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第二百六十話 朝の目覚めは身体の観察

※やや生々しい表現がありますので、苦手な方はご遠慮下さい。

 うつらうつらと目が覚める。

 この感じ…… 天界の真っ白な空間で目覚めた時の感覚に似ている。

 違うのは、真っ白でなく目の前にニヤニヤ笑っているパティの顔があることだ。


「う…… ああ…… おはよう」


「おはようございます、マヤ様。うふふ」


「うーん…… どうしてそんなに笑ってるの?」


「マヤ様のお顔があんまり可愛いから、寝顔をずっと眺めていたんですよ」


「えっ!?」


 そうか。とうとう女になってしまったんだ。

 布団から手を出して眺めてみると……

 おお、白くてスラッとした細い指になっている。

 もう自分じゃないみたいだ。


「慣れないせいか、身体がちょっと重いかも……

 パティ、ちょっと手を引っ張って起こしてくれないかな?」


「はい! 承知しました!」


 パティは布団を剥ぐ。

 うう…… 寒いぃぃ。

 彼女は私の両手を引っ張ってくれて、上半身を起こすことが出来た。


「痛つつつつ…… ふぅ……」


「大丈夫ですか? マヤ様……」


「うん…… なんとか」


 全体的に、関節に少し痛みが残っている。

 後で体操でもしたら直りそうだから、そうすることにしよう。

 おっ!? 胸に重量感がある!


「うおおっ おっぱいが出来てる!」


「まあ!」


 両手で包み込むように触ってみた。

 うーん…… Dカップ…… いやEカップいくかな?

 日本人はCとDカップで半分を占めているそうだから、平均よりは上なんだな。

 うちの家系の女性もそんなに小さくなかったから、遺伝から来てるのだろか。

 パジャマの中身を見てみたい。


「パティ、ちょっとパジャマを脱いでもいいかな……」


「え? は、はい」


 パティは少し驚いた表情をしていたが、私はパジャマのボタンを外して脱いだ。

 その下には白いシャツを着ているが……

 胸にポッチが二つ!

 もう一度恐る恐る両手で触ってみた。


「わあっ 柔らかい!」


「おっぱいだから柔らかいのは当たり前ですよ。うふふ」


 パティがそんな言い方をするのでびっくりした。

 まるで女友達に話しかけるように……

 外見がそれほど女の子っぽくなってるのだろうか。

 シャツは首元が丸首形で下を覆っているので胸は見えない。

 引っ張ったら見えるけれど、自分の身体のことだしどうせならば……


「――シャツも脱いでいいかな?」


「ゴクリ…… はい……」


 明らかにパティは唾を飲み込んで険しい表情をしながら興味津々で見つめている。

 私だからか、この子は元々女の子も好きなのか、今はどっちなのかわからない。

 一気にシャツを脱いだ。

 その時、胸がシャツに引っかかってボヨヨンと弾ける感覚があった。


「あわわわ…… マヤ様のおっぱい…… 綺麗……」


「ん…… お…… おおっ? ふぉぉぉぉぉぉ!!」


 視線を下に向けると、ピンクのサクランボが上に乗っている牛乳プリンが二つ!

 そしてプリンの間にはしっかりと谷間がある。

 自分の胸なのに、まだ別人の女の子に乗り移った感覚だからピンとこない。

 どうせならまた触ってみよう。


「おお…… おおお…… 柔らかいけれど、張りがある……」


 私は思わず手のひらを回すように自分の胸を揉みしだいた。

 胸の形もそれに合わせてふにょふにょと変わっている。

 ああ…… 気持ちよくなってきた……


「あああの…… コホン…… マヤ様……」


「はっ!? わわわわわっ!?」


 ◯首がピンピンになっている!?

 ちょっと揉んだだけなのに気持ちよくなって……

 感じやすい体質なのかな。


 うう…… ブルブルブル…… 尿意がある。

 起きてからまだトイレに行ってなかったんだ。

 軽く股間を触ってみたら、やはり分身君はいなくなっていた。

 いきなりトイレというハードルが立ちはだかる。

 座ってするだけなのはわかるが、上手くできるのかな。

 うう…… も、漏れそうだ。

 女性は尿道が短いから我慢しづらいと聞いたことがある。


「パティ、トイレを借りるね」


「えぇ、どうぞ」


 私はシャツとパジャマを着直して部屋の中にあるトイレへ向かう。

 便器そのものが魔道具になっていて、水洗と温水洗浄付きの洋式トイレなのだ。

 パティが使ったトイレ……

 いやいや、そんな変態なことを考えている場合ではない。

 漏れそうなので慌ててパジャマのズボンとトランクスを下ろし、便座に座って用を足す。


 シュイィィィィィィ……


 なななななっ!?

 どこからおしっこが出てるんだ?

 思っているよりお尻に近くて変な感じだ。


 チョロロ……


 はぅ…… スッキリした。

 終わったら女性はおしっこでも紙で拭かないといけなかったっけ?

 ――温水洗浄か……

 あっちをする時はよく使っているから慣れてるけれど、こっちはどうかな。

 ボタンをポチッと。


「ひうっ!?」


 も…… もろ当たりだな……

 あっちを洗浄するときも慣れるまですごく変な感じだったけれど、こっちも慣れるのに時間が掛かりそうだ。

 て…… あと二週間だけだもんな。慣れることはないか。

 ペーパーで濡れた部分を拭く……


 くにゅ


 紙越しとはいえ、さ、さ、触ってしまった……

 初めてのせいか、ちょっとくすぐったい。

 早速観察したいところだが、分身君と違って分身ちゃんは直接姿を見ることが出来ない。

 女性器の形は、特にこの世界の女の子たちのそれをたくさん見てしまったので千差万別なのはわかっているが、私の分身ちゃんは一体どんな姿をしているのだろうか。

 可愛かったらいいんだが……

 トランクスとズボンを上げてトイレを出た。


「さっき声を出されてましたが、どうかしました?」


 パティに、温水洗浄した時の声を聞かれてしまった。

 恥ずかしいので答えようがない。


「初めてでいろいろびっくりして、まあそんなところだよ。あははは」


「私じゃないのに、何だか恥ずかしくなってきました……」


 男の精神で女の身体を見るというのは、自分の身体を見られるという感覚もあるかもしれない。

 そのせいかパティは顔を赤くしていた。

 そういえば、私が女になったことで精神も女にはなっていない。

 性転換をしてからまだパティしか見ておらず、パティが(いと)おしいという気持ちはある。

 イケメン男子を見てドキドキしたら精神も女になってるかも知れないが、無理して試す気がしない。

 街へ出掛けてイケメンの魔族を見かけたらどうなるだろうか。


「あっ そうだ! まだ自分の顔を見ていないんだったよ!」


 トイレが気になってすっかり自分の顔を見ることを忘れていた。

 洗面台は別にあって、トイレに鏡は無い。


「そうですわね! とっても可愛いですよ!

 その姿見で是非ご覧になって下さい!」


 パティの部屋にも、元々備え付けてあった大きな姿見がある。

 恐る恐るその姿見に近づいた。


「ふあああっ これが俺なのか」


 大雑把には元の男の顔を基準に女の顔へ変化した感じ。

 髪の毛はそのまま黒く、長さもほとんど変わっていないショートヘア。

 瞳の色は日本人に多い濃いめのブラウンだけれど、少し明るい気がする。

 地肌は白く、背の高さは男の時と同じか……

 日本人女性で身長百七十センチというと大柄な方だな。


 輪郭や口元は写真で見た死んだ母さんが若かった頃の面影がある。

 やっぱり母さんの子なんだなと嬉しくなってきた。

 気持ちだけ目がぱっちり、鼻がスッとしてて、どうも私と母さんとは少し違う気がする。

 この目と鼻はどこかで見たような……

 チラッと、後ろで見ているパティを見た。


「そうか! パティだ!」


「どど、どうしたんですか!?」


「この目と鼻、パティだよ!

 キスをした時にたくさん飲み込んだ唾が、魔法によってパティの遺伝子として反映したんだ!」


「イデンシ? 何ですかそれは」


「話すと長くなるけれど、体中に小さな情報がたくさんあって、唾や頬の粘膜にもすごく小さな情報体が存在するんだ。

 それが私の身体に取り込まれたからパティに似ている部分が出てきたんだ!」


「それって、私がお父様やお母様と少し似ていることと関係があるんでしょうか?」


「そう。さすがパティだ。私がいた世界ではそういう研究が進んでいるんだよ」


 パティは頭がとても良いので、物わかりが良くて助かる。

 ということは、他の身体の部位もパティに似ているところがあるのだろうか。

 身体の白さも、私と母さんとは似ても似つかないし……


「そうなんですかあ。だったら私たちは姉妹みたいですね。

 もちろんマヤ様がお姉様ですわ。うふふふ」


「パティの遺伝子を直接使っているから、君の娘かもしれないよ」


「私にこんな大きな娘はおかしいですうぅ!」


 そう考えると、パティのクローン人間とも思えてきた。

 確かエリカさんの新しい身体も昔採取した身体の一部を使って生成していると聞いた。

 アモールは、人類から見たらとんでもないことをしている魔法使いである。

 悪用はされていない様子だから、自分の周りでしか使っていないのだろう。


「そろそろ自分の部屋に戻るよ。

 シャワーしたり着替えたりしないとね」


「女の子の身体はデリケートですから丁寧に扱って下さいね」


「うん、わかった」


---


 誰もいない、自分の部屋に戻った。

 着替えなきゃいけないけれど、シャワーついでに女になった自分の身体をしっかり見ておかないとな。

 素っ裸になって、姿見の前に立ってみた。

 自分じゃなくて別人の女の子が目の前にいるみたいで、恥ずかしさと緊張でドキドキしてしまう。

 背が高くて、体育会系のややがっちりした体型、さらにショートヘアなので女子バレーボール部員みたいな雰囲気だ。

 おっぱいは見事な形で垂れておらず、股間のアレは薄い。

 自分の身体が私好みというのはとても嬉しい。

 さて、シャワーを浴びるか……


 風呂場でシャワーのお湯をたっぷり浴びる。

 肌に(したた)る玉のような(しずく)は、肌の表面がきめ細やかで綺麗に整っている証拠だ。

 石鹸を付けて手のひらを使って洗う。

 前にラミレス家でアナベルさんとロレンサさんがやってくれたことを思い出し、それを参考にしてみた。

 おっぱいを優しくマッサージするように……

 この細いウエストは、前みたいにお腹いっぱい食べられるのだろうか。

 パティの遺伝子を受け継いでいるのならば案外いけるかもな。

 両手を後ろに回してお尻もマッサージ。

 やや大きめで、すごくつるつるしてて気持ちいい。

 後ろ姿は見ていないけれど、きっと美味しそうな桃尻に違いない。

 すべすべむちむちの太股(ふともも)

 もし自分で顔を挟んだら絶対気持ちいいはずだけれど、そんなに身体が柔らかいだろうか。


 ――手で洗っている勢いで、つい股間に手を忍ばせてしまう。

 トイレの時は紙越しだったけれど、今度は直接触った。

 他の女の子のを触るのと、自分のを触る感覚は違う。

 自分で触って、同時に触られているのだから。

 そしてここが敏感な……


「はひっ」


 思っていたより刺激が強い。

 指でまさぐっていると止まらなくなってしまう。

 理性が弱い女の子がハマってしまうのはわかる。

 これ以上は危険なので、グッとこらえて()めた。


 風呂場から出て、タオルで身体を拭く。

 タオルも巻かずに再び姿見で自分の身体を見た。

 すごい…… 色っぽい身体で好み。

 何だかナルシストになってしまいそうだ。

 エルミラさんよりはがっちりしてて、オフェリアほど筋肉質ではない、ちょうど真ん中ぐらいだろうか。


 コンコン『マヤさん、おはようございまあす!』


「あいや!?」


 オフェリアの声だ。

 しまった、裸のままだから気絶させてしまう。

 あっ 女の身体だからいいのか。


『え!? 誰!! 裸の女の子!?』


 オフェリアは私が誰なのかわからず、身構える。

 最初この部屋のトイレで出遭ったみたいに、また激烈パンチされたくない。

 裸でも女だったら極端に恥ずかしがることはないようだ。


「俺だよ! マヤだよ! 女になるって言ってたじゃないか」


『あっ そうだった! そういえばマヤさんに似てる!

 可愛いいいいい!!』


「ああ…… ありがとう」


 オフェリアにも可愛いと言われたが、もう二十歳になるのに童顔なのかな。

 並以上の顔だと思うけれどパティみたいにとびきり美少女ってわけじゃないし、エリカさんやマルセリナ様みたいな美女でもないし……

 自分の顔が可愛いのかどうなのか自覚が持てない。


『お風呂入ってたんですか? じゃあ服を着ましょう!』


「ああ、用意してるから自分で着るよ。

 そこのパジャマと下着は洗っておいてくれるかな?」


『はい、承知しました』


 私はテーブルの上に用意しておいたトランクスを履いてシャツを着る。

 それから上着の白いブラウスを着て黒ズボンを履いた。

 ズボンのウエストが緩いけれど、これなら女が着てもさほど不自然でないだろう。


『あれ? 男物の服じゃないですか。他に無いんですか?』


「これしか無いんだよ。

 取りあえずだから、後でどうするか考える」


『そうですか…… でもまあ男装女子みたいで格好いいですよ』


「そう見える? じゃあこのままでいいかな」


『ああ…… よく見たらお尻が大きくなってぱつんぱつんですね。

 これから朝食なので館内ならいいですが、外へお出掛けするなら考えた方が良さそうですよ』


「うーん……」


 オフェリアの言うとおり、この先も外へ出掛けることがありそうだからこのままの服装でというわけにはいかないか。

 誰かに服を借りるか、服を買ってくるか、それしかないよなあ。

 やっぱりスカートを履くことになるのだろうか。

 パンチラを見るのは好きなのに、もし自分がパンチラをしてしまって男に見られたら嫌な気分になりそうだ。

 いや待て。

 スカートでパンチラの前に、私が女物のおぱんつを履くことになるのか?

 自分でデザインもしているのに、実際に自分で履くとなると嬉しいやら恥ずかしいやら。


 男女転換で大騒ぎの話はもうしばらく続きます。


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