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第百八十一話 陞爵/色欲 luxuria

長かった第五章の最終話です。


2024.5.25 軽微な修正を行いました。

 王宮滞在二日目。

 もう魔物が出てくることが無いので、女王からの処遇待ちの時間を利用して部屋で下着のデザイン画作成に専念する。

 エッチなぱんつは元からアリアドナサルダにたくさんあるので、もっと実用的且つカラフルなぱんつのデザインを考えているのだ。

 今は、エルミラさんやヴェロニカのようなスポーツ女子が似合う下着をイメージして、レディースボクサーパンツやレディースブリーフのデザインを描いている。

 副産物として男の子用の下着も考え、一粒で二度美味しい。

 その間モニカちゃんが付きっきりなのは退屈だろうし私も仕事に集中したいから、部屋掃除の後は十時と三時のティータイムだけ来てもらって、他の給仕係の手伝いをしてもらうことにした。


 一通りデザイン画を描き終え、久しぶりに充実した仕事日和になった。

 エリカさんが亡くなってまだ数日しか経っていないが、悲しみを覆い被せるように精を出して仕事を進めた。

 決してエリカさんのことを忘れようとしているのではない。

 いつでも胸のペンダントのエリカさんと一緒にいる、そんな気分だ。


 お風呂タイムは前日と同じくモニカちゃんにシャコシャコと洗ってもらう。

 その後はベッドの上で運動会。

 若くして性欲が強い女の子は内面的に異性の相手を好きになっているのか心配になってくる。

 ましてモニカちゃんやジュリアさんは過去に苦い経験を持っているにもかかわらず性的な欲求が先に現れている。

 いくら口で愛していると言われても、本当に私の中身が好きになってくれているのか。

前世では冴えない男が、急に女の子が周りにたくさんいるようになって、いつの間にか自分に都合良い解釈をしてしまう。

 いや、私は彼女らのことずっと見てきたはずだ。

 みんなと自分を信じるしかない。


---


 昼食と夕食はいつものようにシルビアさんと二人きりで取った。

 食事中、シルビアさんがこう言う。


「マヤさん、今晩は陛下のお相手をして差し上げて下さいますか?

 どうしても我慢できないみたいなんです」


「はぁ…… わかりました。

 いつも思うんですが、本当にいいんですか?」


「大丈夫ですよ。ご心配なく。

 陛下は私たちに気を遣って前よりご遠慮下さってますから。

 それに陛下のお歳ではいつまでも続きませんよ」


「……シルビアさんも案外いじわるなんですね。ふふ

 でもあの陛下だとあと十年くらい頑張りそうですよ」


「うふふ。そうかもしれませんね。

 私も十年経てば四十五ですよ。

 その時もマヤさんは愛して下さるのかしら。うふふ」


「シルビアさんはすごく綺麗だし、きっと良い歳の取り方をしますよ。だから大丈夫です」


「ふふふ。ありがとうございます」


 そんな、二人っきりでないととても話せない会話を楽しみながら夕食を終えた。

 女王はともかくシルビアさんの四十五歳ってどんなふうなんだろうなあ。

 日本の女性俳優さんも四十代で綺麗な人が多かったし、シルビアさんもそうなりそうな雰囲気である。


---


 その晩、夕食を終えて間もないのにシルビアさんからお呼びがかかり、女王の部屋へ向かう。

 こんなに早い時間に、どれだけ欲求不満だったのだろうか。

 女王の寝室へ入ると、女王はこれまたエッチなランジェリーを身に着けていた。

 ブラもぱんつも赤で、おっぱいと三角地帯がほぼ透明の丸見えセクシーランジェリーだった。

 そこまでしなくていいってば。

 私を興奮させたいのか、女王自身が気分を高めるためなのか。

 このランジェリーを王宮まで訪問販売してきているのは自身が股割れぱんつを履いていたロレナさんだからわかるけれど、私と女王が交わっているのを知らないのにどういうつもりで薦めてきてるんだろう。


「マヤさん、早くいらっしゃい。うふふ」


 女王はベッドの上で、大股開きのエッチなポーズで誘っている。

 私の分身君は素直に反応し、たちまち元気になった。


「はぁぁ うぅぅ やっぱり若い男の子っていいわねぇぇぇ」


 女王は枕を抱えお尻を突き出すという、彼女の普段にしてあられもない格好で分身君を迎え入れている。

 ここからアウグスト王子、マルティン王子、ヴェロニカが順に産まれてあんなに大きくなったんだなと思うと、女性の神秘を感じる。

 シルビアさんや、他の女の子たちが子供を産んでくれてから行為をしているときもそう思うのだろうか。


 女王へのおつとめはたっぷり百二十分コースだったが、時間が早かったので今晩もシルビアさんとゆっくり出来そうだ。

 枕元でピロートークが始まる。


「マヤさん…… 今晩も素敵だったわあ。

 また次が楽しみね。ふふふ

 そうそう。明日の午前中にお話がありますから、楽しみにね。朗報よ」


 エリカさんと私の処遇についてか。

 朗報ならば直接ではないだろうが毎回のおつとめも甲斐があったものだろう。

 女王のことは愛していないが好感は持っているので、私や周りの人が良い方向へ行くのならば男娼の真似ごとだってやってやる。


 一度自分の部屋へ戻ってシャワーを浴び、おつとめの汗を流す。

 それからシルビアさんの部屋へ行く。

 彼女は椅子に腰掛け、本を読んでいた。


「お疲れ様でした。今日はいかがでしたか? ふふふ」


「えっ? あいやあ、いつも通り頑張ってきました……」


 シルビアさんがニコニコしながらの突拍子もない質問でとても困惑したが、自分もそのノリで答えてしまった。

 普通に考えて、別の女の人とエッチなことをした後に恋人からどうだったかって質問されるのは頭のネジが外れている。

 だがもう慣れっこだし女王と三人でプレイした仲だからこその特殊な事情である。


「明日の午前中に陛下からお話があるそうで、それが終わってお昼ご飯を食べたらマカレーナへ帰ろうと思います」


「そうですか…… また寂しくなりますね。

 今度はいつおいでになりますか?」


 シルビアさんは少し悲しい表情だった。

 まだ結婚はしていないが子供は出来ているので、身重で相手の私が通い婚ではなかなか(つら)いだろう。


「今回は急だったから、一ヶ月に一回のつもりなのでまた半月後ぐらいでしょうか」


「良かった。離れて暮らすのは寂しいですが、また会えた時の喜びは格別ですね」


「本当にそうですね。

 マカレーナに帰っても、シルビアさんどうしてるかなっていつも考えてますよ」


「まあ、嬉しい。あちらはパトリシア様や王女殿下の他にもいらっしゃいますから、マヤさんの頭の中は女性のことでいっぱいですね。ふふふ」


「うう…… 何と言ったら良いやら…… あははは」


 この会話を知らない人が聞いたら、私はただの女たらしだな。

 だがたくさんの女性と出会って、ハーレムみたいにズラリと(はべ)らすことは無いからなあ。

 それこそグアハルド侯爵の六人の奥さんがすごかった。

 私はそこまで(はべ)らせたく強い願いはないが、パティとカタリーナさん、レイナちゃんたちの三人とお茶会をしているだけでも夢の花園にいる気分になる。


「さあマヤさん。ベッドへ行きましょう。

 今晩はもうひと頑張りして下さいまし。うふふ」


「???? はい!」


 思わず元気よく返事してしまったが、やはりシルビアさんは女王だけに良い思いをさせるのは悔しいのだろうか。

 彼女も性欲が強いのは知っているけれど、百二十分サービス後の強制プレイはある意味意地悪な罰のようにも思えた。


---


 翌朝はシルビアさんの部屋から早めに自分の部屋へ戻る。

 僅か十分後にモニカちゃんが部屋へやって来た。

 まだ朝食の時間には早いのに、何をしに来たんだろう。

 だがトレー片手に生ハムパンを二人分持って来ていた。


 ――コンコン


「まあやさまっ おはようございますぅ!」


「うおっ!? おはよう……」


「あれれえ? すごく驚いて、何かあるんですかあ?」


「いやあ、何でこんなに早いのかなあって」


「そんなの決まってるじゃないですかあ。

 今日はマカレーナへお帰りになるんでしょう?

 マヤ様成分をたくさん吸いに来たんですよ。いっひっひ」


「ああ…… ますますエリカさんに似てきたね。

 エリカさんのぱんつはどうしたの?」


「はい! ゆうべはしっかり堪能してきました!

 絶対に洗いません! 私の家宝にします」


「そ…… そうか…… 大事にね」


 華美だけにそのうちカビが生えそう。ぷぷ

 洗って自分で履いた方かいいんじゃないのかね。

 とアドバイスをしておいた。


「クンクン…… マヤ様からいつもと違ういい匂いがしますねえ。

 なんですかこれ?」


「クンクン…… そうかなあ? 自分にはわからないけれど」


「まあいいや。お風呂に入ってさっぱりしましょう」


 とぼけてみたけれど、きっとシルビアさんの移り香だ。

 少しミルクっぽい良い匂いがするのだ。

 これがルナちゃんだったらしつこく追及されるかも知れない。

 ああ、恐ろしい。


 お風呂シャコシャコ洗いと、ベッドの上で運動を無事に終える。

 はぁ…… みんな性欲が強すぎるだろ。


「朝に愛し合うのも、一日の活力がみなぎってくるようでいいものですね!」


「うん、そうかい? それは良かったよ……」


「えー? なんかあまり嬉しそうじゃないみたいですね」


「うんや…… 気のせいだよ。ハッハッハッ!」


 女王とシルビアさんを相手にして、さすがに一晩で完全回復とまでいかなかったが、我ながらよくもやったもんだよ。

 その後は二人で美味しく生ハムパンとコーヒーを頂いた。

 モニカちゃん特性の生ハムパンは玉子サラダも入っていて美味しい!

 それを褒めたらドヤ顔でふんぞり返っていたが、後でニヤニヤが止まらないようでよほど嬉しかったのだろうか。


 ――コンコン


「マヤ様、失礼しま…… いえ、おはようございます。あら、楽しそうですわね」


「おはようございます」


「ひいっ シルビア様! おはようございます……」


 朝食の途中でシルビアさんが来たもんだから、モニカちゃんがびっくりしていた。

 給仕長よりも偉い大ボスだから、お客と一緒に朝食を食べてるなんてサボってるように見られたのだろう。

 だがモニカちゃんについてはお咎めが無かった。

 シルビアさんは、使っていないはずのベッドのシーツが乱れているのを見て何か察したような顔をしていたが、考えすぎだろうか。


「マヤ様、陛下の執務室においで下さい。お話があるそうです」


「わかりました」


 パンは食べ終わっていたので残ったコーヒーをすする。

 モニカちゃんは勿論給仕服だが、私はまたパジャマを着てしまった。

 正装に着替えなければいけないので、モニカちゃんが手伝うことになる。


「そ…… それではマヤ様…… 失礼します……」


 シルビアさんが側で控えているところで着替えが始まる。

 モニカちゃんが着替えを手伝ってくれているのを、シルビアさんは無言の圧力のようにジーッと見ている。

 さすがのモニカちゃんは緊張して、ズボンを前後逆向きで履かせようとしたりシャツのボタンを掛け間違えそうになっていた。

 モニカちゃんにとっては歳が二十近く上の上司だから、ビビって仕方がないのだろう。

 それでも無事に着替えが終えることが出来て、ホッとした表情になっていた。


---


 女王の執務室。

 部屋には女王とシルビアさん、ロシータちゃん私だけである。

 女王の前には大きくて豪華なデスクがあって椅子に座っており、横にはシルビアさんとロシータちゃんが控えている。

 シルビアさんはゆったりロングスカート、ロシータちゃんはパンツスーツ姿でとても格好いい。


「早速だけれど今から話すわね。

 亡くなったエリカさんは命をかけて強敵を追い払った功績として、エリカ・ロハス名誉伯爵夫人とします。

 ロハス男爵家とは分家して女性であるエリカさん自身が当主という形式だからそういう呼び方になるんです。

 亡くなった方には名誉しかあげることが出来ませんが、遺族のロハス男爵家にはお見舞い金として聖貨三枚とこの通知をあなたが届けて下さい」


「承知しました」


 私は女王から聖貨が入ったケースと通知書である手紙を受け取った。

 確かにエリカさんが亡くなってから貴族階級が上がっても、軍人が戦死して二階級特進するのと同じことになる。

 だが女王が言うとおり亡くなった本人には名誉しかあげられない。

 悲しいけれど、仕方が無いのだ。


「そしてマヤさん。あなたも強敵を無力化した功績として、爵位を子爵に上げます。

 報奨金については先だって多額の飛行機作成費用を差し上げたばかりなので、今回はごめんなさい。

 その代わりエリサレスを倒すことについては王家として出来るだけ協力します。

 アウグストにも言ってあるのでそのへんは心配しないでちょうだい」


「ありがとうございます。

 王家と言うことは、国としてではないのですか?」


「そうね。国としては議会を通したりで面倒だけれど、王家がやることだから私やアウグストの判断で出来る範囲で協力が出来るわ。

 爵位についても、叙爵は難しいけれど伯爵まで上げることならば王家が承認すれば簡単なことなの。

 だからまた何か功績を上げることが出来たらすぐにでも伯爵になれるわよ。

 前にも言ったけれど、一度に上げると周りの貴族がうるさいのよ」


「わかりました。何から何までありがとうございます」


 そうかあ。

 男爵だったのはたった四ヶ月ほどで愛着はなかったが、とうとう子爵にまで上がった。

 エリカさんも伯爵夫人だ。やったね。

 私は上着の下にあるペンダントを見つめながら心の中で話しかけた。


---


 部屋へ戻るとモニカちゃんが掃除をしながら待っていてくれて、二人の爵位が上がったことを報告するととても喜んでくれた。

 私も子爵夫人だーって叫ぶのは気が早いんでないかい?


 モニカちゃんとは次回までのお別れで、じっくりたっぷりとキスをする。

 おっぱいを触ったりまた始めてしまいそうだったが、自重する。

 シルビアさんとも二人で食事をした後、甘い甘いキスをしてしばしの別れを惜しんだ。


 王宮を出発し、前日にたくさん書き上げた下着のデザイン画をアリアドナサルダのロレナさんに渡すと、嬉し涙で発狂するほど喜んでくれた。

 今回は突然来たので、過去の売り上げリベートを頂くのは次回へ持ち越し。

 レイナちゃんたちに会えるのも次回の楽しみにする。


---


 マドリガルタを出発して二時間半。

 嬉しい知らせを持って大急ぎで飛んでマカレーナへ帰った。

 屋敷へ近づき降下すると…

 あれ? どこかで感じたことがある魔力が二人分……


『あら、マヤさんおかえり』


『マヤ、遅かったな』


「あっ マヤ様お帰りなさいませ。あはは……」


 あちゃー!

 私は盛大に庭の芝生でズサーっとコケた。

 サリ様とアイミが庭のテーブルでのんきにお茶を飲んでおり、側にはルナちゃんがお盆を持って控えていた。

 神様なのに魔力の放出を人並みに絞っており、カモフラージュだろうか。


『マヤさんがちょうどマドリガルタを出発するところだったから、先回りしてこっちに下りてきたの。

 アイミを破滅の邪神から色欲の女神へ転職させることに成功したわ』


「色欲? はぁ?」


 色欲って七つの大罪の一つ luxuria じゃないか。

 本当に邪神じゃないのか?


『なんだそんなこともわからんのか。おまえが大好……』


「ぎゃー! わかったわかった!」


 ルナちゃんがそこにいるのに、エッチな方向へ話を進めてもらったら困る。

 しかも魔法使い幼女アイミの姿で…

 おかげでルナちゃんにジト目でジロリと視線を向けられてしまった。


『それでアイミはこの屋敷に住むことになったのよ。

 ここの主人と奥さんにも、私の紹介だから二つ返事で了解をもらったわ。

 そういうわけでマヤさん、この子をよろしくね』


「あー…… はい……」


「マヤ様、すごいですね! 神様からお願い事をされるなんて!」


「ああ…… うん、まあ……」


 ルナちゃんは何だかよくわかっていないようだが、実は彼女の家族の(かたき)が目の前にいるんだよ。

 ガルシア侯爵にはすでに話しておりアイミの正体は知っているが、ルナちゃんには当分話さない方が良いだろう。

 私が面倒を見ることはラフエルで承知していたけれど、どうするか何も考えていない。

 私も子爵になり、新しい生活がこれから始まる。



【第五章 了】


次は第六章をお楽しみ下さい。

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