。

 ジュリアさんも時々書斎で豊富にある闇属性の魔法書を中心に勉強しており、一緒に勉強するタイミングがあまり無かったが彼女なりの収穫はあったようだ。

 アイミはただのお邪魔虫で、書斎や自分の部屋で熱いBL本を読んでいたり、ふらっと街へ出掛けることもあったらしいが事件を起こすようなことも無くホッとした。


 この日の晩は、エリカさんの復活お祝いパーティーをすることになった。

 何でもこの屋敷でパーティーをするのは何百年ぶりとか。

 アモール自身大騒ぎする性格ではないので、パーティーをする発想が無いのだ。

 今回は基本的に食事会で、ホールでダンスをするイスパル王国の貴族パーティーのようなものとは違う。


 それで間もなく昼食が始まろうとしている時、ダイニングルームでアモールがエリカさんに話していた。

 カメリアさんたちサキュバス組によって料理が運ばれており、皆も徐々に集まってきている。


『エリカ、あなたはダメよ』


「えええ!? 私のお祝いなのに、何でパーティーに参加したらいけないんですかあ!?」


『パーティーに参加するなとは言っていない。食事のメニューがダメだと言ってるの』


「お師匠さまあ、何なんですかそれはあ!?」


『わからないの? あなたの身体、これから初めて物を食べるんでしょ?

 急に消化の悪い物を食べても胃が受け付けるわけない。二、三日様子を見る』


「しょ、しょんなあぁぁぁ…… じゃあ四日後にパーティーしてもらう……」


「ああ、ごめんねエリカさん。イスパルへ帰国する日程が今でぎりぎりなんだ。

 明日か明後日にはもう()とうと思ってる』


「えええええっ!? 私何を食べれば良いの?」


『カメリアに消化に良い物を作らせている』


「消化に良い物って? 何でカメリアが作ってるの? グスン……」


 その時、カメリアさんが底が深いシチュー皿のような食器をトレーに載せてエリカさんに差し出した。


『エリカ、あなたの食事はこれよ。マヤさんにお米を分けてもらって作ったの』


「え…… 何これ、真っ白なリゾットみたい……」


「ああ、お(かゆ)だね。味付けは塩かな」


『そう、塩だけ。エリカのお昼ご飯はこれよ』


「ええええええっ!? これだけえ!? 肉も食べたいよおカメリアぁ!」


『我が(まま)言わないの。下痢になるでしょ』


 アモール、カメリアさん、エリカさんの会話が完全に母姉娘で笑える。

 エリカさんが修行していた頃もこんな感じだったのかねえ。

 料理が食卓に並び、皆が集まって食事が始まる。


『さあ、せっかく私が作ったのだから暖かいうちに食べなさい』


「うう…… モグモグ……」


 カメリアさんに勧められ、エリカさんは渋々とお粥をスプーンで(すく)って食べる。

 私だったら喜んで食べるけれど、濃いめの味付けが好きなエリカさんじゃ物足りないだろう。


『どう? 私が作ったお粥の味は?』


「美味しいけれど…… 味が薄い……」


『それでいいのよ。胃の拒絶反応は無さそうね。

 晩は玉子を入れて…… そうね、コンソメスープくらいは付けてもいいかしら』


「私のパーティーなのに、それだけですかあ? うぇぇぇぇん! モグモグ……」


『泣くのか食べるのかどっちかにしなさい』


 カメリアさんとアモールにいじられているエリカさん。

 可哀想だけれど身体のためだから仕方が無い。

 マカレーナへ帰ったら美味しい物を作ってもらって食べさせてあげよう。


 その晩は予定通りエリカさんの復活パーティーが行われた。

 エリカさんの食事も予定通り、玉子入りお(かゆ)とコンソメスープである。

 あとデザートはプリンも食べさせてもらえた。

 一人だけ、しかも主賓がそれではあまりに可哀想なので、私も付き合ってお粥とスープにした。

 それだけではお腹が減るので、ジュリアさんに料理を少し取ってもらって後でこっそり食べたのだけれど。

 勿論他の皆には目一杯食べてもらった。


「うう…… マヤ君は優しいね」


「お粥、美味しいよ。私の好物なんだ」


 本当に美味しいから思わずおかわりをもらって食べた。

 カメリアさん特製のお粥はチャオトン村で食べた物に負けないくらい、懐かしい味がした。

 あまり料理をする印象が無かった彼女だが、長寿なぶんそれなりの経験があるのだろうか。


 マルヤッタさんは揚げ物にハマってしまったようで、唐揚げやフライドポテト、私が前にジュリアさんへ教えた天ぷら料理もあって、野菜やガジラゴ肉の天ぷらをモリモリ美味しそうに食べていた。

 彼女は小柄で痩せてるが、マカレーナで太らないよう気を付けさせないとね。


---


 食事が終わった後、エリカさんは身体が慣れないので怠いとこのこと。

 明日はマカレーナへ向けて出発するつもりなので、早めに休んでもらった。

 私は部屋で、取り置いてもらった料理を食べようとしているときだった。


 コンコン『マヤさあん、お客様ですよ』


 オフェリアの声だ。

 もう日が暮れてこんな時間にお客様とは誰だ?

 オフェリアがここまで通しているのだから、変な人では無いだろう。


「ああ、入ってもらっていいよ」


 ドアが開くと、白いシャツとデニムのショートパンツを履いたマイの姿があった。

 私たちが帰る前に館へ来ると言っていたが、連絡が付かないのでいつ来るんだろうと思っていたところだ。

 彼女も念話が使えるとインキュバスを捕まえたときに言っていたが、わかりやすく言えば「電話番号を知らない」とか「電波が届かない」状態でどうしようもなかった。


『やあマヤ! 明日帰るんだって? よかったあ、間に合って』


「ホントだよマイ! いつ来てくれるのかと待ってたよ」


『ごめんごめん、念話の波を同調させてなかったよね』

(はい、これがあたしからの念話だよ)


(おお、頭の中で聞こえるよ! 念話ってあまり得意じゃなくてさあ)


(うえっ!? マヤの話が男の声で聞こえる! 本当に男から転換したんだあ)


(へっ!? そうなんだ! 元の精神が基準になるんだねえ)


(目の前にマヤがいると混乱しちゃうから普通に話すよ)


 アニメで女の子のキャラが男の声で喋っているようなものだろう。

 きっとマイには不気味に聞こえているに違いない。


『はー、やれやれ。仕事が立て込んじゃってさあ。こんな時間にごめんね』


「今日はなんかあったの?」


『あんまり外に漏らせないんだけど、マヤならいいかあ。

 街の店で強盗があってね。

 犯人は狼男だったんだけれど、そいつ結構強くてあたしの出番だったんだよ。

 ま、十秒で片付いたね。さすがあたし。フフン』


「おー、頑張ってるねえ」


 マイは鼻高々だった。

 狼男は『そうでガンス』なんて言ってたんだろうか。


『ああ! 美味そうなもの食べてるじゃん!

 お腹減ったからあたしにも食べさせてよ』


「いいよ。今日はパーティーがあって、たくさん取り置きしてもらってたから食べきれるかどうか困ってたんだ」


『へえ、誰のパーティーだったの?』


「仲間のエリカさんって人でね。何というか、人間の時にエリサレスとの戦いで禁呪を使って死んで、魂を魔族の身体に植え付けて復活したそのお祝いさ」


『え? エリサレスの話は聞いたけれど、人間が魔族になれるって……

 ああ、アモール様だから何でも有りだよね。あっはっはっはっ』


 マイの反応が軽いが、アスモディア国民にとってアモールの認識はそういうものなのか。

 アモールは過去にこの国で一体何をやってたんだろう。

 取り置きの料理はやはり揚げ物と天ぷらが多くて少々胃にもたれてしまったが、お腹が空いて食欲旺盛なマイが美味い美味いとモリモリ食べてくれたので、全て平らげることが出来た。


『あー、美味かったあ! 久しぶりだよこんなにたくさん食べたの。プハあ』


「それは良かった。で、明日はどうなの? 休み?」


『うん。ちょうど良かったよ。お見送り出来るね。

 そうだ! 今晩ここへ泊まっていい?』


「いいよ。やったあ! 嬉しい!」


 またマイと一緒にこの部屋で…… むふふ

 彼女は余計な気遣いをしなくて良いから一緒にいても楽だ。

 早速マイにシャワーを勧めてみよう。


「マイ、シャワーへ一緒に入ろうよ」


『いいけど…… さっき男の声を聞いたから何だか意識しちゃって……』


「いいからいいから、ささっ すぽーんと服を脱ごうよすぽーんと」


 マイが警戒しているようなので、恥ずかしがらず私からすぽーんと服を脱いであっという間に全裸になった。

 マイにEカップを見せつけるように。


『相変わらずおっぱい大きいな。よしっ あたしもっ』


 マイもするするとシャツとショートパンツを脱いで、下着姿になる。

 普通の白いぱんつとブラだけど、いいぞいいぞ!

 それからすぐに下着も脱いで、マイも全裸になった。


「まいー 大ああい好きいい!」


『あん! 何だよマヤったら! あはははっ』


 ちょっとふざけてマイに抱きついてみたけれど、抵抗なく受け入れてくれた。

 女同士の、おっぱいとおっぱいがふにょんと当たる感触は最高だ!

 ああああ、すごく良い匂い! クンカクンカ……


『汗臭いから恥ずかしいよお』


「そんなことないよ。とても良い匂いだ」


『それを言ったら…… スンスン…… マヤの匂いは甘いミルクみたいで()いね』


「そうかそうか。フフフ」


 アモールと同じ匂いと思ったら複雑な気分だったが、マイには好評みたいだから今は良しとしよう。

 それからマイとは洗いっこしながら、しっぽりいちゃいちゃと楽しんだ。

 さすがに、露骨に大事なところをお触りするのはお互いしなかったが、おっぱいを手で洗ってもらった時は思わず声が出ちゃったよ。


---


 お風呂から上がり、マイと私はそのまま裸族のように裸のままベッドの上で話したり軽いスキンシップをしていた。

 マイはお疲れで早々とウトウトしていたので、私も一緒に布団へ入る。裸で……

 そもそも彼女は着替えも何も持って来ていなかった。


 スースー

 ――寝顔が可愛い。

 マイにキスをしたい……

 でも彼女がいくらベタベタしてきてもガールズラブではなくノーマルだから、同意なく勝手にキスをしたら悪い。

 でもほっぺたなら良いよね。


 チュ……


 おやすみ……

 したいところだけれど、隣に裸の女の子が寝ているのだから気になって仕方が無い。

 身体をくっ付けて、手を繋いでみた。

 寝ていてもマイの魔力を感じる……

 普段は元気な彼女だが、寝ているときはとても(おだ)やかな魔力だ。

 明日からしばらく会えなくなるんだな……

 寂しいな……


 はふ…… はふぅ……

 もう片方の手が止まらない。

 友人が寝てる横でこんなことをするなんて、私の下心は際限ないな……


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