第二十三話 エリカの告白
2023.2.10 大幅に改稿しました。話の流れに影響はありません。
庭でもエリカさんの部屋でも、毎日エリカさんと椅子に座って魔法の勉強をしていると、いつもわざとらしく脚を組み替えながらパンチラしてくる。
だが私はムッツリな性なのでどうしてもチラ見をしてしまう。
それで彼女はその反応を見て楽しんでいるようだ。
今日は紫、昨日は赤、その前は黒、緑、ピンク、黄色、白、毎日色が変わる。
彼女はぱんつのコレクションをしているのか、単色が多く豹柄なんて日もあった。
この世界に豹っているんだな。
だが私が思うに、パンチラは白が一番エッチだ。
この世界のぱんつは地球のように繊細なデザインのものが多いが、完全に工業製品だ。
未だに移動は馬車が主力なのに、ある部分は妙に近代的だったり不思議な世界だ。
「んふふ。マヤ君、今日は何色だった?」
「紫だよ」
私はバカ正直に素っ気なく答える。
DTみたいなおどおどとした反応をしてると余計に面倒くさそうだからだ。
たまに勉強を教えるフリして胸を押しつけてくるが、不思議なことにそれ以上のことはしてこない。
まるで漫画に出てくる、DT少年をからかう耳年増ギャルのようだ。
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それから何日か過ぎ、今日はエリカさんの部屋で今まで見たことなかった闇魔法の魔法書を見せてもらったり、アマリアさんとの学生時代の話を聞いたり、楽しく歓談をしながらの勉強だった。
「ねえ、マヤ君。君は私のことをどう思っているんだい?」
「何ですか改まっちゃって。
ちょっとエッチですけれど、魔法の勉強はちゃんと教えてくれてますし、感謝していますよ」
「そうか…… ありがとう」
エリカさんは少し考え込む表情をしている。
「その…… パティは君のことを好きなんだよね。
ビビアナも最近ますます懐いてきているじゃないか」
「え? あぁ…… よく知ってますね」
「君は…… あの子たちのことをどう思っているのかな?」
「パティは私のことを好きと言ってくれたので、私もそう答えました。
ビビアナはあれでも健気でいい子ですし、彼女も私のことを好いているので私も心が動いてしまいました」
二人について私は恋愛感情が芽生えているが、私の中身がおっさんなので同世代同士の時と気持ちが違う。
親から見た娘、教師から見た生徒とも違うし、身体と頭の年齢が一致していないと妙な気分だ。
「そうなんだ……
私はね…… 魔族の国で魔法の修行をしていたから、何年も人間の男性に出会うことが無かった。
こっちへ帰ってきて何度か男性を好きになろうとしていたことがあったけれど、明らかに身体目当ての男だったり、私が強力な魔法使いということで逆に近づきがたい雰囲気を作ってしまい、結局今まで男性に縁が無かった。
だからこんな私に普通に接してくれた男は、君が初めてなんだよ」
「エリカさん…… そうだったんですね……」
彼女は、パティとビビアナが私と仲良くしているのを見て気になっていたんだ。
このタイミングでそう言ってきた訳は?
あんなパンチラいたずらをしていて、あれで貞操が固いというわけか…
エリカさんは二十代半ばで、そろそろきちんと恋愛をしたい気持ちが強くなってきたのか?
「君の気持ちはさっき聞いたとおり、パティやビビアナが好きなのはわかったよ。
だから私の気持ちも君に早く伝えたくなって……
その…… 君のことが好きだ……」
「私もエリカさんのことは好きですよ。」
察しはついていたけれど、エリカさんからの告白だ。
エリカさんは必至に伝えてくれたのに、私は思わずあっさりと答えてしまった。
愛しているよという気持ちとしてではなかった。
「それじゃあ!」
「私は…… 三人も女性を愛することに自信が無いんです。
平民だから一人しか結婚できないのはわかっていますが、もし貴族になったからといっても複数の女性を愛すなんてよくわかりません。
結果的に身体を求めるだけの関係になって、相手を傷つけるのが怖いんです」
「マヤ君、君は優しいんだね」
「いいえ、臆病なだけかもしれません。
今はっきりと気持ちを伝えているのはパティだけです。
成人するまであと二年経てば結婚は可能でしょう。
気持ちを伝えただけで婚約はしていませんから、何も決まっていないのと同じです」
「マヤ君。君にとって三人はみんな同じに見えるのかい?」
「いいえ、三人とも三者三様ですよ。
みんなそれぞれの素敵なところはわかってるつもりです」
「そう思っているのであれば大丈夫だと思うよ。
君がそう言ってくれて嬉しかった。
パティもビビアナも君と一緒にいたいという気持ちは強いはずだ。
だから三人とも好きになっていいんだよ」
そう言われると何か引っ掛かっていたものが少し取れた気がした。
この国の恋愛概念というのが貴族も含めて全体的に、男性が複数の女性を愛すことを女性自身が許容しているように感じるのが不思議だ。
「エリカさんは大人なんですね」
「私なんて恋愛なんかしたことが無かったから、そんなことはないよ。
ああああの…… この歳になってまだなんだ……」
「それって……」
「い、言わせないでよ……
まだ…… 男性経験が無いんだ……」
エリカさんが俯いて顔を真っ赤にしている。
そうか。彼女がからかってきても、パンチラかせいぜい胸の押しつけしかしてこなかった理由がわかった。
魔族の国で魔法の修行をしてたって聞いたけれど、青春時代を長らくそんなところで過ごして処女をこじらせてしまったのだろうか。
エリカさんなりの、精一杯のアピールだったんだろう。
それにしても、セクシーでうっふんなお姉さんが処女だなんて、私はドキドキワクワクしてきた。
この場合、お互いが未経験同士のシチュエーションで盛り上げた方が良かろう。
言っておくが、前世の五十歳だった私はさすがにDTではない。
「エリカさん、手を繋いでいいですか?」
「うん……」
二人で手を繋いだまま彼女のベッドに座り、エリカさんは俯いたまま固まっている。
「いつもからかってくるのに、こうして手を繋ぐのって初めてですね」
「うん……」
「緊張してる?」
「うん……」
エリカさんはさっきからうんとしか返事をせず、ガチガチに固まっているようだ。
緊張を解さないといけない。
握った彼女の左手を私の太股の上に置いて、両手で軽く握りしめる。
「エリカさんと手をつなげて嬉しいですよ。
こうやって手を繋ぐと気持ちも繋がってる気がするんです。」
「私も…… そんな気がする…… ふふ」
「キス…… してもいいですか?」
「うん……」
左手は手を繋いだまま、彼女の方を向いて右手で肩を抱いてゆっくり唇を合わせた。
柔らかい唇……
ほのかに香るエリカさんの肌と髪の毛の匂い……
「キス…… とうとうしちゃいましたね。
もう一回いいですか?」
「うん……」
さっきより長く、唇を何回も挟むようにキスをした。
ンチュ…… ンチュ……
そんな音が聞こえてくる。
「マヤ君、どうしよう…… ドキドキが止まらないよ……」
「もっとキスをしたら少しは落ち着きますよ」
ベッドの上で対面に座り、両手を繋いで続きのキスをたくさんした。
そして彼女をゆっくり抱きしめる。
「こうしているとエリカさんをたくさん感じます。暖かい……」
「マヤ君…… 好き。最後まで…… いいよ……」
その言葉で私は何かがはじけ飛んだ。
エリカさんは自分で上着とスカートを脱ぎ、ゆっくりと白いブラを外す。
アレに慣れない人は、初めは女性に自分で外してもらったほうがいいぞ。
そして良い形の豊かな胸と、ローライズでレースの白いぱんつが露わになった。
勝負下着としてナイスだよ、エリカさん。
エリカさんの姿は赤毛で肌の色はやや色づいているが、地球で言う白人である。
日本のおっさんの夢と憧れが目の前に!
この私がそんな女性の相手をするだと!?
「エリカさん、すごく綺麗……」
「そんなに見ないで……」
本当にびっくりするほど身体の有りと有らゆる部分の形が整っていて、しばらく見とれてしまった。
おお! ここもやっぱり髪の毛の色と同じなんだ!
私は思うがままにエリカさんを愛し、エリカさんは私の分身君を迎え入れた。
女性の中に入ったのは何年ぶりだろうか……
柔らかい感触、肌の香り、色っぽい声を楽しんだ。
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「マヤ君が初めてで良かった……」
「実は…… 私も初めてだったんですよ。あまりうまくできなくて……」
「え…… そ、そうだったんだ……
私で初めてだなんて…… 嬉しい。にゅふふ」
エリカさんのにやけた顔はちょっと気持ち悪かった。
エッチで優しいピロートークを楽しんで、無事に初体験を終える。
服を着てから私はもう一度エリカさんにキスをして、彼女の部屋を出た。
ああ、そうだ。
前世の記憶では私は非DTだが、ネイティシスに来てからこの身体で今初めて女性経験をして、DTを卒業したんだ。
地球では若い頃に女性経験をした数はたくさんではないが、それを覆い尽くすような素敵な時間だった。
年上のお姉さんからDTを奪われることに憧れていた。
実際彼女は私の身体年齢で七つも年上なんだけれど、それとシチュエーションが違うのは少々残念だったが。
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翌日以降のエリカさんとの勉強も、以前と変わらずぱんつを見せつけからかってくるのは、もはや習慣だろうか。
私はむっつりスケベだから結構なことだけれど、ぱんつの中身がわかってしまったのにパンチラを見てしまうはむっつりの性だろうか。
やっぱりパンチラは浪漫だね。
彼女は、私がパティやビビアナと仲良くしていても表面的に妬いたりしない。
またビビアナのほうも、前はビビアナがエリカさんに敵意をむき出しにしていたが、近頃はそういうことがなく、デートでの出来事の影響か余裕さえあるような様子だ。
その後のエリカさんとのアレは、たまに部屋で勉強した後に彼女のほうから求められ、今まで経験をしてこなかった分が爆発したように、女性上位プレイで日に日に淫乱になってしまった。
私自身も長らく行為をしていなかったことと十八歳という身体を持て余していたので、エリカさんが望むだけ受け入れた。毎日ではないぞ。
ちなみに属性無しで避妊の魔法があり、エリカさんはそれを使っている。
先日まで未経験だったのに、そんなことはしっかり勉強していたのかと思うと、やっぱりその気があったんだろうな。
ふと、この国の結婚観について考えてみた。
マカレーナへ来てからいろいろ見聞きした感じ、貴族に独身男性が溢れているわけでもなさそうだが…
この国の女性は平均的に力も心も強いから、一夫多妻制であっても並の男性では何人も扱えないのかも知れない。
でも、より強い男ならば強い女性が何人も惹かれる。
今考えたことは私が自画自賛しているみたいで、恥ずかしくなってきた。
一夫多妻制といえどガルシア侯爵のお嫁さんは二人だけで、確かにアマリアさんとローサさんは強い女性だ。
侯爵の剣術はそれなりに強いらしいが、それ以上に政治手腕や統制力、頭の回転の良さは類い希で目を見張るものがある。
ガルシア侯爵が統制しているマカレーナの街を見てわかるように、ゴロツキは多少いるが概ね清潔な街だった。
まるでガルシア侯爵の人となりを表しているようである。
ちなみにパティのお祖父さんやエリカさんのお父さんは奥さんが一人だけだそうで、誰でも一夫多妻制を利用していない。
一人の女性だけを愛するのは素敵なことだと思うし、何人も奥さんを抱えるとそれだけ財力も必要だから、貴族だからといって皆が艶福ではないのだ。
私は貴族ではないから一夫多妻の資格は無いが、最初に天界でサリ様が言っていたように本当に誰と結婚出来るのだろうか。