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第百三話 セルギウスが一目惚れ

 また三十分ほどかけて飛び、王宮まで帰還しヴェロニカを訓練所詰め所で降ろす。

 背中でふにょふにょおっぱいの感触をしっかり楽しめて良かったな。


「す、すまなかったな。出発の時の勢いが…、恥ずかしい…。」


 ヴェロニカは顔を赤くしながら言う。

 ほんの少し前の彼女と比べてかなり丸くなった。

 たぶんエルミラさんと友達になった影響がすごくあると思う。

 婿になれと言っておきながらその時はあまり私を男として見ていなかったが、今は異性として意識してくれていると感じる。


「出発… あっ!」


 セルギウスに馬具を取り付けたまま忘れていた。

 あれってセルギウス一人じゃ取れないんじゃないか?

 今から呼んでみるか。


「おーい、セルギウス~」


 ボムッ バフンッ


『いやぁ~ まいったまいった。うっかり帰ってしまった。

 マヤなら気づくと思ったよ。

 俺じゃあこれは取れないからな。』


「せっかくだから今からリンゴを買いに行こうよ。」

『なに!? それならすぐ行こう! おまえも俺の背に乗ってみろよ。』

「うーん、物は試しだ。乗ってみるか。」


「マヤ、転げ落ちるなよ。ふふ」

「実は馬に一度も乗ったことが無いんだよ。だから自信が無い。」

「私が乗り方を教えてやるぞ。」

「それはたぶん大丈夫だと思う。」


 手綱は着けたままだとリンゴが食べられそうに無いし、セルギウスなら口で言えばいいからヴェロニカに外してもらった。

 鞍の周りだけ残して、私はグラヴィティで浮いてセルギウスの背にすっと乗った。


「あっ ズルいぞ!」

「使える能力は使わないとね。」


 都合良く鞍にちょっとした持ち手があるので乗りやすい。

 いつも飛んでいるので眺めが良いという感覚は無いが、そのまま体重を預けているとバランス感覚がちょっと難しい。


「セルギウス、マヤを頼むぞ!」

『こいつは落ちてもどうにでもなるから問題無いさ。ヒヒーン』


 何気に酷い言われようだ。

 まあ落ちてもグラヴィティが発動出来れば良いし、怪我しても回復魔法がある。


「じゃあ行こうか。」

『おう。ヴェロニカ、またな。』

「ああ!」


 ヴェロニカは軽く手を振り見送ってくれた。

 あれ? もう帰るのにヴェロニカとセルギウスが次に会うときって、出発の日ぐらいしか無いんだよな。

 せっかく友達になれそうだったのに。


 おおおうおう。セルギウスが歩くと揺れる。当たり前だが。

 王宮の門に向かってパカパカと歩く。

 今更だが門番も顔パスで、ドミンゲス門番長らが敬礼してくれたので、私も手を上げて返す。

 我ながらエラくなったものだねと、気分がこそばゆくなった。


 街の道を東の方へ、買い物自転車並の速度で進んで行く。

 手綱を握ってないしそもそもセルギウスは頭に角があるので、街行く人々で注意深い人はギョッとしたり不思議な顔をして見られてしまう。


 数キロ走り、ザクロのデモンズゲート事件の時にガルーダにめちゃめちゃにされてしまった東の市場へ着いた。

 勿論すっかり片付いており、夕方の買い物客で賑わっていた。

 前回も行った青果店へ行くと、おっちゃんが元気に商売をやっていた。

 店の前でセルギウスから降りる。


「どうも、こんにちは。」

「おお! あんたは! その節はお世話になりました。」


 店主であるおっちゃんが深々と頭を下げる。


「今日も買い物しに来たんですよ。リンゴを一箱貰えますか?」

「ごひいきにありがとうございます。

 メロンもいいのが入ってますが、いかがですかな?」

「じゃあそれも二つ頂きます。」


 ちゃっかりと商売上手なおっちゃんだ。

 メロンは日本で食べられている物とは違い、ラグビーボールの形をしている。

 しかも一個銅貨一枚と安い。

 一つはルナちゃんへのお土産にしよう。


「お願いがあるんですが、私は四、五日後ぐらいにずっと南のマカレーナへ帰る予定なんです。

 それで帰る前にリンゴを百個、別に仕入れておいて欲しいのです。」

「なんとまあ、いつも申し訳ないやら。

 明日にでも早速仕入れて参りますので、お待ち申し上げております。」

「ありがとう。」


 私はセルギウスの背に乗り、メロンとリンゴの箱はグラヴィティで浮かせる。

 やはり街の人には奇妙な目で見られた。


 噴水の公園に来た。そう、レイナちゃんのお屋敷がすぐ近くにある。

 そこでまたセルギウスにリンゴを食べさせよう。

 メロンの一つを宙に上げ、手刀でスパパッと四つに切ってそのままグラヴィティで浮かせたままにする。

 街中なのでしばらく黙っていたセルギウスにメロンを奨めてみる。


「セルギウス、メロンは食べたことがあるかい?」

『メロン? 無いぞ。それのことか?』

「なんだ、アスモディアは本当に、食に探究心が無いんだな。」

『前にも言ったろう? 農業やってるオーク共がやる気無いって。』

「取りあえず食べてみてよ。」


 私はメロンの一切れをセルギウスに差し出した。

 食べてる口元からメロンの汁が溢れて手がベトベトになる。うわあ~

 もう、アスモディアに行くことがあったら農業改革をしてみたくなった。


『うめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

 ずるいぞ人間! こんなうめえものばかり食いやがって!』

「そりゃ良かった。みんな食べていいよ。」


 セルギウスはむしゃむしゃと残ったメロンを食べている。

 ベトベトになった手はウォーターボールの魔法で洗い、メロンの皮はリンゴの箱にあった紙に包んで公園のゴミ箱に捨てる。

 リンゴも箱ごとセルギウスに食べさせて、うめぇヒヒーンと言って食べている。


 公園は非常に清潔で、公共の場でありながら隣接しているインファンテ家が管理に携わっているということだ。

 日本の公園より綺麗なくらいで、素晴らしい。



(レイナ視点)


 今は学校帰り、インファンテ家から迎えの馬車に乗って公園を通って、少し見回りながら帰宅するところです。

 あら? 馬と…あれはマヤ様!?


「あの! あそこに馬がいるとこへ行ってもらえますか!?」


 私は御者にお願いしてマヤ様がいらっしゃる場所へ向かいました。

 手を振って声を掛けてみます。


「マヤさまぁ~!!」

「あれ? レイナさん。学校の帰りですか?」

「そうなんです。うふふ」


 ああああ~ 今日もマヤ様に会えたなんて、とても幸運です。

 いつもと違う黒い服装ですが、何かしら。

 でも格好良くてお似合いですわ。


「今日は何をしてらしたんですか?」

「南のほうへ魔物退治に行ってまして、このセルギウスが着いてきてくれたお礼にそこの市場でメロンとリンゴを買って食べさせていたところなんです。」


 この子はセルギウスって言うのね。

 グレーで綺麗な毛並み…え? 角?


「マヤ様、この子って角が…。」

「ああ、こいつは召喚獣でアスモディアから来たユニコーンなんです。

 ん? セルギウス。そんなに震えてどうした?」


『ヒヒヒーーン!! 何だよあの子すげえ可愛いじゃねえか!』

「キャー! しゃべった!?」

「レイナちゃんか? そりゃ可愛いだろう。」


「マヤ様ったら… ポッ」

 私は両手を頬に手を添えた。

 マヤ様に可愛いって言われた。嬉しい! キャー!


『違う、あの子だ! あの白い牝馬だ!』

「は?」


『嬢ちゃん、あの可愛い牝馬はなんと言う名だ?』

「え…あの…ロサードですが…」

『おお! ロサード! 薔薇のような美しい名前だ!』


「馬か…。はぁ…」

『マヤ、見ろ! あのつぶらな瞳、つやつやのたてがみ、スラッとした脚、しなやかそうな尻尾、最高の女じゃねえか!』

「うーん、わからん。

 そもそもおまえ馬じゃないんだろ?」

『ヒヒヒーーン!!』


 ああ、セルギウスちゃんがロサードちゃんに突っ込んでく!

 でもマヤ様が尻尾を引っ張って止めてくれてますわ。


「ごめんなさいレイナさん! 今日はこの辺で、危ないですからすぐお帰り下さい!

 おい待てセルギウス!!」

『ヒヒヒーーン!!』

「ダメだこりゃ!」


「で、ではマヤ様! ごきげんよう!」


 あ~ びっくりした。

 私はマヤ様の言われたとおり、馬車に乗ってすぐ屋敷へ帰りました。

 確かにロサードちゃんは可愛いけれど、そんなに素敵な馬なのかしら。うふふ



(マヤ視点)


『あぁ… 行ってしまった…。』

「おまえ、牝馬に対してそんなに見境が無くなるとは思わなかったよ。

 街にも牝馬くらい、いっぱいいただろうに。」

『何を言う。ロサードちゃんみたいな羞月閉花(しゆうげつへいか)の美女にまた出会うチャンスなんていつあるかわからないんだぞ。』

「何難しい言葉を使ってるんだ。

 知り合いの馬だからそのうちまた会えるだろ。」

『なに!? 本当か!?』

「でも暴れるなよ。変なことしたらすぐアスモディアに返すからね。」

『わかった…。』


 セルギウスは頭を下げてしょんぼりしている。

 可哀想だけれど今日のは面倒くさそうだったから仕方がない。

 私はセルギウスの背から鞍を外し、アスモディアに帰ってもらった。


---


 王宮へ帰って自室へ。

 ルナちゃんが暇そうに待っていた。

 部屋は勿論掃除済みでピカピカだ。


「ただいま。」

「あ、マヤ様おかえりなさい!」

「これ、お土産のメロンだからみんなで食べてよ。

 魔法で少し冷やしてあるからね。」

「わあ、ありがとうございます!

 今の会話、何だか夫婦みたいですね。うふふ」

「あ、ああ…そうかな…。」


 ルナちゃんとは今のところ結婚を考えていないけれど、他の男性と結婚するとなると何だか悔しいと思うのはさすがに欲張りだろうか。

 もし彼女が結婚して子供が出来たらいったん産休やら育休をあげないといけないし、ぱんつを脱がしてもらったりお風呂で洗ってもらうことは無理にしてもらわなくてもいいから、おばちゃんメイドでもいいんだけれどね。


 なんて言っていても、今日もいつもどおりぱんつも脱がしてもらって、お風呂で身体の隅々まで洗ってもらった。


---


 夕食はおっぱいプリンが加わるようになって、パティが缶からそいつらを出して、厨房から野菜くずをもらって食べさせている。

 食品ロスを減らしてなかなか合理的だ。

 エルミラさんはおっぱいプリンをちらちら見ながらちょっと嫌そうな顔をしているが、律儀な彼女は主人の娘に逆らわず黙って食事をしている。

 エリカさんは基本的にいつも静々と食事をしていることが多いが、この人も一応貴族令嬢なんだよね。

 最初に出会った時みたいに酒癖が悪いときはぱんつ丸出しだったりする。

 王宮ではなぜかほとんどエッチなことをしなかったけれど、帰りの道中は宿でまた始まってしまうのだろうか。


---


 そして女王様へのご奉仕タイム。

 今晩は女王が私とたっぷり遊ぶらしい。

 シルビアさんはまたいつもどおり扉の外で警護だ。

 三人で部屋に入ったときは警護なんて誰もいなかったのに、良かったのか?

 プレイの前に、ベッドの上で白の透け透けベビードールの女王と対面で抱き合いながらトーク。


「マヤさん、聞いたわ。

 ヴェロニカったら、魔物と一緒に戦った時のあなたとの相性がとても良かったって大喜びしていてね。

 これであなたと結婚することに自信が持てたと言っていたわ。

 子供はいくつになっても可愛いものね。」


 前もだったけれど、小学生がお母さんに今日の出来事を報告するのと変わらん。

 まだ精神的に親離れしていないというほうが心配だ。

 戦いの相性が良いって、結婚相手に関係あるだろうか?


「あの…マルティナ様。本当にヴェロニカ王女と私は結婚するんですか?」


「それはあなたたち次第だけれど、あの子はあなたしか見えていないようよ。

 あなたはしたくないの?」


「王族や大貴族との付き合いが苦手というか、面倒で…。」


「その辺は私は勿論、レイナルドも手助けしてくれるでしょう。

 無理して付き合う必要も無いけれど、利権や商売が絡むとどうしてもあの人達と何かしら付き合いが出てくるでしょうね。」


 あの人達とは勿論ガルベス公爵周りのことだろう。

 さっそくリーナ嬢絡みで付き合いが出始めたから、気を付けないと。


「最近、インファンテ家の夫人と繋がりが出来たんですよ。」


「それは心強いなんてものじゃないわよ。

 インファンテ伯爵家は公爵並の影響力がある、とんでもない豪商よ。

 それでどうして知り合えたの?」


「先日の叙爵式後のパーティーでインファンテ家のご令嬢と知り合えたのです。

 後日インファンテ家へお茶会に招待されて、ちょっとしたことで夫人とも知り合えました。

 それで、私が下着のデザインを何枚か書いて渡したら、夫人がとても気に入ったようで、私にデザイナーをやって欲しいと…。」


「おっほっほっ それは素敵な話ね。おっほっほっ」


 エリカさんに続いて、女王にまで大笑いされた。

 私はぱんつと一心同体なのか。


「私が着ているこれも夫人が経営しているアドリアナサルタで手に入れたの。

 夫人があなたのデザインを気に入るなんて、凄いことよ。

 いつかあなたがデザインした下着を着てみたいわね。おっほっほっ」


 やっぱり女王のランジェリーはアドリアナサルタ製だったか。

 女王様のおぱんつを献上しました、なんてことがみんなに知れ渡ったらどんなことになるやら。


「マルティナ様は夫人とお付き合いがあるのですか?」


「ええ、時々王宮にいらして新商品を並べてもらって、気に入った物を買ってるわ。

 王宮のパーティーも常連よ。

 伯爵とはまだお知り合いじゃないのかしら?」


「明後日、ご令嬢から夕食に誘われたので、恐らくその時に…。

 実はその翌日、ガルベス公爵のお孫さんの相手をすることにもなっていまして…。」


「あなた、とんでもなく運が良い人ね!

 インファンテ伯爵もだけれど、ガルベス公爵のお孫さんから仲良くしていけられるなんて、もしかしたらこの国では無敵になるかもしれないわよ。

 あの爺さ…コホン、ガルベス公爵はお孫さんを溺愛しているから、お孫さんが喜ぶことについてはとても寛容なはずよ。

 当然、お孫さんに危害があると容赦しないでしょうが。

 そこは気を付けて頂戴ね。」


 そういうことか…。

 ならばこの二、三日が私の人生に大きく関わってくるのか。

 ちょっと胃が痛くなりそうだ。

 欲張らずに、慎重に事を進めることにしよう。


「ね、マヤさん。もういいでしょう。我慢出来なくなっちゃった…。」


「はい…。」


 私の唇は女王の甘いキスで塞がれ、しばらくキスを楽しんでいるとそのまま押し倒されてしまった。


「娘が好きなマヤさんなのに、私が手を出しているなんていけない母親ね。ふふ」


 その後は予定通り、たっぶりと搾り取られてしまった。

 熟女の性欲はすごいね。


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