第二百六十六話 鏡に映った私
言葉は抑えてますが露骨なシーンがあります。
今日の午前中は、女に転換完了して着せ替え大会をしていたら、天界から神が襲ってきたという意味がわからない時間だった。
しかもお昼の食事が済んだら、こちらには何の被害も無く神を撃退してしまった。
被害どころかサキュバス組は一年分の精気が吸えたと大喜び。
アスモディアという国……
あれだけの力を持った者がやって来たのだから誰かが力を感知してして救援にやって来るものと思っていたが、それが一切無い。
『力が無い物は、言葉通り触らぬ神に祟りなし。
力がある者でも、アモール様の屋敷だったら何とかするだろうと思われているのだろうよ』
と、庭から館の中へ帰るときにスヴェトラさんが話してくれた。
そんな嵐の中心みたいなところで長らく働いているあなたもすごいよ。
それだけ彼女らが強いことは訓練しててもよくわかった。
さて、平和が戻り美味しい昼食を食べたことなので、部屋で少し休憩する。
午後は書斎で魔法のお勉強。
ああ…… 自分や世界のためとは言え私は勉強嫌いなほうなので面倒くさい。
基本的にパティと自主学習でやっている。
エリカさんは頭が良くて丁寧に教えてくれた。
アモールはもっと頭が良いけれど教え方は随分適当だから、わからないところがあったら聞きに行くだけにしている。
パティが使えない闇属性魔法の魔法書でも、パティに読んでもらってその内容をわかりやすく教えてくれるから、さすが飛び級卒業の才女である。
休憩と言っても何もすることが無いのだが、庭から館へ退避して昼食が始まるまではオフェリアやパティたちと玄関ホールで駄弁っていたので、起床してから初めて一人の時間になった。
改めて姿見に自分の姿を映す。
腕組みしている可愛いJK制服姿の私がいる。
おっぱいが腕に乗っかっている。
うーん…… まだ女になった実感が無い。
見た目は十九、二十歳と言われればそのくらいに見えるが、童顔なので高校生の歳にも見える。
このプリーツスカートは膝が見えるか見えないほどのノーマルな丈で、日本で流行のミニスカ制服姿ではない。
確か登下校ではウエスト部分を折って短くしていると聞いたことがあるので、ちょっとやってみようか。
あれ? 内折りと外折りのどっちなんだっけ?
まず内折りをやってみるか。
四回折ってみた。
――うー、なんか不細工な仕上がりでヒダが綺麗に見えない。
ウエストが太く見える。
違うのかな?
でもこんなに短くなるのか!
本当に太股が丸見えだし、屈んだらぱんつが見えそう。
こりゃスケベなおっさんに注目されるはずだわ。
あ…… 前世の俺だ……
今度は外折りだ。
――こっちの方がヒダが綺麗に見えるかな。
でも折り目がすごくみっともない。
ブレザーを着て隠すしかないよな。
よしっ これで日本人のJKが完成だ!
「うぉぉぉぉぉぉ!?」
自分で言うのも何だが、可愛いぞぉ!
エリカさんのミニスカよりも若々しくて美脚に見える!
蹴りの構えをやってみる。
姿見に映った自分のパンチラ……
黒のTバックの食い込みがエロくて恥ずかしいいい!
やっぱり普通の白いぱんつか、レディースボクサーパンツを履いた方がいいな。
だが今はどちらも無い。
後で街へ行って白の綿パンでも買ってこよう。
このブラもキツいし、新しいのを買うか……
アスモディアの下着は全然可愛くないから、アリアドナサルダの支店を出したら売れるだろうなあ。
ふぅ…… ベッドに寝転んだ。
お腹いっぱいでちょっと眠くなったなあ。
昼食に出た定番の鶏肉パエリアは美味しかった。
無論、鶏肉の代わりにガジラゴの肉を使っているが、まだ生きているガジラゴの姿を見たことがない。
オフェリアが言うにはちょっと大きいけれど可愛いんだって。
彼女は口で表現するのが下手だからあまり信用が出来ない。
近いうちに養鶏場へ行ってみよう。
今も料理は、リリヤさんとオレンカさんがビビアナたちに教えてもらいながら作っているけれど、十分に美味しくて皆にも好評だ。
パティは無論、アモールやアイミは残さず食べており、賄い料理でもオフェリアやカメリアさんたちは美味しいとか食事の質が改善されたと言い、喜んでくれた。
ビビアナとジュリアさんを連れてきたのは当初の予想以上に意義があった。
――うとうとして、十分余り寝ていただろうか。
姿見には私が寝転んでいる私が映っていた。
ミニスカで脚を組んで寝ていたから、スカートが捲れてTバックのお尻を丸出しにしているのが見える。
半分自分のような、半分別人のような、まだ自分の外観を完全に受け入れられていない。
他人事のように、だらしない格好をしているJKがいるようにも見える。
ファビオラが言っていたように女じゃなくても良いらしいが、それを信じるほど私は愚かではない。
あと半月ほど、エリカさんが復活するまでの間だけ女であればいいから、無理して女の身体に慣れる必要は無いか……
――気になる。
ぱんつの下がどうなっているのか、まだじっくり見ていない。
姿見で股間を見たときは、男と違って股間がスッキリしているのが確認出来ただけだし、トイレの時だって男みたいに出っ張ってるわけじゃないから見えない。
うーむ……
見るなら今しか無い。
――この部屋に鏡は姿見しか無いんだった。
さてどうやって見てやろう。
とりあえずTバックをスルッと脱いで、ベッドへ投げておく。
スカートで「履いてない」感覚は物足りなさがあり、背徳的だ。
とてもこれで部屋の外へ出ようという気にはなれないが、地球ではエッチなお姉さんがそういうことをしているビデオがあったねえ。
壁に掛かっている姿見に向かって片脚を上げ、その足を姿見の横の壁に当てて支える。
なかなか厳しい体勢だが……
「おお…… おおおおおお!?」
ま、丸見え! しゅしゅしゅごいいいい!
思っていたより綺麗で良かった……
ううっ もっと柔軟体操をしておきべきだったか、苦しい……
一分と持たず脚を下ろした。
日本にいた身体の時よりはずっと柔らかいけれど、スサナさんは前屈が余裕で膝と胸がペタッと着くし、片脚だって頭上へ上げられるほどだ。
ビビアナも猫だけあって柔らかかった。
彼女の場合、ベッドで寝転んでいるときに片脚を持って頭にくっつけていたから、それを見てとても興奮したことがある。
もうちょっと見たい。
他に良い方法は無いのか……
手鏡があれば良いけれど、今からパティへ借りに行くのもなあ。
ベッドの上に寝転んで手鏡で観察する体勢……
あっ そうだ!
姿見の前で、グラヴィティで浮いて脚を拡げればいいんだ!
俺ってこんなしょうもない知恵は働くんだよな。
よしっ 早速……
まず姿見のド真ん前でグラヴィティで浮き、胡座の体勢になる。
ゆっくり脚をご開帳。
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
パックリ……
みんなのも見てきてそれそれ形が少しずつ違うけれど、神秘的だなあ。
今までと絶対的に違うのが、自分の身体なので触れば感覚がわかること。
両手の指でちょっと拡げてみた。
あっ…… くすぐったい……
うーん、これがよく見えなくてわからない、おしっこが出る穴。
どうして赤ちゃんが出てくる穴と同じエリアにあるのだろうか。
常に清潔にしておきたい。
赤ちゃんが出てくる穴ねえ……
女になっているのは僅か半月だから、永遠にそうなることは無いだろう。
その前に種付けされるなんて、考えられない。
でも…… 股間と胸以外はほぼ女の子のセシリアさんだったら大丈夫かも?
試したくなってきたけれど、それも永遠に無い。
自分の大事なところの形はわかった。
ベッドに戻ってぱんつを履こう……
と思ったが、何だかムラムラむずむずしてきた。
ぱんつを履くことを躊躇い、ソッと右手を股間に伸ばしてみた。
「ひゃあっ」
何か粘つくこの感触……
ああ…… 自分の身体に興奮してしまったのか。
私は考えることを止め、そのまま寝転がり右手を動かし続けた。
男の時とは比べものにならないほど、身体中に何かが走っている感覚がすごい。
それ故に声を出さずにはいられなかった。
自分自身の声でさらに興奮してしまう。
と…… 止まらない……
コンコン
ドアノックの音が聞こえ、ビクッとして右手の動きを止めた。
誰だ……
もしかして声を聞かれてしまった?
どうしよう……
「ちょっと待っててねえ!」
ドア越しで声を掛けてから私は身体を起こし、洗面所で手を洗う。
よしっ これでいい。
ドアを開けると、パティの姿があった。
「あ、あの…… マヤ様…… お勉強の時間です……」
「ああ…… そうだったね。
わざわざ呼びに来てくれたんだ。ありがとう」
あわわわわわ……
目線を合わせずあの恥ずかしそうな顔、絶対声を聞かれてたああああ!
でも聞いていないフリをしてくれそうなので、私も合わせることにする。
「いえ…… ところで、スカートがとても短くなっているんですが、どうなさったんですか?」
おっ パティが話を振ってくれたのでこれに乗ろう。
私の声のことをはぐらかしてくれるのならば……
パティは大人になったなあ。
「これはねえ。
私がいた世界の女学生では可愛いからと流行っていて、ウエスト部分を折ってるんだよ。ほらね」
私はブレザーを捲ってスカートの折り目をパティに見せた。
パティはそれをじっとみると、感激したような表情になる。
「まああ! こんな方法があったんですね! 目からうろこですぅ!
でも最初からスカートを切った方が良くないですか?」
「それは学校の校則が関係あって、校内では短いスカートが違反になるから登下校の時だけ短くするという女学生の苦労が滲み出たものなんだよ。
街では制服がファッションとして成り立っているから、女の子たちはスカートを短くして可愛く見せたいのさ」
「そうだったんですね!
マカレーナ女学院では登下校でも制服のままと決まりがありましたけれど、そうやって短くする発想なんてありませんでした。
ああ…… 卒業するまでにその話を聞きたかったですわあ」
「パティはミニスカを履きたかったのかい?
今までそういうスカートを履いているのは見たこと無かったと思うけれど」
「いえ、今マヤ様のお姿を見てとても可愛いと思いましたので、私も履いてみたくなりました!
マカレーナへ帰ったら早速仕立ててもらいますう!」
「それは楽しみだなあ」
パティのミニスカ制服姿が見られるう!
年齢相応だし、可愛いだろうなあ。
モニカちゃんにもギャル制服として着てもらいたいぞ。
「ああっ お勉強の時間でしたね。マヤ様、参りましょう!」
「うん」
パティは私の腕と組んで書斎へ向かう。
ああ…… これが女の子同士のスキンシップなのかな。
短い期間だけれど、女の子目線での体験をいろいろやってみたいな。
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アモールの書斎兼図書室。
魔法書が豊富に有り、読み放題である。
館外へ持ち出しは禁止だが、部屋へ持って行って読む分には良い。
ここでパティと私は出来るだけ知識を吸収する。
当初はジュリアさんとビビアナにも勉強して欲しかったが、リリヤさんとオレンカさんに料理を教えることが優先になってしまった。
アイミが…… 椅子に座りながらよだれを垂らして眠りこけている。
起きていても邪魔されることはそんなに無いが、起こす理由も無いので放置する。
アモールは姿が見えないが、奥の別室にいるのを魔力で感じた。
パティと私はそれぞれ勉強するための魔法書を本棚から取り出し、同じテーブルの席に着く。
――あれ? この座った感じ……
やけにスースーする。まさかまさか。
私はソッと手をスカートの中に入れた。
やっぱり……
部屋でぱんつを履くことを忘れて出てきてしまった。
洗面所で手を洗った後の俺、「よしっ これでいい」じゃねえよ。
まあ、館内は女ばかりだし、今朝の着せ替え大会のことを思えばどうってことない。
勉強が終わったらぱんつを履いて、下着の買い物へ出掛けよう。
小一時間ほど経ち、別の魔法書を取りに行く必要が出てきた。
パティは静々と勉強を続け、アイミはまだ寝ている。
私はスカートの中が見えないように、スカートを押さえながらソロッと立ち上がる。
そして向きを変えたときに……
ズダンッ
「あわわっ」
ベターンッ
『おお? なんだ?』
やっちまった……
机の脚に、私が足を引っかけてしまいコケてしまった。
サリ様やアーテルシアと同じ格好で、うつ伏せになってお尻が浮いている。
しかも私はノーパン!
「マママママママヤさま…… はわわわわわわ……」
『あっひゃっひゃっひゃっひゃ!!
おまえ何でぱんつ履いてないんだあ!?
全部丸見えじゃないか!! あっはっはっはっは!』
パティと、起きてしまったアイミにパックリ全部見られてしまった……
ううううう…… 泣きたい。
すぐ私は起き上がり体勢を直すと、アイミは腹を抱えて大笑いしており、パティは顔を真っ赤にして鼻血がちょっと垂れていた。
男のパックリはまだ見られていないから、ノーカンだよね……
『おまえと一緒にいると面白いことばかりだ!
これからもずっと付いて行くぞ!』
別にいいけれど……
アイミがトラブルメーカーかと思っていたら、私の方がトラブルメーカーだった。
くそぅ、悔しい。
パティはショックで放心状態だけれど、女の子が女のお尻パックリを見てそこまでなるかね。
『なあに? 騒がしいわねえ……』
別室からアモールが出てきた。
また面倒なことにならなきゃいいが……
『おおアモールか。
こいつミニスカを履いてるくせに転んだら、ぱんつ履いていないんだよ。
アホ過ぎて面白すぎるだろ!』
アイミめえ…… いらぬことを言いやがって。
いじめっ子が煽ってるみたいで嫌だな。
『ぱんつ? それがどうしたの。
私だって履いていないよ。ほら』
アモールは両スリットスカートの前をペロンと捲ったら、何も履いてなかった……
なんで??
それを見たパティはさらに固まり、アイミは口をあんぐり開けている。
『お…… おう…… この館ではそれが流行なのか……』
衝撃過ぎてもはや笑う気すら起きないアイミだった。
私はもう知っているが、アモールのスカートの下が想像以上に綺麗だったせいもあると思う。
『たまにやっちゃうけれど、一人で着替えたときについ履き忘れただけよ。
カメリアたちがいたらそんなことはないけれどねえ。
さっき…… あの娘たちはお楽しみをしていたから』
それ以上、皆は何も言えなかった。
アモールに恥じらいが無いのは今に始まった事ではないのでまあわかる。
カメリアさんたちが用意してくれてないと、生活能力が低いアモールは一人になってしまったらぱんつを履くことすら忘れてしまうって……
で、オフェリアたちはアモールのお着替え担当じゃないってことか。
あれ? この話のオチはそれなの?




