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第百五十三話 エステラちゃんの部屋で

2024.1.9 軽微な修正を行いました。

 王宮の部屋に帰り、またゴロ寝。

 はぁぁ、魔物と戦うことも無ければ訓練も無し。

 寝てばかりいると、たった一週間でも太ってしまいそうだ。

 だが間もなくしてフローラちゃんが部屋にやって来た。

 人一人見つけるのが大変な広い王宮で、よく私が帰ってきたのがわかったな。

 メイドネットワークでもあるんだろう。


「マヤ様、おかえりなさいませ。

 ポルラス家のエステラ様からお手紙が届いております」


 フローラちゃんが両手で手紙を差し出し、受け取った。

 この子は今まで世話になったメイドさんの中で、最もメイドらしいメイドの印象だ。

 勿論仕事が出来る出来ないではなく、ルナちゃんもラミレス家のメイドさんたちも癖があるんだよね。


「ありがとう」


 フローラちゃんには下がってもらった。

 エステラちゃんか……

 個別に連絡をしてもらったけれど、あの三人組の中で一番早かった理由はパジャマパーティーの後でベッドへ潜り込んできた件からだろうか。


 早速手紙を読んでみる……

 ――ええ!?

 今晩十二時に私の部屋へ窓から入って来て下さいって!?

 あの子が考えていることは危険な香りがするな。

 行くまいか行くべきか…… うーん……

 なあに、こっちが主導を取ればいいことさ。

 折角だから顔を見るつもりで行くことにした。

 ご丁寧に、ポルラス家の屋敷までの地図と、屋敷の簡単な外観図に部屋の位置を書いた図まで同封してあった。

 どうしても部屋へ呼びたいつもりだな。

 地図によると、ポルラス家はマドリガルタの西にある。

 暗くなるとわかりにくいので、今からひとっ飛び偵察しに行こう。


 王宮の部屋の窓から抜け出して十分ほどそろそろと飛んでいくと、ポルラス家の屋敷があった。

 街中なので土地は狭いが、五階建てでホテルのような立派な屋敷だ。

 エステラちゃんの部屋は五階の角部屋か…、見晴らしが良さそうだ。

 よし。確認出来たので王宮へ戻るとしよう。


---


 フローラちゃんにお風呂を準備してもらい、入って上がると淡々と無難に着替える。

 夕食をシルビアさんと個室で済ませ、女王のお呼びが掛かるまで本を読みながら自室で待機する。

 女王へのおつとめは時間がそれほど遅くならないから、エステラちゃんの約束の時間には被らないと思うが…。


 コンコン「失礼します」


 シルビアさんだ。やはりおつとめのお呼びだった。

 でも妊娠している彼女の裏で女王と行為をするというのも気が引ける。

 シルビアさんはどういう気持ちなのだろう。


「シルビアさん…… その…大丈夫なんですか?

 私が女王陛下を相手にするのは(つら)くないですか?」


「全く無い…… と言えば嘘になりますが、私自身も女王陛下のお相手をしていましたし、この前も三人で……

 普通に考えたらやっぱりおかしいですよね。ふふふ」


 私はどう反応したら良いのかわからず、無言でシルビアさんの顔を見つめた。

 日本の一般人の感覚からすると、ここでやっていたことは狂気の沙汰だからね。


 そして女王の寝室。

 今晩はベビードールも着けずに、上下紫のランジェリーでぱんつはハーフバックの姿でベッドの上に座っている。

 とても三人産んだ子持ちとは思えない程良いむっちりな身体が、魔光灯(魔力源の灯り)の淡い光に照らされていた。


「マヤさん…… 待ちきれないわ……

 早くいらっしゃい。うふふ」


 私は全裸になり、言われるがままに大きな王様ベッドへ寝そべった。

 女王は私の身体中にキスをし、後は自分の好きなように(なぐさ)める。

 三ヶ月ぶりにいたすらしいので、熟女の性欲は身体中から(オーラ)が発するかのよう。

 そのせいで色香が増して、私まで燃えて楽しんでしまう。

 女王は十分発散し満足するとすやすやと寝てしまったので、私はそっとベッドから離れて服を着て退室した。

 自室へ戻る前に、シルビアさんの部屋へ寄る。


「ああ…… あの……

 終わりましたので、陛下の部屋の扉周りを確認しておいて下さい……」


「うふふ、お疲れ様でした。

 陛下は久しぶりでしたから、満足されたことでしょう。

 私もあれからはお相手をして差し上げていませんので。」


「そ、そうですか…… あはは……」


 うーん、逆の立場だったら私は到底無理だな。

 私はいつまで女王の夜伽をせねばならないのだろう。

 あの身体ならば五十歳を過ぎても何とかいけるかもしれないが、子供が出来ても父親が女王にご奉仕というのは冴えない話だ。


 自室に戻り、大急ぎでお風呂に入る。

 勿論フローラちゃんは仕事を終えているので私一人だ。

 匂いに敏感なルナちゃんだったら間違いなく何らかのツッコミがあるので、エステラちゃんは知らないけれど綺麗にしておくことに越したことはない。

 クンクン…… 女王にペロペロされたし、香水の移り香が残っている。

 エステラちゃんと何かをするつもりはないが、しっかり洗う。


 お風呂から上がるともう十一時半。

 着替えるとぎりぎりかなあ。

 まだ火照った身体にブラウスを着るのは暑苦しいけれど、急いで着替えて部屋の窓から飛び出た。


 実は夜に飛ぶのは初めてだ。

 現代日本のように(こう)々(こう)と灯りがあるわけではないが、それでも街の中心部は魔光灯の光があちこちにあり、街灯もあって何とかわかる。

 街の外は本当の闇なので、レーダーでも無い限り無理だ。

 そういう魔法が無いか、今度エリカさんに聞いてみよう。


 十一時五十七分、ポルラス家の屋敷付近に到着した。

 明るいうちに偵察しに行ってて良かったよ。

 おや、五階の角にあるエステラちゃんの部屋の窓が開いている。

 私は窓へそっと近づいてみると、エステラちゃんが待ちかねたように手招きをしていた。


「マヤ様、早く中へ」


 エステラちゃんは小声で呼び、私を中に入れたら窓をすぐ閉めた。

 部屋は薄暗いが、彼女が水色のワンピースのパジャマを着ているのはわかる。

 長い黒髪が弱い灯りに反射して、彼女の姿がふわっと浮かび上がっている。


「うふふ 一か八かだったけれど、まさか本当にいらっしゃるなんて。

 私、すごく嬉しいわ。

 時間ぴったり。マヤ様は律儀なのね」


「なんでまたこんな時間に呼んだのかな」


「二人きりで会いたかったけれど、うちの両親は厳しいの。

 この前のパジャマパーティーも男性がいるなんて秘密にしたわ」


「ふう…… やれやれだな」


「お茶を入れますわ。

 そこの椅子にお掛けになって。

 カモミールかオレンジブロッサム、どちらが良いかしら?」


「オレンジブロッサムがいいかな」


 オレンジが特産のこの国では、オレンジブロッサムティーもポピュラーだ。

 オレンジが好物のリーナと会ったばかりだったので、何となくそっちにしてみた。

 エステラちゃんは火属性の魔法の魔法が使えるので、ポットを直接温めてお湯を沸かしている。

 テーブルにカップを用意し、お茶を入れてくれた。

 うーん、オレンジの香りが鼻をくすぐる。

 私が座っているのはカウチソファーで、隣にエステラちゃんが座る。

 横幅があり左側だけ背もたれが広い、俗に言う姫系ソファーである。


「どうぞ。レイナより美味しいかどうかわからないけれど。うふふ」


「じゃあごちそうになるよ。

 どれどれ……

 うーん、ほのかな苦みがあって、ちゃんと甘みもあるよ」


「あっはっはっ それ普通じゃないですか。

 やっぱりマヤ様は面白いのね」


「大きな声を立てたらダメじゃないのかい?」


「そうね。でも今はこの五階に私たちしかいないから、あれくらいの声なら大丈夫よ。

 他の家族の寝室は四階の裏の方にあるから。

 私だけ頼んで五階の表にしてもらったの。

 五階は父の執務室や応接室があったり、住居の部屋はここしかないわ」


 エステラちゃんはお茶を飲みながら、(おう)(よう)な微笑みをしてそう言った。

 そういうことならば、この後がどうなるのか心配になってきた。


「それで君一人の時に私を呼んでどういうつもりなんだい?

 てっきり三人でまたお茶会をするのかとかと思ったよ」


「さっきも言ったでしょう? 二人っきりになりたいって。

 私はマヤ様のことを愛しているわ。

 だから二人だけの時間があるほうがいいの」


「ああ…… ううん。

 前にも言ったけれど、私は君のことは好きだけれど愛していないんだよ。

 あれから気持ちは変わらないのかい?」


「変わらないわ。私は一度火が付いたら消えない」


 何がどうしてこうなったのか。

 まさかこれもサリ様の仕業ではあるまいな?

 アーテルシアが出てこないから、サリ様もあれから会っていないが。

 さてどう言ったら考え直してくれるやら。

 パティみたいに焼き餅を焼く子かな?


「私はたぶん複数の女性と結婚することになるだろう。

 もし君と結婚したとしても、二人きりでいつも一緒にいられないんだよ。

 男女で愛し合うことも、私が他の女性を相手にしているときに君はどういう気持ちになるのかな?」


「それは…… 我慢します……」


「我慢するということは、やっぱり私が他の女性の相手をすることが嫌なんじゃないかな?」


「だったら…… 他の奥さんたちと私が仲良くなればきっとそういう気持ちが無くなるかも知れません。

 マヤ様の奥さんになられる女性なら、きっと性格の良い方たちばかりです!

 お友達みたいになれたら…… きっと……」


 確かにみんな性格が良い女の子ばかりで、焼き餅焼きのパティですら二人きりの時間さえ作れば、エリカさんとエッチなことをしようが容認しているくらいだ。

 エステラちゃんもそれに気づくとは頭が良いな…。

 しかしハーレムが認められている国ってつくづくすごいね。


「ふうむ…… まだまだ諦めないようだね。

 まあ今のところ誰ともすぐ結婚するつもりは無いよ。

 私はガルシア家のパトリシア嬢と一番に結婚することを決めているんだ。

 彼女が結婚できる十五歳になった後だから、どんなに早くても一年何ヶ月後になるね」


「なあんだ、たった一年何ヶ月後じゃないですか。

 私はまだ三年以上学校へ通わなければいけません。

 マヤ様と結婚するならばその後ですから。

 その間はずっとマヤ様のことを想い続けますよ」


「じゃあ三年後の君の気持ちに聞いてみるさ」


「そうですね。うふふ」


 はああ…… 私は際限なく驕り高ぶっているな。

 みんな綺麗で可愛い女性に言い寄られ、それが当たり前になってきている。

 日本ではあまり女っ気が無かったことを思えば考えられないことだ。

 本当にみんなサリ様の力なんだろうか。

 何らかの拍子でいきなり力の効力がパッと消えることになったら、みんなが急に赤の他人になってしまうのだろうか。

 昔、そういう話の漫画を読んだのを思い出してゾッとした。


「ねえマヤ様…… あと三年の間にもっと仲良くしましょ……」


 エステラちゃんは私に身体を寄せ、ソファーの上に脚を乗せたらワンピースパジャマのスカートからすべすべの白い太股が(はだ)ける。

 私はそれをじっと見てしまった。

 女王の()(とぎ)をしてから賢者タイムだったのに、美しい太股が露わになると気になって仕方がない。


「うふふ、何ですか? 私の脚、綺麗でしょ」


「あいや…… ははは……」


 エステラちゃんがニヤッとした瞬間、私は唇を奪われた。

 単純に唇をくっつけるだけのキスだけれど……

 ――長い。

 そういえばリーナ嬢とのキスも長かったな……

 エステラちゃんのキスが終わると、私の首元に顔が寄りかかる。


「クンクン マヤ様、石鹸の良い匂い。

 お風呂から上がったばかりなんですか?

 私のために?

 もしかして、そういうことをするためですか?

 マヤ様ったらいやらしい。うふふ」


「ち、違うぞ。今晩はたまたまお風呂が遅かっただけだよ」


 女王の匂い消しのためだなんて絶対に言えない。

 結局風呂に入ろうがどっちにしてもツッコまれてしまうのか。


「ではご期待に応えますね」


 エステラちゃんはワンピースの上のボタンを外し、上半身を(はだ)けさせた。

 あっ ブラをしていない!

 Bカップくらいで大きくはないけれど、白くて美しい胸が露わになった。

 さっき女王の裸を見たばかりだが、さすがに十代半ばの肌は次元が違う瑞々しさだ。


「君の方こそ、そういうことをするつもりだったんじゃないのかな?」


「うふふ。さあどうかしら」


 その言葉を言った次に、エステラちゃんは私の手を引っ張り自身の右胸に当てた。


「今、男の人に初めて胸を触られた… 何か感想は?」


「柔らかくて… 張りがあって… 君の心臓がドキドキしているのがわかる」


「なっ…… ううう……

 私の胸はレティシアやレイナより小さいから…… よくわかりますよね……」


 彼女は手を離し、顔を真っ赤にして(うつむ)いた。

 実際は(こん)(しん)の勇気を振り絞って私の手を引っ張ったんだろうけれど、私の言葉がショックだったかな……


「私は胸の大きさに(こだわ)らないよ。

 君の胸は綺麗で形が良いし……

 それより私はどちらかというと、女性はお尻が好みだ」


「あっはっはっ マヤ様ってやっぱり面白い。

 じゃあ私のお尻も見て下さい」


 エステラちゃんは立ち上がり、ワンピースのパジャマを全部脱ごうとしている。

 ブラをしてなかったからまさか!?


「どうですか? 私のお尻」


 エステラちゃんはパジャマを脱いで、後ろを向きお尻を突き出した。

 ああ良かった…… ノーパンかと思ったら黒のTバックを履いていた。

 完全なT型ではなく、ややハーフバックに近い。

 暗くて見えにくいのが残念だが、白い小さめな美尻が魔光灯の光に反射してふわっと浮かび上がる。


「ああ、まるで美術彫刻のような綺麗なお尻だよ。

 いやそれでは味気ないな。

 まるでミルクプリンのような、美味しそうなお尻だ」


「うっふっふっふっ

 私のお尻がミルクプリンですって!?

 マヤ様はよくそんなことを思いつくんですね。ふふふ」


 エステラちゃんは私の方を向いて小声でクスクスと笑い続け、私はその姿を見ていた。

 魔光灯の淡い光に照らされるエステラちゃんの白くて美しい身体はまるで妖精のようだった。


「ふう…… そろそろ眠くなってきたわ。

 私はまだ下を脱ぐのが怖いの。

 いつか…… マヤ様と愛し合える日が来るのを待ってる」


 彼女が卒業するまであと三年か……

 それまでお互いの気持ちが変わるのか変わらないのか、私自身もどうしたいのかわからなくなってきた。

 ただ彼女はあれで純粋だと思うので、無下(むげ)にはしたくない。

 見た目はとても好みなんだよ、うん。


「うーん…… 私も今晩は帰ることにするよ。

 また四人でお茶会はしないのかい?」


「あの子たちとまだ話し合っていないけれど、たぶんそうなるわ」


「わかったよ。じゃあまたね」


「ええ、おやすみなさい」


「おやすみ」


 私は窓を開け、颯爽(さっそう)と飛び王宮の自室へ帰った。

 パジャマに着替えて、何となくベッドの前で(たたず)む。

 あぁぁ…、結局主導権を取られてしまったな……

 エステラちゃんの部屋で起きたことの余韻を感じ、女王との()(とぎ)後の賢者タイムだったにもかかわらずベッドに飛び込んで悶々としてしまった。


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