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第百二十二話 朝風呂でお話

2023.8.4 微修正を行いました。

「マヤ様…… おはようございます。マヤ様……」


 ああ…… 朝…… ローサさんの声か。

 もう間違えないぞ。

 起きるか……

 私は首を起こしたら……


 んちゅ


 ん? 唇に柔らかい物が触れた……

 目が乾いているのか、痛くてなかなか開かない。

 でも頑張って目を開いた。


 わっ ローサさん!?

 私は起様(おきざま)にローサさんとキスをしていた。

 すぐ首を戻して唇を離す。


「旦那がいるというのに……

 マヤ様から朝の口づけをして下さるなんて…… ふふ」


 ローサさんは右手を頬に当ててポッと顔を赤くしている。


「なに照れてるんですか。

 ローサさんがいつも顔を近づけ過ぎだからですよ……」


「それにしても……服を着たまま布団を掛けずにおやすみになったのですか。

 風邪を引きますよ」


 しまった。また洋服のまま寝てしまった。

 これが癖になって、とても良くない。

 パジャマはともかく洋服はちゃんと脱いで、布団の中で寝るように気を付けよう。


「クンクン マヤ様…… 少し匂いますよ。

 何と言いますか…… 男と女のブレンドみたいな独特の匂い……」


 ギクッ 何という敏感さ。

 クンクン 自分の手の甲を匂ってみた。

 エルミラさんは良い匂いだけれど強いので、移り香があった。

 確か背中はセシリアさんのアレを、乾いたタオルで拭いただけ。

 ゆうべのうちにもう一回お風呂に入っておけばよかった…。

 しかしルナちゃんといい、上級メイドさんってよく匂いを嗅ぐものなの?


「マヤ様。お食事までまだ時間がございますので、お風呂へお入りになってはいかがでしょう?」


「そうですね。そうさせてもらいます」


---


 前日のように、ローサさんにスパッと服を脱がしてもらって、上がった後のバスローブを用意してもらう。

 そのままお風呂場へ向かった。



(ローサ視点)


 マヤ様はお風呂場へ入りましたよね?

 もう戻ってこられませんよね?

 ふふ… 先客にマヤ様と仲良しの方がいらっしゃいますから……

 わかりますよ。あの匂いはお二人のものが混じっている!


 それでは早速お洋服を……

 ――くんかくんかくんか…

 ああああああ、男の子の寝汗が染みこんだ匂い!!

 すうぅぅぅはぁぁぁぁすうぅぅぅはぁぁぁぁ

 うっ 鼻につく香り……

 ああああああああああ脳がとろけそう!!


 おっと、マヤ様はいつご出発になるのかしら。

 何もおっしゃられませんでしたが、早めにお洗濯しましょう。

 くんかくんか……


---


 さっきローサさんの叫び声が聞こえたようだけれど、気のせいか。

 おや? また先客か…… 誰かが身体を洗っている。

 エリカさんか?

 いや…… 白くてスラッとした身体は…… エルミラさんだ。


「エルミラさんもお風呂だったんだ」


「えっ? あっ びっくりした…… マヤ君か。どうしてお風呂に……?」


「メイドのローサさんに起こされてから勧められて、それで入っているんだよ」


「私も彼女に起こされてからだよ。

 あの人には私たちのことを話していないのに、何か察してるの?」


 ローサさんって、何だか“家政◯は見た”のような人だな。

 覗かれている気配は無かったのだが……


「それよりゆうべは、マヤ君が私の部屋へ運んでくれたのかな?

 取り乱しちゃって…… 恥ずかしい……」


「それでゆうべのことについて話したいことがあるんだけれど、身体を洗うまで少し待っていてくれないかな」


 エルミラさんは先に洗い終わって湯船に浸かる。

 私はその辺にあったスケベ椅子に座って、身体を洗う。


「それ、昨日から気になっていて不思議な形をしているけれど、椅子だったんだ」


「ああ、そうだねえ。変な形だよね」


 この椅子に座って何をされていたなんて知られたら変な目で見られそうなので、知らないことにして誤魔化した。

 サッと身体と頭を洗って、エルミラさんの隣で浸かる。


「恋人同士になって月日が経ったけれど、エルミラさんとこうして一緒にお風呂へ入るって初めてだよね」


「そうだよねえ。

 いつも別々のお風呂だったし、一緒にお風呂へ入ろうという考えがなかったよ。

 でもこうして一緒に入るのもいいものだね。ふふふ」


 エルミラさんが火照った顔で微笑む。

 ああ… めちゃめちゃ綺麗で、首筋からうなじにかけてが特に色っぽい。


「ヴェロニカとますます仲が良くなってるみたいだけれど、一緒にお風呂へ入ってるの?」


「うん。一昨日の宿と、ゆうべも一緒に入ったよ。

 脚の筋肉の付き方がとても綺麗だったね。しかも肌は柔らかくて、羨ましいよ」


 そっちかい。だが太股好きとしては嬉しい情報だ。


「エルミラさんもすごく綺麗だよ。」


「ありがとう。でもほら…… 腕も脚も男の人みたいに硬くなっちゃって……」


 エルミラさんは自分の腕と足を揉むように見せてくれた。

 あれほど格闘しているのに目立つ傷が無い、とても綺麗な手足だ。

 いますぐ太股に挟まれたい…。

 いや、ゆうべ挟まれたばかりだった。

 だが何度でも挟まれたい。


「マヤ君ったら、そこを硬くしたらダメだよ。あっはっはっ」


「うわっ いつの間に!」


 エルミラさんは笑っているが、分身君が硬くなっているのを注目していた彼女もどうかと思う。

 そんなこと気にしていたらいつまでも本題に入れないので、硬くなったまま放っておこう。


「あぁ…… うん。

 話は変わるけれど、エルミラさんが男の子の心なのかどうかについて、ゆうべのことで自分なりの結論が出たんだけれど、聞いてくれるかな?」


「おおそうだよ! 是非聞かせて欲しい」


「エルミラさんは男性同士の愛について、本を読んで(いた)く感激したんだよね」


「そうなんだ。アンドレとカミーユの深い愛は衝撃的でとても美しかった。

 ああいうのを仁愛(じんあい)や敬愛というのかな」


 愛の意味が少しばかり違う気がするが、確かに分身君同士が交差するのは衝撃的だったよ…。

 その作者の他の作品があったら読んでみたい。

 とんでもない文豪かも知れないな。


「エルミラさんは、実は小説に感動しすぎて視覚的に男性同士が愛し合っているのを見たかっただけなんじゃないかな?」


「うん…… 言われてみると否定できない……」


「その小説は恐らくお互いが男の心で男が好きなんだと思う。

 だけどセシリアさんは、身体は男だけれど心は女の子として私のことを気に入ってくれている。

 見た目は男同士だけれど、セシリアさんの中身は完全に女の子だよ。

 だからエルミラさんが見たことと、セシリアさんの気持ちは大きく隔たりがある。

 セシリアさんは女の子だから、エルミラさんの身体を見ても綺麗で憧れがあるとは思っていても、性的には興奮していなかった。

 セシリアさん自身もそれを確かめることが出来たんだ」


「うーむ…… そうだったのか……

 私は君たちの姿を見て強い衝撃を受けてしまい、そこまで考える余裕が無かった……」


「そして決定的だったのが、私とエルミラさんが愛し合ったときの君は、まさしく女の子だったよ。

 とても男には見えない。可愛くて綺麗だった」


「エッチなことをしてる私が…… か、可愛い……? ポッ」


 エルミラさんは火照っている顔がますます赤くなった。

 ああっ 目をぱちくりさせているその表情がすごく可愛い!


「ほらっ そういうところが女の子だよ」


「やっぱり私の思い込みだったのか……

 そんなことに付き合わせて悪かったよ……」


「まあ、いろいろびっくりしたけれど、楽しかったよ。あはは……」


「そろそろ食事の時間だから、もう上がろうか……」


 エルミラさんが先に湯船から上がると、エルミラさんの美しいお尻が目から離れなくなってしまった。

 分身君も結局あれから起立したままだった。


「エルミラさん、待って! すぐ終わるから!」


「え?」


 私はエルミラさんを後ろから抱きしめ、お風呂場の壁際で後ろから愛した。

 実際にすぐ終わってしまい、一分と持たなかった。

 でもすごく満足した……


「マヤ君ったら強引なんだから…… エッチ……」


「エルミラさんも俺のをずっと見てたんでしょ?」


「ううう…… どうして私はこうなってしまったのだろう」


 私たちはまた軽くお湯で流してから、脱衣所で身体を拭いてバスローブを着た。

 同時に出ると怪しまれそうなので、三分ほどの時間差で私が後に出る。


---


 いつもの女神革ジャンカーゴパンツセットに着替えて、ローサさんが呼びに来たので朝食会場へ行くと、すでに皆が集まり食事が始まっていた。

 長湯をしてしまったか。しまったな…。

 エリカさんだけが察したようで、私とエルミラさんを見てニヤニヤしていた。

 エルミラさんの顔がまだお湯で火照って赤い。

 私もまだ温まったままだ。ああ…そういうことか。

 席に着くと、早速ラミレス侯爵が話しかけてくる。


「マヤ殿。昨日話すのを忘れてしまったが、今日明日ぐらいで領地内のパトロールをお願いしたいのだが、頼まれてくれるかね?」


「はい。私もそのつもりでしたので、承知しました」


 そのことについては馬車の中で皆にも少し話しておいたので、了解済みである。

 幸いそのあたりで小難しい性格の子たちはおらず、皆が大らかなのでやりやすい。

 大らかなラテン気質なのは地球と変わらないのかな。

 私たちがまだ滞在するのを知ってか、セシリアさんはニヤニヤと喜んでいた。


 この日の行動は皆がバラバラで、空を飛べる私とエリカさんが偵察へ。

 ヴェロニカとエルミラさんは剣術と体術の訓練。

 本当にこの二人は体力バカだな。

 パティとルナちゃん、セシリアさんの三人でセレスの街見物。

 本来護衛される側のパティが桁外れの魔力で強いから、安心だろう。

 しかしパティとルナちゃん、そんなに仲良くなったのか?


 食事を終え、早々にエリカさんと出発するので屋敷の玄関ホールにいる。

 エリカさんはまた昭和の婦警さん風ミニスカスーツをを着ていた。

 そんなに気に入っているのか。


「ふふん。この前はお師匠様に邪魔されたけれど、今度こそ二人きりでデートだね。」


「いやいや偵察しに行くんだから」


「そんなもん適当にやっとけばいいから。

 マヤ君の魔力探査もだいぶん強力になってるんだから、チョチョイとやればすぐわかるでしょ。」


「頑張っても半径数キロ範囲だよ。

 あれからアーテルシアがあちこちデモンズゲートを開けてるかも知れないし、タダ飯食らってハイサヨナラは大人として良くないよ」


「もぉ~ マヤ君はくそ真面目ね」


「まあ、寄り道ぐらいはするから」


「マヤ君のそういう所がだぁ~い好き!♥」


 エリカさんは私に抱きつこうとするが、メイドさんたちがジロジロ見ているので、ひょいと避けてそのままエリカさんを抱えて玄関を開けてもらい、出発した。


「あれぇ~!!」


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