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第二百三話 その後の日常 其の二十/お姫様ソファーで熱い夜を

※性表現にやや露骨なところがありますので、苦手な方は読み飛ばしても話の進行に影響はありません。

 前日にモニカちゃんとデート中にランジェリーショップ【アリアドナサルダ】で買い物をしているときに、モニカちゃんとエステラちゃんとで確執があった。

 モニカちゃんは大したこと無さそうだったが、エステラちゃんは思い詰めていた様子だったので早い内に話をしておこうと、夜遅くになってエステラちゃんが住んでいるポスラス家の五階から彼女の部屋へ入り、カウチソファー、俗に言うお姫様ソファーに二人で座って彼女に抱きつかれながらお尻を触っているという状況である。


 エステラちゃんはお姫様ソファーの上で抱きつき、お尻の話をした後は無言になってしまった。


「スゥー ふぅー スゥー ふぅー」


 私の胸元で、エステラちゃんの呼吸がだんだんと深くなってきた。

 緊張しているのか、興奮しているのか。


「こうしてると、すごく幸せ……」


 私はそれに応えなかった。

 私自身は、彼女に対して恋をしている感情が無い。

 そう思い込んでいるだけなのか、彼女との付き合いも長くなってきたので(じょう)が移ってきたのか、徐々に愛おしいという気持ちになってきている。

 恋をしていないが愛おしい、よくわからない感情だ。

 家族愛とは少し違う。

 やっぱりこの子のことを好きになりかけているのだろうか?

 こんなに綺麗で私のことを愛してくれる女の子がいて、しかも一夫多妻が可能なこの国だから、それだけならば拒む理由が無い。

 問題は結婚した後だ。

 何人も嫁を迎え入れようが、無責任なことは出来ない。

 パティのことは愛していると自覚しているし、すでに身体を交えたエルミラさんやジュリアさんのことも愛している。

 マルセリナ様は尊敬の気持ちが強いが、とても優しくて魔法の勉強を教えてもらっているうちに好きになってしまった。

 ヴェロニカは拳で語れる親友として好きだが愛している感情とは違う。

 だが長く付き合っていると、亡くなったエリカさんを除けば違う意味で最も身体を触れ合っており、私自身が気兼ねなく相手が出来る女性だ。

 その彼女と一緒にいたいという気持ちも、愛しているうちに入るのだろうか。

 そんなことを考えているうちに幾らか時間が過ぎ、その間もエステラちゃんは無言のまま抱きついていた。

 すると彼女は何か言おうとしているのを悩んでいるように、僅かに口をパクパク息をしながら開いていた。


「あの…… ねえ…… マヤ様……」


「何かな?」


「お願いがあるんです……」


「何だろう?」


「ええと…… 服を…… 脱いでもらえますか?」


「え? ああ…… うん」


 何のつもりだろう。服をくんかくんかと嗅ぐつもりだろうか。

 目の前でそんなことをするのはエリカさんぐらいしか思いつかないが……

 私はブラウスを脱いでソファーの背に掛けた。


「あの…… シャツも脱いでもらえますか?」


「ええ!?」


「お願い……」


 エステラちゃんは下を向いて目をそらし、言葉はそれだけだったが深く懇願しているように見えた。

 私は言われたとおりシャツも脱いでソファーに掛ける。

 エステラちゃんはゆっくりと、さっきと同じ体勢で抱きついて私の胸元に頬を当てた。

 私も彼女の肩を抱く。

 それからまた無言の時がどれだけ過ぎたろうか。

 私も緊張してきて何を話したら良いのかわからない。


「スゥー ふぅー スゥー ふぅー」


 部屋の中では、エステラちゃんの深い呼吸音だけ聞こえる。

 息が胸に当たっているのがわかる。

 少しこそばゆい。


「すごくドキドキしてますね……」


「うん……」


「マヤ様の胸、(あった)かい……」


 エステラちゃんは吐息をあげながら私の胸をゆっくり頬ずりをする。

 そんな彼女に色気を感じ、ゾクゾクッときてしまった。


「これが男の人の胸なのね……

 すごく硬いと思っていたけれど、思っていたより柔らかいのね。うふふ」


 私は鍛えているけれどボディービルダーのようにカチカチ筋肉ではないし、この国に来てからというもの美味しい物をたくさん食べているので、太ってはいないが多少ぷよっとしている。

 もしエルミラさんたちやヴェロニカと訓練をしていなかったら、間違いなくだるんだるんに太っているだろう。

 そのくらい食事が美味しいのだ。


「マヤ様の肌…… 石鹸のいい匂いがする。お風呂へ入ったばかりなのね」


「女の子に会うんだから、エチケットだよ」


 再びエステラちゃんは私の胸に頬をくっつけて黙り込む。

 私はまるで子供を寝かしつけるようにそのまま抱いていた。

 何分経ったろうか。

 エステラちゃんがモゾモゾと動き出したと思ったら、私の胸の突起を猫のようにチロチロと舐めだした。


「あいや…… ええ?」


 彼女は構わず無言で舐め続ける。

 当然初めてだろうから、決して上手ではない。

 女王であれば(むさぼ)るようなすごいプレイだから全く物足りないくらいである。

 しかし若いエステラちゃんの本能的な行動に何か愛おしさを感じた。

 なんだろう、この気持ち……

 赤ちゃんにおっぱいをあげているお母さん?

 いや待て待て。私は男だぞ?

 そんな気持ちになることがあり得るのか?


「んふ…… ん……」


 エステラちゃんの色っぽい声にドキッとする。

 その時、彼女の舌は動きを停めて顔をずらすと、もう片方の突起を舐め始めた。

 さっきまで舐められていた突起を見ると、明らかに膨らんでいた。

 自分の意志に反して身体の反応は素直である。


「はぅっ…… ぁぁ……」


 しまった。気持ち良くなって思わず声を出してしまった。

 それに反応したのか、エステラちゃんは舐めるのをやめた。

 彼女は無言のまま、ほんの僅かに微笑み私を見上げた。

 十数秒見つめられた(のち)、意を決したかのように私の太股に馬乗りになって両手を私の肩に置いた。

 今晩はエステラちゃんのしたいようにさせよう。


「この前の……」


「うん?」


「この前のような…… 熱いキスをして下さいますか?」


「いいの? あの時はキツかったように見えたけれど……」


 エステラちゃんはコクッと(うなず)いた。

 この前というのは、エリサレスが現れる前のことだから何ヶ月前だろう。

 インファンテ家の屋敷にあるレイナちゃんの物置部屋で、エステラちゃんに熱いキスをして彼女がびっくりし、半泣きで部屋を出て行ったことがあった。(第百六十一話参照)


 私はエステラちゃんの肩を抱き寄せ、目を閉じる。

 最初は唇を触れるだけの軽いキスをする。

 何度か触れたり離したりを繰り返し、徐々に唇をはむはむと挟むキスにしていく。

 壊れてしまいそうな薄くてしっとりとした唇……

 大事に大事にキスをした。


 次は舌先だけを出して、首を少しだけ動かしながら唇を舐めるようにキスをする。

 彼女のぷるぷるとした唇の感触がわかる。

 エステラちゃんもつられて舌先を出してきた。

 お互いの舌先をつつき合ったり、舌先同士をくるくると回しながら舐め合う。

 ふふ…… 彼女も調子に乗ってきたのかな。

 そろそろ本番といこうか。


 私は左手を彼女の腰にやり、右手は彼女の左手を絡ませギュッと恋人繋ぎ。

 それが合図になり、私は舌を伸ばして彼女の口の中へ押し込んだ。



(エステラ視点)


 とうとうマヤ様が本気を出してきた。

 むぐっ ぐぐぐっ

 歯の間を割り込んで舌が入ってくるぅぅ!

 ななな…… なに!?

 舌先のキスの時とギャップがあり過ぎるわ!

 二回目だから今度は大丈夫だと思って挑んでみたけれど、この前よりもっとすごい……

 舌が…… 舌が…… 口の中でぐにょぐにょと暴れてるよぉぉぉ……

 歯と歯茎にもマヤ様の舌がモゾモゾと這いずり回ってるうぅぅぅ……

 唇に吸い付かれて、食べられちゃう!

 ああ…… ああああああ……

 私の舌の裏側にマヤ様の舌がああああああ!!

 気持ちいいいい!!

頭がぐるぐる、真っ白になっちゃううぅぅぅぅ!!

 だめぇ! 許してえ! うううううう!



(マヤ視点)


 エステラちゃんも必死に舌を動かしていたけれど、途中で止まっちゃったなあ。

 目を(つむ)ってキスをしているから、ちょっと開けてみるか……

 あれ……??

 涙…… 泣いてる!?

 それを見て私はそろりと唇を離した。


「ううう…… グスン…… うぇぇぇぇぇん!」


「あらららら。やっぱりキツかったかなあ。ゴメンね……」


「ひっく…… ひっく…… うぅぅぅぅ……」


 前回のディープキス後に半泣きだったエステラちゃんだが、今回は本気で泣かせてしまった。

 女王に激しいディープキスをされた時は私もびっくりして頭がどうかなりそうだった。

 すごいんだよ。舌がぐりゅんぐりゅんのいんぐりもんぐりなんだよ。

 エステラちゃんにはそこまで激しくしたつもりはなかったが、いくら耳年増(みみどしま)でも性行為経験がない十五、六の女の子にはショックだったのだろう。

 それにこの子は繊細な心の持ち主かと察していたが、今回のことで間違いない。


「ううう…… ごめんなさい。私ってダメね……」


「びっくりしたんだね。大丈夫かと思ったけれど、調子に乗りすぎたかな」


「ううん…… お願いしたのは私だから……」


 私はエステラちゃんの隣に寄り添い、手を握った。

 彼女は私の肩に頭を寄せる。

 落ち着くまでまた無言で幾らか時間が過ぎた。


「マヤ様…… 他の女性ともあんなことをしてるんですか?」


「ああ…… まあ…… そんなところで……」


「大変なんですね、男女の営みって。

 これより先に進むのってますます想像がつかなくなったわ。

 でもみんなそういうことをして赤ちゃんを産んでいるんですものね」


「焦らなくても、君のペースでいいんだよ」


「でも悔しいわ。あの子(モニカ)に遠く及ばないなんて」


「競争じゃないんだから、そういうことは考える必要無いよ。

 私は誰が一番好きで二番目が誰なんて考えていないし、こうして二人で過ごせる時間が大事なんだ。

 君さえ良ければ時々この部屋へお邪魔するけれど、いいかな?」


「勿論…… 勿論お願いしますわ!」


 エステラちゃんの表情がパァァッと明るくなった。

 薄暗い部屋だけれど、彼女の綺麗な顔がはっきりわかる。


 誰が一番好きとは考えてないとは言ったが、本音を言うと少し違う。

 ガルシア家との義理もある頭脳明晰なパティとは私の将来的に最も重要な子だ。

 シルビアさんは妊娠させてしまった責任感があるが、懐が深くとても尊敬している女性である。

 ジュリアさんは、マカレーナにいるときでは最もエッチの回数が多い。

 エルミラさんは、いい匂い過ぎて離れたくない。

 ヴェロニカは親友のようだし、ビビアナは最も飯が美味く、ルナちゃんは細かいところに良く気がつき下着を汚していても黙って洗ってくれる。

 それぞれいろんな好きなところがあるので単純に比べられない。


 エステラちゃんはソファーからゆっくり立ち上がると、私の前で立つ。

 また何かを企んでいるような小悪魔的な微笑みをしていた。


「マヤ様、私はまだまだでした。今晩はここまでにしておきますね。

 でもあと一つ見て頂きたいものがあるんです」


「何だろう?」


 エステラちゃんはワンピースパジャマのスカートの裾をゆっくり持ち上げた。

 やっぱりそっちか……

 白くて美しい太股が見え始めると、わかっていてもゾクゾクしてくる。

 そして見えてきたのは……


「あっ そのぱんつは!?」


 モニカちゃんとデート中に、アリアドナサルダでエステラちゃんが手にしていた薄いピンク色のぱんつだ。

 私がデザインしたもので、後はフルバック、前の方は繊細な透かし彫り模様のレース。

 透けて見えるはずのものが、エステラちゃんが履いていると見えない。

 そうか…… エステラちゃんは…… ぐふふふふ


「何ですか? その顔…… 私の下着姿がそんなに魅力的?」


「そうだよ。エステラちゃんには似合いすぎて、作った甲斐があったよ」


「ありがとうございます。うふふ」


 本来前が透けて見える方がセクシーだからこのぱんつの良さになるんだが、見えなければ見えないで想像力が湧いてくるものなんだな。

 あれ? 下の方、あんなに色が濃かったっけ? もしかして……


「マヤ様。少しあちらを向いて頂けますか?」


 私は言われたとおり後を向く。

 すると、ゴソゴソ…… スルスル…… パチンという音がした。


「もういいですわ」


 前を向くと、エステラちゃんはさっき履いていたピンクのぱんつを手に持っていた。

 ぱんつを脱いだ? ということはワンピースパジャマの下は……


「マヤ様のせいで下着を汚しちゃったから、新しい下着に履き替えました。

 お気に入りだったけれど、こんなの恥ずかしくて洗濯に出せません。

 だからマヤ様に差し上げます」


「あ…… ああ…… うん」


 エステラちゃんがスッとぱんつを差し出すので、思わず受け取ってしまった。

 うわっ すごく湿っている。

 あのキスでこんなことになっていたのか……

 こんな状態のぱんつを渡す彼女はどこか頭のネジが外れていないだろうか。


「わ、私は自分で洗濯が出来ませんから……」


 エステラちゃんは顔を赤くして目をそらした。

 濡れたぱんつを差し出す方がよほど恥ずかしくないか?


「じゃ、じゃあ…… そろそろお(いとま)するね。

 ぱんつのお土産をありがとう。

 この前もらったものと一緒に大事にするよ」


「持ってて下さってるのね。嬉しいわ。うふふ」


 私はエステラちゃんの部屋の窓から、街の明かりも多くが消えた夜中の空をそろりと飛んで王宮へ帰った。

 このぱんつが新鮮なうちに、使()()ぞ!


---


 王宮の私の部屋。

 シーンとして、当然私一人だけだ。

 全裸になって、エステラちゃんのぱんつを片手にベッドへ大の字になって寝転ぶ。

 しゅ、しゅごい……

 びっしょり濡れてベトベトだ。

 これじゃあ給仕さんに洗ってもらうのも恥ずかしいよな。


 後でこのぱんつをどうするのか考えなければいけないが、まずは使()()

 この晩は人生最高の一人悶々が出来た。


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