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4つ子の中で俺だけ血の繋がりがなかった件  作者: あーりす
第一章 妹たちの暴走が始まる?
7/14

第4話 だから私は彼女が妬ましい

最近私生活がかなり忙しくて、こちらに割く時間があまりありませんでした。

無茶苦茶な内容の物を投稿してしまった事を深く反省しております。

本当に申し訳ございませんでした。


2021年8月6日午前8時頃に大幅な修正を行いました。


もし宜しければ今後も応援の程よろしくお願い致します。

-ハァハァ


やっと追いついた。

兄さんは何か考え事をしているようだ。


「兄さん。一緒に学校、行こ」


今までの私ならこうはいかなかっただろう。

悠長にしていたらあの二人に兄さんを取られてしまう。

そんな焦りからか、私はなんの躊躇いもなく兄さんに本心を伝える事が出来た。


混乱させてしまっただろうか。


答えが返ってくるまでに少しだけ間があった。


「分かった。一緒に行くか」


兄さんは笑ってそう言ってくれた。


私も思わず顔が綻んでしまう。


-だけど


-兄さんは私を見ているようでいて、別の誰かを見ているような気がした


きっと気の所為だと自分に言い聞かせ、

私は兄さんと足並みを揃え、学校へと向かった。


*****



-キーンコーンカーンコーン


「気をつけ、礼」


私はいつものように号令をかける。


多数決は嫌いだ。


正しくない事でも、数の暴力で真実をねじ曲げて正しいことに出来るからだ。


私が学級委員に選ばれたのも正しくない事だ。


皆の言う理由もよく分からなかった。

真面目そうだから、勉強が出来そうだから、

殆どがそんな理由ばかりだった。


憶測で物を語るな。私はそう言いたい。


別に真面目でもなければ、特段勉強ができる訳でもない。


ただ、人と関わることが苦手で静かにしているだけだ。


だから、私には無いものを持っている二人には嫉妬をしてしまう。


冬海は少し天然な所はあるけれど、とても落ち着いていて、それでいて人にたくさん頼られている。

友達も沢山いる。


夏鈴は特に、私が持っていないものを沢山持っている。


明るくて、元気で、誰にでも笑って接して、私からすればコミュ力お化けだ。


だから何度も助けられた。


助けられる度に私は彼女に嫉妬した。


彼女は手段を選ばない。


だから私は彼女の動きを抑制するために3つのルールを提案した。


はっきり言って意味はなかった。


まさかルールを決めた夜に、夜這いを仕掛けるとは思ってもいなかった。


今までの彼女なら私たち二人が言ったことには殆ど従っていた。

だから今回もきっとルールにのっとってくれるだろうと思っていた。


私は最低だ。こんなやり方しか出来ない。



だけれど彼女は変わっていた。

もう私の言うことは聞いてくれない。

きっと、彼女の心境を大きく変えるような何かがあったのだろう。



私は目を背ける。



臭い物には蓋をするように、見たくないものはまぶたさえぎる。

私はいつもそうやって逃げてきた。


兄さんに食いつくように接しに行く彼女をやはり私は、

見ることが出来ない。



*****



-キーンコーンカーンコーン


「気をつけ、礼」


学校が終わる。


結局今日は何も出来なかった。


兄さんとは登校の時に、少し談笑したくらいだ。


私たちは兄さんに酷い言葉を何度もなげかけた。

その度に私は苦しくて泣きそうになった。

でも本当に苦しいのは言われた本人だ。


そんな私たちに兄さんはいつものように笑って接してくれる。

我ながら本当に優しい兄だと思う。


いつかちゃんと面と向かって謝らなければ。



「兄ちゃん!部活の見学行こー!」


「え?なんでまた急に」


「いいからいいから!」


困惑する兄さんを夏鈴は無理やり引っ張っていく。


「-っあ」


私はまた何も出来なかった。言えなかった。


私は何も言えないまま、机と睨めっこをする。



-スタスタ



「あーきーね。一緒に行こ」





どうしてこの子はいつも手を差し伸べてくれるのだろうか



-私も彼女のような素敵な人間になりたかった


-だから私は彼女が妬ましい


-だから私は・・・・この兄妹が大好きなんだ



*****



-バンバン、パシュッ



「凄い上手いね!君、昔やってた?」



「いや〜初めてですね、思ったより楽しいです」



バスケットボールをつきながら夏鈴は当たり障りのない返答をする。


今はバスケをする事に夢中のようだ。


「君たちも見学者?少しやってみる?」


先輩は兄さんと私にもボールを渡す。


「あ、俺は大丈夫です。運動部はもう、あれなんで」


「あ、私も、運動あまり得意じゃないんで...」


「そっか…」


先輩は残念そうに俯いた。

夏鈴がアレだけ上手いから4つ子の私たちもきっとそうだと踏んだのだろう。


「決めた!あたしこの部活に入るよ」


「やったー!君みたいな子を待ってたんだよ!」


先輩は私たちの時とは打って変わってもうめちゃくちゃはしゃいでた。


「兄ちゃんと秋音はどうする?」


「俺は運動部はちょっともう厳しいかな、体力的にも…」


「私もちょっと…そもそも運動が…」


「そっか!じゃ仕方ないな!二人にあった居場所が見つかる事をあたしは祈ってるぞ!」


夏鈴はクルッと振り向くとそのままバスケ部の顧問の所まで走っていった。


本当に行動力が凄い。

同じ4つ子なのにカッコイイと思ってしまう。


「秋音、どうする?」


「どうしましょうか、冬海も用事で今こっちに来れませんし…」


「じゃあ文化部でも回っていくか」


「そうですね」


内心、二人で行動出来ることがとても嬉しかった。



*****




「ここは読書部です、日々沢山の書籍に目を通し、日本文学への理解を深めています」


落ち着いた口調で淡々と先輩は私たちに説明する。

他にも数人見学に来ているようだ。



「へー本を読むだけの部活があるのか、知らなかった」



「兄さん、その言い方だと失礼に当たりますよ」



「ああ、悪い訂正する」



「読書するだけの部活か、大変そうだな」



「変わってないですよ!」


あ、声が大きすぎた。


「あなた達聞いてるんですか?さっきから、二人でコソコソと、邪魔するなら出てってください」




「追い出されちゃいましたね」


「秋音のせいだな。どう考えても」


「いや、そもそも兄さんが…」


「秋音! お兄! こんなとこにいたんだー!」


私が言い終わる前に聞き覚えのある声がこちらに向かって近づいてくる。


「冬海、用事は終わったの?」


「うん、実は私生徒会に勧誘されてて…」


「え?私たちまだ入学してから二、三週間しか経ってないよね?」


「そうなんだけどね、学校での態度と成績を見て、うちの担任が生徒会に直々に推薦したみたいなの」


確かに、冬海は成績もいいし、学習態度や生活態度も完璧といっても差し支えないだろう。でもそれだけで推薦されるだろうか?


「そうなんだ、冬海はどうしたいの?」


「んー私は正直、生徒会には結構興味があるのだけれど…いかんせん今まで学校の運営なんかやった事ないし…もう少しだけ考えてみるよ」


「もう一度生徒会の所にちょっと顔出してくるね!色々確認したいし!」


冬海は私に目配せをして何かを伝えたいようだ。

結局分からなかった。


そのまま冬海は生徒会の方に行ってしまった。


「結局何にも決められなかったのは私たちだけですね…」


「そうだなぁ、まあ、無理に部活にはいる必要もないしなぁ、俺バイトもやってみたいし」


ブー


私のスマホだ。


『私、今日忙しくて早くに帰れそうにないから、秋音とお兄で先帰ってていいよ』


あ、完全に忘れてた。

そう言えばそんな事も言ってたな。って、言ったのは私か。


「兄さん、この後どうしますか?」


「俺は今日は帰るかなぁ」


「じゃあ一緒に帰りませんか?」


「え、あ、まあいいけど」


兄さんはやっぱりまだ戸惑っている。

それも仕方ないだろう、今日も半ば無理やり、私たちと行動を共にさせられていたのだから。


じゃあ二人きりのここがチャンスだ。

私だけでも兄さんに謝ろう。仲直りしよう。

そうでもしなければあの二人には勝てないだろうから。


校門を出た。


兄さんと私の間にはかなりの距離がある。

やっぱり登校の時は少し無理をしていたんだな。


「兄さん、あの…」


「なんだ? お腹でも痛いか?」


「違いますよ」


私は本当に意気地無しだ、結局何も言えない


「兄さん…」


「なんだ?」










「好きです」






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― 新着の感想 ―
[一言] こんにちは 4つ子と同じ誕生日だったのが目に止まったので読み始めてみましたが、とても面白かったです!次回の更新も楽しみにしています!
[良い点] 人格障害してる先生登場で何かお話が変な方向に行きそうですが大丈夫?
[気になる点] 現実、主人公は精神を病む事しかされてないなろくに謝られても居ないのに急にくっついてくる人て恐怖でしかない その人達と同じ部活に入れられるてなんやねん せめてもう少し仲良くなってからやっ…
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