惨劇
さてさて、とうとう始まってしまいました……おバカ展開……
受け入れられるか心配であります……
ユビゲイル男爵の目の前に現れた謎の少女、その少女をユビゲイル男爵は驚愕の表情で見つめていた。
な、な、なんですか! この痴女は!!!
丈の短い上着の裾からは、形の良いおへそが見え隠れし、ピンクのスカーフを見事に持ち上げている胸部は、少し動く度プルンプルン揺れている……
短めのプリーツスカートは風になびき、見えてはいけない箇所が……見えてしまいそうである!
そのスカートからは白くムッチリとした絶対領域が!!
「あ、貴方……恐らく未成年ですよね? 成人もしていない女の子が、なんてハシタナイ格好を!! けしからん!!!」
そんな思いを抱いているのはユビゲイル男爵だけでは無い!
周りにいる学生達、特に男子生徒の動揺は……
「あ、あれ……本城さんだよ……な? 我々のマドンナ、可憐で清楚な本城さんがあんな……だ、だめだ! 目が離せん!! い、いや、しっかり記憶するのだ! 瞼の奥に焼き付けて家に持ち帰るぞ!!」
……持ち帰って何をするんだ?
思わず突っ込んでしまう誠……その誠の視界には男子だけでは無く、唖然とする女子達の姿が……
「ちょっと……あれは何? なんて格好! バカじゃないの? ってか、あれどう見ても本城さんよね? あの子……変た……」
言いかけた所で、周りの男子達に口を塞がれる!
「モゴモゴモゴ……ちょっと離しなさい!!」
わちゃわちゃだ……
すると、ユビゲイル男爵に謎のステッキを向ける七海。
スーっと深呼吸の後、ユビゲイル男爵に向かい言い放つ!
「私はマリリン! マジカル☆マリリン!!」
(((マジカル☆マリリンだと!!!)))
学園中に激震が走る!!
いやいやいや……本城さん……これなんのプレイ?
冷静に心の中でツッコミを入れる女子達に対し、男子達はというと……
ポーズを決め、プルンと揺れた巨大な物と、ふわり揺れるスカートから目が離せすにいた。
中にはタラり鼻血を垂らす者まで……
「不味いな……既に影響が出始めている」
周り騒ぎとは裏腹に、焦った様子を見せる誠の父である進。
「父さん? 不味いって何が?」
誠が父に質問をしたその時、ユビゲイル男爵が空に浮かび上がった!
「貴方のその姿、恐らく【大魔法使いの涙】の影響でしょうね……貴方魔法国の、しかも王族の血を引いてるのですか……、驚きました……」
大魔法使いの涙? 魔法国? 王族?
ユビゲイル男爵の口から聞かされた、聞き慣れない単語に困惑する学生達。
ユビゲイル男爵は少し震えながら話しを続ける。
「私はその【大魔法使いの涙】を手に入れる為にこの世界に来ました! 私にそれを渡すのです。まだ少女の貴方がそんな格好をしてはいけません!!」
大魔法使いの涙が何なのか分からないが、最後のセリフは至極真っ当な事を言っていると思う誠……
だが、七海は浮かび上がるユビゲイル男爵を睨み付ける。
「私には【大魔法使いの涙】が何なのか良く分からないけど、貴方! この力を奪って何をするつもりなの?」
七海の質問に不思議そうな表情を浮かべるユビゲイル男爵。
「何を言っているのです? そんなもの、この世界の征服に決まっているではないですか! 魔法国と同じ様にね」
せ、世界征服!!
目を丸くする誠と女子達、だが男子達はそんな事は気にする風でも無く、七海に視線を集中させている……
お前達……ガックリ肩を落とす誠。
それはさて置き……、世界征服と聞いて憤る七海。
「やっぱり悪漢だったのね! そんな事はこのマジカル☆マリリンがさせやしない!!」
言い終わるやいなや、虹色の光を纏いユビゲイル男爵を追って浮かび上がる!
いやいやいや! 七海! それはダメだ!! そんな短いスカートで浮かび上がったりしたら……
焦る誠、父の進は額に手を当て「不味い不味い」と呟いている。
そんな事は気にせずユビゲイル男爵を追う七海。その姿を見つめる男子生徒達の視線に……チラリ白いものが!!!
…………途端!
ブッシューーーー!!!
何人かの男子生徒の鼻から血が吹き出していた!
噴水の様に勢い良く噴き出す者、滝の様に垂れ流す者で辺りは赤く染まって行く!
「い、いかん! あの惨劇が再び……誠、私は直ぐに行政に掛け合い、医療施設の確保と、大量の輸血の準備に取り掛からなければならない。お前は鼻血を噴き、倒れている学生達を、学園の医務室まで運ぶんだ! 耐性のあるお前なら動けるはず!」
次々と鼻血を噴き倒れていく男子生徒。
確かにこのままじゃ……急がないと!
そんな父の鼻から血が流れ出す! そして自分の鼻の下にも生温かい何かが……
「くっ! 幼い頃から知り合いで耐性のある私達まで……誠、急ぐぞ!」
鼻血を垂れ流しながら走り去る進。
誠は鼻から流れ出る血を制服の裾で拭き取り、先ず呆然としている女子生徒達の元に向かう。
「みんな、手伝ってくれ! 倒れている生徒達を医務室まで運ぶんだ!」
誠の声が聞こえているのかいないのか、辺りの惨劇に茫然自失になっている女子達。
そんな女子生徒達に誠は叫ぶ!
「呆けている場合じゃ無い!! 早くしないと学園が真っ赤な血で染まってしまう!!!」
誠の叫び声にハッと我に返る一人の女子生徒、宝塚光里。女子のリーダー格だ。
七海にライバル心を抱いている娘でもある。
「皆さん、お気を確かに! 誠様の仰る通りです。わたくし達がしっかりしなくては! 学園を守るのです!!」
リーダー格である光里の激に、次々我に返る女子生徒達。
「宝塚さん、助かる! じゃあ手分けして倒れている生徒を医務室まで運ぼう。皆無理せずに、数人で一人づつ運ぶんだ!」
女子生徒達と共に救助活動にあたる誠。
その誠の背中を少し頬を赤らめ、視線を送る光里なのであった。
なんという惨劇カタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ