第百二十一話 セシリアさんとエルミラさんとの長い夜
今回はセンシティブな内容でR15表現ギリギリのつもりです。
男の娘も登場し、そういう内容になっています。
苦手な方はご注意下さい。
物語の進行にも関わっているお話です。
2022.9.14 加筆修正しました。
2023.8.4 微修正を行いました。
セシリアさんの部屋にて。
彼女の提案で実際に確かめたいこととは?
「私たち三人、みんなで裸になってみましょう。
それでマヤ様と私が抱き合うのをエルミラ様に見て頂くんです」
「えっ? ええ? そ、それは……」
エルミラさんがかなり動揺している。
初めて会った人の前で裸になるのは恥ずかしいに決まっている。
いやいや、それより私の意思は?
セシリアさんと裸で抱き合うのは強制なの?
「エルミラ様。
私はここで出来ることならば、エルミラ様のご希望通りに何でもいたします。
その代わり一つお願いがあります」
「な、何でしょう……?」
エルミラさんはやや不審を抱くような表情をしながらそう返す。
「私は女性に憧れ、女性になりたいと思っていますが、女性の身体をよく見たことがありません。
それで…… エルミラ様の…… その…… 女の子の大事な所を見たいです……」
「ああああええええっ???? それはとても困ります!」
「エルミラ様、どうかお願いします……」
セシリアさんは土下座をして頼み込んでいる。
ラミレス侯爵もだったが、親子揃って土下座が好きなんだろうか。
「そんなことをされても私は……」
これでは話が進みそうにない。
エルミラさんをどうにかして説得したほうが早いだろう。
「自分が一緒にいて、手を握ってるから……
セシリアさんは、子供の頃からずっと悩んで苦しんでいたから、彼女のたってのお願いを聞いてあげて欲しいんだ」
「でも…… ううぅ……」
エルミラさんはどうにも考えられなくて、言葉が出ないようだ。
そうだよなあ。
今日会ったばかりの人に大事なところを見せて欲しいと言われて、即答なんて出来るはずがない。
セシリアさんには悪いけれど、無理はさせたくない。
「わかりました、エルミラ様。私から脱ぎます。
私の身体をじっくりご覧になってから、またお考え下さい」
「――え? セシリア様?」
びっくりしたが、言い出しっぺはセシリアさんだ。
ここは男らしく腹をくくったのだろう。
早速セシリアさんはワンピースのパジャマをシュルシュルと脱ぎだした。
ブラはしておらず、薄手の白いシュミーズを着けている。
そしてシュミーズを脱ぐ姿が、くねっと悩ましい動きで男の私でもドキッとした。
胸がぺたんこという以外は、女性のように丸みを帯びた体つきに、白くてきめ細やかな肌。
頬ずりしたくなるほどの適度な肉付きの太股と、スラッとしたふくらはぎ。
おぱんつは…… 白くてややローライズ、レースのデザインで少しだけ透けている。
もっこりしているが、小さなおぱんつにうまく収まっていた。
アドリアナサルタの特製男性用ランジェリーを着けたらいいんじゃないかと思ったが、日本では“男性用だから良いわけでなく、女性用を着けてこそ価値がある”という意見を目にしたことがある。
野暮な勧めはやめたほうが良いだろうか。
で、そのおぱんつも、ゆっくり下に降ろした。
「どうぞ…… エルミラ様…… よくご覧下さいませ……」
セシリアさんは私たちから目をそらし、顔を赤くして恥じらいの表情をしている。
何故か、無い胸を両腕で隠して下半身は丸見えだ。
私は前回彼女の裸を見たのだが、それほどじっくり見たわけではないので、男の私でも彼女の身体の美しさに驚愕した。
彼女の分身君は私のそれより小さいが、髪の毛の色と同じブロンドで極薄いものが生えていた。
エルミラさんは目を大きく見開き、四つん這いになってセシリアさんに近づいて、下半身を中心にじっくりと観察している。
「すごい…… なんて綺麗なんだ。
女の子みたいなのに、男の子…… ごくり……」
愛してる女性が目の前で、他の男性のアレを見て「ごくり」としている様子を見るのはとても複雑な心境なのだが、焼き餅を焼く感情とはまた違う。
「あの…… やっぱり恥ずかしいですね……
エルミラ様に無理なお願いをした私が愚かでした。うう……」
セシリアさんは半泣きの顔でそのまま立ちすくんでいる。
エルミラさんはスッと立ち上がり、こう言った。
「マヤ君も服を脱いでくれないか?
セシリア様の気持ちも少しは和らぐんじゃないかな?」
そういうことか。
気持ちが和らぐどころか興奮させてしまいそうな気がするが、どの道三人みんなで裸になるのだから、脱いでしまおう。
私は着ている物をさっと脱ぎ捨てる。
セシリアさんとエルミラさんは、私が脱いでいるのを照れた顔をしてジッと見ている。
私の方が恥ずかしいじゃないか。
「素敵…… とてもたくましい身体つきですね……」
セシリアさんはうっとりした目つきで私を見ている
そういえば前回はセシリアさんだけ脱いだので、私はセシリアさんに初めて裸を見せたことになる。
セシリアさんは少し下へ向いて、目線は私の分身君のほうへ行っている。
するとセシリアさんの可愛らしい分身君が、むくむくと起立していった。
あの可愛らしい姿から想像出来ないほど立派になった。
きっと膨張率が高いんだと思う。
「きゃっ!」
セシリアさんは慌てて分身君を隠したが、セシリアさんの小さな手では全部隠しきれていない。
「はぁ はぁ…… 裸の男の子が二人……
まるであの小説のシーンが目の前にあるようだ……」
エルミラさんは自分が読んだ小説のシーンを私たちに置き換えているのか。
彼女は興奮し始め、目がギラギラしている。
「きゃっ マヤ様っ」
「ああっ マヤ君!」
ん? 何だ? ああっ!
私の分身君まで起立している! 何故!?
エルミラさんは脱いでいないのに、まさかセシリアさんの裸に反応したのか!?
「まあ…… 私の裸を見て…… 感激です…… うふふ」
セシリアさんは自分の分身君がどうなのかも忘れて、両手で頬を押さえてニヤニヤと私の分身君を見つめている。
確かにセシリアさんの身体はほぼ女の子だけれど…。
「マヤ君! セシリア様!
お互い向き合って、マヤ君がセシリア様の両肩に手を置いてくれないか!?」
「あ…… うん……」
エルミラさんから注文が来た。
きっと小説の中であるシーンのポーズなのだろう。
言うとおりにしてみるか……
私はセシリアさんと立って向き合い、彼女の両肩に手を置いた。
この距離は……
セシリアさんと私の分身君同士がぶつかり合いそうじゃないか!
「マヤ様…… 嬉しい……
まさかこんなことが出来るなんて…。」
セシリアさんの目は完全にトロンとしている。
これではもう止まりそうにない。
「セシリア様! マヤ君! 二人のソレを交差してくれないか!」
ええ!? さすがにそれは……
と思っているうちに、セシリアさんが先に動いて分身君と分身君が交差してしまった。
ああ…… とうとうこの世界に来てしまったよ。
「ああああああ!! セシリア様! マヤ君! 最高だ!!
アンドレとカミーユの誓いのシーンがここに再現されている!!
まるで剣と剣が合わさっているような! ああああたまらない!!」
エルミラさんは身体をクネクネさせながら悶えている。
これが誓いのシーンだなんて、その小説の作者の発想に驚くわ!
キャラの名前からしてエトワール国の話だろうか。
格好良くて真面目なエルミラさんがここまで変態だったとは、彼女の名誉のためにも他の人には見せられない姿だな。
「マヤ様…… んちゅ」
セシリアさんが不意をついて私にキスをした。
彼女は自分の両腕を私の後ろに回してしっかり抱き合うように…。
柔らかい唇…… ほんのり薔薇の香りがする香水。
男とわかっていてもドキドキしてしまう。
そしてセシリアさんはハムハムとするキスから吸い付くようなキスに変わる。
「ああ! もう! すごすぎるうぅぅぅぅぅぅぅ!!」
エルミラさんは興奮しすぎて、勝手にセシリアさんのベッドの上で転げ回っている。
喜んでもらえたのはいいけれど、恋人である私が他の女性とキスしているのを見てそういう反応をされると、ちょっとショックだ。
いや、男だからいいのか?
セシリアさんがいったんキスをやめる。
下を見たら、彼女の分身君は今にも破裂しそうだった。
「マヤ様…… 今晩は素敵な想い出になりそうです……」
彼女は興奮したまま、息が荒い。
「それは良かった……」
私はそれを本心で言っているのだろうか。
セシリアさんが喜んでくれたのならば良いとは思っている。
だが私自身の気持ちはどうなのか。
性的にもセシリアさんのことが好きなのか、今はわからない。
「マヤ君! 王宮の前日に泊まったノーブレエンマドリガルタでやったろう?」
「何だっけ……?」
「ほらっ うつ伏せになってお尻を上げて……」
あれか。
そう言えばあの時からエルミラさんの様子がおかしかったんだよ。
彼女は私のその姿を見て満足したから、エッチなことをするのも忘れて部屋へ帰ってしまった。
「エエ…… アレをやるのかい……」
「そうだよ。さあベッドの上でやってくれないか?」
「じゃ、じゃあセシリアさん…… ベッドの上で失礼します……」
「ええ、勿論。どうぞ!」
エルミラさんはもう遠慮が無いし、セシリアさんはこれからのことに興味津々だな。
私はしぶしぶベッドに上がり、枕元で四つん這いになってから腕を下げて枕を抱くような体勢になった。
「ああああ!! マヤ君のお尻はやっぱり綺麗だ!! これがあの……」
前にも言ってたような気がするけれど、「あの」って何?
「これがマヤ様のお尻…… 美味しそう……」
私のお尻は桃尻でもないが、そんなに美味しそうに見えるのか?
エリカさんもエロいおっさんみたいによく触ってきていたが。
「セシリア様。マヤ君のお尻を前に、立て膝になって頂けますか? はぁはぁ」
「こ…… こうですか?」
セシリアさんが私のお尻の後にいる。
これって…… 潰し駒掛け…… 平たく言えば後◯位の一種……
ねえ? どうなるの? ねえ?
「それで…… セシリア様……
真似だけで良いので、ちょっとやってもらえますか?」
「は…… はい」
セシリアさんは興奮しているようで、とても息が荒くなっている。
エルミラさんもそうだ。
二人はもう正気でなくなっている。
ああっ 当たってる当たってる!
「あっ」
セシリアさんが声を上げた瞬間、私の背中とお尻に暖かいものを感じた。
暴発して終わってしまったのか……
「す、すみません! いま拭きます!」
セシリアさんはすぐタオルを取りに行き、私の背中とお尻を拭いてくれた。
そして私はベッドの上であぐらをかく。
「マヤ君…… アンドレとカミーユのあのシーンが目の前で見られて感激だ! ありがとう!!」
それが「あの」なんだね。察しはついていたけれど……
結局私たちは、エルミラさんが読んだBL小説のあるシーンを実体化するための出しに使われてしまったというわけか。はぁ…
「さあエルミラ様。次はあなたの番ですよ。」
「はい…… 今脱ぎます……」
エルミラさんは興奮が冷めぬまま理性も戻っていないようで、あっさり服を脱いでしまった。
下着はきっとアドリアナサルタで買ったもので、白いが珍しくサテンの生地だ。
すごく似合っていたが、下着姿を観賞する間もなく裸になってしまった。
「セシリア様…… どうぞ……」
エルミラさんは頭を枕において寝転び、あっさりと太股をぐいっと広げる。
久しぶりに見たエルミラさんの…とても綺麗だ。
セシリアさんはエルミラさんの太股の間に入ってのぞき込む。
女性について性的な興奮が無いのか、たくさん迸った後だからか、彼女の分身君は静まっている。
「これが女性の…… 赤ちゃんを産むところなんですね。
なんて綺麗で神秘的なんでしょう。羨ましいです。私にもあったら……」
たまたまエルミラさんのが神秘的で綺麗なだけで……
エルミラさんはまだ目が虚ろで何だか苦しそうに見える。
そんなに私たちの姿が衝撃的だったのか。
人の性癖というのは奥深いものだ。
「マヤ様…… 私はもうよろしいです。
どうかエルミラ様を楽にしてあげて下さいまし」
「マヤ君…… お願い……」
私はそこで理性が吹っ切れて、いきなりエルミラさんのトンネルに突入した。
トンネルはすぐ大洪水の事故になり、次々と溢れてくる。
セシリアさんは私たちの行為を見て、一人で始めていた。
さっきはやっぱり女性に対して興奮しないで、今は私の姿を見てそうしてるんだね。
心は女の子…… 彼女はまさしくそうだ。
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エルミラさんは満足してそのまま寝てしまった。
このまま三人で、セシリアさんの部屋で過ごしたいところだが、今晩は秘密の集まり。
ローサさんたちメイドがそれぞれ起こしに来るので、朝までには戻っておきたい。
セシリアさんと私は服を着て、寝たままのエルミラさんをグラヴィティで浮かせながら下着と服を着せる。
本当に便利な魔法だ。
セシリアさんの案内で、エルミラさんをグラヴィティで浮かせたまま、彼女の部屋のベッドへ寝かしつけた。
これでもう安心だ。
夜が更けて暗い廊下にて、そのまま私も部屋へ帰ろうとすると……
「マヤ様…… んちゅ また明日お話しましょう。おやすみなさいませ」
セシリアさんは両手で私の頬を挟み、軽くキスをして部屋へ帰っていった。
エルミラさんのことを除いても、セシリアさんと私の関係について進展があったと言って良いのだろうか、セシリアさんにとっては良い方向になったのかも知れない。
私はどうしたら良いのだろうか。
セシリアさんは、女性と結婚して子供を産んでもらうなんてことは元より考えていないだろう。
この国では同性婚を認められていない。
嫁としてではなく、一人の友人として一生共に過ごす……
そんなことをパティたちが許してくれるのだろうか?
頃合いを見て皆と話し合う必要があるだろう。
部屋に帰って、ベッドの上で寝転びながらまた考える。
私が考えていた通りエルミラさんはただBL小説に熱中し過ぎていただけで、自分の心が男かもと思い込んだのだろう。
何故ならば、さっき私と行為をした時は紛れもなく完全に女だった。
エルミラさん、すごく可愛かった。
また明日にでもエルミラさんと話そう。