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第百二十四話 初めての高級ランジェリーショップ

(今回は全てルナ視点です。)


 セシリア様とパトリシア様とお出かけです。

 お昼ご飯は外でというお話で、お支払いも心配しないでとおっしゃられ、とても恐縮です。

 どんな美味しい物をご馳走して下さるんでしょう。

 楽しみです。うふふ


 お昼の少し前に、お屋敷の馬車で出発しました。

 セシリア様って、こんなにお綺麗なのに男性なんですって。

 白くてきめ細やかなお肌、スラッとした手の指、穏やかな笑顔、ほんのりフローラルの香りが漂うブロンドの綺麗な髪の毛…。

 女の人より女の人らしい方で、私の方が羨ましくなっちゃいます。


 侯爵家のご令嬢がお二人に、一介の給仕係である私が一人…。

 まさか私がお客でセシリア様が案内役だなんて端から見たら絶対そうは見えないでしょう。

 パトリシア様も普段は仰々しく従者を付けないで、お一人で活発に動かれることも多いとマヤ様から伺ってましたから、将来大物になるかも知れませんね。

 あのおっぱいプリンを飼おうと思うなんて度胸があるのか、私たちと感覚がずれているのか、とにかくすごいです。


「パトリシア様、ルナ様。

 どこか行きたいところはございますか?

 私としては、この街の名所になっている古い聖堂や民家の遺跡をまわってみるのをお勧めしますが…。」


「うーん、そうですね…。

 遺跡は嫌いではないのですがあまり積極的には行かないんです。

 私は買い物や観劇によく行きますわ。

 それに王都へ向かう途中でメリーダの遺跡に行きましたし、つい先日もエスカロナの城塞跡に寄ったんですの。」


「そうですか…。それは残念です。」


 パトリシア様はハキハキ物申す性格みたいですからちょっとイラッとすることがありますが、こういう時は助かります。

 実は私も遺跡にはあまり興味が無くて…。

 セシリア様は遺跡がお好きなのかしら。

 何となく歴史や文学女子みたいな雰囲気があるように思います。


「ルナ様はいかがですか?」


「ええ、あのぅ…お買い物か…お二人にお任せします…。」


「そうですか…。では繁華街まで向かってみましょう。」


 そうして私たちを乗せた馬車はセレスの繁華街まで走り始めました。

 マヤ様からお小遣いを頂きましたし、何か良い物があるかしら。

 繁華街へ入りお店がたくさん並んでいて賑やかになってきました。


「あっ そこで止めて下さるかしら!」


 パトリシア様が御者に向かってお願いをされました。

 何か見つけたのでしょうか。


「皆さん、最初はここでお買い物しましょう。」


「まあ、ここは私もよく行きますわ。」


 ん…ここは…。

 下着を着けた人形が店頭のガラスルームに飾られています。

 アリアドナサルダ…って、高級ランジェリーショップじゃないですか!


「さあルナさん、参りましょう!」


「えええあの…わたし…!」


---


 アリアドナサルダのお店の中に入ってしまいました。

 ひぇぇぇ…すごいです…。

 あのぱんつ、透け透け過ぎて見えちゃいませんか? あわわわ

 値段もすごくて私のお小遣いで買えるかどうか…。

 ああっ アリアドナサルダって、前に王宮で朝食の時間にマヤ様が下着のデザインを始めたって聞きました。

 マヤ様がデザインした下着ってもう置いてあるのかしら…。


「ル、ルナさん。

 もし欲しいものがあれば私が一つや二つぐらい買って差し上げますわ。

 連れてきたのは私なのに、高くて何も買えないのは良くありませんから。」


「え? 私…買って頂くようなことはまだ何も…」


「未来の夫の従者であるあなたの面倒を見るのは、私の義務だと思っています。

 外から見えない下着でも、良い物を着けて気持ちをビシッとして下さいまし。」


「はい…、ありがとう…ございます。」


 びっくりしたあ。

 まさかパトリシア様が買って下さるなんて思いもしませんでした。

 それならばお言葉に甘えて何か良い物を探してみましょう。

 ……普段は綿の下着しか着けていませんから、どれを選んだら良いのかわかりません。

 どうしよう…。


「ルナ様、よろしければ私が見立てて差し上げますわ。」


「セシリア様!?」


 あれ? この方もやっぱり女性の下着を着けてらっしゃるのですか?

 ううむ… お願いしてもいいのかしら…。

 パトリシア様は一人であっちの売り場へ行っちゃったし…まあいいか!


「では、よろしくお願いします…。」


「私たちもあちらの売り場へ参りましょう。」


 セシリア様と私も、パトリシア様がいらっしゃる所へ行ってみました。

 うわっ 素敵なランジェリーがいっぱい…

 透けてるエッチな下着は無いけれど、デザインが細かくて高そう…。

 え!? このぱんつ、銀貨一枚と銅貨五枚もするんですか!!??

 いいなあ~と思ったのに…。


「あら、ルナ様。そういうのがよろしいんですか?

 白い薔薇のレースで、素敵なデザインね~

 ブラとセットになっていますね。

 サイズはどうかしら。

 すみません! この子のサイズを測って頂けますか?」


 あらあらあらら…

 セシリア様が慣れた様子でどんどん進めていっちゃう…。

 近くにいた少し年増の女性店員さんを呼んでくれました。


「まあまあ、セシリア様。いつもありがとうございます。

 今日のご入り用はどのような物がよろしゅうございますか?」


「今日はこの子に上下の下着をと思いまして、サイズを測って下さいますか?」


「まーあ! 可愛らしいメイドさんですね!

 では早速こちらへ。」


 私は店員さんに試着室を案内されました。

 王宮ではほとんど支給されたこの給仕服だったしおしゃれだから、プライベートも着ていることが多かったです。

 だからわざわざ服を買いに試着室を利用することが無かったから、初めてです。


「正確に測りますので、下着も全て脱いで下さいね。

 私はここにおりますので、脱いだらお呼び下さい。」


 ええ…女の人でも恥ずかしいな。

 んしょんしょ…

 このかぼちゃパンツスタイルも長らくしてきたわよね。

 さて、裸になりましたから…


「あのぅ… 脱ぎました…。」


「はい、では失礼いたします。」


 外から見えないように店員さんがサッと中へ入ってこられました。

 やっぱり恥ずかしい…

 カーテン一枚の向こうにはセシリア様もいらっしゃるし…。


「では測りますね。

 ……まあまあ! スタイルいいですねえ~

 お肌も張りがあって、若いっていいわねえ~」


 えーん、そんな大きな声で言われると外に聞こえてもっと恥ずかしい…。


「お客様に合うブラのサイズはFの65、ショーツはMですね。

 これをよく覚えて下さいませ。

 オーダーメイドも承っておりますので、是非ご用命下さい。

 それでは失礼します。」


 ふぅ… 終わった。早く服を着ましょ。

 私は試着室を出て、セシリア様のところへ。


「いかがでしたか?」


「あの… ブラがFの65で、ショーツはMサイズだそうです…。」


「ああああ羨ましいです! まるで夢のようなスタイルですね。」


「はぁ…。」


 セシリア様から見た女性はみんなそうかもしれないけれど、私はセシリア様の肌や顔の美しさの方が羨ましいです。


「ではそのサイズで先程の白い薔薇の上下セットを買いましょう。

 あともう一つあればよろしいですわね。」


 うーん…、どれにしよう。

 可愛いのがたくさんで迷ってしまいます。

 お買い物ってこんなに楽しいものだったんですね。

 あっ これがいい!

 スカイブルーで、一輪の花がブラカップそれぞれと、ショーツにデザインされている。

 可愛い…。私に似合うかな。


「ルナ様素敵! センスがよろしくてよ。」


「そ、そうですか? えへへ…」


 するとパトリシア様がこちらへ戻ってこられました。

 ご自分の下着を選んで手に持っておられますが…、え…パトリシア様ってまだ十三歳ですよね?

 ピンクのショーツがハーフバックというよりほぼTバックじゃないですか!

 お歳のわりに大人っぽくてスタイルが良いからと言っても…。

 私もああいうのを履いた方がいいのかな…。

 え? 私ったら誰のために…ね。


「もうお選びになりました?

 あら、とても可愛いですわね!

 私も欲しくなってしまいます。

 それではお会計しに参りましょう。

 セシリア様はよろしいのですか?」


「私はこれを… ポッ」


 セシリア様は顔を赤くしながら、いつの間にか手に持っているショーツを両手で広げて見せてくれました。

 白い紐パン!? 透け…透け透け!!

 あれ? この人もマヤ様と同じ物を持っているはずなのに、どこに入るの?

 面積があんなに小さいし、透けてるし… あわわわ


「セシリア様もなかなか大胆ですわね…。」


 パトリシア様も少し困惑しているようです。


「私たちは会計フロントへ商品を持って行きました。

 私の分だけでちょうど銀貨九枚!! ひ、ひ、ひえぇぇぇぇ!!

 パトリシア様の分もあるので、金貨二枚をポンとお支払いになってました。

 さすが上級貴族様です…。

 ああ、王宮での報賞金も皆さんけっこう頂いたとマヤ様から伺いました。

 すごいですね…。


「パトリシア様、ありがとうございます。」


「あなたのためはマヤ様のため。それくらいお安いですわ。

 うーん、次はどうしましょう…。」


 そこまで言われるとお二人にしっかりとお(つか)えしなければいけませんね。

 次の行き先を考えなければ…。


「わかりましたわ!

 今日はルナさんのコーディネートをする日にしましょう!

 次はお洋服を選びます!」


「それは面白そうですね!

 私も賛成ですわ!」


「えええええっ!?」


 何だか今日は私にとってすごい日になりそうです。


また下着店の話になってしまいました。

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