第百三十九話 お屋敷で挨拶回り
ガルシア家、夕食の時間。
久しぶりに貴族組が揃って、というより今まで私はガルシア家の厚意で平民でも食事をご一緒させてもらっていたのでやっと貴族組に入ることが出来たのだが。
それにヴェロニカが席に加わる。
彼女は席次まで気にしないので、ローサさん、エリカさんの次に奥にいる。
真ん中の上座は勿論ガルシア侯爵で、ローサさんの反対側の列にアマリアさん、最近加わった三歳のカルロス君、パティ、カタリーナさん、私だ。
今晩、マルセリナ様は大聖堂にそのまま泊まられる。
アベル君は二歳なので食事中はまだ乳母が世話をしていることが多い。
食事の世話をするパートのおばちゃんメイド二人の他、ルナちゃんが研修として私の後ろに控えている。
まず食事前に侯爵閣下からローサさんへ、ヴェロニカの紹介があった。
ローサさんがびっくりしないよう侯爵がヴェロニカのことを前もって話している。
「ローサ、こちらがヴェロニカ王女殿下だ。」
「王女殿下、初めまして。ローサと申します。」
ローサさんがカーテシーで挨拶をする。
この中ではある意味一番お姫様っぽくて美しい。
ドレスの胸の部分がパックリ開いているので素晴らしい谷間が観賞出来た。
ヴェロニカは旅の時と変わらず、質素にブラウスと黒いパンツスタイルだ。
替えのブラウスが少し小さいのか、胸がぱつんぱつんでエロい。
「ヴェ、ヴェロニカです。よろしくお願いします…。」
え? ローサさんには敬語?
珍しく少しオドオドしている。
ヴェロニカにはローサさんがとても強いとは教えたけれど、それだけが理由ではないはずだ。
恐らくローサさんの歩き方の癖に気づいたのかも知れない。
ローサさんは普通に歩いていても重心のかけ方が違う、古武術式のような効率の良い歩き方をよくしている。
同じ剣の道を歩む者として、タダ者ではないと感じたのだろう。
私もローサさんに習ったがなかなかうまく出来ないので力技に頼りきっている。
「王女殿下が私の剣術を習いたいとのお申し出で、とても光栄でございます。
子供の世話もありますので、朝少し遅くから私も訓練に参りますのでよろしくお願いします。」
「承知しました…。」
ヴェロニカはローサさんに会えることを楽しみにしていたのに、緊張して話が出来なかったからちょっと可哀想。
でもしばらくは毎日一緒にいるのだから、拳ならず剣で語り合って徐々に慣れていくと思う。
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挨拶が終わると、お祈りを簡単にして食事が始まる。
食事のメニューは…おお、ビビアナのタコスがあるから久しぶりに味わえる!
ヴェロニカの口には合うだろうか。
それよりさっき思い出したことがあって、侯爵閣下に伝えなければいけない。
「閣下、一つ言い忘れていたことがありました。
オラージャの向こうの峠道で盗賊団を二十人以上捕まえて、オラージャの留置場に入れてもらってるんです。
檻がとても狭いので、マカレーナへ移送するか何かの手配をして頂けませんか?」
「おおそうか! よくやってくれた。
強い魔物の襲来は無いのだが、盗賊がなかなか捕まらなくてね。
本格的に騎士団を派遣しようと思っていたところだったよ。
明日にでも手配しよう。」
「よろしくお願いします。」
「ガルシア侯爵、マヤの手際の良さは実に見事だった。
兵士何十人分の働きぶりに値する。」
ヴェロニカが何故かドヤ顔でそう口添えをしてくれた。
それで給料が上がればいいのに。
「ハッハッハッ
マヤ君が帰ってきたから安心ですよ。
早速他の地域にも行ってもらおうかねえ。」
このおっさん、私に給料分以上の労働をさせる気かな。
でも良い部屋を使わせてもらって美味しい食事もタダ、この前は飛行機製造の補助までしてもらったから文句は言えない…。
ああそうだ。明日はオイゲンさんたちのお店へ様子を見に行って、報奨金の聖貨三枚分のうち二枚は払っておこう。
「これはなんだ!?
辛いが肉の味付けがしっかりしていてとても美味いな!」
「それはタコスといって、前に庶民の料理店で働いていた耳族の子がうちの厨房で働いていて、彼女が作ったんだよ。
気に入ったのならいつでも作ってくれるよ。」
ヴェロニカもタコスにハマったか。
特に彼女が好きそうなメニューだからね。
それにしてもヴェロニカ姫、旅ではあれほどワイルドにがっついていたのに、今は両手で紙で巻いてあるタコスを持って、おちょぼ口で上品にお召し上がりになっておられる。
女王ら家族と食べているときはいつもああいうふうなんだな。
あっ そうするとパティは…。
案の定、バリバリむしゃむしゃ口にいっぱい頬張ってタコスを食べていた。
アマリアさんが横目でじーっと彼女を見ている。
こりゃヤバいぞ。
「これ! パティ。何ですかその食べ方は!?
旅に出かけてからすっかり淑女のたしなみを忘れてしまったようですね。
王女殿下を見習いなさい!」
「モグモグむむ! お母ひゃま… ごめんなさい…」
「いつも言っているけれど、口の中に食べ物が入っている時にしゃべるのはおやめなさい。
もう… マヤ様は旅で一緒だったんですから、その時ちゃんと言ってやって下さい。」
「はい…」
私まで怒られてしまった。
開放感から美味そうに食べていたので黙っていたけれど、ヴェロニカみたいに切り替えが出来なかったか…。
才女でもそこら辺は年相応かもね。
カルロス君は三歳児なので辛いタコスは用意されていないが、お子様椅子に座って特製オムライスを上手に自分で食べている。
ガルシア家の教育はすごいな。
それでもオムライスに夢中で、ヴェロニカの存在は眼中にないようだ。
そんな場面もありながら、ガルシア家の美味しい夕食の時間は終わった。
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少し時間を遡って、執務室で侯爵閣下へ報告してから解散後。
馬車から降ろしたルナちゃんの荷物を運ぶのを手伝い、エルミラさんと一緒に使用人の部屋がある場所へ行く。
買い物をしたようで少し多かったが、グラヴィティならば何も問題無い。
「うーんと、ビビアナとジュリアさんの部屋があって…
ここが空いてる部屋だね。
今日からルナさんの部屋はここだよ。」
エルミラさんに案内してもらって、ジュリアさんの隣の部屋が空いていたのでそこに荷物を入れる。
「わあ、王宮のお部屋より広いです!
あれ? 綺麗に掃除がしてあるし、ベッドにシーツが掛かってる!」
「たぶんジュリアさんがしてくれたのかな。」
「すごい! いきなりお世話になっちゃって恐縮です!」
ジュリアさん、気が利くなあ。
後でお礼を言わないと。
ここ最近新たに住み込みで働くようになったのはビビアナとジュリアさんだけで、パートで通いのおばちゃんメイドが多い。
だからこの部屋も長い間使ってなかったのに、とても綺麗になっている。
「あ、ルナさん来られたんでスね。
お隣の部屋なので、よろスくお願いしまスね。」
部屋のドアを開けたままだったので、ジュリアさんが私たちの声を聞きつけたのか、覗きに来てくれた。
「掃除をしてくれたのはジュリアさんかな?
ありがとう、綺麗にしてもらって。」
「いえ、とんでもないでス。ルナさん…でスたっけ?
お友達になれるかなと思って…えへへ」
「ありがとうございます!
私も王宮でベッドのシーツをよく取り替えてましたけれど、ジュリアさんのシーツの掛け方がとても綺麗ですね!
是非お友達になりたいです!」
「そんな…、王宮で勤めていた方に褒めてもらえるなんて嬉しいです。」
二人ともニコニコして、ジュリアさんが少し照れている。
早速良い友達になれそうで良かった。
何だか親が子供の心配をしている気分だよ。
「そうだ。
ルナちゃんが料理の勉強をしたいそうだから、明日の夕食から一緒に教えてあげられるかな?」
「勿論でス! もう一人、ビビアナちゃんと一緒に教えまスね。うふふ」
「ありがとうございます!」
そうしてルナちゃんとジュリアさんとの接点が出来た。
次はビビアナだな。
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夕食前の厨房にて。
現場はちょっと忙しいが、ルナちゃんを連れて厨房の皆に彼女を紹介しに行った。
ビビアナが野菜を切っており、火を掛けていないから声を掛けてみる。
「おーい、ビビアナ! ただいま!」
「おお! マヤさんおかえりニャ!
いつ帰ってきたのかニャ?」
「さっき着いたばかりだよ。
忙しいところ悪いけれど、紹介したい子がいるんだ。」
遠慮気味に少し後ろに下がっていたルナちゃんの背中を軽く押してそのまま手を添えた。
後で思ったがセクハラ上司みたいだな。
「王宮の給仕係をやっていて、女王陛下の厚意で私の専属給仕係になったルナちゃんだ。
料理があまり得意でないから、ビビアナたちから教えてあげて欲しいんだ。」
「ル、ルナ・ヴィクトリアです!
至らぬ点があるかと思いますがよろしくお願いします!」
「おー、ここは家みたいだからそんなに固くならなくてもいいニャ。
あてしはビビアナニャ。
あそこのおばちゃんがマルシアさんで、ここで一番偉い人ニャ。
他のおばちゃんも忙しいみたいだからまた後で挨拶するがいいニャ。
ところでルナはいくつだニャ?」
「十六です!」
「あてしは十七になったニャ。
年下の後輩が出来て嬉しいニャー。」
「ビビアナ、いじめちゃダメだぞ。」
「ナニ言ってるニャ!
あてしはそんなに悪いやつじゃないニャ。
もしかして王都へ行ってからマヤさんの性格が悪くなったかニャ?」
「冗談だってば。」
待てよ。ビビアナが言ってることも当たってるかも知れないな。
女王に毒された気がする。
「ともあれ、明日からよろしくね。
朝昼は他にやってもらうことがあるから、とりあえず夕食だけで良いかな。」
「わかったニャ。
明日はあてしとジュリアが当番だからみっちり教えてやるニャ。いひひ。」
ルナちゃんはブルってる顔をしている。
ビビアナは意地悪そうな笑い方をしたが、本当に大丈夫だろうか。
まあいじめるような子じゃないのはわかっているし、ルナちゃんは王宮の厳しい奉公を乗り越えてきた強い子だから問題無いだろう。
朝昼は他にやってもらうことがあるとは言ったけれど、朝起こしてもらって掃除と洗濯ぐらいしかないんだよね。
お風呂はパティのを順番に使わせてもらっているから、王宮みたいに洗ってもらっていたらパティは間違いなく激怒するだろう。
まあ一人でお風呂に入っていた方が落ち着くからそれはいいんだけれど、朝から晩まで仕事というのはブラックだから適度に休憩時間を入れて何をしてもらうか考えよう。
まだ十六歳だから、ルナちゃんさえ良ければ学校へ通うってのもあるな。
学費がいくらなのか調べてみるか。
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一人でお風呂へ入ってから就寝タイム。
そういえばヴェロニカはどこのお風呂場を使ったんだろう。
私も使っているパティのお風呂場で使った形跡は無かった。
部屋はフェルナンドさんが案内したみたいだけれど、私の部屋とはずいぶん離れていると思う。
私の部屋だけガルシア家のみんなと離れていて、夜中に誰かが来てエッチな声を出されても聞こえにくいだろう。むふふ
一ヶ月と何日ぶりかの、自室のベッドだ。
王宮で借りていた部屋のベッドほどではないが、これも十分ふかふかで寝心地良い。
久しぶりの布団の感触を久しぶりに楽しんだ。
今日はいろいろあって疲れていたのでウトウトしかけていると、ノックの音がする。
ドアを開けたら、ワンピースパジャマ姿のジュリアさんだった。
察しはついたのですぐ部屋に入ってもらい、ドアを閉めた。
「あの…、今晩お願いスまス…
ずっと…もう我慢出来ないでス…」
ジュリアさんは真っ赤な顔をして腰をモジモジさせている。
きっともう泉からたくさん湧き出ているんだろう。
「じゃあパジャマを脱いで、私によく見せてよ。」
ジュリアさんにはちょっとMなプレイの方が喜ぶ。
パジャマをファサッと脱ぎ下ろすと、上下赤で透け透けのぱんつだ。
ぱんつからはこんもりとした黒い密林が透けて見え、いやらしさが増している。
「はぁ はぁ マヤさん、どうでスか…?」
「すごくエッチで綺麗だよ。」
「ああああ… ありがとうございまス。」
ジュリアさんの表情はもうアヘ顔になりかけていて、焦らすのも可哀想だからぱんつだけ脱がせてそのまま立って合体してしまった。
ジュリアさんは普段と情事のギャップがすごいが、シルビアさんもすごかったなあ。
今頃また女王に遊ばれているんだろうか。
そして今晩はジュリアさんに三回も搾り取られてしまった。
私が賢者タイムになっても前と同じように、観賞して下さいのごとくお一人様プレイをお楽しみになり、非常にスッキリした顔で部屋へお帰りになったとさ。