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第二百三十三話 カタリーナ・アイミ・モニカ・マルティナ

後半はややセンシティブな内容なのでご注意下さい。

 食事前に皆で集まった応接室へ戻ってきた。

 部屋にいるのは、パティと私、シルビアさんとミカンちゃん、パウラお婆ちゃんだけである。

 ガルシア侯爵夫妻はどこかへ行ってしまい、アイミは近くで魔力を感じるので王宮内を見物しているのだろう。

 カタリーナさんは王子の執務室へ行ってしまった。

 散らかっているという話だから、きっとデスクは書類の山積みになっているに違いない。

 話をするのは短い時間だそうだから、私たちはミカンちゃんを可愛がりながら待っていた。

 あああああ ミカンちゅわーん 世界一可愛いよぉぉぉぉぉ

 この子のためならば、例え背中に矢が何十本刺さろうが守りたい。

 日本でも実の子へ虐待するなど悲しいニュースを見ることがあったが、自分の子が出来るとますますそういう行為は人として有り得ないと思った。


 小一時間後。

 ノックをしないでドアが急に開いたと思ったら、カタリーナさんは足下がおぼつかない様子でポーッとした表情をしながら戻ってきた。

 アウグスト王子は彼女に何を言ったんだ?


「カタリーナ様! どうなされたんですか!?」


「――」


「まあ、座って落ち着きましょう」


 私はカタリーナさんの手を取り、ソファーに座らせた。

 彼女の手は熱く、紅潮しているのがわかる。

 室内にあるカップボートからグラスを取り出し、魔法でグラス一杯分のウォーターボールを作ってカタリーナさんに飲ませた。


「ふぅ―― ありがとうございます」


 水を飲んで落ち着いたようで、ようやく彼女から声が出た。

 こうなってしまうほど王子から衝撃的な言葉があったのは容易に察しが付くが……


「それで…… 王子殿下からどんなお話があったか伺ってもよろしいですか?」


「はい…… 殿下から…… 結婚を前提としたお付き合いをして欲しいと……」


「えええ?? もう求婚を!? カタリーナ様はそれをお受けになったんですか?」


 パティはたいそう驚いていたが、カタリーナさんの様子だと想像の範囲内だ。

 一般人と違い、王族は遊びやただ経験を積むために交際をするわけにはいかない。

 問題はカタリーナさんがどう返答したかだ。


「今日お目にかかったばかりなので、即答しかねますと答えました」


「でも断ったわけではないですよね。

 殿下から何か提案はされましたか?」


「それは……」


 カタリーナさんの話では、王宮でしばらく働いてみないかとのこと。

 つまり周りの人たちに認めてもらえるよう花嫁修業も兼ねてなのだろう。

 王子の社畜のような仕事を出来たら手伝って欲しいともお願いされたそうだ。

 カタリーナさんにとって胃が痛い話だけれど、一度マカレーナへ帰ってご両親と相談してから改めて返事をするらしい。

 ご両親にとって自分の娘が未来の王妃になるなんて夢にも思っていないだろう。

 バルラモン家にとって大変名誉なことなのでダメとは言われないし、カタリーナさんの意志次第だ。


『おい! トイレはどこだ!?

 王宮は広すぎてわからんから漏れそうだ!

 マヤ! 連れて行ってくれ!』


 またも急にドアが開いたと思ったら、モジモジと下半身を動かしているアイミだった。

 サリ様との因縁だった時のようにお漏らしされて何かなったらかなわん。

 だがアイミのおかげで緊張していた場の空気が緩んだ。


「あー、わかった。じゃあちょっと行ってくるから。

 パティ。カタリーナ様と気晴らしに街へ行ってみたらどう?」


「そうですわね。カタリーナ様! お出かけしましょう!

 美味しい物を食べたら、きっと気分がすっきりしますよ」


「ああ…… はい」


 パティは元気が無いカタリーナさんの手を握り、お出かけに誘う。

 うんうん。持つべきものは友かな。


「じゃあ私たちは帰ります。明日、(うち)へいらっしゃるんですよね?」


「そうさせて下さい。うう…… ミカンちゃああん…… また明日ね……」


 シルビアさんがミカンちゃんの可愛い手を持ってバイバーイと手を振ってくれている。

 今晩の女王へのお務めはシルビアさんにこっそり話しているが、それさえ無ければゆっくり可愛がることが出来るんだがなあ。


『おおい! 早くしろ! おまえは美少女のお漏らしプレイが好きなのか?』


「ああああああもう! 行くぞ!」


 皆の前でとんでもないことを言うやつだ。

 私はアイミの手を引っ張って、すぐ裏にある女子トイレへアイミを放り込んだ。


---


 ――待つこと十数分。

 長いな…… 大きい方か? そりゃ漏れたら余計に大変なことになる。

 私はそっちのほうの気は無い。

 おっ やっと出てきた。


『ふうぅぅぅ 出した出した。スッキリしたわ』


「おい、一応レディなんだから露骨にそういうことを言うなよ」


『おまえしかいないからいいだろう。

 それに何度も交わった仲で私の身体の隅々まで知っているのではないか?』


「その少女の身体は知らんし、この国では倫理的にマズいわ」


 この国で成人の十五歳以上ならナニをしてもお咎めは無いが、十四歳以下については厳しくパティとのイチャイチャもややグレーなところがある。

 間違いを起こした場合はサリ教の教会でしっかりと再教育される。

 十四歳以下の相手が二十二歳以上なら牢獄行きだそうだ。

 何故二十二歳以上なのか曖昧だが、成婚している歳はそのくらいから多くなる。


『面倒くさいのう。ああ、出したら腹が減った。どこか美味い店へ連れていけ』


「そういえば昼食を食べてなかったのか?

 飛行機から降りていつの間にかどこかへ行っていたようだが」


『図書館を探していてな。

 その辺の女中(じょちゅう)を捕まえて案内させたが帰りは一人で迷ってしまった。

 人間の魔法は面白いものがたくさんあるな。

 夢中になって、片っ端から読んでみんな覚えたわ』


「おまえそんな頭が良かったのか。ああ…… 神様だったな」


『おい…… 私を今まで何だと思っていたんだ』


 アイミは呆れ顔で私を見ている。

 ずっと魔女っ子、ごくたまにナニをする時だけアーテルシアだったから神様なのを忘れていた。

 トイレの前でいつまでも話をするのは何なので、街へ出掛けることにした。

 そろそろティータイムの時間なので私も小腹が空いてきた。

 それならばあの店が良いだろう。アイミもきっと気に入るはずだ。


---


 前にモニカちゃんとのデートで行ったことがあるジャンクフード店に来た。(第百九十五話参照)

 いろんな種類を挟んだ小さなパンサンドだから、アイミならきっと気に入ることだろう。

 私は適当にたくさん頼んで山盛りのようなパンサンドをアイミに食べさせた。


『おおっ 美味いな! これもだ!

 うむ、ツナマヨトマトは気に入ったぞ! もっと頼め!』


 身体のサイズに似合わずどんどん口に放り込んでいる。

 まるで口にデモンズケートが現れたように見えてゾッとした。

 それでも安上がりな食事で、山ほど食べても銅貨六枚ほどで済んだのは有り難い。


「なあアイミ。おまえも魔族の国へ行ってみるか?」


『ああ、昔は母上が大戦をしたという国だな。

 興味はあるから行ってやっても良いぞ。

 母上を追い払ったというやつも見てみたい。

 まだ生きてるんじゃないか?

 名前は知らんがよくいる魔王みたいなやつだ』


 やっぱり魔王はいるんだな……って、宇宙全体にはよくいるものなのか?

 敵であるエリサレスの娘を連れて行くのは少々不安だが、浄化しているから何とかなるだろう。

 アイミがアスモディアで何かアクションを起こすきっかけになるかも知れない。

 ――で。


『あう…… 腹一杯食べたら眠くなってきた……』


 アイミは頭をコックリコックリと舟をこぎ、しまいにはテーブルに突っ伏してしまった。

 見たまんま子供かよ。

 仕方が無いので、背負って飛んで王宮まで帰る。


---


 王宮のいつも使ってる部屋へ戻り、爆睡しているアイミの魔女っ子ローブと帽子だけを脱がせてベッドへ寝かせた。

 たぶんアイミの部屋も用意されていると思うのだが、今晩だけなら面倒なのでここでいい。

 もう夕方になってしまった。

 夕食はまたガルシア家の皆と食事することになっているが、まだ時間がある。

 さてどうしたものか。

 気分的に少し疲れていたので椅子に座り、しばらく頭を空っぽにしてボーッとしていた。


 コンコン「失礼しまあす……」


 モニカちゃんだった。

 このタイミングで来るのは、王宮のどこかでメイドネットワークの誰かに見られていたのだろう。


「あ、やっぱり戻られていたんですね。

 魔女の子をおんぶしていたって聞いたから、アイミちゃんはどこに?」


「前にモニカちゃんと食べたお店へ連れて行って、その場で寝ちゃったからそこのベッドで休ませてるよ」


「――悪戯(いたずら)してないでしょうね?」


「するかっ 彼女は可愛いけれど、俺はこのような少女に興味が無い」


「へー パトリシア様とはお付き合いが長いんですよね。

 マヤ様は発育さえ良ければ十二、三歳の子でも構わないんですね。ふぅーん ほー」


 パティが一番身近なのに忘れていた……

 出会った頃は十二歳で、少女のあどけなさの中にある大人に芽生え始めたふっくらとした雰囲気にゾクゾクした覚えがある。

 ある意味最も危険な香りがする年頃だったが、十五歳まであと数ヶ月の今は成長して立派なレディになりつつある。


「チュ、チューだけしかしてないぞ」


「私にもチューしてくださいよぉ」


 私が椅子に座った状態で、モニカちゃんは強引にキスをしてきた。


「はむ…… ん……」


 長いディープキスが続く……

 彼女は積極的で、しばらくぶりだから私の方が負けてとろけてしまう。

 キスだけで分身君がパキパキになっているのがわかった。


『あの…… お取り込み中で悪いけれど私もいるんだよ…… はぁはぁ』


「あっ エリカ様!」


「しまった。ペンダントを外すの忘れてた!」


『えー! 私も混ぜてよぉぉ!!』


 急にいちゃラブを始めるとエリカさんのペンダントのことをすぐに忘れてしまう。

 おかげでエリカさんは鑑賞系の変態に目覚めつつあるようだ。


「じゃあこれからお風呂に入りましょうよ。エリカ様も一緒に…… いひひ」


『え!? ほんと!? 是非! 絶対! お願いしますうぅぅぅぅ!!』


「ええ…… ますますエリカさんが変態になるだけだよ……」


 とか言いつつも、私はモニカちゃんにあっという間に全裸にされ、首に掛かっているエリカさんのペンダントだけが残る。

 それからモニカちゃんも、ランジェリーを鑑賞する間もなくパパッと脱いでお風呂場へ押し込まれてしまった。


 モニカちゃんに身体を一通り洗ってもらうが、エリカさんは興奮しっぱなしのようだ。


『まるで私がモニカちゃんに洗ってもらってるみたい…… はぁはぁ

 モニカちゃんが目の前に…… ああああああたまらん!』


 なるほど。半憑依したように見えるのか。

 いろんな漫画やアニメでは乗り移ったり動物になったりして女の子とお風呂に入るシーンを見たことがあるが、とても羨ましいと思ったものだ。


「じゃあそろそろ始めましょうか……

 その前にエリカさんのペンダント、失礼しまあす」


 私はお風呂用の椅子に座っており、モニカちゃんはしゃがんで対面になっている。

 モニカちゃんは、私の首に掛かっているエリカさんのペンダントを外した。

 何をやる気なんだ?


「それをどうするの?」


「えーっと、これをここにこうやってくくりつけて…… はい出来た!」


「ま、まさか……」


『モニカちゃん…… あなた天才よ…… お姉さん今日はどうかなっちゃいそう』


 なんと、私の元気な分身君にエリカさんのペンダントの鎖をグルッと巻き付けてしまった。

 これから事を始めると、エリカさんはとんでもない視点から見ることになる。


---


 事が済んだ。

 私たちの声より、エリカさんのほうがうるさかった。

 わかるよ。この世の事象とは思えないほどかなり強烈だったと思う。

 もしかしたら日本のビデオでそういう企画があるのかもしれない。


『あ あ あああ…… しゅごい…… しゅごしゅぎるうぅぅぅぅ……』


 それからエリカさんは沈黙してしまった。

 一瞬私と変わってもらいたいと思ったが、エリカさんのようにバイではないしそもそも男性役は誰?ってことになる。

 モニカちゃんはとても満足したようで、服を着た後は一旦部屋を退出してから夕食の案内にやってきた。

 アイミは変わらず爆睡しているから、そのままにしておこう。


---


 夕食はガルシア侯爵夫妻とパティ、カタリーナさんで。

 カタリーナさんの様子は元に戻ったようで、街で美味しいスイーツを食べたとかそういう話で持ちきりだった。

 なのに夕食も食欲が旺盛で、まあ元気があるのは良いことだ。

 二匹のおっぱいプリンは用意された部屋でいい子にしているらしい。


 フェルナンドさんは使用人とはいえ王宮内では客人なので別室で食事を取っている。

 一緒に食事をすれば良いと思うのだが、そこは主人と使用人のけじめらしい。

 叙爵前にガルシア家の皆と食事をしていた私はよほど特殊なのか。

 ヴェロニカとエルミラさんはたぶん兵士食堂で食事をしているだろう。

 あの二人はもう一心同体、以心伝心の仲だ。


「マヤ様、アイミちゃんはどうされたんですか?」


「あれから街へ食事に連れて行って、食べたら寝ちゃったんでモニカちゃんに部屋を用意してもらってそこで寝てるよ」


 パティがそう尋ねてきたので、私の後にモニカちゃんが控えているのでそういうことにさせてもらった。

 私の部屋で寝てるなんてことがパティに知れたら大事(おおごと)である。


---


 部屋に帰るとアイミはそのまま大爆睡中。

 エリカさんも沈黙したまま。

 はぁ…… ベッドは広いしアイミと寝るしかないな。


 ――忘れていた。

 今晩は女王へお務めしないといけない。

 モニカちゃんとハッスルしすぎたから、分身君はまた元気を出してくれるだろうか。

 まだ時間があるので、ランジェリーのデザインノートを取り出し、エッチな気持ちになりながらせっせと新たなアイディアを絞り出してラフ画を描いていった。


 そろそろ女王が準備出来ている頃であろう時間に寝室へお邪魔する。

 女王は私を興奮させるために努力を惜しまないが、今晩は前に要望していたワンピースのパジャマの下にベージュのややおばさんっぽいぱんつを履いていた。


「マヤさん…… こんなので良いの? あんまり可愛くないけれど」


「おお…… おお!」


 おっさん目線だと、同年代の女性と不倫をしているような背徳感さえあった。

 女王の方からもまとわりつくようなご奉仕で、分身君は元気になって無事にお務めを終えることが出来た。


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