第百十八話 ラミレス侯爵と会談/隠れ◯◯ローサさん
ラミレス侯爵の屋敷、応接室にて。
侯爵とセシリアさんは気を取り直して元通りに座っている。
そのままヴェロニカが話を切り出した。
「ラミレス侯よ、とうとう魔物発生の根源がわかったぞ。
各地で黒い穴を開けて魔物を送り出している者がいて、それは自称神のアーテルシアとやらの仕業だ。
我々はここに着く前の峠道でそいつに出くわし、とんでもない魔力を持っているとマヤを含めパトリシアやエリカたち魔法使いが証明している。
アーテルシアは、魔物を倒しデモンズゲートを、つまり黒い穴を次々と塞いでいるマヤが目的で私たちの前に姿を現した。
そいつは今回マヤがどんな相手なのか様子を見に来ただけだったが、この先はどういう方法で我々を脅かすのかわからない。」
「それで…、私はどのようにすればよろしいのでしょう?」
「決まっておろう。
騎士団の警備を今より強化させること。
幸いにもアスモディアの魔女が王都に大きな結界を張ってくれた。
その分王都にいる兵士を割いて、国内各地へ配分させるよう母上…女王陛下とアーロン騎士団長に大至急伝えておく。
王都配置の兵士は全体で約五万人いるから、この領地内だけでも千人は来るだろう。
兵士の宿舎などを作る準備を始めてもらうことになると思う。
正式には王都からの指示があってからだ。」
「しょ、承知いたしました!
それにしても、噂に聞くアスモディアの魔女がそんなことを…。」
忘れていたけれど、ヴェロニカは王国騎士団の幹部でもあった。
立場的にも女王や騎士団長への進言くらいは出来るし、兵力の把握をしているからそのあたりはうまく言ってくれるだろう。
「それからアーテルシアについては、今この部屋にいる者しか知らん。
民衆に知れ渡ると大騒ぎになる。
絶対に口外せぬように。いいな! おまえたちも!」
「「は、はいぃぃぃぃ!」」
ヴェロニカは、脇に控えているアナベルさん、ロレンサさんに向かって強く言ったので、二人はびっくりしてブルブル震えている。
屋敷内のメイド達の中で話が広がると外へ漏れやすいから、仕方がないだろう。
その後は、今後私たちはブロイゼンの技術者に作ってもらってる空飛ぶ乗り物でアスモディアとヒノモトへ行き、戦闘力を強化することについて話しておいた。
また、デモンズゲートが発生する場所は魔素を発生する植物の近くが多いが、それらの植物は魔法使いの生命線でもあるのでむやみに刈らないこと。
アーテルシアもデモンズゲートを使ってやってくるが、そいつ自身は恐らく私狙いで現れてくるだろうから、いつもどおり魔物を退治する対策を考えておいて欲しいということも話した。
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魔物対策の話が中心になってしまい、会談が終わった頃はもう夕方。
ロドリゴさんの手配で、私たち六人各部屋一人ずつ案内してもらえることになった。
応接室で解散して各自が案内待ちである。
「あの…、私は一介の世話係ですからこんなに良くしてもらうわけには…。」
ルナちゃんが断ろうとしているが、ロドリゴさんはこう応えた。
「お客様の従者もみんなお客様と考えていますから、ここに居るときぐらいは羽を伸ばして、私たちにお任せ下さい。
あなたにも素敵なひとときを…ふふ。」
「はい…、ありがとうございます…。」
ルナちゃんは釈然としない様子だったが、素敵なひとときってルナちゃんにもあのおもてなしをするつもりなんだろうか?
となると、ヴェロニカやパティたちみんなあのおもてなしを受けるのか?
エリカさんやエルミラさんはともかく、他の三人には刺激が強すぎるんじゃないかなあ。
それより私があんなサービスを受けていたことをパティに知られると、ヤバいことになりそうでゾッとしてくる。
私はそっとロドリゴさんに耳打ちしておく。
「あのロドリゴさん。
若い子にあのサービスはさすがに刺激的すぎるんじゃないですかね?
すごく心配なんですが…。」
「大丈夫ですよ。
相手を見て判断しますから、今日のフルサービスはマヤ様とエリカ様だけでございます。
ふふ… お楽しみ下さい…。」
「あ、ありがとうございます…。あはは…」
「お部屋にご案内した後、お疲れでしょうから早速お風呂に入って頂きます。
それから食事です。
係がご案内に伺いますから、それまでお部屋でお休み下さい。」
「わかりました…。」
むひょ~ 久しぶりにあのおもてなしをしてもらえる~
まだ部屋に控えているアナベルさんとロレンサさんをチラッと見たら、アナベルさんが気づいて軽く微笑んでくれた。
うほほっ 楽しみ楽しみ。
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ラミレス侯爵はもう退出したのに、セシリアさんが残ってこちらを見てもじもじしている。
そうか、エルミラさんとのあの話があった!
後ろにいるエルミラさんに声を掛ける。
「エルミラさん。」
「マヤ君、あの件だよね?」
エルミラさんが、今か今かと待っていたように見えた。
「前に王宮の訓練所で話した件だね。
セシリアさんを紹介するよ。」
私たち二人はセシリアさんが立っているところへ向かう。
「セシリアさん、久しぶりですね。」
「あぁぁ… ま、マヤ様…、お久しぶりです。
先程は失礼しました。
その…緊張してしまって…。」
セシリアさんはまた顔を赤くして照れながらも、一生懸命話している感じ。
めちゃくちゃ可愛いのに男だなんて、じっと見ても誰も思わないだろう。
「私もセシリアさんと再会出来て嬉しいです。」
それで手紙の話なんですが…。
こちらがエルミラさんです。」
エルミラさんがズイッと前に出た。
すごく堂々としているので彼女の方が男らしく見えるが、時々照れた時は可愛くなって、やっぱり女の子なんだなあと感じることがある。
「セシリア様、初めまして。
エルミラ・メンディエタと申します。」
「初めまして… セシリア・ラミレスです。
確かに素敵な方ですね…。
きっと女の子に好かれるんでしょうね。うふふ」
「いやあ、実際女の子に囲まれてしまうことがよくあるんですが、私は男性の方に興味があるので困っているんですよ。あはは…」
「今晩十一時にマヤ様のお部屋へ私がお迎えにあがりますので、詳しいお話はその時に…
それではまた…」
セシリアさんはそう言って一礼し、応接室を静々と退出していった。
とても女らしい、というより高貴なお嬢様らしいのがセシリアさんだ。
パティも見習って欲しい…と思ったが、別のメイドさんに案内されていったようで、もう応接室にはいなかった。
アナベルさんとロレンサさんもいつの間にかいなくなっていた。
準備が始まったのかな。むふふ。
そんな邪な気分でいると、こちらも懐かしい顔が。
「お待たせしました。お二人は私がご案内します。」
ローサさんだ。
また言うが、同じ名前の人がいても不思議なことではない。
キリリとした既婚のキャリアウーマン風といったらわかりやすいだろうか。
お姉さま好きとしてはちょっとドキドキしてしまう。
ローサさんの旦那さんが羨ましい。
「ローサさん、お久しぶりです。お元気でしたか?」
「ようこそいらっしゃいました。
私はいつでも元気ですよ。さ、参りましょう。」
片付けのメイドを残して私たちは最後に応接室を退出し、ローサさんにそれぞれの部屋へ案内された。
ローサさんに案内された部屋は前にも泊まったことがある部屋だった。
さすがにヴェロニカはもっと良い部屋を案内されたのかなと思いつつ、王様ベッドに寝転んだ。
はー、今日もいろいろあって疲れたな…。
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「マヤ様…、マヤ様…。」
「ううんルナちゃんか…。んん???」
「マヤ様、お風呂の時間でございます。」
目の前にローサさんの顔があった。
ちょっと首を起こしたらチューしてしまいそうな距離である。
是非チューをしてみたいが、ローサさんには旦那さんがいるのでやめておく。
またそのまま眠りこけて、前と同じパターンでローサさんに起こされてしまった。
違うのはパティから、ルナちゃんに起こされたかと勘違いが変わっただけである。
「それではお風呂場まで参りましょう。
お上がりになられましたら、バスローブをご用意しておきますのでそれをお召しになって下さい。
お洋服と下着は洗濯しておきます。
他にもお洗濯が必要な物はございますか?」
「昨日着ていた物をお願いしようかな。
少し待ってて下さい。」
私はブラウスと下着だけ鞄から取り出してローサさんに手渡した。
彼女はたたみ直してくれたが、心なしか私のトランクスを見つめていたように思う。
ローサさんは私の着替えを持って、お風呂場へ案内してくれた。
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お風呂場の脱衣所にて。
「さあマヤ様、お手伝いいたしますね。」
私はブラウスとズボンをあっという間にスルスルと脱がされ、下着だけになる。
今日はアドリアナサルタで買ったビキニパンツだ。
「はぁ はぁ 素敵ですね。それでは失礼します。」
ローサさんの様子が少しおかしいんだが。
ごくりと飲み込むように、ビキニパンツを下に降ろされた。
そしてジッと私の分身君を見つめている。
「あの… どうかされましたか?」
「ああ! いえ、何でもありません。
どうぞごゆっくりお入り下さいませ…。」
真面目そうなローサさんがちょっとエッチなお姉さんになったみたいで、どうしたんだろうと思いつつもお風呂場へ向かった。
(ローサ視点)
マヤ様はお風呂場へ向かわれましたね…。
戻ってこられませんよね…。
……マヤ様がまさかビキニパンツを履かれているなんて!!
たまりません! あのもっこりは最高です!
私はマヤ様の脱ぎたての黒いビキニパンツを両手に持った。
……はぁ はぁ はぁ…
クンクンクン… スーハースーハースーハー…
ああああああああああ!! 若い男の子の良い香り!!
汗のニオイと、僅かにツンとしたニオイのハーモニー!!
天に昇ってしまいそうです!!
パンツの裏は… ハッ!
おつゆの跡がついてます!
スーハースーハー…
しあわせです… ああ…
そしてこれが昨日履いていたトランクス…
クンクンクン…
うっ…… いい感じに熟成が進んで芳醇な香りです。
クンクンクン…
癖になります…。
旦那のまったりとしたニオイとはまた違って、少しとがってますね。
さすが若い男の子です。
そうそう、この前お忘れになったパンツをお返ししなければいけませんね。
男の子の新鮮な迸りをしっかり堪能させてもらったので、惜しいですがもう翌日には洗いました。
明日の朝、また迸ってくれるといいのですが。
……本当に私、変態です…。