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4つ子の中で俺だけ血の繋がりがなかった件  作者: あーりす
第一章 妹たちの暴走が始まる?
3/14

第0+1話 お兄だけ私たちと血の繋がりがない ※挿絵が有ります。

次話との繋がりを持たせるため、2021年8月3日 午前2時頃に

終盤にかけて改稿させて頂きました。


 挿絵(By みてみん)



4つ子のイメージが湧きずらかったので絵を入れさせて頂きます。(2021年8月4日)


最初は夏鈴、次に秋音、最後に冬海と言った流れで載せていきたいと思ってます。


自分あまり絵は得意ではなくて、絵師様の絵を参考に描かせていただきました。


液タブが届き次第、デジタルに変更致します。


不快に思う方が居られましたら削除致します。

これはまだ私たち三人が、お兄にベッタリだった頃の話。




*****



「お兄は冬海の!」

「兄さんは秋音のものです!」

「兄ちゃんは夏鈴のだ!」



私たち三人はいつもお兄を取り合って喧嘩をしていた。

こうして喧嘩をしていると、いつもお兄はニッコリ笑って


「俺は三人とも大好きだぞー!」


そう言って私たち三人を抱き締めてくれていた。

私たちも本当にお兄の事が大好きだった。


私たちが小学生の間は毎日のように、こんなやり取りをしていた。

今思えば、本当に幸せで、夢のようだった。


私たちは中学生になった。


最初は小学生の時と変わらず、お兄にくっついていた。

だけどその時のクラスメイトの楠木朱里くすのきあかりが私たちに言った。


「なんで冬海ちゃん達っていつも春樹くんにくっついているの?春樹くん兄妹なんでしょ?ブラコンなの?」


「ブラコン?お兄の事が好きなのはダメな事なの?」


「ダメじゃないけど..."普通"じゃないよ」


"普通"って何?


それから私たちは、周囲からブラコンだの兄離れしろだの、口うるさく言われ続けた。


私たちはお兄が好きなだけなのに、何故皆は文句を言ってくるのかが本当に分からなかった。


だから何を言われても変わらずお兄に甘えていた。


でも、朱里ちゃんはまた私たち言った。とても冷たい声で。


「冬海ちゃん達は良いかもしれないけど、春樹君に迷惑だと思わないの?春樹くん嫌って言ってたよ」


朱里ちゃんの取り巻きも続けて言った。


「朱里ちゃんの言う通りだよ。春樹くんがかわいそう」


正直この女がどう言おうが知ったこっちゃなかった。

でもお兄が嫌と言ってたなら聞き流す訳にはいかなかった。

この言葉をきっかけに私たち三人は普通の兄妹。

他の人の言う普通になろうとした。


「お兄に迷惑かけちゃいけないから仕方ないよ」


「兄さんが嫌がる事はしたくないです」


「でもあたしは、兄ちゃんと離れたくないよ!」


泣き出す夏鈴を秋音と私で何とか説得して、私たちは普通の兄妹に戻る事を決意した。


学校では極力喋りかけない。

家でも触らない。抱きつかない。必要最低限の会話だけ。


私たちはお兄に迷惑をかけないように、これらを徹底した。

"普通"であろうとした。


それからは本当につまらない中学時代だった。

友達の皆は口を開けば彼氏がどうだ、あのアイドルがどうだ、正直私たちは全然、これっぽっちも

興味がなかった。はなから、お兄以外眼中になかった。


お兄に甘えたい気持ちを我慢して、私たちは普通の兄妹を演じきり、何とか中学校を卒業する事が出来た。


私たちはお兄をそれとなく説得して同じ進学校を受験させる事に成功した。


受けさせたのに私たちが落ちる訳にはいかない。

猛勉強の甲斐あってか無事私たちは合格通知を頂けた。


中学耐えたし、同じ学校に通うくらい許してくれたっていいでしょ?



ただ、入学前に変化は起きた。


私たち三人の会話の内容が狂い始めていた。


「冬海、私今日の夜兄さんのベッドに忍び込むよ」


「あ、あたしも!秋音だけずるい!」


「はぁ、秋音、夏鈴、落ち着いて。

それ、一線どころか二線ぐらい超えてる。

それよりもお兄に彼女ができないようにしなきゃ」


「冬海、あんたも大概よ」


そんな事を入学前の春休み、いつも三人で話していた。

今思えば完全におかしかったと思う。

その時はまだ実の兄だったのだから。


私たちは三年間まともに甘えられなかったせいで、ネジが何本か飛びはじめていた。


ただ、そうなってしまう程に、私たちが抑圧されてきた中学の三年間はとても大きなものだった。



でもどうしても血が繋がっている以上、私たちはお兄とはそういう関係にはなれない。

どこまで行っても私たちは兄妹でしかない。

それ以上の関係を望むなら家族ですら、よもや兄妹ですらいられなくなる。そもそも赤の他人になってしまう。

その方が、もっと辛い。


私たちの結論はこうだった。


なら、もう完全に嫌われよう。

どうしようもなく嫌われて嫌われて、顔を見るのが嫌になるほど嫌われてしまおう。


他になかった。何をどうしたって血の繋がりは変えられないのだから。


お兄にキツイ言葉を何度も何度もかけた。

お兄に暴言を吐けば吐くほど、私たちは傷ついた。

       お兄を傷つけた。

仕方ない事だ。と何度も自分に言い聞かせた。

何を言ってもどんなに酷い言葉をかけても、お兄は絶対に怒らなかったし、言い返して来なかった。

お兄はいつもとかわらない笑顔を私たちに見せる。

でも時折、どこか寂しそうで。

お兄はよく自分の部屋に籠るようになった。


-どうすればいいのか分からなかった

-本当に苦しくて、辛くて、毎晩泣いた。


ヤマアラシのジレンマとはこう言う事を言うんだろう。


こんな話がある。


その日はとても冷えて寒い夜だった。

二匹のヤマアラシは相手にぬくもりを伝えたくて身を寄せるけど、寄せれば寄せるほど棘でお互いを傷つけあってしまう。


ただ、このヤマアラシと違って私たち三人の棘は余りに長く、お兄の棘は短すぎた。

私たちはお互いが傷つかない適切な距離を見つけることができなかった。

ほとんど一方的に棘を刺して傷つけてしまった。


-最低だ



長い春休みが明けた。

今日から高校が始まる。



-神様はいた。


私たちは四人とも同じクラスだった。

本当に嬉しかった。

私たちの棘でお兄を傷つけなくて済む。

家とは違って閉鎖空間じゃないから。お互いが干渉しなければ良いだけ。


直接は関われなくても、同じクラスに一緒に居られるだけで本当に嬉しかった。




-このすぐ後に、4つ子の関係を根本から変えてしまうような事実を、私たちは知る事になる。


それは4月24日。私たちの誕生日。



*****



・・・から、これからもよろしくお願いします」



-お兄が私たちの前で泣くのを初めて見た。

-お兄は私たちとは血が繋がっていなかった。

-お兄は私たちのお兄ちゃんで良かったと言ってくれた 。


私もとても辛くて悲しかった。

お兄と夏鈴と秋音とママとパパと抱き合って泣いた。


-だけど、だけどだけどだけど


本当に不謹慎なのは分かっている。

冬華さんと夏哉さんの事は本当に悲しかった。

私も辛そうなお兄の顔をみてとても苦しくなった。


それでも、私たちはお兄と血が繋がっていない。

それでも、お兄は私たちと血が繋がっていない。

その事実に喜びを隠せない自分がいた。


私たちは血の繋がりという、最大の壁を打ち破る事が出来た。

少なくとも私たちの棘は全て抜け落ちた。


そこからはもうめちゃくちゃだった。

自分の部屋で何度叫んで暴れただろう。

どうやら私以外の二人も同じ様子だった。


このままじゃダメだ。

私たちは何とか平静を保つ為に、一度会議をすることにした。


だってこのままじゃ、ブレーキがぶっ壊れる。


正直、会議とは言っても名ばかりだった。


だけど、一つだけ私たち三人の中でズレがないか確認する必要があった。

兄妹としてお兄の事が好きなのか、それとも異性として好きなのか。


ベッドがどうとか言っときながら今更かもしれないけど。


私たちの答えは勿論


「「異性として」」


だった。

つまり私たちは完全に敵同士って事になる。

ただ、流石にあの態度から昨日の今日でベタベタ甘えるのはまずい。

今のお兄の心情をかんがみると私たちどころの話じゃないはずだ。

それに、何度もお兄に酷い言葉を投げかけた事実は変わらない。

一方的に棘で傷つけた事実は消えない。


私たちは話し合った結果、


1.まずは仲直りをすること。

態度を急変すること無く徐々に変えていくこと。

2.混乱させないようにゆっくりと関係を築くこと。

3.アタックのやり方はそれぞれ次第。

でも余りに行き過ぎたやり方は自重すること。

(いきなりベッドに潜り込むなど)


そう結論着いた。----はずだった。



-翌朝


ぎゃああああ!

家中に響き渡るような大きな悲鳴で目が覚めた。


何事かと思い、悲鳴の方へ向かう。


そこには

素っ裸の夏鈴が、ベッドで横たわるお兄に覆い被さっていた。


おい、約束。































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― 新着の感想 ―
[一言] 個人的な感想です。 ラノベの様に絵を活用するのは良い事だとは思います。 ただし、登場人物の容姿や性格は文章で表せないと、練習にならないのではないでしょうか? 残念ながら私には「絵に逃げた」…
[一言] 自分たちの都合で兄を罵倒して傷つけ、都合が良くなったら手のひらを返す妹たちが受け入れられませんでした。 仮に自分が罵倒されてたキャラの立場だった場合、憎しみすら感じてると思います。 家族じゃ…
[一言] 普通に考えたら妹ちゃん達の心境は分かったけど主人公からしたらサイコパスだよね…(いくら可愛い妹と言っても義妹で前日までは酷い何てものじゃなかったし…ね?)
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