第百四十二話 創生ロベルタ・ロサリタブランド
2025.10.2 サブタイトル変更、加筆修正を行いました。
馬車店ラウテンバッハにてアンネさんから預かり金証明書をもらって、今度はランジェリーショップ【アリアドナサルダ】へ。
経営者であるインファンテ家の奥様、つまりレイナちゃんのお母さんからマカレーナのお店の店長へ手紙を届けに行くのだ。
中身を読んだわけではないが、私がデザインした下着のこと、その売り上げに対して私へ支払ってくれる分の内容だそうだ。
パティとカタリーナさんは屋敷へ帰ってしまったのでアリアドナサルダへは私一人で行くが、そもそも下着デザイナーになってしまったので身内の女の子二人を連れて行くのは気が引ける。
高級店は街の中心地に揃っており、買い物や用事をしやすくて有難い。
ラウテンバッハから五分も歩かないうちにアリアドナサルダ・マカレーナ店へ着いた。
マカレーナも大きな街なのでお店の規模も大きく、ショーウィンドウにセクシーなランジェリーを付けているマネキンが三体飾られている。
黒いガーターベルトとストッキングのマネキン…… これはなかなか刺激的。
子供も歩いているのに大丈夫なのか?
おっと、通行人から危ない人に見られかねないので、早く店に入ろう。
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今はお客さんが少なめの時間なのか、女性客の人目を心配しなくて良かった。
レジカウンターの清楚な若い女性に声を掛ける。
「いらっしゃいませ」
「私はガルシア侯爵に仕えているマヤ・モーリと申します。王都のインファンテ家の奥様からこちらの店長へ、お手紙を言づかっておりまして」
「キャッ! マヤ様!? こんなところまでいらっしゃるなんて…… ああっ 失礼しました! すぐ店長をお呼びします!」
キャッて言われたから変態さん扱いされたかと思ったけれど、両手で頬を押さえていた表情でたぶん、大猿の大群を倒した話からだと…… 思いたい。
その子はレジ裏にある通用口の戸から店長を呼んでいた。
すると飛び出てくるように、三十代半ばぐらいの品が良い女性が現れた。
「いらっしゃいませ!! マヤ様のお噂は兼々伺っております。領主様の奥様にはご贔屓にして頂いております!」
店長はブラウンの髪の毛で厚化粧のお姉さんって感じだ。
やっぱりアマリアさんはここで買っていたんだな。
「ここでお話も何ですから、どうぞ奥の部屋まで」
「わかりました」
私は店長に連れられ、事務や簡単な縫製が出来る部屋を通り抜け、店長の執務兼応接室へ案内された。
店長も貴族なのか、社長室みたいに豪華で立派なインテリアだ。
私はソファーに腰掛け、店長自らお茶を入れて下さった。
対面に座られると、タイトスカートの美しい太股の間からぱんつが見えそうで気になって仕方がない。
「申し遅れました。私は店長のミランダ・コルテスと申します」早速でございますが、代表からの手紙というのは……」
「はい、こちらを」
私はロレナさんからの手紙を店長へ差し出し、彼女は手紙に目が突き抜けるようにジッと読んでいる。
ロレナさんと言えば、転けて穴開きの下着がパックリ開いている様を見てしまった時は衝撃的で、強烈に今でも脳裏に焼き付いている。
この店長さんもロレナさんと同年代に見えるが、おっぱい大きめでなかなかスタイルが良くエロい。
若いときは母親と同性代の女性なんて性的視線で見ることなんて有り得なかったが、やっぱり歳を取ってくると三十代四十代女性の良さがわかってくるよな。
店長が手紙を読み終わると、両手がわなわな震えていた。ん?
「マヤ様!! なんて素敵なショーツでございましょう! これは絶対売れますわ! ああああああ! 商品が届くのが待ち遠しいです!!」
店長は興奮気味で、手紙に同封されていた下着のデザイン画を私に見せてくれた。
私が描いたラフ画ではなく、商品化のために綺麗に描き直された物だ。
おおっ!? 今、店長が身体を動かした時、一瞬だが水色のぱんつが見えた。
見えそうで見えなくてモヤモヤとしていて、やっと見えた時はホッとする気分になるのがわかってくれる人はいるのだろうか?
「そういうことなので、良いお付き合いが出来ればと思います」
「ええ勿論ですわ! こんな若い男性で、しかもマカレーナの勇者が私共のデザイナーになって下さるなんて感激です! ああああ…… 素敵…… ハァハァ……」
ハァハァって…… 悶えているように見えるけれど、この店長さんもちょっと変わった人だな。
うーん…… あんまり下着デザイナーとしては有名になりたくないんだよな……
そうだ!
「奥様にはまだお話ししておりませんが、私の名で売らないんで欲しいんです。今はアリアドナサルダのブランドとして試験的に売っているようですが、新たにブランド名を作り、私は謎のデザイナーとして売り出してみてはどうかと思うんです」
「そうですね…… わかりました。大至急、奥様へ折り返し手紙を出すことにします。謎のデザイナーも神秘的な感じがしてよろしいですが、別の名前をお考えになるのはいかがでしょう?」
「うーん、そうですね…… うーん…… どんな名前にしよう」
この間約二分だが名前を考えると同時に、店長が対面で座っている両太股の間をまたチラ見してしまった。
結局見えず、あの瞬間は奇跡だった。
ああ…… 何をやってるんだ俺……
それでブランド名は、日本にいた時から好きだったスペイン語の女性名を二つくっつけたものにしてみた。
二分で考えた名前にしては上出来で、ゴロも良い。
「ロベルタ・ロサリタというのはどうでしょう? 女性名にして、頭文字が同じでわかりやすくしたんです」
「それはよろしいですわね!『ロベルタ・ロサリタ、期待の新星デザイナー現る!』みたいに売り出したいですね! 今からワクワクしてきましたわ!」
「細かいことはそちらにお任せしたいと思います。販売戦略の方は素人なものですから…… 新しいデザイン画が描けたらお渡ししますので」
「どうぞ私共にお任せになって。きっと良い結果を出して見せます! うふふ」
一先ずこれで話は終わりかな。
金のなる木にはならないまでも、いつかガルシア侯爵の屋敷から離れて自活できる安定収入があるにこしたことはないからね。
店長のパンチラも拝めたし、ラッキーだったな。
「よろしくお願いします。それでは、私はこれでお暇します」
「マヤ様、お待ちになって」
「はい?」
店長は立ち上がり、私の真横にくっつくように座り、手を握った。
ええ?
香水の匂いがきついが、嫌いな香りではない。
形容しがたい香りだが、ずいぶん昔に相手してくれたキャバクラ嬢がこんな香りの香水を着けていたっけ。
「ねえ…… マヤ様。お若いのに、こんなオバサンの下着が気になるのかしら…… うふふ……」
「あいや! そそそそれは……」
熟女の色香に攻められてしまう。
しまったぁぁぁ!! またやってしまった。
チラ見したとき、私はどうしても顔に出てしまうのかな……
さて、店長はどう出るのか。
弱みを握って、何か交換条件でも出されたらどうしよう。
「いいの。マヤ様のような若い男の子が私を女として見て下さるなんて嬉しいですよ。私、旦那が二十も上で最後の三番目の妻なの。お金は不自由していないしこんな仕事をさせてもらって楽しく暮らせているけれど、やっぱり夜の生活が不満だわ。ね、二人の秘密で仲良くしていきましょう?」
私の身体を狙ってる!? 不倫かよ! そこまではダメだってば!
ぱんつが見られただけで十分ですっ
「うーん…… 即答しかねます……」
「あら、迷ってらっしゃるのね。それならば私と仲良くしたいという気持ちが少しでもお有りということですよね?」
うっ…… 私の優柔不断で半端な言動が店長の気分を余計にエスカレートさせてしまった。
こんな時にパティたちの顔が脳裏によぎり、申し訳ない……
「あああ…… うーん……」
「んんもぉ。これならどうかしら?」
店長はスカートをたくし上げ、パンチラならぬパンモロを晒す。
もしそういうシチュエーションになった時って、まずいきなりキスしたり、おっぱいからだよね!?
そのおぱんつは、布地の大部分をレースであしらい、鼠径部のラインが細めのローライズのちょっとエッチなものだった。
「マヤ様はランジェリーがお好きだからデザインをされているんですよね?」
「それは…… そうです、はい」
「うふふ…… 若い男の子があんな素敵なランジェリーのデザインが出来るなんて、よほど情熱的なんでしょうね。ああ…… 若い男の子が迸る熱いものを感じるわ。はぁはぁ……」
ロレナさんといい、アリアドナサルダの関係者って変わった人ばかりでないかい?
出来ればさっきレジにいた清楚な女の子のおぱんつも拝みたい。
「そうですわ! 私、マヤ様のインスピレーションのために、上着を脱ぎますね!」
頼んでもいないのに、店長は執務室内でいそいそとスーツとスカートを脱ぎ始めた。
そしていろんなポーズをとって、一人で盛り上がっている。
「こうかしら。それともこう?」
お尻を突き出すポーズをすると、後ろは見事なTバックだった。
むしゃぶりつきたくなるほどの丸尻で、色白の肌と水色のT型が実にマッチしている。
私は強い理性で欲望を殺しつつ観賞する。
こんな綺麗な尻なのに旦那は放っておくのも、五十半ばだと性欲がぐっと落ちてるのかもしれないなあ。
ソファーに座って大股開きのポーズも。
二十世紀のストリップショーかよ!
肝心な場所が僅かにズレて見えそうで見えないところがなんともエロい。
もう私の分身君は怒りん棒になって苦しそうだ。
「マヤ様、何か良いデザインが思い浮かび上がりましたでしょうか? 私、すごく興奮してきちゃいますぅ…… はぁはぁ」
「ミランダさん、とてもお綺麗です。何か良いものが出来上がりそうです!」
嘘です。興奮しすぎてそれどころではないのだよ。
そう言っておけばこれで終わりそうだから。
「まあ嬉しい! 思い切って脱いだ甲斐がありましたわ! では次、下着を……」
ええええ!? 最後までいっちゃうの?
店長室でオフィスラブみたいな背徳感があって…
って、これ以上は本当にまずい。
アマリアさんですらキスとマッサージまでなのに。
しかも侯爵は薄々気づいていて知らんぷりをしている。
それもどうかと思うが。
――コンコン 「店長! いらっしゃいますか!?」
「――」
レジ係の女の子の声だ。
また店長を呼びに来たようだ。
聞こえなかったフリをしているのか、反応が無い。
――ドンドンドン!! 「店長! 大至急お客様対応をお願いします!!」
「今行きますから、少しお待ちになって!!」
ドアを激しく叩かれ、お客様とあればさすがに無視するわけにはいかず、店長は大声で返事をしている。
執務室には鍵を掛けていたんだな……
「んもう、いいところだったのにぃ。すみません、マヤ様。お客様がお待ちですので残念ながら今日のところはこれで…… また仲良くしましょう。オホホホッ」
そう言いながら店長は猛スピードで上着を着てレジへ慌てて走って行った。
ふーむ、助かった……
お客様が来なかったら、どこまでやるつもりだったのだろうか。
でも今晩の悶々ネタが出来て良かった。
あ、待てよ。今晩はまたジュリアさんか、エリカさんが私の部屋に来そうだな。
パンチラプレイをさせてみようか。むふふっ
少し遅れて店内へ出ると、店長は特注品の下着が必要なほどふくよかな貴族マダムの接客をしていた。
なるほど。庶民店では不可能な需要も対応出来るのがこのお店だからな。
私もそういう方向けのデザインを考えてみようか。