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第十三話 エリカ先生の魔法講座

2022.8.24 軽微な加筆修正を行いました。

2025.8.9 一部加筆しました。

 エリカさんが侯爵家へ飛び込んだその日の午後から、魔法の講義が始まった。

 彼女はしばらく自分の男爵家から通うことになるが、侯爵家の屋敷地下に魔法研究室を準備してもらえることになり、いずれ住み込みになるという。

 次々と私の周りに女性が増えていくのは喜んでいいものだろうか。


 魔法の講義は基本お屋敷の一室を借りて行われるが、天気のいい日は庭のガーデンテーブルでやっている。庭は広いしその方が魔法の実技が出来るからだ。

 ティータイムにはビビアナがお茶を持って来てくれる。

 そんなときにエリカさんが私をからかうもんだから……


「マヤさんはあてしのだから離れろニャ。マヤさん! その女のだらしないおっぱいより、あてしのほうがぷりぷりしてるから触ってみるニャ!」


「だらしないとは失礼ね! マヤ君には大人の魅力を教えてるのさ。

 マヤ君は私のセクシーなぱんつが大好きだからね。あんたのお子様ぱんつじゃ冷めちゃうわ。にっひっひ」


 そんな酷いやりとりが毎度のように繰り返されている。

 私はいつの間にかビビアナの物になっている…。

 むーん…… 猫娘とナニがどうなるって、アニメの範囲でしか想像がつかないから、実際どうなんだろう。

 ちなみにビビアナの白や薄いピンクの綿パンも好きだぞ。

 あれこそチラリズムで一番嬉しい原点のぱんつだ。


 そんなエリカさんだが魔法の勉強は真面目に教えてくれる。

 彼女は名の知れた魔法使いで、人間族では滅多に使う人がいない闇属性魔法を最も得意とし、なんでも魔族の国へ修行しに行ったことがあるそうだ。

 他に水属性、風属性、光属性も使える。

 それから召喚魔法、なんと魔族や魔獣を召喚出来るそうだ。

 魔法のこと以外にも、この世界のことをいろいろ教えてくれる。


 ちなみに魔族はこの世界では悪者ではなく、普通に生活しているらしい。

 魔獣と魔物の区別があり、発生源が根本的に違い魔物は生き物として交尾で産まれるのでは無く、どこからか湧いて出てきていると言われているが解明していない。

 そうか、これが女神様が言っていた【歪み】か。

 魔獣は高等な知能を持ちむやみに人を襲わない。

 知能が低いのが一般の動物である。


 そもそもなぜ魔法が存在するのか。

 この世界には大気中に魔素があり、それを皮膚呼吸のように体内へ吸収し燃焼することによって魔法を発動することが出来る。

 即ち、地球の人間とは身体の作りが違うということだ。

 私自身はこの世界に来てから魔法が使える身体になったようで、転生して若返ったた時点で何らかの変化があったと推測する。

 詳しくはサリ様に聞いてみないとわからないが……


 魔素は主にそれを光合成のように発する植物から生成され、主に魔族の国やエルフの森の植物からだが、この国を含めて全世界の森にもそういう植物がたくさんある。

 種類によってはその辺に立っている木も魔素を発生させている。


 魔法が創造された経緯は、古代に魔物が発生した時からと言われ、時代によって魔物が増えたり減ったりの波があり、その都度魔法が発達していった。

 数百年の時を経て魔物が減り続け魔法使いも減ってしまったが、近年はまた魔物が増えだして魔法使い不足で問題になっている。

 魔法が使えるのは体質的と遺伝的なものであり、誰でも習得できないので魔法使いを増やすのも大変だ。

 その中でも女性が魔法を使える体質になることが多いそうだ。


【火属性-水属性】

【土属性-風属性】

【光属性-闇属性】


 それぞれこの二つは力が対照になっており、原則は両方とも習得が不可能であるが魔力が高い高位の魔法使いは習得している者がいる。

 アマリアさんが土属性と風属性、エリカさんが闇属性と光属性が使えるのはそういうことだからだ。

 エリカさんの場合は稀有と言えるが、マルセリナ様が使える【フルリカバリー】のような高等魔法が使えるほど光属性魔法は得意ではないそうだ。


 基本的に魔法は魔法書を読んで学習する。

 古代の魔法は詠唱が必要で発動までにも非常に時間がかかったが、学者によって改良と最適化が繰り返され、無詠唱で念じるだけで発動することが出来る。

 アニメみたいに魔法名を言って発動すると馬鹿にされてしまうだろう。

 それでも魔力量と体質によって使える使えない魔法や威力に違いがあって、個人差は大きい。


 魔法書には、それぞれの魔法についての理論と、魔法語と呼ばれる呪文詠唱の代わりのものがずらずらと記述されている。

 魔法語はコンピュータでいう昔あったアセンブラ言語のようなもので、さすがに人間だから一回読めば終了というわけではないが、魔法の本の最初に、頭の中へ記憶しやすいインストールプログラムのような術式が書いてあって、本文は何章にも分かれているものをマクロで繋げて魔法を発動させる仕組みだ。


 初級魔法でも、なんでこんなものが頭の中に入るんだと一見して途方に暮れたが、先人の魔法学者はうまいこと記述を考えていてくれていて、何度か繰り返して読んで中身を理解すれば覚えていけた。

 仏教のお経でもちゃんと中身に意味があるように、僧侶がちゃんと勉強して読経しているのと、私たちが法事等でなんとなく口にしてる読経とでは違うものだと言えばわかりやすいだろうか。

 こうして、学習は大変だけれど詠唱は必要ない魔法の発動が可能になった。


 属性が無い魔法、無属性魔法とは区分けされていないが存在する。

 アマリアさん、マルセリナ様、エリカさんが使っていた【マジックエクスプロレーション】などがそうだ。

 各属性魔法以上に精神から直接操作する高等魔法なので、使える者は限られる。

【眠り】や【麻痺】のように闇属性と被る魔法も無属性魔法には存在するが、発動方法が違うので似て非なる物ということだ。

 テレキネシスのように物を動かせる【念動】もあるが、これも高等魔法である。


 そういうわけで各魔法について、早い話がRPGのようにレベルアップすればどんどん覚えていけるようにはならず、何でもありではない。


 基本四属性の魔法の中でも上級になると性質が変わる。

【火属性】 炎⇒爆発

【水属性】 水⇒氷結

【土属性】 土・石・金属⇒大地

【風属性】 風⇒雷


 その中で土属性の上級魔法は地割れを起こしたり火山爆発で後でかなり迷惑になるうえに難易度がとてつもなく高いので、実質無いものとみたほうが良いということだ。


 魔法を生活に役立てている魔法使いは多い。

 炎をライター代わりに、水の生成、氷を作る、そよ風で涼むなどたくさんある。

 ただし乾燥している砂漠で水の生成は出来ない。

 元々ないものを出すのは無理だからだ。


 属性の組み合わせも可能である。

 特に風魔法と炎の魔法を組み合わせた【ファイアストーム】、風魔法と氷結魔法を組み合わせた【ブリザード】、風魔法と砂魔法を組み合わせた【サンドストーム】、炎の魔法と土の魔法を組み合わせた溶岩を発生する【ラヴァ】などがあり、二つの魔法を組み合わせているわけではなく、一から新たに魔法が作られたものである。


 【光属性】は回復魔法各種に毒消し、闇魔法からの呪い解除のものから、【ライトニングカッター】、【ライトニングアロー】のような攻撃魔法も存在する。

 非常に高速なので動きが速い魔物には有効だが、こちらも高等魔法なので使える者は少ない。

 ほとんどの人の光魔法術者は回復の【スモールリカバリー】、【ミディアムリカバリー】、毒消しの【ディシンフェクション】の三つを使えるのみである。


 【闇属性】は数が多すぎてどんなものがいくつあるのか把握されていない。

 私が無意識に発動していた【魅了】から、闇属性版の【眠り】や【麻痺】、重力操作の【グラヴィティ】、毒攻撃の【ポイズンアタック】などがあり、直接攻撃補助の魔法が多いのが特徴だ。

 理由は魔族がそういう戦い方をするからである。


 このようにエリカ先生から魔法についての基礎を、この数日で学んだ。

 真面目で教え方がわかりやすく、出会った時のちゃらんぽらんさを思えばびっくりだ。

 眼鏡をかけてもらって、女教師エリカ先生なんてやってくれんかね。


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