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第二百六十一話 朝食時間はマヤの披露会

 オフェリアの後ろについて、朝食を食べるために(やかた)のダイニングルームへ向かっている。

 みんな集まっているだろうし、やっぱり恥ずかしい……

 ダイニングルームのドアの前に着くと、オフェリアが大きな両手の平を前に出して私を制止する。


『マヤさん、少しここで待っていて下さい。

 皆さんいらっしゃいますから、朝食を兼ねての披露会です!』


「えええっ!? ちょっと待ってくれよぉぉ!」


 披露会!?

 いつの間にそんな話になっているんだ?

 姿見で映して男目線で見ても自信がある身体になったけれど、急に見せ物みたいなことをされるとあわわわわわっ。


『こんなに可愛くなったんですから、しっかり見てもらわないと損ですって』


「ううう……」


 オフェリアが先にダイニングルームの中へ入って、何か言ってる。

 女の身体になることに興味が無いわけではなかったが原因が原因でやむを得ず女になったのに、こんなお祭り騒ぎみたいにしちゃって……


---


『じゃじゃーん!

 とっても可愛い女の子に変身しちゃったマヤさんのお披露目ですよ!

 皆さん拍手でお迎え下さーい!』


 ダイニングルームのドアが大きく開いた。

 オフェリアが手招きしているので、渋々と中へ入る。


『はい! マヤさんでーす!』


「ああ…… どうも…… 女になりました……」


 オフェリアが後ろから私の両肩に手を置いて、私は頭を掻きながらボソッと挨拶をした。

 一斉に皆が私を見るのでギョッとする。

 うげっ 私がこうなった原因のサキュバス三人組もいるじゃないか!

 厨房のオーク組までいる。


 パチパチパチパチパチパチパチッ


「わあああ! マヤさんすごく可愛いニャ!」


「ほほほホントでス!

 スタイルも良いし、わたス何だか羨ましくなってきました……」


 ビビアナとジュリアさんが目をキラキラさせながら褒めてくれる。

 ジュリアさんのスタイルは並で決して悪くない。

 周りに破壊力が大きい女性が多すぎるから貧相に見えるだけだ。


『へぇーっ 初めて女体化なんて見たけれど、マヤさんの面影が残るように変わってて見事なもんだなあ』


『どうやら転換魔法は上手くいったようね。フフフ』


 スヴェトラさんから見ても私の男顔から女顔へ変わったのがわかったようだ。

 アモールが成功したと言うなら安心して良いだろう。

 節々がまだ若干痛むが、身体を動かす度に収まりつつある。


『あっはっはっはっはっ こりゃ傑作だ! ひーっひっひっひ』


 皆に拍手をされて口々に何か言われた後、アイミが腹を抱えて大爆笑。

 こいつは面白半分が生き甲斐だから、もう知らん。

 私はそそくさと席に着いた。


『あーん! なんてことでしょう!!

 マヤさんが女の子になっちゃったら私たち何にも出来ないよお!』


『そうですアモール様。今度いつ人間と巡り会えるやら…… うう……』


『あなたたちの悪戯(いたずら)が度過ぎたからでしょう。自業自得よ。

 マヤさんが干からびてしまったら私も困るの。

 だから術を(ほどこ)したのよ』


 ファビオラとロクサーナが半泣きで嘆いていると、アモールが突っ込む。

 私が困るのって、何が困るんだ?


『諦めなさい二人とも。せめて二日に一回が良かったわね』


 カメリアさんがそんなことを言っているが、いやいや……

 二日に一回でも大変だってば!

 せめてと言うなら週一くらいにして欲しかった。

 だったら女になることもなかったのに。


 いてててて!!

 隣に座っているパティが鬼のような形相で私の二の腕を(つね)った。

 私がサキュバスたちに何をされたのかこれで察しが付いたのだろう。

 パティが本気だったら大火炎魔法で消し炭にされてしまうので、(つね)られたぐらいで済むのなら寛容だと受け取るしかない。


『それにしても…… 随分可愛らしくなったわね。

 滅多に出遭(であ)うことは無いけれど、インキュバスには気を付けなさい。フフフ……』


「うへぇ……」


 確かに街へ出たら警戒しないといけないな。

 サキュバスたちの(みだ)らな様子がわかっているから、インキュバスも相当なものだろう。

 それでなくても、訳のわからん魔族に自分の初めてを奪われたらたまらない。

 まだ私より強い者がいるかもしれないし……


 ん? 初めてだよな?

 女になったこっちは実際に未貫通状態で形成されてなければおかしい。


『マヤさん。まるで小さなオフェリアみたいだな。

 姉妹じゃないか。ハッハッハッ』


『私もなんかそう思いましたよ。照れますねえ…… えへへ』


 スヴェトラさんがそんなことを言うのは、私がショートヘアのうえにさっきシャワー上がりにオフェリアが自分自身と同じように髪をブラシで解いてくれたから、余計にオフェリアに似てしまった。

 それが良いとか悪いとは思わないが、オフェリア自身は気に入っている様子なのでそういうことにしておく。

 朝食を取りながら皆は続いて私について何かいろいろ言う。

 今度はガルシア家一行だ。


『はぁぁぁ 女かあ。私は男のマヤの尻が好みなんだがなあ。

 今のおまえの尻はデカい』


 アイミは幼女の姿でセクハラおっさんみたいなことを言うからおかしい。

 アーテルシアの時だった初めての遭遇の時にエリカさんが魔法を間違えたせいで彼女のTバックとお尻を見てしまい、アーテルシアは退散。

 二度目の登場で私のお尻を見せろと言うので見せた。

 そこから私のお尻に執着してしまったのだ。(第百二十七話参照)


「帰る前に男に戻るんだからいいだろ」


『ふん……』


「マヤ様、ご自分のお尻は大事にして下さいまし…… もう」


 パティは何を思ってサラッとそんなことを言っているのか。

 実際は、アイミが夜になってアーテルシアの姿になった時、私のお尻にとても興奮してパティには絶対話せないことをしやがる。


「あああああの…… マヤさん…… 言いにくいのでスがその……」


「ジュリアさんどうかしたの?」


「マヤさん、胸のポッチが二つ浮き出てるニャ。ニャッハッハッハ」


「あ、ああ……」


 向かいの席に座ってるジュリアさんが何か言い出しそうかと思ったら、その隣にいるビビアナからストレートに言われ、笑われてしまった。

 アイミも声を出さずにクククと笑っている。

 館には女しかいない思ってそのままシャツとブラウスだけを着てダイニングルームに来てしまったので、わかっていたから怒るまでもない。

 部屋で着替えたときにオフェリアは何も言わなかったけれど、彼女はメイドのくせにそういうところは無頓着だからなあ。


「ちょっとビビアナちゃん!

 デリケートなことなんだから笑っちゃダメでス!」


「あう…… マヤさんごめんニャ……」


「いや、いいよ。着ける物が無いから取りあえずこれを着てみただけだし」


「ごめんなさい、マヤ様。

 今朝せっかく気づいていたのに、服のことまで頭が回りませんでした……」


 パティと一緒にいたときもパジャマがポッチになっていたので、彼女が言うように気づいているのもわかっていた。

 それより私がすぐパジャマとシャツを脱いでしまったので、私自身が生おっぱいに夢中だったから仕方が無い。


「うん。まあ……」


 だんだん恥ずかしくなってしまい、私は両腕で胸を隠してしまった。

 それを見ていたビビアナが何かひらめいた表情をする。


「じゃあ今日はみんなでマヤさんに服と下着を用意するニャ!

 何だったらあてしの服とブラとぱんつを貸してあげるニャ!」


「それはいいですわね!

 私よりちょっと背が高いだけですから、服のサイズはきっと合いますね!

 下着の方は…… 恥ずかしいです……」


「わたスは身長も下着のサイズも小さいのでダメでスね…… ううっ」


「えええええっ!?」


 服を貸してくれるのは有り難いけれど、下着までとはビビアナは思い切ったなあ……

 貸してくれるのは当然洗濯済みの下着だろうが、女の子同士で下着の貸し借りなんて現実にあるのか?

 昭和のテレビドラマで、女生徒と憧れの先生が保健室で下着を交換するという衝撃的な話を見たことがあるが……

 それにサイズは合うのか?

 パティは成長著しく、身長は168cmとアマリアさんとほぼ同じになってしまった。

 おっぱいのサイズはまだアマリアさんに叶わないが、それでも確実にEカップはある。

 一番サイズが合いそうな彼女が貸してくれたら都合が良いが、十四歳の女の子に無理は言えない。

 だが十八歳になるビビアナだったら良いというわけではない。


『私の服も貸してあげようかしら。

 魔女の服もなかなかいいわよ。あなた魔法が使えるんだし。

 プレゼントの下着もまだ履いていないのが多いから、どう?』


「あぁ…… はぁ……」


「なあに? 気に入らないの?」


 あんなコスプレみたいな衣装を着させられるのか?

 余計に恥ずかしいじゃないか。

 ブラ無し谷間丸出しワンピースで、スカート部分の両側スリットが長すぎてぱんつ見えそうなのに。


『ああそうそう。

 エリカが昔置いていった服が何着もあるでしょ。

 ロクサーナ、持って来なさい』


『はい、アモール様』


 サキュバスのロクサーナは直ぐさま退出して行った。

 おおそうか。

 エリカさんだったら身長も胸のサイズもほぼ同じじゃないか。

 でもあのミニスカスーツだったらすぐパンチラしそうだよな……


『外で訓練するんだったら、ユニフォームも必要でしょう!

 私たちのはフリーサイズのもありますからきっと着られますよ!』


「そ、そうか……」


 オフェリアはユニフォームを貸してくれる。

 確かに動きやすいそうだからいいけれど、この際シャツと女神カーゴパンツでもいいような気がする。

 ああ、お尻のサイズが小さいかも知れない。


『ドレスルームを使っていいから、カメリアが案内してあげなさい。

 後で私も行くから』


『かしこまりました。

 マヤさん、私の給仕服も着てみますか?

 サイズはちょうど良いと思われますが』


「おおっ メイド服!?」


 そういえばカメリアさんも身長やいろいろ私と同じくらいだ。

 しかも毎晩生で見ちゃったから確実である。

 あれほど好き放題されてしまったのに、落ち着いたお姉様な雰囲気なので「カメリアさん」と呼んでしまうのだ。

 憧れのメイド服かあ。

 カメリアさんたちが着用しているメイド服も古風な感じで、コスプレ調ではない。

 でもメイド戦士みたいなことをやってみたいな。


「じゃあ食べたら準備するニャ!」


「「「はーい!」」」


 言い出しっぺのビビアナはやる気満々。

 パティは勿論、アイミも興味本位だけで絶対に来るだろう。

 朝食を食べ終えると皆はそれぞれの部屋へ戻っていった。

 私のためにとても有り難いことなんだけれど、何故か腑に落ちない気もする。

 披露会の次は着せ替え大会か?

 いやはや……


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