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第百二十話 美味しい夕食とセシリアさんのお部屋

 お風呂から上がり、部屋に戻って急いでまたブラウスとズボンに着替える。

 それからたった十数分後にまたローサさんが迎えに来た。


「さあお食事会場へ参りましょう。

 皆様がもうお待ちです。

 ああ! さっきは私がお着替えを手伝ったほうが良かったかしら。」


「いやあ、これくらいは自分でも早く着替えられますから…。」


「そうですか…。残念です。」


 なんで残念なんだろう。

 さっきもローサさんの様子が変だったし、私の分身君を見たいだけなのかな。

 いやあ、まさかね…。


(ローサ視点)


 後でマヤ様の部屋へ戻って、バスローブの回収をしなければ。

 マヤ様脱ぎたてのバスローブ…

 どんな素敵な香りがするんでしょう。楽しみです。


---


 食事会場、ラミレス家にとってはいつもの食卓で前にも食事を頂いた場所だ。

 ラミレス侯爵夫妻とセシリアさん、私たちの六人なんだがエリカさんがもう席に着いていた。

 着替えが早すぎだろ。

 料理もたくさん並んでいて良い匂いだ。

前回はコース式で用意されていたが、今回はビュッフェ式。

 何だかまた肉料理が多い気がする。


「まあまあ、マヤ様お久しぶりですね。

 どうぞお掛けになって下さい。」


「イメルダ様、お久しぶりでございます。

 今日はこのような宴の席を設けて頂いてありがとうございます。」


「今日は久しぶりに賑やかで、若い人がたくさんだし王女殿下までいらっしゃったのだから、私もはりきって料理を作りましたの。

 この牛肉の酒煮込みと、豚肉のソテー、鶏肉のニンニク炒めは私が作りましたので、どうぞ召し上がって下さいね。」


 ちょっとお花畑の気がある夫人がニコニコ顔でそう言う。

 確かにすごく美味しそうだ…。

 パティは勿論、ヴェロニカやエルミラさんも、今にも料理に飛びかかりそうな顔をしている。

 ルナちゃんは目をキラキラさせ夢を見ているような表情だ。


「イメルダ様、すごいですね。

 私もいつかこんな料理上手な奥さんと結婚できるんでしょうか。」


「まあまあ、お世辞が上手ですね。おほほほ」


 ちょっと皮肉になってしまったから、パティがいつものようにジト目で私を見る。

 セシリアさん、何で君が照れてるの?


「天におられる愛の女神よ

 あなたのおかげで今日も無事に生きることが出来ました

 命の恵みに感謝して食事を頂きます

 ダノス・アモール」


 ラミレス家は熱心なサリ教徒で、お祈りをしっかりする。

 サリ様を直に見たらびっくりするだろうなあ。

 いやあ、今日は一応無事だったけれどアーテルシアにやられて死にかけたし、サリ様は何にもしてくれなかったぞ。

 愛の女神って、愛の行為を覗き見するだけじゃなかろうか。


 早速ヴェロニカやパティたちはガツガツと食べ始める。

 ラミレス家の人たちはその様子を見てびっくりしていた。

 飲み物のお代わりなどのお世話は、前回ちょっと厳しそうだなと思った給仕長のテオドラさんが直々にやってくれている。

 この人もよく見たらけっこうな美人で、M男だったら喜びそうな気がする。


「イメルダ殿! どれもみんな美味しい!

 特にこの鶏肉のニンニク炒めは絶品だ!」


「まあまあ。

 王女様にこんなにも喜んで頂けるなんて感激です。うふふ」


 ヴェロニカが夫人の料理を大絶賛する。

 それにしても、兵舎食堂でもそうだったがニンニク料理が好きなんだな。

 スタミナ料理が好きなのはいいが、夜の運動をするようになったら大変なことになりそうだ。

 え? いつの間に私も結婚する気になっているんだ?


 ヴェロニカの言葉をを聞いてか、ラミレス侯爵はホッと胸をなで下ろしていた。

 ジャンピング土下座までされて一時はどうなることかと思ったが、ヴェロニカは根はサッパリしている性格だから大して気にも留めていなかった。

 やや粗暴ではあるが、私は彼女のそういうところを気に入っている。

 やっぱり私の方もヴェロニカのことが好きになりつつあるのか…。


 とても女の子中心の食卓とは思えない食べっぷりで、みんな綺麗に食べたから夫人はとても喜んでいた。

 食事は和やかな雰囲気で終わり、皆がこの時間を楽しく過ごせたと感じたであろう。


 お腹いっぱいになって、部屋でしばらく休憩する。

 このままベッドでごろ寝していると寝てしまいそうだ…。

 あぁ……


---


「……マヤ君、起きて。マヤ君…」


「ああ… ローサさん?」


「何言ってるんだ。

 そろそろセシリア様がいらっしゃる時間だよ。」


「お エルミラさん…」


 エルミラさんの顔が目の前に…。

 …また寝てしまった。

 今日は思っている以上に疲れていたのだろうか。

 一応エルミラさんには私の部屋を教えておいたのが良かった。

 でもなんでこの屋敷のローサさんと間違えたのだろうか。

 お風呂の前にローサさんに起こされたときのイメージが頭に強く焼き付けられてしまったからなのかも知れない。

 エルミラさんは白いシャツに薄い茶色で八分丈のハーフパンツという軽装だった。


「あ マヤ君ったら…」


 目の前にエルミラさんの顔があったから、思わず抱きしめてしまった。

 相変わらず良い匂いだ。たまらない。


「こうして抱き合うのも久しぶりだね。」


「マヤ君は王宮のどこで寝ていたの?

 何も話さないから私も聞くことを遠慮していたんだけれど…」


「ええ… 何故かみんなとは別の棟の部屋に案内されて、どうも偉い人たちがいらっしゃるところだったから、口外しないよう女王陛下から言われていたんだよ。

 あのほら、ビジャルレアル宰相って小難しそうな爺さんがいたじゃない。

 ああいう人たちがたくさんね。」


「ふうん、そうだったんだ。」


 適当な理由を付けて誤魔化したけれど、エルミラさん信じてくれるかな。

 女王がエッチなことをしたいだけに近くの部屋にされてしまったなんて、絶対言えないからね。


「マヤ君… ん…」


 エルミラさんとキスをした。

 ヴェロニカとすごく仲が良いから、もしかして私と好き合ってることを忘れてしまっているのかと思っていたが、その心配は無かった。


「んん… マヤ君、もうすぐセシリア様が来ちゃうよ…」


 右手でエルミラさんのやや小ぶりなおっぱいを揉んでみた。

 おお、ブラをしていない!

 Cカップで小ぶりだなんて失礼だが、だいたい周りがEカップFカップ当たり前という環境なのがいけないんだ。


 私はシャツの上から突起を親指でコロコロと回しながら触る。


「あ… フ…」


 エルミラさんは声を殺しながら感じているようだ。

 金髪イケメン女子とこんなことをしているなんて、今でも夢を見ているようだと思ってしまう。


 コンコン


「残念、セシリアさんが来たようだ。

 またの機会までお預けかな。」


「マヤ君のエッチ…」


 照れ顔でそう言われたから、心臓がキューンときてしまった。

 こういうエルミラさんも可愛いな。


「今開けます。」


 ドアを開けると、やはりセシリアさんだった。

 淡いピンクの、ひらひらフリルの可愛らしいスカートのパジャマだ。

 これが男の子だなんて誰が信じようか。

 そういえばあれから時が経って二十歳になっていると思うから、男の子という歳ではないけれど童顔だから女子高生ぐらいにしか見えない。


「あら、お二人もうご一緒でしたのね。

 それでは(わたくし)の部屋まで参りましょう。」


---


 そしてセシリアさんの部屋へ。

 白と淡いピンクが基調の、相変わらず女の子以上に女の子っぽい部屋だ。

 ぬいぐるみが前より増えているような気がする。


 セシリアさんは今晩もラベンダーティーを、魔法を使って入れてくれた。

 うーん、良い香りだ。

 エルミラさんが飲んでいる姿を見るとすごくエレガントなのだが、さっきの夕食ではヴェロニカと一緒にすごい勢いでガツガツと食べていたから、まるで別人のようである。


「さて、どこから話したら良いでしょうか…」


 性不一致という話が話だけに、最初はどう話したら良いのかわからない。

 まずセシリアさんが、本来の性は男なんだけれども心は女で、顔つきと体つきも女性寄りになっているということ。

 エルミラさんは、確かメリーダで読んだBL小説に影響されて、自分は心が男で男が好きなのかも知れないという、よくわからないことになっているからセシリアさんといろいろ話してみて確かめたいという希望でこの機会を設けた。

 セシリアさんとは手紙でやりとりしていたが、上についてまず改めて二人に話した。


「そうなりますと、エルミラ様は私がどういうふうに見えますか?

 完全に女としてなのか、それともどこか男を感じるのか…。」


「はい。今のお姿ではどこから見ても女性です。」


「そうですか…。

 こんなお綺麗な女性からも女に見えますか。うふふ」


「いやあ…綺麗だなんてそんな。」


 エルミラさんほどのイケメン女子に、男のセシリアさんが女に見えると言われたら自信がついたのだろうなあ。


「エルミラ様は男同士の愛に興味がおありなのですね。」


「はい。小説を読んで、男性同士の愛が大変美しいものだと気づいて、私自身がこういうなりですから男っぽい気持ちが元々あるんじゃないかと思ったんです。」


 すまん。BL好きな人には悪いが、前に怖い物見たさでBL漫画を読んで怖くなったことがあったよ。

 だって、分身君があんなところへ…ううう。

 私が思うに、エルミラさんは単にBL好きで何か思い込んでるだけのような気がする。


「私は服を脱いだら男です。

 ではエルミラ様。マヤ様と私が裸で抱き合っていたのを見たら、あなたはどういう気持ちになりますか?」


「え!? そ、それは…。」


 セシリアさんは何かすごいことを言ってるけれど、まさか!?

 BL好きのエルミラさんでも困惑しているぞ。


「私は男同士の愛が美しいと言いましたが、私はマヤ君のことを愛しているので、いくらこの国が一夫多妻制でも実際に行為を見るのはつらいです…。

 でもそれは男女のことで、男同士は…ああ! わからなくなってきました…。」


 ちょっと置き換えてみると、私の目の前でエルミラさんとヴェロニカがエッチなことをしているのを見せられているのと同じことだろうか。

 でもエルミラさんとセシリアさんは今日会ったばかりだから、ヴェロニカと置き換えるのはちょっと違うな。

 これだ。私がよく知らない女の子がエルミラさんと愛し合っているのを見たら、興奮するかも知れないが、取られたみたいで悔しい気持ちが湧くかも知れない。


「ではマヤ様、エルミラ様。実際に確かめてみましょう。」


「「えええ????」」


 セシリアさんの提案で、私たちは一体どうなってしまうのだろうか。


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