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第百三十四話 巨大スズメバチ退治/セシリアさんとの愛

 アルタスから東へ向け、往路よりスピードを上げて約一時間半をかけ一旦セレスへ帰り着く。

 まだ時間に余裕がある。

 イレーネちゃんを送るだけだったから八重桜を持って来なかったので部屋へ取りに行き、その脚でセレスからさらに南東方向へ偵察することにした。


 セレスの南東方向は野菜畑やオレンジ畑がずっと広がっており、点々と農村があるが特に怪しい気配は無い。

 やがて荒野になり、ここまでは魔物の気配を感じなかった。

 山地にぶつかり、残敵がいそうなここらを重点的に偵察をする。


 十分ほど周回していると、ビンゴだ…。何かいる。

 近くには人が住んでいる村がないので被害は無さそうだが、やはり生態系の問題があるので駆除をしなければならない。

 地を這ってる魔物は騎士団や討伐隊によって比較的退治されているが、ガルーダや虫型など空を飛ぶ魔物は退治が進んでいない印象だ。

 しかしブラックボールは生物なのだろうか?

 見た目は機械っぽいが、切った断面は機械でも生物でもないよくわからない物体だった。

 宇宙のことまでになると常識が通じない。


 山の森に中に魔物がいた…。

 五十センチ以上はあるスズメバチに似た魔物が二十匹くらいいる。

 鹿を…いや、あれは山ヤギか。

 その群れを襲って捕食中だ。

 山ヤギの群は全て絶命しているようで、食い散らかされ無残な姿だ。

 マカレーナを襲っていた蜂の魔物はそれほど強くなかったが、あの巨大スズメバチは凶暴そうだ。

 あんなものを野放しにしていたら動物が死に絶える。

 捕食に気を取られているうちに退治をしたほうが良いだろう。


 木陰に身を潜め、様子をうかがう。

 よし、今ならいつでも行けそうだ。


(あま)(つばめ)乱れ打ち】を仕掛けた。


 一気に巨大スズメバチの元へ駆け抜け、無差別で滅多斬りにした。

 だが全滅さえることが出来ず、一番遠かった二匹だけ気づかれ、逃してしまう。

 その二匹が怒り狂うようにこちらへ向かってきたが、ライトニングカッターの魔法剣を二発放ち、斬ることが出来た。

 威力があるので後ろにある木まで切ってしまったが…。


 さて、滅多斬りにしてしまったのでオオスズメバチの魔物の死体と、食い散らかされた山ヤギがさらにバラバラめちゃめちゃに散らばってしまい、山中の森は視界を全てモザイク映像処理をしたくなるほど(せい)(さん)な状態になっている。

 着ている女神パワー付与の貴族服は血がたくさん着いてしまったのに、いつの間にか消えていた。

 

 どうするか…。よし。

 グラヴィティで死体をまとめて一カ所に集め、オルウェイズフローズンで凍らした。

 これなら常時冷凍なので腐って悪臭を放つこともない。

 本当は燃やしてしまいたいところだが、森が火事になりそうなうえに、私は火属性の魔法がまだ使えないので早く使えるようになりたい。

 もし山に入った人がいてこれを見つけたら、謎の物体に思われるかも知れないが…。

 そういえばサリ様は、マドリガルタでエリカさんを簡単に火属性と土属性の魔法を使えるようにしていたけれど、あれはどう見ても気まぐれだったから、それなら私にも使えるようにして欲しいよ。

 もうひとっ飛び山地を広範囲に周回し、魔物が確認してからセレスへ帰った。


---


 屋敷の執務室にて、早速ラミレス侯爵へ報告をする。

 南東方面の魔物討伐、アルタスの村長の態度を含めて、見聞きし感じたことを一部始終話した。


「ふむ…、特に街から離れた貧困な農村は、村長の世代かそれよりよりもっと昔の子供は君が考えているとおり、子供が大切という価値観が無かったのだよ。

 赤ん坊の頃に川へ捨てたり、少し大きくなったら街へ売ったり、女の子は特にそうだった。

 先々代の王の時から人身売買や捨て子は禁止になってもう見られなくなっているが、今でも子供の価値が低い感覚が残っているところはあるかもしれないねえ。

 アルタスの村では、自分の子供はともかく他人の子供まで構うこともない、ということだろうか。

 若い人ほどそういう感覚が薄れてきているんじゃないかな。」


 日本でも何百年以前はそうだった。

 庶民の暮らしを歴史的に見れば、子供を愛したり守りたいという気持ちが芽生えることが当たり前ではない時代がとても長かったのだ。

 この国でもつい最近までそうだったということか。


「一先ず魔物がいなくなったということだな。

 領地内の街道を整備し、アルタスは教員を増やさないといけないな。

 他の村も含めて調査後にいろいろ人数の割り振りも調整しないといかんから直ぐには出来ないが、極力早く解決できるようにしよう。

 大変ご苦労だった。今晩もゆっくり休んでくれたまえ。

 やはり…、明日には出発するのかな?」


「はい、マカレーナでもやらなければいけないことがありますし、王女殿下もいらっしゃいますので。」


 オイゲンさんたちに頼んだ飛行機作りがとても気になる。

 資金が足りなくなってるかも知れないから、届けなければ。


「そうか、そうだったな。もっとゆっくりしていって欲しかったが…。

 またいつでも来てくれ。歓迎するぞ。」


「はい。また寄らせて頂きます。」


 このまま滞在してもこき使われそうだ。

 食えないおっさんだな。


「マヤ殿、これを持って行くといい。白金貨五枚だ。」


「はい。有り難く頂戴いたします。」


 ちょっと貰いすぎな気がしたけれど、資金はいくらあってもいいのでしっかりと頂いた。


「ところで、マヤ殿が来てからセシリアはとても幸せそうだよ。

 君が王都へ滞在している間も、今か今かとそわそわしていた。

 それほど君のことが気になっていたんだよ。

 嫁に行けないのはわかってるが…。

 どうかね? 義兄弟の契りを結ぶというのは?」


「えっ? それは…即答しかねる質問です…。」


 礼金を受け取った後にそんなことを言うかね。

 確かにセシリアさんは性格良しで文句は無いのだが、男だ。

 でもキスをしてしまったし、アレ同士を交差してしまった仲である。

 雰囲気に流され勢いでしてしまった感じが強いが、セシリアさんは男だ。

 いずれ彼女の性欲がエスカレートし、最後まで行ってしまう。

 それは避けたい。


「うーん、まあ君たち次第だから私からはどうしろとも言わないが、もし一緒になりたいのなら歓迎するぞ。」


「あぁ…、はい。」


 最後である今晩、何かありそうな気がするな…。

 かといって部屋を閉ざしてしまうと彼女が傷ついてしまいそうだし。

 なるようにしかならないか。


---


 楽しい楽しいお風呂の時間だ。

 正直言うと、食事の時や寝る時間よりもここのお風呂のおもてなしは楽しい。

 脱衣所ではやはりローサさんがお世話をしてくれる。


「マヤ様、今日はお疲れ様でございました。

 汗をお掻きになったでしょう。

 さあ、抜き…いや脱ぎましょう。」


 今おかしな言い間違いをしたぞ。

 サッと上着を脱がされ、シャツとトランクスだけになった。


「スゥーハァー… 若い殿方の汗の匂いはたまりませんね。」


 ローサさんはもう誤魔化さず、露骨に脇の下から胸の辺りの匂いを嗅いでいる。

 完全に痴女化しているが、アラサーの綺麗なお姉さんがそうしているのを実際に見るのはちょっと面白いので、そうさせている。


「シャツも脱ぎましょう。

 マヤ様のぱんつ…クンカクンカ…スゥーハァースゥーハァー…

 良い香り…」


 もう(なり)()り構わず私の股間に鼻を当てて嗅いでいる。

 私もSの気が湧いて来そうな気分だ。


「ぱんつも脱がしますね。

 ズリッと。

 ああああああ…、マヤ様のはいつ拝見させて頂いても素敵ですね。

 このまま頂きたいところですが、いけません。

 私には旦那がおりますから…うぅ…けじめをつけないと。」


 けじめも何も、匂いを嗅いでいる時点でアウトだってば。


「ではこの後早速嗅いで…いえ洗濯しますので、明日の朝までにしっかり乾かしますからごゆっくりどうぞ。

 失礼します。」


「あ…ありがとうございます。」


 まあ洗ってくれるならぱんつやシャツぐらい好きにさせてあげよう。

 さてさて、一番のお楽しみのお風呂だ。

 アナベルさんたちはいつも後から来るから、待っている間はワクワクして仕方がない。


---


 かぽーん


 先にかけ湯をして湯船に浸かる。

 ワクワク ワクワク…

 ……お? 気配を感じる。


「マヤ様、お待たせしました!」


「マヤさまぁ。」


 ふっふっふっ もう顔がニヤニヤして仕方がない。

 妖しい店の待合室や、妖しいホテルのベッドの上で待っていて、お気に入りの綺麗なお姉さんがやってきた瞬間の喜びと同じようだ。

 ん? 他人から聞いた話だぞ。


 ザバッとお風呂から上がり、妖しい椅子に座ってスタンバイ。

 アナベルさんとロレンサさんが膝を立て、両肩にそれぞれ寄り添う。


「マヤ様、とうとう明日の朝がご出発なんですね。

 また寂しくなります。」


「王都への往復はこの先何度もあるだろうから、また寄らせてもらいますよ。」


 素っ裸なのに真顔で話すアナベルさん。

 そんな真面目におもてなしをしてくれるあなたが素敵です。


「マヤ様…、今日はもっと凄いサービスをさせて頂きますね。うふふ」


「それは楽しみだなあ。」


 最初はおどおどしていたのに、今はすっかり慣れたふわふわ可愛いロレンサさん。

 今日はどんな凄いことをしてくれるのだろう。


 いつものようにシャンプーをしてもらい、タオルの代わりに石鹸を着けた手で洗ってもらう。

 これだけでも気持ちが良い。


 その後は、全身ダブル◯ふぱ◯で天国を感じ、アナベルさんがその名の通りアナ◯△□△□でくすぐったくなり、アナベルさんが後ろから私の頭を支えてロレンサさんがお尻でぱ◯◯ふして顔を洗ってくれるというややハードなおもてなしをしてくれた。

 あくまで私は受け身だけであり、それがおもてなしの暗黙の了解というのを察していたので、二人は心置きなく良いサービスをしてくれているのである。

 例え二人のお給金アップがあると分かっていても。


「あの…マヤ様、大丈夫ですか?

 ちょっと強引過ぎましたでしょうか?」


「あは。いやあ、夢のようでした。

 桃の中にある花園が私を癒やしてくれましたよ。」


「マヤ様ったら…恥ずかしいです。」


 ロレンサさん、あそこまでして恥ずかしいと言いますかね。

 そして二人は挨拶をして風呂場を退出していく。

 ちょっとぐらい一緒に湯船に浸かりたかったけれどなあ。


---


 ラミレス家と私達六人で夕食。

 昨日はイレーネちゃんがいただけですごく賑やかだったのが、今日はぽっかりというのを実感するほどだった。

 やっぱり子供がいる食卓は楽しいものなんだね。

 皆にもアルタスの村のことや、南東の山地のことを話しておいた。

 侯爵に話した子供達の扱いについては暗い話を食事中にしたくないので、またの機会にした。

 アーテルシアがまた魔物をばら撒かない限りは、一先ず領地内の魔物をほぼ全滅させることが出来たので、皆も安堵の表情だった。


---


 就寝の時間。

 もしかしたらまたエリカさんがやって来るかと思っていたが、空気を読んだのか知らないが来ることはなかった。

 そして予想通りセシリアさんがノックして部屋に入ってきた。

 青いワンピースの素敵なパジャマで。


「マヤ様、私は悔しいです。

 昨夜はエリカ様に先を越されて…、お楽しみだったんですね。」


「エリカさんはエッチな人だから…うん。」


 さっき執務室で侯爵に煽られたことは黙っておこう。

 正直言って自分もどうしたら良いのかわからないので、時間を稼ぐしかない。

 そう思っているうちにセシリアさんはベッドの上に乗っかり、私の隣で女の子座りをする。

 男の骨盤で女の子座りをするのは大変なはずなんだが、先日見たお尻の感じでは女性らしかったので、やはり身体の作りは胸と股間以外が女性に近いのだろうか。

 セシリアさんが両手で私の手を握る。


「もう明日ご出発なさるんですね。

 寂しいですけれど、この三日間はまるで夢のように楽しかったです。

 いつまたお会いできるんでしょうか。」


「これから王都へは何度も通うことになりそうだから、出来るだけ寄るようにしますよ。

 魔法力も強くなりましたら、その気になればマカレーナから一日で行けます。」


「嬉しい…。でも本当にいらして下さいね。

 前回からずいぶん間が空きましたから。」


「わかりました。」


 必要以上に明確な返事をするのは避けた。

 分かっているのに、彼女と距離を取ろうしている自分が少し嫌になる。


「マヤ様…。」


 今日は大胆にも、彼女は私を押し倒した。

 私が拒否をしないというのをわかってるように。


「キス…しますね。」


 シャンプーリンスか香水の淡くて甘い香りが漂い、男とわかっていてもとびきり美しい美女の顔が迫ってくると、素直に受け止めてしまう。


「はむ…はぁ…」


 彼女は今まで以上に、積極的なキスをする。

 彼女の舌先が私の唇の周りをペロリと舐める。

 私も舌先を出して、舌先同士でつつく。

 そんなキスをしばらく続けた。

 ふわっと、とろけるようだ。

 そこへ彼女の手が私の分身君を(さす)る。


「嬉しい。私のためにこんなふうになってるんですね。」


 一昨日の晩はエルミラさんがいたからそうなっていたかと思っていたのに、まさかセシリアさんでそうなるとは…。

 セシリアさんが自分でぱんつを脱いだ。勿論女物だ。


「ふふ…私もなんですよ。

 私、こんなことが出来るんです。」


 セシリアさんはパジャマのスカートを(めく)り、前屈して自分の…


「か、身体が柔らかいんですね…」


「次はマヤ様にして差し上げますね。」


「え?」


 彼女は私のパジャマのズボンとぱんつを下ろし、……始めた。

 同性ならではのポイントを知っているというのは、す…凄すぎる。

 すぐに我慢出来なくなり、終わってしまった。

 はぁ…、また階段を一段上ってしまったのか…。


「今日は嬉しいことばかり。

 マヤ様は私にとても満足して下さったんですね。

 ご馳走様でした。」


「……それは良かったです…。」


 何を言ってるんだ私は…と思った。

 次に彼女は、本当に最後まで行ってしまいそうな勢いだが、それだけは壁を越えてはいけない。

 彼女を傷つけたくないがために私の優柔不断さでずるずるとここまでしてしまったが、ここらで止めておかないと後戻りが出来なくなるし、パティ達のほうが傷つくかも知れない。

 正直に言った方が良いのだろうか。


「セシリアさん…、私は男性と…」


「お待ち下さい、マヤ様。

 わかってるんです。

 私の我が儘に、マヤ様が無理をなさってるというのは肌で僅かに感じていました。

 でもマヤ様に甘えてしまいました。

 マヤ様は本当にお優しい…

 そこが私は惹かれます。

 だから、どうか愛させて下さい。

 あなたは初めて本当に好きになったお方…

 あなたの存在がないと私は壊れてしまいそうです…うぅ…」


 セシリアさんは涙を流し、私を見つめる。

 私の気持ちが顔に出てしまったのかな。


「何もセシリアさんと離れたいわけじゃないんです。

 あなたは性格が良いし、一昨日からずっと見ていても素敵な女性だとわかります。

 ただ性欲について私自身どう受け止めて良いのかわからないけれど、性欲はご飯を食べたり寝ることと同じくらい大事なことなんです。

 だから私はセシリアさんのことを受け止めたんですよ。」


「そんなに私のために…。ありがとうございます。

 今、とっても幸せです。」


 セシリアさんは立ち上がり、一礼して退出していった。

 解決したのかわからないが、彼女は自分自身で納得してくれたように見えた。


 あ…、セシリアさん。ぱんつ履くのを忘れてますよ。

 ほえー 白いレースの大人ぱんつだ。

 掲げてみると、どこに分身さんが収まるのだろうかと不思議でしかない。

 はぁ… もう眠い。


性的表現を極力抑えてます。

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