第百十三話 ぱんつを買いに来た世界一の魔女
今回はやや長めです。
魔女アモールが、弟子であるエリカさんにぱんつを買って欲しいということで、インファンテ家が経営する高級ランジェリーショップ【アリアドナサルダ】の店の前に私たちは降り立った。
魔女は、私やエリカさんと違い重さが無いゆるりとした飛び方で、どういう理屈で飛んでいるのかよくわからないが、仮の身体を作って魂だけ転移したものと前に聞いたので、幽霊みたいなものなんだろうとあまり深く考えないことにした。
でもどうしてぱんつが一番先にやって来たのか気になって仕方がないので、飛んでる途中で聞いてみた答えがこうだ。
『女の下半身は生命の源よ…。
仮の身体を形成させるには…下半身から始めるの…。
だからぱんつだけは物質転移させて目印を作って、そこから形成させるの…。
そうしたほうが少しでも楽だからね…』
ますます持ってわからなくなった。
何にしろ物質転移魔法が出来ることが条件なのか…。
男の場合はどうなんだ?
ち◯ち◯から形成されるのか?
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三人が急に街路へ降り立ち、特に魔女の衣装はコスプレみたいな魔女ドレスで仰々しくすごく目立つから、街を歩く人たちがギョッとした目で私たちを見ていた。
私とエリカさんは魔女を連れてそそくさと店内へ入る。
店内でもお客の貴婦人に奇異の目で見られてしまう。
真面目に、その魔女ドレスは何とかならないものか。
「あのう、アモール様。
その服装がすごく目立っているようで、周りの人たちからジロジロ見られているのが気になるんですが…。」
『うん? 私はそんなことどうでもいいんだけれどねえ…。』
「いやほら、私たちも一緒に見られているから、買い物がしにくかったり…。」
『面倒くさいわねえ…。』
魔女は何か魔法のようなものをかけたのか、身体中が黒くて濃い煙になり、別の服装に形成しなおされ元の姿になった。
仮の姿だから何でもありなんだろうな…。
それはエリカさんがよく着ていたミニスカスーツによく似ていて、真っ黒で白いシャツは胸の谷間がはだけており、漫画に出てくるような、若い男性社員を食ってる女上司のような雰囲気だ。
くっ 太股がめちゃめちゃエロい。脚の形も綺麗だ。
額の悪魔っぽい模様はそのままである。
『なあに? ジロジロ見ているのはあなたのほうでしょ。
私の身体に興味があるんだね…。ふふ』
するとエリカさんが怒ったのび◯のママのような顔をし、黙って私の二の腕を抓った。
パティと同じ事をするなよ…。
「えぇ…、まあ、良さそうな物が売れている売り場へ行きましょう。ははは…」
エリカさんが先導で、程々にセクシーなランジェリーが売れているブースへ移動した。
イヨンや、ファッションセンターしままちの女性用下着売り場の横を通っても少し緊張するが、ど真ん中を通るのはさすがに私は場違いすぎて周りが気になる。
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『ふーん、たくさんあるわねえ…。
どれにしようか…、迷うわ…。』
「お、お師匠様。これなんかいかがでしょう?」
エリカさんが手に取っているのは、ピンク色のレースのぱんつだった。
『エリカ…。あなたはどうしてそんなに残念な子なの…。
私がそんな色のものを履くわけないでしょう…。』
エリカさんはいろんな色のぱんつを履いているから、自分のセンスで選んでいるようだ。
いくらなんでもこの魔女にピンクのぱんつはないと思う。
エリカさんはしょぼんとしていた。
『マヤ…、あなたに選んで欲しいわ。』
「え…、はい…。」
とうとう自分が選ぶ羽目になってしまった。
魔女は見た目年代が女王と同じくらいだけれど、女王は童顔だからちょっと可愛いのを履いても似合うから、そういうのは避けておこう。
しかし周りはランジェリーだらけで男は私ぽつんと一人。
隣にエリカさんと魔女がいるからましとは言え、今も貴婦人のおばさんにジロッとみられてしまった…。
「あのう、こういうのはいかがでしょう…。」
私はハーフバック、真っ赤でレースのぱんつを手に取った。
後ろはレースがかなり透けている。
『ふーん、そっちの方がいいじゃない…。
マヤに全部選んでもらうことにするわ…。』
「がーん!」
エリカさんは驚きしょんぼり、肩を下げた。
私はいくつ選べばいいんだろう。
きっと買い溜めするんだうから四、五枚くらいじゃ済まないだろうな。
私は片っ端から魔女が好みであろうぱんつを選んで手に取った。
色は黒と赤がほとんどで、赤紫、赤黒いのもある。
シームレスTバック、前が極細、蜘蛛の巣型、X型、黒薔薇模様だけれど透明に近いメッシュ、黒地に赤い薔薇模様、サイドの紐が二重三重になってる物、結び紐ではない紐パンなど、二十枚以上あるだろう。
ちなみにサイズはMだ。
穴開きぱんつや玉パンみたいなジョーク系ランジェリーは別のブースに置いてある。
『うーん、みんないいわね…。これみんな頂戴…。』
「ブラはいらないんですか?」
『いらないわ。人間みたいに型崩れしないから。』
私は無意識に鼻の穴が広がってしまった。
熟女なのに張りがあるおっぱい…、興奮してくるな。
「じゃあ…お師匠様、お会計しに行きましょうね。あはははは…」
『よろしく…、エリカ。』
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会計フロントでエリカさんが支払う。
高級な物ばかりなので、金貨二枚分と銀貨を何枚か払っていた。
二十万円相当を超えているのか。
高級輸入ランジェリー並みだろう。
先日分け合ったたくさんの報賞金もあったので、エリカさんは嫌な顔をせずさっと払ってしまった。
「あらっ! マヤ様!
またお店に買い物へいらしてくれたのですか!?」
ひょっとフロントへ現れたのは、このアリアドナサルダを経営しているレイナちゃんのお母さんだった。
とても美人でランジェリー作りに熱心だが、ちょっと変な人である。
ついでに、転んで穴開きぱんつから花園を私に見せちゃったお母さんである。
「こんにちは。
連れが買い物をしたいということで、付き添いに…。」
「まあ~ たくさんのお買い物をして頂いて、ありがとうございました。
ああそうそう!
昨日から早速売り出したあなたのボクサーパンツ、大好評よ!
嬉しいわ~
また今度計算して、お礼をお渡ししますね!」
「え? なになに!?
私が履いてるボクサーパンツって、マヤ君がデザインしたの!?
アッヒャッヒャッヒャッヒャッ!!」
またエリカさんが腹を抱えて大笑いする。
だから黙っていたのに。
『うん? なあに? ボクサーパンツって…。』
「こちらでございます!」
レイナちゃんのお母さんは、会計フロント裏に置いてあった黒いボクサーパンツをびろーん前に掲げて見せた。
エリカさんと同じで、確かに私が描いたデザイン画のシンプルなボクサーパンツだ。
『うーん…、なんか面白みがないわね…。』
魔女はお気に召さないようだ。
まあこれは体育会系の若い子向けだから仕方がない。
「そ、それならこちらは如何でしょう!?
これもマヤ様のデザインで、今日から売り出しなんです!」
同じく掲げたものは、ボクサーパンツの形をしているが、上下の縁はレースであとはメッシュの黒い透け透けぱんつで、これも私のデザイン画にあったものだ。
いくら何でも商品化が早すぎるだろ!
『いいわね、それ…。欲しいわ…。』
「えぇ~ 私も欲しい~」
エリカさんまで欲しがるとは…。
大笑いしてたくせに。
「じゃあマヤ様のお連れ様には折角だし、たくさん買って頂いたから二枚プレゼントしちゃいます!」
「え!? いいんですか? やったぁ!!」
エリカさんは大喜びし、魔女は無言でニヤッとしていた。
私には何も無い…。
二人はそれぞれ梱包された新作ぱんつを受け取り、買い物をした直後の、物を手にしたあの独特の喜びを味わいご機嫌の様子だ。
「レイナちゃんのお母さん、ありがとうございました。
私たちは明日マカレーナへ帰りますので、伯爵にはよろしくお伝え下さい。」
「マヤ様、私のことはロレナとお呼びになって。うふふ
気を付けてね。
マカレーナの店長には必ず声を掛けてね。」
「はい、わかりました。」
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お店を出て、間もなくお昼時なので王宮へ向かうことにする。
「ねえマヤ君って熟女キラーなのね。いっひっひ」
「じゃあエリカさんは熟女なのかね?」
「なっ…。」
エリカさんはまた私の二の腕を抓った。
王宮へはまた飛んでいき、直接正面玄関前に降り立った。
さて、昼食を一人余分に頼んでおかないといけないのかな。
私たちは玄関扉をくぐって階段までの貫通路を歩いていると宮廷魔術師が数人、血相を変えて慌ててやってきた。
「このとんでもない魔力! 何事ですか!!
あっ マヤ様! エリカ様!」
『あぁ… だいぶん魔力を抑えたつもりだったんだけどねえ…
ここの人間たちには少々刺激が強すぎたか…。』
私も魔女が魔力を抑え切れていないことに気づかなかった。
パティやエリカさんも魔力量が大きくなったし、私自身もそれほど気を付けて抑えていないから迂闊だった。
魔力量感知の感覚が麻痺してしまったのか。
エリカさんですら何も考えずに魔女を王宮の中へ入れてしまった。
「ああ、すみません。
アスモディアの魔女、アモール様が急にマドリガルタへ訪問されたので、こちらへご案内差し上げたので…。」
「「「ひいぃぃぃぃぃ!! ま、魔女!?」」」
宮廷魔術師のお姉さん達は怖がって腰を抜かす者や呆けてる者、逃げ出す者がいた。
腰を抜かしているお姉さん、白いぱんつ見えてますよ。
「おーい、敵じゃないし怖くないですよー!」
人間の魔法使いからしたら桁違いも甚だしい魔力だから、仕方が無いか…。
『失礼ねえ…。
アスモディアの住人はもう人間を襲っていないはずなんだが…。』
すると、女王自らこの貫通路へシルビアさんと一緒に血相を変えて走ってきた。
「どうしたんですか!? この魔力量はいったい!?
えっ? マヤさんとエリカさん!?」
「マルティ…いえ、女王陛下。
朝から魔物探索していたら、アスモディアの魔女であるアモール様に偶然お会いしまして、食事がしたいということで王宮へお連れしたんです。」
「私の、魔法のお師匠様なんです。
お騒がせしまして申し訳ございません…。」
「えっ?? あっ?? ええ??」
女王が混乱していまいち状況を飲み込めていないようだ。
シルビアさんは呆けて硬直している。
『あなたがこの国の女王?
初めまして。私はアスモディア国の魔女アモール。
王宮に来たのは何百年ぶりかしらね…。
お腹空いちゃったから、何か食べさせてくれない?』
さすが魔女。初めて会った女王にいきなり腹減ったとため口だ。
「あ… あ… 歴史書にも書いてあった、魔女アモール…様。
魔法力なら大魔王を凌いで世界一という…。
アスモディア国の魔族はかつて人間を襲っていたけれど、今は交易もして平和に暮らしているん…ですよね…。」
実に解説的なセリフをありがとうございます。
その通りで、現在人間と魔族は敵対していない。
だがお互いの環境があまり合わないから、人間がアスモディアへ、魔族が人間の国に住んでいることは少ないようだ。
「陛下、ちょうど私たちもお昼ご飯なので、私たちの小部屋で一食余分に用意して頂ければ十分ですから…。」
「いいえ、非公式ですが国賓としてお迎えしますわ。
私も食事をご一緒します。」
「あまり騒がしくされてもどうかと思いますので、私たちの他には陛下お一人でお願いします…。」
「わかりました。そのように用意させます。」
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いつも食事をしている小部屋より一回り大きい、来賓用の部屋へ。
魔女、女王、エリカさん、パティ、私の五人が椅子に掛け、シルビアさんは女王の側へ、ルナちゃん達四人のメイドが世話係として控えている。
ルナちゃん達はビクビクしているが、魔力を感じていなくても魔女の迫力が有り過ぎて空気が違うのがわかるのだろう。
ヴェロニカとエルミラさんはいつものように兵士食堂で食事をしている。
「ああああああマヤ様…、すごい魔力量ですね…。
サリ様とはまた魔力の質が違いますね…。」
「そうか、パティはアモール様が初めてだったよね。」
パティは少しガクガク震えながらそう言った。
そうしているうちに、次々と食事がテーブルに並べられる。
「アモール様、お腹が空かれているでしょうから、どうぞ召し上がって下さい。」
女王は魔女に料理を勧める。
コース料理ではなくまとめて運ばれて来ており、肉料理が多い。
『美味しそうね…。頂くわ…。』
魔女はマカレーナの時のように静々と食事を始め、とても上品に食べている。
だがまったく無言で手と口は止まらず、すごい勢いで食事が進んでいる。
女王はそれを見て呆気にとられ白目になっており、パティは負けじと一生懸命食べているが、子供の食べ方と同じでよろしくない。
「パティ、落ち着いて食べなさい。」
「マヤひゃま、きょふのお昼ごひゃんはいつもより豪華でふね。」
「口に物を入れてしゃべったらダメだって。」
「はぁい。まるでお母様みたいになってきましたわね。」
「アモール様、お味は如何ですか?」
魔女は食事に夢中過ぎて女王の声が耳に入っていない。
それで女王は苦笑いをして何も無かったことにしていた。
やはり魔女の料理はどんどん追加され、ルナちゃんたちは厨房へ往復したりでバタバタして忙しい。
それもだんだん落ち着き、魔女が満足したところで私たちも食事が終わった。
『ああ… 美味しかった。
ん… 何かしてあげたいけれど、何も無いわね…。』
「いえ、お気になさらないで下さい。
お食事だけのことですから…。」
女王は当たり前のようにそう返答した。
だがマカレーナの時はビビアナに魔法力を与えちゃうという大サービスをしてくれたし、何かあるんだろうか。
『私たちの国は食事がまずい…。
こんな美味しい物は滅多に食べられない。
だから何かお礼はさせて欲しい…。
んん…、人間にはあまり干渉するつもり無いけれど…、まあいいわ…。
王宮の広場まで案内して頂戴…。』
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私たちはルナちゃん達を除いた六人で王宮玄関前の広場へぞろぞろと向かった。
広場にいた近衛兵達が突然女王の登場でびっくりするが、シルビアさんが諫める。
玄関と門の間の位置で魔女は立ち止まり、こう言う。
『今からマドリガルタ一帯に結界をかける…。
少し下がっていなさい…。』
この街一帯に結界だって!?
その辺の村じゃなくて、大都市の広さだぞ?
なんてでたらめな魔法力なんだ…。
魔女は右手を縦にして額へ当て、目を瞑り精神を集中している。
魔力の一部が開放されたようで、魔力圧を感じるほどのとんでもない力だ。
魔力を持っていないシルビアさんや近衛兵達は何も感じないはずだが、あまりの魔力圧故に立ち眩みをしている者がいるようだ。
そして魔女から光の輪が現れ、それが魔女の真上の上空へ一気に飛び上がり、光の輪がはじけてマドリガルタ全体を覆うように広がった。
すぐに空は元通りになる。
『終わったわ…。
この結界は数年持つでしょう。
魔物は現れないし、デモンズゲートもたぶん発生することがない。
その後は知らないから、それまでにマヤが解決するしかないわね…。』
「ありがとうございます、アモール様。
国を代表してお礼を申し上げます。」
女王は深々と魔女アモールに向けてお辞儀をした。
『これで私は戻るから…。
エリカ、マヤ、今度はアスモディアへいらっしゃい…。
ごきげんよう…。』
魔女の身体は黒い煙と化し、消えていった。
「お師匠様が現れると、何かと人騒がせになるから困ったものね…。
でも結界を街全体に張ってくれるだなんて思わぬ収穫だったわ。
私たちもこれで安心してマドリガルタを出発できるわね。」
「うん…。」
私はまた魔女アモールと近いうちに会える気がしたが、良い理由では無さそうな漠然とした不安が頭の中をよぎった。
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明日の出発のために午後は部屋をルナちゃんに手伝ってもらって完全に片付け、セルギウスのために追加のリンゴや人参などを東の市場のおっちゃんの店で買っておいた。
夕食を済ませ、女王への最後のご奉仕タイム。
今晩もシルビアさんが加わり、二人を相手をしなければならない。
ベッドの上で女王は…、今日アリアドナサルダで魔女とエリカさんがロレナさんからもらっていた物と同じ、ボクサーパンツ型の黒い透け透けぱんつと、黒い透け透けブラを着けていた。
シルビアさんは白の透け透けTバックに白の透け透けブラだ。
二人は微笑みながら私に迫ってくる。
シルビアさんが珍しくセクシーランジェリーを着けているので、めちゃめちゃ興奮してくる。
「マヤさん、今日はインファンテ伯爵夫人が新しい下着を王宮まで売り込みにいらっしゃってね。
これはあなたがデザインした下着なんですってね。素敵だわ…。
シルビアには今着けてる下着を買ってあげたの。
よく似合ってるわね…。ふふふ」
女王はそういいながら、四つん這いになってお尻を突き出した。
透け透け! 丸見え! え…エッチ過ぎる!
日本の下着をなんとなく思い出してパクったデザインだけれど、自分がデザインしたぱんつが女性に実際に履かれているのを見ると感激するな。
シルビアさんも同じようにお尻を突き出し、白いTバックが桃尻を美味しそうに飾っているようだ。
私はたかが外れたようにシルビアさんのお尻からむしゃぶりついた。
シルビアさんとしっかり愛し合って、いつものように彼女が先に果ててしまってから女王の相手をするが、最後なのでいつもより献身的にご奉仕してくれた。
「あなたが結婚したらこういうことは出来なくなるわね…。
私がおばあちゃんになるまでしっかり楽しみたいわ。
またすぐマドリガルタへいらっしゃいね。」
「はい…。」
女王とエッチなことをするのはテクニックがあって気持ちが良いし、若い子のように気を遣わなくて良いので歓迎なのだが、男娼のようだし、自慰行為の延長になっているので心ときめくエッチが恋しくなってきている。
でも間が空けば女王が恋しくなってくるんだろうか。




