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始まり

 五話目の投稿です。

 次回からは一日一話づつの投稿になります……多分……


 ご意見、ご感想お待ちしておりますm(_ _)m

「な、なんだあれは!?」


 駆けつけた七海と誠、目の前で繰り広げられる有り得ない光景……目を疑ってしまう。


 シルクハットを被り、黒のタキシードを着たオジサン? の手のひらから、何やら光の玉の様な物が学園の創立記念碑に向かっ放たれていたのだ!


 しかもあのオジサン浮いている!?


 人が宙に浮いてる事に目を白黒させる七海と誠。


 それに……あの手のひらから出ているのは何?


 何度も手のひらから放たれる何かは、創立記念碑に当たる前に、何やら透明の壁の様な物にぶつかり、衝撃音を立て霧散していった。


 苦虫を噛み潰した様な表情のオジサン。そのオジサンの声が七海達の耳に届く。


「くっ、流石かの秘宝を守る為の結界! 中々に強力ですね……だがしかし! この大魔法使い、ユビゲイル男爵様に壊せぬものなど無い!!」


 ま、ま、ま……魔法使い!!!


 目を丸くする七海と誠。


 すると、ユビゲイル男爵と名乗ったオジサンの持つステッキが輝き出す!


「さあ行け! 私の魔力を込めた魔法のステッキよ! 見事結界を砕いて見せよ!!」


 そう叫ぶや否や、ステッキは目を覆う程の光を放ち、まるで意志を持つかの様に創立記念碑に向かって行く。


 バリッ!!


 何かが突き刺さる様な音、記念碑の前でステッキが浮いたまま止まっいる。

 そのステッキの周りの空間にヒビの様な物が広がって行き、そして……


 パリンッ!!


 ガラスが割れた様な音が辺りに響き渡る!!


 創立記念碑を守っていた結界が破壊されたのだが、七海と誠にはそんな事理解出来る訳が無い。


 ゆっくり降下して来るユビゲイル男爵。地に足を着け、スタスタ記念碑に向かい歩き出した。


 その様子を固唾を飲んで見つめている七海と誠、何やら誠の本能が騒ぎだす。


 彼奴を記念碑に近付かせちゃいけない!


 咄嗟に飛び出す誠、自分でも何故だかは分からない……けど……


 記念碑の前に立ち、両手を大きく広げ、記念碑を守る様にユビゲイル男爵と対峙する。


「お、お前何者だ? なんで学園の記念碑なんか狙う!」


 ユビゲイル男爵に向かい叫ぶ誠。


 騒ぎを聞きつけたのか、周りに学生達が集まって来た。

 これだけ人が集まれば、この変な奴も迂闊な事は出来ないはず! 


 そんな誠の思いとは裏腹に、ユビゲイル男爵はニヤリ口元を歪ませる。


「これはこれは、人間の学生さんですかな? 私はユビゲイル男爵と申します。それで、一体なんの御用でしょうか? 私はそこに隠されているとある物に用がございまして、まさか……たかが人間の分際で、私の邪魔をしようと?」


 とある物? この記念碑の中に何かが隠されているのか? しかもこの変なオジサンが欲しがる様な物が?


 怪訝な表情の誠、その誠と周りに集まる学生達を見渡すユビゲイル男爵。


「まあ邪魔をするのであれば、排除しなくてはなりませんねえ、この周りにいる学生さん達も目障りですが、先ず貴方から……」


 そう言うユビゲイル男爵の手のひらに、先程記念碑を攻撃していたものと、同じ様な光の玉が浮かび上がる!


 アレで俺を攻撃するのか!? う、嘘だろ!!!


 光の玉が放たれた!


「誠!!!」


 七海は名を叫び誠に駆け寄る!


「七海! 来るな! 来るんじゃない!!」


 ダメだ! これじゃあ七海もろとも……


 その時!! 突然記念碑から虹色の光が漏れだした! 


 そして……


 二人、庇い合う様に抱きしめ合う七海と誠、その前に虹色に輝く何かが浮かんでいた。

 それは一つの形に留まらず、まるでアメーバーの様に絶えず変化している。


 なんだ? これが俺達を守ってくれたのか?


 呆気に取られている七海と誠の耳に、ユビゲイル男爵の驚きの声が届く。


「な、何故だ! 何故人間にそれが扱える!! その【大魔法使いの涙】は魔法国の者でしか……まさか!!」


 ユビゲイル男爵が叫んだその時! 


 虹色に光る何かが七海を包みだしたのだ!!


「な、七海!!」


 目を剥きそれを引き剥がそうとる誠だが、誠の手はそれを素通りしてしまう。


「誠、大丈夫よ。何も心配はないわ! むしろ……心地いい……」


 七海が呟いた瞬間! 完全に虹色の光に取り込まれ、七海の姿は見えなくなってしまった!

 動揺する誠、何とか助け出そうと、光の中に手を伸ばすが、七海を掴まえる事が出来ない。


 すると、七海を包んだまま、その虹色の光は球体に変化し、浮かび上がって行く!

 その様子を見つめる事しか出来ない誠、周りの学生達も騒ぎ始めた。


 誠の元に一人の男性が駆け寄って来る。

 誠の父であり、この学園の理事長でもある大法院進だいほういんすすむであった。

 進は息子である誠に手を貸し立ち上がらせると、浮かび上がる虹色の光を、苦悶の表情で見つめている。


「くっ! また……あの惨劇が……」


 惨劇!?


「と、父さん? 惨劇って……」


 進は誠の両肩に手を置き、


「誠、お前は幼い頃から七海ちゃんと過ごして来た! だからお前には耐性がある! お前がフォローをするんだ!」


 耐性? フォロー? 意味が分からない誠である。


 そんな中、虹色の光に変化が見え始め、中に居る七海のシルエットが映し出されたのだ!

 それは黒い影……七海のあのスタイルをそのまま映し出している黒い影に、男子生徒達は生唾を飲み込む。


「は、始まる……」


 両肩に置かれている父の手、その手が震えているのを感じ取る誠であった。


 

 ユビゲイル男爵……

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