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第九十八話 お母様はランジェリーショップのオーナー

2023.11.16 軽微な修正を行いました


 インファンテ家のお屋敷にて。

 中庭で私の股間にお茶がかかってしまったので、替えのズボンを用意してくれるというのでレイナちゃんに付いていってるところだ。


「マヤ様、ドレスルームにご案内しますので、そちらでお着替えをお願いします」


「ああ、はい……」


 私はレイナちゃんに連れられて、後ろにエステラちゃんとレティシアちゃんが付いてお屋敷の長い廊下を歩いて行く。

 なんと広いお屋敷……

 ガルシア侯爵のお屋敷よりずっと大きいけれど、向こうの方が適度な広さで歩き回りやすくていいんだよね。


 廊下の角から、化粧が派手で三十代半ばぐらいの貴婦人と、お付きの若いメイド二人が通りすがる。


「あら、レイナ。そちらはもしかして……」


「お母様! お話ししたマヤ・モーリ男爵様です。

 大切なお客様なのに、私がお茶をこぼしてしまってお召し物を…、ズボンを汚してしまいました……」


「まあ、それは大変! モーリ男爵、私はレイナの母です。

 娘が粗相をしてしまい大変失礼しました。

 すぐお着替えをしましょう」


 レイナちゃんのお母さんか。

 少々興奮している様子だ。

化粧は濃いけれどレイナちゃんによく似ている。

 胸のサイズは標準で胸の谷間は隠している……

 私は美しい熟女も好みなのでつい観察してしまう。

 三十代半ばかな。

 ロングスカートであるが、比較的軽装のドレスである。


「初めまして、マヤ・モーリです。

 あの…… お気遣いなく……」


「レイナ、あなたもいらっしゃい。

 お友達は案内させるからお待ちになってね」


 レイナちゃんの母親に、半ば強引にドレスルームへ連れて行かれる。

 ドレスルームへは、レイナちゃんと母親、メイドの一人、私の四人で入る。

エステラちゃんたち二人は、もう一人のメイドに案内されて別室へ案内されていった。


「マヤ様、ここはお母様と私や妹のドレスルームなんです。

 普段は男性が入ることはないのですが、今日は特別なので……」


 中はとても広く、無数と言っていいほどのドレスが掛けられている。

 また、ランジェリーショップの経営者というわけなのか、部屋の中ほどは下着を着けた胴体だけのマネキンが数十体も整然と並んでいる。

 お店よりこのドレスルームのほうが圧倒的に感じられる。


「まあまあ、見れば見るほど素敵な殿方!」


「お母様。マヤ様はうちの下着をお着けになってらっしゃるんですよ。

 少し訳があって拝見させて頂いたのですが、大変お似合いでしたわ」


「まあ! マドリガルタの英雄が私共の下着をお使いに!

 それはどうもありがとうございます!」


 レイナちゃんのお母さんは深々とお辞儀をする。

 そんなぱんつを買ったくらいで恐縮してしまう。


「はあ、どうしたしまして……」


「あらいけない。いつまでも濡れたお召し物ではいけませんね。

 さあ、お着替えを手伝いますので、失礼します」


 メイドさんが私のジャケットを脱がしてブラウスのボタンを外す。

 レイナちゃんのお母さんはしゃがんで自ら私のズボンのベルトをカチャカチャと外している。


「えええあの…… 全部着替えるんでしょうか?

 ズボンだけでよろしいのですが」


「ごめんなさい。

 殿方のサイズが合うズボンがご用意出来かねますので、いったん部屋着に着替えて頂きます。はぁはぁ……」


「そういうことですか……」


 お母さんの様子がおかしい。

 そもそも何故伯爵夫人がわざわざ下の位である男爵のズボンを脱がせるのか。

 私自身が女性に脱がされ慣れてしまっており、もはや反射的にズボンを脱いでしまう。

 私はシャツも脱がされビキニパンツだけになった。

 レイナちゃんは両手で顔を隠しながらも、指の隙間から覗いていた。


「あああああああ素敵!! ビキニパンツがよくお似合いですわ!!

 これは(わたくし)がデザインしたんですのよ。

 レイナ、これが男の子のパンツ姿よ。見てご覧なさい。はぁはぁ」


「は、はいお母様…… 

 はうぅぅぅぅぅぅ……」


 お母さんは両手を拝むように手を組んでくねくねしながら感激し、レイナちゃんは顔を真っ赤にしながらも上目遣いの表情で見つめている。

 さっき中庭ではズボン越しで興味津々に股間を見ていたよね?

 それにしても…、レイナちゃんのお母さんが作ったぱんつか。

 履き心地やチ◯ポジはなかなか良いぞ。


 さっきエステラちゃんらを案内していったもう一人のメイドが帰ってきた。

 何か服を持っているので、私の着替えかな?


「奥様、お待たせしました。これを」


「どうもありがとう。うふふ……」


 メイドはお母さんにB5サイズほどの箱を手渡した。

 何が入っているんだ?


「モーリ男爵。実はこれ、(わたくし)の新作なんです。

 是非モーリ男爵に試着をして頂きたいんですの」


 お母さんが箱から取り出したのは、ローライズの男性用Tバック、男性用透け透けレースのフルバックランジェリー、象さんTバックだった。

 アリアドナサルダで展示されていたような物だが、少しデザインが違うのだろうか。

 で、何で私が試着しないといけないの?


「あのぉ、ここでぱんつを脱いでその下着に履き替えるんですよね?」


「ええ、勿論です」


「女性が四人もいらっしゃる前で裸になるんですか?

 ご遠慮させて下さい……」


 お母さんは(うつむ)いてわなわなと震えている。

 試着してもらえるのが当然と思われても、迷惑なことだ。


「モーリ男爵! いいえ、マヤ様!

 どうかお願いします!

 誰も試着してくれませんので人形に履かせるばかりなんです!

 男性用ランジェリーは売れ筋商品なのに、もうアイディアが湧いてこないのです!

 どうか! どうか!」


 お母さんが土下座をして私に頼み込んでいる。

 娘がいるというのに見苦しい……


「ああもう、わかりました。頭を上げて下さい。

 履けば良いんですよね? 履けば」


「ありがとうございます! ありがとうございます!」


 お母さんは感涙の表情で私を見る。

 何だか悪い宗教の教祖や神様になっている気分だ。


「ささ、下着を脱ぎましょう。フンフンッ」


 お母さんの鼻息が荒い。

 しかしなあ、この世界というかこの国に来てからというもの女性にぱんつを脱がせられてしまう機会が多いのだが、この国の女性は地球の女性と比べて性欲が強いのか、それとも女性の立場が強いのか、下半身に対して恥じらいが薄いのか、そんなふうに感じてしまう。

 江戸時代の銭湯は当たり前に混浴だったらしいから、そういう感覚なんだろうか。


 お母さんの後ろの方で、レイナちゃんと若いメイド二人がドキドキしながら見ている。

 いつもルナちゃん一人にぱんつを履かせてもらっているが、さすがに女性四人に見られながらだと緊張してしまい、分身もしょぼんとしている。

 ついにビキニパンツは下まで降ろされてしまった。

 レイナちゃんは白目になって固まっている。

 メイドの二人は見慣れているのか知らんが、顔を赤くして興奮しながら黙って見ている。


「ゴクリ… 素敵ですね……

 コホン、ではこちらを履いて下さい」


 お母さんに吸い付かれそうだったが、我慢しているらしい。

 準備されたのはローライズのTバック。しかもピンク。

 最初はそれを履かされてしまうが、分身がぎりぎりはみ出るかどうかだ。


「ああ…… 素敵です。すごくお似合いです。

 でも何かが足りないわ……」


 次は透け透けレースのフルバックぱんつ。

 こういうのを前にエリカさんが買っていた気がするけれど、まさか先に作り手から履かせられるなんて想像すら出来ない。


「あああ これもいいわぁ。

 でもガツンと来ないのよねぇ。最後はコレね」


 最後は真っ赤な象さんTバックのようだ。

 いちいち履かせてもらうより自分でさっさと履きたい……

 お母さんは象さんTバックを手に取り、再びしゃがむ。


「あらら、やん!」 ずでーん


 お母さんはバランスを崩して尻餅をつき、スカートが(めく)れM字開脚になる。

 しゅ、しゅ、しゅ、しゅごい!

 色は黒で、穴あきというよりクロッチ部分が存在しない… 丸見え……

 レイナちゃんのお母さんも美人なので、こんな綺麗な女性のご開帳を拝見してしまうと分身が反応しない訳がない。


「ああっ 奥様大丈夫ですか!」


「痛た…… あらっ マヤ様に見られちゃった…… オホホ……」


 私に花園を見られても動じないお母さん。露出癖でもあるのだろうか。

 メイド達に抱き起こされて体勢を立て直し、再びしゃがんだ。

 レイナちゃんやメイドは後ろにいるからお母さんのぱんつがどうなのかわからないみたいだが、私はお母さんの花園を見てしまったので、透け透けぱんつを履いたまま分身がむくむくと元気になる。

 レイナちゃんはますます硬直するが、白目ながらも無言でガン見している。

 とうとう大人の階段を二段くらい上がったんだね。

 メイドの二人も興奮して息が上がってきた。


「今よっ この下着にすぐ着替えましょう!」


 透け透けぱんつを脱がされ、象さんTバックをあっという間に履かせられた。

 象さんの部分が見事にハマり、パオーンとなっている。


「ああああああああ!

 実物で初めて履いているところを見ることが出来ました!

 しかも若い男の子が(わたくし)に反応して下さるなんて、もう感激でございます!!」


 お母さんは涙を流して喜んでいる。


「奥様…… 本当に良かったですね。うぅ……」


 メイド達まで感激している。なんだこれ……

 レイナちゃんは正気に戻ったが、おろおろとどうしたら良いかわからない様子。


「あの…… そろそろ上着を着させてもらってよろしいでしょうか?」


「ああっ ごめんなさい! あなたたち! お願いね」


「はい奥様!」


 メイド達は用意していたパジャマみたいなズボンと、裾が長いガウンのような上着の、いわゆる貴族の部屋着を着せてくれた。

 象さんTバックは履いたままである。


「マヤ様、せっかく新作の下着を履いて頂いたのに、目の保養……

 いえ、私のインスピレーションとは少し違っていたようです。

 はあああ~ (わたくし)は一体どうしたら良いのかしら……」


 今、目の保養って言ってたよね。

 レイナちゃんのお母さんのデザインに思い当たることがあるので、もの申すことにした。


「レイナさんのお母様、私は下着のデザインに思うことがあるんです」


「え? それはどういうことでしょう?」


「刺激的なのは良いのですが、それだけなんです。

 もっと快適に履いてもらえ、且つセクシーな下着が出来るはずです」


「快適に!?」


「紙とペンがありますか? 簡単なものを描いてみます。」


「マヤ様にすぐ紙とペンを!」


「はい! 奥様!」


 メイドに用意してもらった何枚かの紙とペンで、簡単な下着のデザイン画を描く。

 前世でネットサーフィンをしていた時にたまに出てくるランジェリーショップの広告をポチッと押したら、出てくる出てくるわのエッチな下着と綺麗なモデルさんの画像を眺めることで暇つぶしをしていた。

 その中で覚えているものを何となく描きだしているだけだから正確ではないが、男女ともふんどしに近い下着、股間が見えないように他がメッシュになっているボクサーブリーフ、女性用のスポーツブリーフ、シームレスメッシュのショーツ、オタマの所が編みかけ袋になって通気性が良いブリーフ、はたまた男の娘向けのショーツ、股間にかぽっとはめるIバック、思いだした物を次々と描いていき、それらをお母さんに見せてみた。


「なっ……」


 彼女はデザイン画を手に取って目が飛び出そうなくらい食いつくように何枚かを見たら、おでこを手で押さえてガクッと卒倒しそうになっていた。


「マヤ様…、天才ですわ…。快適さを追求したデザインがいくつも。

 まさかここまでの逸材が埋もれていたなんて……」


「お母様、どうなされたんですか?」


「レイナ! ありがとう! こんな素敵な方を連れてきて下さって!」


「え? え? お母様?」


 お母さんはレイナちゃんの両手を握りしめ、興奮して止まない様子。

 ただネットで見たのを描いただけで、私のオリジナルなど一つも無いんだが。


「マヤ様! ウチのお店のデザイナーになって頂けませんこと?」


「え? えぇぇぇ!?」


「このデザイン画一枚を、金貨一枚で買い取らせて下さい!

 勿論、売れた分だけまた別にお支払いしますから!」


 まさかデザイナーへのお誘いの話になるとは夢にも思わなかった。

 実際は盗作そのもので恐縮だ…… だが……


「私、あと数日後にはマカレーナへ帰らなくてはいけません。

 なのでせっかくですがその話は難しいかと……」


「問題ありませんわ。

 マカレーナにはアリアドナサルダが支店がありますから、そこを通してやりとりができるでしょう。

 そうと決まればこれから忙しくなりますわ。

 マカレーナの店長に連絡をしなければいけませんね。

 それではマヤ様! お帰りになる前にまたこちらへ寄って下さい!

 デザイン料をお支払いします。それではごきげんよう!」


 お母さんは私の落書きみたいな下着のデザイン画を持って、メイドさんたちも追いかけるように慌ててドレスルームを退出していった。


「ああ…… 何も決まってないのに…… はぁ……」


 そういうわけで、魔物討伐の他に、下着のデザイナーとしての収入が得られることになりそうだ。


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