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世界は君で満ちていた。  作者: 結城あいは
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2.今日も変わらず。

些細な時間が幸せだと気付いてさえいれば、もっと君との時間を大切にできたのかもしれない。

そんなことを思った。


『ねぇ、遥くん』

君の最期の言葉が脳内に蘇る。

『幸せになってね、どうか、笑っていて。

私は隣にいられないけど、遥くんが幸せならそれでいいよ』

なんて残酷で、優しい言葉なのかと思った。

君が最後の力を振り絞って、力の入らない手で書いてくれた不器用な文字。

あまりにも優しく悲しそうに笑うから、僕も釣られて笑う事しか出来なかった。


繋いだ手の温もりも、優しい君の笑顔も、抱き締めた君の小さな体も、幸せだった時間も全て思い出せるのに、もう君は隣に居ないのだと心の何処かで実感してしまっている事が悲しかった。



あの日君と出会って、一緒にブランコを漕いだんだ。

同い年で同じ学校だってわかったら、君が喜んでブランコから飛び降りて焦ったっけ。

きっと、あの出会いがあったから僕と君の関係はここまで深くなったんだろう。

四日後に学校に行ったら同じクラスで。

本当まんがみたいだけれど、僕は君の隣の席になった。

それから一緒に出掛けて、一緒に勉強して、一緒に登校して、一緒に泣いて、一緒に笑いあって___。

花見に行ったときは楽しかったな。

僕の耳が聞こえないって知ってるくせに、興奮して普通にしゃべってさ。

僕が聞こえないよって笑うと、不覚!というような表情をする君。


あのね。

今更遅いかもしれないけど、僕やっと気づいたんだよ。

君との日々は本当に幸せで大切で、ずっとそばにいたかった。

隣にいてほしかった、隣にいたかった。

もっと大切に過ごせていたら、なにかは変わっていたのかな。


それは小さな幸せでした。

それに気付けなかった自分勝手で弱虫な僕の、忘れられない大切な恋でした。

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