第二百一話 その後の日常 其の十八/再びアリアドナサルダへ
モニカちゃんとデートをした翌朝の話である。
寝ている彼女を負ぶって飛んで連れ帰り、そのまま私のベッドに寝かせて私も隣で休み、朝になった。
(モニカ視点)
う…… ううん……
んん? ここって…… マヤ様の部屋?
あっ 隣にマヤ様が寝てる。
飛んでる途中でそこから記憶が無いから……
そっかあ、マヤ様が連れて帰ってくれて私はここでそのまま寝てたんだね。
……今何時かな…… 壁掛け時計は五時過ぎになってる。
ああ良かった。給仕長の点呼は六時だから遅れてしまったら怒鳴られるところだった。
さて…… 起きないと……
「ふわぁぁぁぁ~」
ふふ。マヤ様の寝顔ってやっぱり可愛い。
およよ? 布団のこんもりはもしや?
私はマヤ様の掛け布団をそろりと捲ってみた……
やっぱり! これが噂に聞く朝立ちかあ~
すっごーい。パジャマのズボンがまるで火山のようにそびえ立ってる!
……中はどうなってるのかな。
よしっ 脱がしちゃえ。
うんしょ…… 引っかかって脱がしにくいなあ。
ぽろん
おっ 出てきた出てきた。
ふえぇぇぇ…… こんなになっちゃって…… ちょっと触ってみるか。
もにもに
あれ? 私としてるときより硬いのはなんで?
私と違う女の子とエッチなことしてる夢を見てるのかな?
なんか悔しいなあ。
おっと、こんなことをしちゃいられない。
早く部屋に戻って着替えて朝の仕事の支度をしないと!
---
(マヤ視点)
ああ…… うう……
朝か……
んん…… 何だか下がスースーする。
……おお!? 何で分身君が丸出しになってるの?
自分で勝手に脱いで…… いや、一緒に寝ていたはずのモニカちゃんがいない。
さてはモニカちゃんの仕業か?
でも分身君がぱっきんぱっきんに元気だからそれ以上なことはされていないと思う。
分身君と見つめ合う。
……トイレに行って萎ませよう。
私は軽くシャワーを済ませてから着替えた後にタイミング良く、何食わぬ顔をしてモニカちゃんが部屋に入ってきた。
「おっはようございまあす!」
彼女はいつもの給仕服に着替え、片手にはお盆にサンドイッチを乗せていた。
モニカちゃん手作りの、マッシュポテトとトマト、レタス、チーズを挟んでいる私が大好物なサンドイッチである。
あまり余計なことを言って機嫌を損ねてはならない。
何だか負けた気がするが、分身君丸出しよりサンドイッチのほうが大事なのだ。
「やあ、おはよう」
「今日はお出かけなんですか?」
「昨日は元々アリアドナサルダへ行く予定が無かったから、午前中はアリアドナサルダへ新しいデザイン画を渡しに行くんだよ。
お昼ご飯は外で済ませてくると思う。
午後は部屋で下着のデザインを考えるよ。
稼ぎの種はまだこれしかないから、しっかり描きためておかないとね」
「じゃあ私がモデルになりましょうか? にっひっひ」
「私はモデルを使うより頭の中で考える方が好きなんだよ。
ああ、もしモデルをしてもらうんだったら、部屋を明るくしてベッドの上より恥ずかしい格好で…… こう…… パックリと」
私は手振りで妖しいパックリを表現する。
並の女の子ならば顔から火で出る恥ずかしさだ。
「パ…… パックリ!? それは恥ずかしいので…… 遠慮しておきます……」
マカレーナのアリアドナサルダ店長ミランダさんは、店長室でパックリポーズをしてくれたからなあ。
あれはすごかった。
最初はヤバい人かなと思ったけれど、後で思い出してエッチなランジェリーのインスピレーションがどんどん湧いてきたよ。
ミランダさん、さすがベテランだわ。
モニカちゃんにお茶を用意してもらって、サンドイッチを一緒に食べる。
二人だけの時ならメイドでも後で控えさせないで、一緒に食べてもらうことにしている。
そのほうが食事が美味しいからだ。
「さて、アリアドナサルダの開店時間まで時間があるから何をしようか……
デザインを考えるしかないよな」
「だったらマヤ様。昨日のデートのお礼をさせて欲しいんですが……」
「ん?」
「一旦カーテンを閉めますね」
モニカちゃんは部屋のカーテンを多少光が漏れるくらいに閉めて、ベッドの前に立つ。
そしてシュルシュルと給仕服を脱ぎ始めた。
「あの……??」
「ほら、昨日買ったランジェリーを着けてみたんです。
本当は洗ってからにしたかったけれど、誰かが触ったバーゲン品じゃなくて綺麗だからまあいっか。見て見て!」
それは私がデザインしたロベルタ・ロサリオブランドのランジェリーで、ブラとショーツの上下黄色。
ショーツは腰が二本線になっており、後はレースをあしらったほぼTバック。
ブラはショーツのデザインに合わせて軽くレースをあしらった極標準的なものだ。
特にモニカちゃんみたいな若い子には似合うだろう。
彼女の金髪にも合って一体感の美がある。
後も見てもらおうとクルリと回る。
相変わらず張りがあって綺麗なお尻だ。
「うーん、思った通りだね。
モニカちゃんみたいな女の子をイメージしたからよく似合ってるよ」
「やったあ! 嬉しい!!」
モニカちゃんは下着姿のまま私に抱きついた。
ああ…… いい香りだ。
下着姿の金髪美少女に抱きつかれるなんて、未だに非現実的に感じる。
するとモニカちゃんは私のシャツのボタンをスルスルと外していく。
「お礼はこれからですよ。ふふふ」
あっという間に全部服を脱がされ、分身君はパキパキに元気になっていた。
モニカちゃんが分身君をもにもにする。
「わあ、すごい。今朝と同じくらいになってますね。嬉しいなあ。」
「今朝はやっぱりモニカちゃんがパジャマを脱がしたんだね」
「あ! 慌てていたから履かせるの忘れちゃった。てへっ」
「はぁ……」
「せっかくのランジェリーがもったいないけれど、もう脱ぎますね……」
それからはモニカちゃんと大バトルだった。
声が女王やシルビアさんに聞こえてないだろうか……
---
モニカちゃんとの一戦を終え、開店時間を見計らってアリアドナサルダへ向かう。
レジカウンターへ向かうと、昨日に続いてカロリーナさんがレジ係をやっていた。
「おはようございます。代表はいらっしゃいますか?」
「あらっ おはようございます、マヤ様。
代表なら執務室にいらっしゃいますよ。
今日は新しいデザイン画をお持ちなんですか?」
「ええ、マカレーナで考えてきた分をいくらか」
「商品が出来上がるのが楽しみですわあ。
ほとんどボツにならないで商品化されてしまうのがマヤ様の凄いところですよ。
さあどうぞ、こちらへ」
カロリーナさんがレジ裏のドアを開けてくれたので、社員のように悠々と入る。
お店の裏には事務室と小さな縫製室があり、縫製室にはベテラン職人のおばちゃんが数人で下着の手直しをしたりここで試作品を作ることもある。
商品の下着は別の場所にある工場で作っており、インファンテ伯爵が管理者なのだ。
おばちゃんたちとも顔見知りになっており、休憩時間にはたまにお菓子をくれる。
今日の目的はロレナさんに会うことなので、まっすぐ執務室へ向かう。
---
コンコン「失礼します」
「マヤ様! いらっしゃると思ってましたわ!
さあさあお掛けになって」
ロレナさんはデスクから立ち上がり、自らお茶を用意してくれる。
私はソファーに座って待っている。
二人分のお茶が用意できるとロレナさんは対面の席に座った。
タイトスカートから覗く白くて美しい太股の間からぱんつが見えそうで見えない。
私の目線を察したロレナさんは僅かにニヤッとさせ、少しだけ脚を開く。
おおっ 今日は紫だな。チラリズムは芸術だ。
私のムッツリスケベを理解してくれる数少ないお方である。
「それではマヤ様、デザイン画を拝見させて下さいまし」
「はい、どうぞ」
ロレナさんは、渡したデザイン画を描いたノートのページを捲りながらフンフンと少々興奮気味で見つめている。
今回も力作を多く描き上げたつもりだけれど、ロレナさん的にそこまで期待してくれているのは嬉しい。
彼女は一通り見終えると、左手で鼻を押さえて上を向く。
「ふがふが…… す…… すごいですわ。鼻血が出そうです。
特にこれは何ですの?
ショーツからしっぽのようなものが出ていますが……」
「これは猫耳族の女の子を模したデザインになっています。
さらにこの猫耳カチューシャを頭に着ければあなたも猫耳族。
いつもと違った気分を男性パートナーに感じさせることが出来るでしょう」
「なっ…… 猫耳族……
身近なのに何故今まで思いつかなかったのかしら……
マヤ様は天才過ぎます……」
猫耳族ランジェリー。
ブラとショーツとも白くふわふわになっており、ショーツからしっぽが伸びている。
白い猫耳カチューシャもセットの、いわばコスプレランジェリーだ。
実際には、猫耳族の体毛は髪の毛と尻尾だけで後は人間族と同じだが、雰囲気を出すために少々ふわふわにしてある。
モニカちゃんか…… いや、パティが一番似合いそう。
おっと私も鼻血が出そうだ。
ビビアナに履かせたら二本のしっぽで妖怪猫又になってしまう。
……試作品が出来たら、ロレナさんも着けるのかな。
「ありがとうございます、マヤ様。早速試作品を作ってみますわ。
それで今日は、前回お持ち頂いた試作品が出来ましたのでご覧頂きたいんですの。
支度をしてきますので、少々お待ち頂けますか?」
「はい、わかりました」
ロレナさんは一旦執務室を退出する。
支度って…… いつもなら試作品が入った箱を持ってくるだけなのに。
いや、前にロレナさんとレイナちゃんがスカートを捲って見せてくれたことがあったんだ。
まさかまさか……
でもレイナちゃんは今日学校へ行っているはず。
ロレナさん一人かな。
妖しい雰囲気になって二人でどうにかなっちゃうのかな。むひひ
---
思っていたより時間がかかり、二十分以上経ってからロレナさんが執務室へ戻ってきた。
なんとカロリーナさんまで一緒である。
「お待たせしました。着替えてましたので時間が掛かってしまいました」
「着替え?」
「ええ。マヤ様に試作品をご覧頂くので、更衣室で着替えてきたんですの」
「私も、別の若い子とレジを交替して着替えてきました」
「ほっ ほえ!?」
こ…… これはとんでもない展開になってきたぞ。
カロリーナさんもスカートを捲るの?
人妻ですよ? ロレナさんもそうだけれど、ちょっと変わった人だし……
「今日はショーツとブラの上下セットをマヤ様にご覧頂きますね。
さっ カロリーナさん。準備はいいかしら?」
「はい」
「あのカロリーナさん? 何がどうして? ぇえ?」
「本当は恥ずかしいんですけれど、マヤ様のためなら頑張ります!」
「ぉおぉおぉお!!??」
ロレナさんとカロリーナさんは私の前に立って、静々と服を脱ぎ始めた。
脱いだ服はソファーの上に置いている。
ロレナさんのほうが早く脱ぎ終わり、ブラとショーツだけの姿になった。
「マヤ様、いかがかしら?」
ロレナさんのブラとショーツの色はベージュをベースにグレーが入った落ち着いた色である。
三十代から四十代向けには良いだろう。
ショーツはややローライズであるが普通のデザインで、サイドをレースであしらい、へその下のワンポイントには宝石っぽいガラスの飾りがあり、安価ながら高級感を持たせている。
ブラは肩紐無しで、恐らくこの国では初めての物である。
庶民を中心にブラの代わりに柔らかい布でサラシ巻きをする習慣もあるようだが、それを徐々に移行しやすいように前世で見かけた物を取り入れてみた。
「ロレナさん、とてもお似合いです。大人の女性に求める物はこれですよ」
「うふふ。よかったわあ」
色白でやや細身のロレナさん、三十七歳とは思えないほどの肌の美しさ。
アマリアさんのド迫力ボディとは裏腹に、雪の精霊のようだ。
私は、隣でカロリーナさんが服を脱いでいるのも忘れ、うっとりとロレナさんを見つめていた。
「あらら…… 若い人にジッと見つめられるなんて恥ずかしいものですね」
パンチラや娘のぱんつを私に見せてまでして、今更何を……
そしてカロリーナさんが服を脱ぎ終えた。
二十代前半の女性らしく、可愛らしさ且つ大人の女性を演じるために黒をベースにした赤白の薔薇柄のブラ&ショーツである。
この柄はローズガーデンとも言う。
「私がこんな可愛いものを着けて、似合うのかな……」
カロリーナさんは少しばかり頬を赤く染めた。
いつも見慣れていた彼女の下着姿を目の前で見ることが出来るなんて、感無量だ。
まだ二十四歳だから、旦那にも喜ばれるだろう。
すまんな旦那さん。奥さんのツルツルお肌をしっかり拝見させてもらいました。
彼女からほんの少しだけ甘いミルクのような女の子の香りがして、理性が無かったら飛び込んでしまいそうだった。
「カロリーナさんだからこそ似合うデザインなんですよ。
これからまだ女を磨いていく時ですから」
「そう言われると、とても嬉しいです。自信が持てました。うふふ」
笑った顔がとても可愛いカロリーナさん。
雰囲気がガルシア家のローサさんに似ているが、ずっと眺めていたい笑顔だ。
「マヤ様が思っていた通りの仕上がりのようですわね。
早い内に商品化しましょう」
ロレナさんは商品化にやる気満々だ。
二人の下着姿を目の前に、モニカちゃんと一戦交えて賢者モードになってて良かったよ。
でも今晩のおかずに使えそうだ。




