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第百二十五話 ルナちゃんは着せ替え人形

(今回は全てルナ視点です。)


 ランジェリーショップに続いて、私たちはブティックをまわってみることになりました。

 この辺は衣料品店がいくつか並んでいて買い物に便利です。

 パトリシア様は、お昼ご飯を食べた後にお店をまわると、お腹が膨れて合うサイズの試着が出来ないから後にしましょうということでした。

 あはは そうですよね。

 馬車は待たせてもいけないので、荷物だけ置かせてもらって一時間半後にまた迎えに来て下さいということにしました。


 一件目のお店が…、貴族の方が着るような綺麗なドレスがたくさんあるんですが、私向きではないです。

 どうしてお二人は私をここへ連れてきたんでしょう。


「ご覧になって、セシリア様。

 こーんなに可愛いドレスがありましてよ。」


「まあ! ピンク色の! ルナさんにお似合いですわ!」


「わあ! すごい!」


 それは軽そうな生地でフリルトリムの可愛いワンピースでした。

 これなら私でも…。


「あら、色違いもありますわ。

 ルナ様にはこちらの薄いパープルのほうがお似合いかも知れませんよ。

 さあルナ様! 試着してみましょう。」


 確かに…、ピンクは少し子供っぽいからパープルが好み!

 早速試着室で着てみました。

 中の姿見で見ると……ええ? これが私?

 本当に可愛く見える…。


「どうです? ルナ様。

 開けてもよろしいかしら?」


「はい、どうぞ。」


「きゃーー!! かわいいいぃぃぃぃ!!

 パトリシア様のお見立ては間違いないですわ!」


「ふふ…

 私はお母様に散々お洋服のお店に連れ回されましたから、少しは自信がありましてよ。」


 え? それってパトリシア様が十三歳以前ってことだから…。

 私は元々子供っぽいの??

 でも可愛いし…。


「では…、これをお願いします…。」


 着替えてお会計のフロントに行くと、セシリア様が前に出る。


「そのワンピースは私がお支払いしますわ。」


「セシリア様…、会ったばかりの私にそんな…。」


(わたくし)、今はとても気分が良いのです。

 初めて女の子たちとお買い物をすることがこんなに楽しいなんて思いませんでした。

 ご一緒して頂いたお礼と思って受け取って下さいませ。」


「ありがとうございます…。」


 お会計は銀貨一枚に銅貨三枚…。いい値段ですね…。

 もう下着だけでマヤ様から頂いたお小遣いをとっくに超えてます。

 何だか恐縮してのびのびお買い物が楽しめないよぉ~


「さあ次のお店に参りましょう!」


 え!? これで終わりではないのですか?

 ご自分の買い物ではなかったのに、お二人はとてもニコニコして楽しそうなんですか…。


---


 二件目のブティックです。

 ここはさっきのお店より庶民っぽい雰囲気ですね…。


「あらいらっしゃいませ。

 これはこれはセシリア様、いつもご来店ありがとうございます。」


 派手な服を着てちょっとなよっとしたお姉さん風の男性店員さんが来られました。

 セシリア様とはだいぶん違うタイプの男性ですね。


「今日はこの子のために服を選びに来ましたの。

 何か新しいものは入っていますか?」


「はぁい! すぐ()()()しますから、()()()になって下さいね。

 なんちゃって。」


 変な人…。

 でもお店に置いてある服…、欲しくなってしまう可愛い物がたくさん。

 あそこにあるの、お嬢様学校の制服みたい。

 あんなの着たことがないから、一度着てみたいなあ。


「あらルナさん、ああいうのがいいんですか?

 私が通っていたマカレーナ女学院の制服に少し似てますわね…。

 それも試着してもらいましょう!」


 えええ~??

 それもいいんですかあ?


「お待たせしました。

 これとこれ、あとこれなんかもいかがでしょう?

 サイズはみんなこのお嬢様に合わせてありますわよ。」


 真っ白で涼しげなワンピース、薄紫のシャツに少し赤みがある薄紫のキュロットパンツ、白いシャツにロールアップのデニムのショートパンツ…。

 みんな可愛い…。

 この店員さんのセンスはいいわね。

 サイズを合わせてるって、目測??

 うそ?


「試着してもよろしいですか?」


「ええどうぞどうぞ。」


「店員さん、あそこにあるブレザーとチェックのスカートもサイズが合った物をお願いできるかしら?」


「はぁ~い! ただいま!」


 パトリシア様があの制服みたいな服を店員さんにお願いしてしまいました。

 四着も…。こんなにどうしよう。

 私は試着室に入り、白いワンピースを着てみました。

 着替え終わるとセシリア様とパトリシア様に見せます。


「まああああ! 素敵!!

 まるで草原の爽やかな風のようですわ!

 パトリシア様もそう思いませんか?」


「ええ、よくお似合いですわ。私は海辺の白い砂浜が思い浮かびます」


 次はシャツとキュロットパンツ。


「はうっ 可愛すぎて眩しいです!

 妹がいたらこんな子が理想なのですよぉぉぉぉ!!」


「王都のおしゃれな街にぴったりな服装ですね。

 私もこんなの着てみようかなあ」


 白いシャツとデニムのショートパンツ。


「はぁ はぁ はぁ 興奮して鼻血が出そうですわ…。

 私が着ても絶対こんなに可愛くならない……」


「そんなことありませんわ。

 セシリア様は脚が長いし、きっとお似合いですわ!」


 ショートパンツ、ちょっと恥ずかしいかなあ。

 でもマヤ様だったらすごく喜んでくれそう。

 そしてオネエ店員さんが戻ってこられて、ブレザーとスカートを差し出す。


「はーい。

 お嬢さん、細いのにお胸が大きいからサイズがあるかどうかいろいろ探しちゃったわ。

 でもございましたのでごゆっくり試着なさって下さいね」


 あはは… それもあってあまり服屋へは行かなかったのよね。

 給仕服ならオーダーメイドだったから楽だったし、たくさん替えがあったし。

 では、制服みたいなこの服を着てみましょう。

 薄い茶色のブレザーに、濃いめのピンク基調の短いプリーツスカート。


「はぁぁぁぁぁん!

 私も学生の時はこんな服を着てみたかったですわぁぁ!」


 セシリア様は両手を頬に当てて身体をくねらせまくっている。

 マヤ様のお知り合いって変わった方が多いように思いますが、その人の周りには似た者が集まるという言われは、そういうことだったのね。

 私は例外ですよ…きっと…。

 ひとまず試着が終わって、元の給仕服に着替えました。

 四着もあるけれど、どれにしようかな……


「あの…… これ……」


「ええ! 全部買いましょう!! フンッフンッ」


 セシリア様が興奮して鼻息が荒いです。

 まるでご自分のことのように喜んで頂いてるのは嬉しいのですが…。


「あ…… いや…… そんなに……」


「この中で選ぶことなんて出来ません!

 全部可愛いです!

 心配いりませんわ。私が全部プレゼントしちゃいますうぅぅ!」


「私の旦那の従者なんですから、私が払いますわよ」


 おいおい、パトリシア様。まだ結婚しておられないのに旦那って。


「いいえ。今日は夢のようで、まるで私が女の子になった気分にさせてもらいました。

 もう嬉しくて嬉しくて……」


 セシリア様が半泣きでそのようなことをおっしゃいました。

 大げさな…って気がしましたが、セシリア様にとっては人生の一大イベントだったのかも知れないですね。

 お会計は上下四着分で銀貨七枚分をお支払いになってました。

 下着より安いですが、四着ともなると高額になりますね…。


「セシリア様、こんなにたくさんありがとうございました!」


「いいのよ。私はとっても幸せです。うふふ」


 私たちはオネエ店員さんのお店を後にし、ちょうど馬車が迎えに来る時間だったので乗り込みました。

 オネエ店員さんは最敬礼で、お店の前で私たちを見送っておられました。


「遅くなりましたが、お食事にしましょうか。

 そうですね…。あのお店にしましょう」


 どんなお店だろう。楽しみだなあ。


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