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アンフィトリテの夢

アンフィトリテの夢




「ねえ。……生きてる?」

 ………おっくうそうな、つぶやくような声で言う下から二番目の妹、ジーグルーネ。

「うん。」

 生きてる。ジーグルーネの言葉で現実に引き戻された。

「……………。」

「ヒドイ…カッコ。」

「………うん。お互い。」

 改めて、お互いを見る。

 全身血まみれ………。矢は数えるのが嫌になるほど身体に突き立っている…。戦争に負けた事は何度もあるけど………。こんな状況には何度も陥ったもんだけど…………。

 こんなに絶望感を味わったことは無かった。


 …………。

「矢、抜くよ。」

 言って私はジーグルーネに突き立っている矢に手をかけた。

 ジーグルーネは背に二本、足と腕に一本づつ、計四本の矢を受けている。

「え?うそ、まって……。」

 待ってと言われて待つと多分日が暮れる。

 ズチャ…。

「えうっ、く……ぐう……。」

 この抜けにくい矢は六番目の妹、プラットゥンデのものか………。

 通称スプラットゥンデ。

 やじりは筋を挟み込むように食い込んで、やがらは蛇のうろこの様になっていて抜き辛い。

 全く、あのコは相変わらず…。

 矢には致死性の毒が塗り込まれていたが、どうやらジーグルーネ自身が中和していたようだ。

 一気に四本を引き抜くと、ジーグルーネはしばらく地面を転げまわった。

「暴れないで。……治療できないよ。」

 指先に精神を集中させ、傷口に…。

 いつもより傷口が塞がるのが遅い。私も相当疲れているんだな……。


 やがてジーグルーネは大きく息を吐いた。

 どうやら痛みもひいたようだ。

 でもこれで、私の精神力も底を付いた。


「じゃあ今度、フィッテの矢、抜くから……。歯を食いしばりなさい。」

 千百歳以上年上の私、アンフィトリテをフィッテと愛称で呼び捨ててくれるのは今や二人の姉とジーグルーネだけ。

 ……少し寂しい。

 でも、それももう終わる…………。

 ズプ…。

「一本……。」

 痛い……。

「二本……。」

 ……何か、気が…遠くなって、いく。

 …………。

 ……。

 …。


『フィッテ姉は凄いねぇ。ホント、世界最強だよ。』

 っ……。

「グリムゲルデっ!」

 ………。

「なーにー?気を失って夢でも見た?」

 ……。

 目の前には呆れた表情のジーグルーネ。

 そっか。夢……。


「最後、13本目。」

 ジーグルーネの四本に対して………。

 私の運はジーグルーネの三分の一以下って事か………。

 いや、ジーグルーネの運は私達、姉妹の中で群を抜いてる。私を守るために盾にならなければ恐らく……一本も当たってはいなかったはず。

 ……………。

「……ごめんね。」

 優秀な姉妹の中でも多彩な才能を持つ天才ジーグルーネ。付き合いはほかの妹達に比べるとほんのわずかだけど、私の真意を一言の中からくみ取る。

 そして今、私の弱気な発言に、大きく深呼吸しただけ。

 普段なら弱気は叱り飛ばす娘なんだけど………。

 そんな元気もない、か……。

 ……………。

「…フフ。」

 ん?思い出し笑い?

 ………ジーグルーネ、何を考えてるんだろう?

 そう言えばグリムゲルデがよく言ってたっけ……。辛いときは幸せな事を思い出しなさいって……。

 ………………。

 …………。

 うん…。私には無理だ…。


「さて、そろそろ、楽になろうか。」

 先に覚悟ができたのはやっぱりジーグルーネだった。

「……………そうだね。」

 早くしないと私の能力が精神力を回復して、私を死ねない身体にしていってしまう。そしたら、地獄だ……。


 私はジーグルーネの首に短剣を押し当てる。


 ジーグルーネは私の首に懐剣を押し当てた。


 …………。

「いくわよ。」

「1。」

 フゥ……。

「2。」

 グッ。

 剣に込められた力が伝わってくる。

「3!!」

 …………。


 ……………。

「………ルネ………。」

「な、何よ!フィッテだって私の首を刎ねなかったじゃない。」

「わ、私は首を刎ねられても…、10秒くらいは意識がもつし、身体も動くから…。アナタから………。」

 ………。

 ウソだ………。

 殺したくない……。

 虜囚の辱めが我々、“アレー”にとって最悪の屈辱であると分かっていても……。

 そして、ジーグルーネも………。


「もういい!!」

 っ……。

 自ら首を刎ねようとしていたジーグルーネの手首を私は掴んでいた。

 ……。

 死なせたくない………。

「……………。」

 どちらからともなく、力なく膝をついてしまう。そしてつぶやくように言うジーグルーネ。

「私達が死ぬことにも意味がある。無駄死にじゃないのよ。」

 それは戦いの前に何度も確認したことだけど………。

 やっぱり理屈じゃなかった。

 それにあの子達は多分私達の死の意味を解さないだろう。

 無駄死に……だ。

 涙があふれる。

「助けて……。」

 いまさら、だ。本当に。

 覚悟が足りなかった………。

「………。」

 でも………。

「グリムゲルデ。助けて。」

 愚かな、私達を……どうか……。

「何?その…手の……御守り?」

 これはグリムゲルデが他界する3日前に私にくれたもの。

 以来三十余年、肌身離さず持ち歩いているもの。

 そう説明すると面白くなさそうな反応のジーグルーネ。

 どうやら彼女はそういうのはグリムゲルデからもらってないみたいだ。

 …………。

 ……ちょっとだけ優越感。

 でも……。


「私達はどうすればいいの?グリムゲルデ……。」

 いつも、難題を解決してくれた……、末の妹。

 ……………。

「………ぃ…ぉ…………。」

 ……ん?

「……ぇ…ぃ……。」

「……え?」

 何か聞こえた………。

 聞こえてくる…。

「御守りが…。」

「光って…る?」

 ジーグルーネも私の手にある御守りをのぞき込んでくる。

「グリム……」

 生唾っ…。

「……ゲルデ……。」

 光の中から手のひらサイズの映像?ホログラム?が現れた。

 何より、その映像はグリムゲルデその人だった。



「姉さんたち、お困りかい?あはー。」

 あ………あ……。

 私達をからかうようなからっとした声。

 三十年、渇望してきた声。

 夢?なんだろうか………。

「グリムゲルデだーーーーーーーーーーー!!」

 ジーグルーネが私に飛びついてきた。


 ぽと……。


 御守りが地面に落ちた…。

 途端に映像が途絶えた………。


 ……………。


 きょぁあああああああああ……。

 声、疲れて、かすれて…。

 悲鳴もでねーーーーーーーーー!!

「……あ。」

「あ、じゃねーーー!!」

 最後に灯った希望の炎を吹き消しちゃいました、みたいな。

 何てことしてくれんの、このコは!!

「あう、あう、あう、あう、あう………。」

 御守りを右に左に………あわあわ……。

「だーふゅーーーー。」

 ダメ!奇声しか出てこない……。

「………ザ……ヴ……ザ…。」

 二人で御守りの土を丁寧に丁寧に払って祈りをささげると、ようやく映像は復活した。

「あー、あー。」

 はーーーーーーーーーーー!!

 マッタクもう、マッタクもう、マッタクもう!!

 マズイ、涙が滝みたいに流れてた。最愛の妹にみっともない姿を……。

「あれから三十年位かい?でも、相変わらずだね、姉さんたち。」

「グリム、げるでーーー!!」

「どうどう。ほら、また消えちゃうよ。あはー。」

 ああ、グリムゲルデグリムゲルデグリムゲルデ!!

 危ない危ない。今度はしっかり握っとかなきゃ……。


「そっちはどう?新しい姉妹は増えたりしたのかな?」

「増えてないわよ。そんな事より、グリムゲルデ、貴女はどうやって会話……。もしかして生き返ったの?」

 ジーグルーネの声が裏返るのは期待の現れ……。

「うーん、そうだね…。詳しく話すと長くなるから、先ず姉さんたちの状況を何とかしようか。」

「何とかできるの?」

「何とかするのさ。」

 キラリ、歯が輝く。

「おー。」

 拍手するジーグルーネ。

「おっとこまえー!」

 っつーか二人とも!!

「ちゃらかしてる、場合じゃない!私達、絶体絶命!」

 マッタクもう!マッタクもう!


「絶体絶命…。さしずめ敵はアルフィル姉様かな?」

 ………!!

 相変わらずはこっちだよ、グリムゲルデ。

 相変わらず君は一を聞いて十を知るんだね。

「そ、そうなんだけど………。」

 私達の事をまるで見てきたかのように……。

 その一言であまた居る父の敵ではなく、姉妹のアルフィルが敵であると………。

 でも多分、彼女は分かったんだろう。

 頭脳においてはアルフィルに次いでいて…。誰が言ったか、百年あればアルフィルを抜くだろうとまで予言されていた英才なのだから。


「三十年、よく我慢してきたね、姉さんたち。えらいぞ。」


「……………。」


 ああ、久しぶりだ……。

 一言。この一言が私達を支えてくれる。

 私達の苦しみをわかってくれる人がいる。

 涙が抑えられない……。

「でもだったら、あと一日位は大丈夫だよ。」

 ぐっと親指だけを立てて見せるグリムゲルデ。

 そのしぐさに何の意味があるんだろう??

「何で一日?」

 グリムゲルデがこういう事を言うと、必ずそうなるんだけど、ホント、何で?

「うーん、二人ともこの、ここは洞窟?に、籠ってまだ1時間も経ってないでしょ?」

「……何で分かるの?」

 この見透かされた感覚も久しぶり。

「ルー姉の腕の血。まだ乾ききってない。さっきようやく治療が終わったってとこでしょ?」

 なるほど…。多少なりとも落ち着いた時間が取れれば先ず治療する。そこからそんなに時間が経っていないと判断できるわけか………。

「でね、姉さん達をそこまでボロボロにするまで戦って、そして洞窟に押し込めて包囲した。状況としては袋の鼠だね。これは時間が経つほど守る方が疲弊していく。」

「うん。」

 この状況は私達じゃ打開できない。

「あの人は私とルー姉の事は嫌ってたけどフィッテ姉の事は嫌ってない、むしろ好ましく思ってたくらいだから。」

「だから自決の時間位はくれるってか………。」

 ジーグルーネ……面白くなさそう。

 まあ今まさに自決しようとしていたし………。それでも嫌いな奴の手のひらで踊らされてるようで面白くないんだろう……。それは私だって………。

「追い詰めて被害を出しても面白くないしね。フィッテ姉は私達姉妹の中で最強なんだから。」

 またそうやって私を持ち上げる…。

「私なんか………最強じゃないよ。最強はオー姉様だよ。」

 ん?何故か二人とも苦笑してる?

「そんなことよりグリムゲルデ、貴女今どうやって私達に話しかけてるの?会って話、できないの?」

 ジーグルーネの質問に二拍程考えて口を開くグリムゲルデ。

「実はね、この御守りが機能するには幾つか条件があるんだ。」


 人差し指を立てるグリムゲルデ。

「一つ、私が転生して十四歳以上、つまりそっちの世界の成人であること。」

「……転生…しているんだ……。」

「そう。だから私自身がそっちに助けに行くことは出来ないんだわ。今現在の私が死んじゃうから。」

 ………ごめんね、と、申し訳なさそうに言うグリムゲルデ。

 謝る必要なんか無い。異口同音に私達が言うと、グリムゲルデは泣き笑いな表情になる。


「二つ、その御守りにフィッテ姉が強く、魂で祈願して、私の魂にアクセスすること。」

「何で教えてくれてなかったのよ?てか何でフィッテなのよ?」

 ぶすっと言うジーグルーネ。

「だってルー姉はこらえ性が無いから。さみしいからとか、いらない時に呼び出しそうで……。」

「呼び出し方も分からないのに?」

「ルー姉の運なら普通に条件をクリアしちゃうでしょ。で、まあ、それがアルフィル姉様の耳に入りでもしたら………。」

 まあ、対処されるわね……。

「で、最後に、転生している現在の私の意識が無いこと。何せこの昔の私を今の私は知らないんだから。」

「………意識が無い?」

 例えば寝てる、とか?

「まあ運最強のジーグルーネ様が付いてれば、もう幾つか条件を付けても軽々クリアすると…………。」

 ………ん?

 ちょっと待って……。

 さっき短いセンテンスの間に重要な単語があったのをサラッと聞き逃していたような……。


「あの、ちょっと……。」

「ん?」

「現在の……私?って?」

 何か、いやな予感……。

「…ああ、言ってなかったね。転生した私は今、エドア界の日本って国に居るんだ。私の英霊、ヒデツナの故郷だよ。あはー。多分姉さん達、今の私に会ったらびっくりすると思うよ。」

 英霊ヒデツナはグリムゲルデの一番お気に入りだった彼女の部下だ。不思議な剣法や体術を使い、力やスピードがとびぬけていたわけでもないのに凄まじい強さだった。多分私の知る英霊の中では最強だろう。

 でも、びっくりするって…。

「どういうこと?」

「それは会ってからのお楽しみ、ってことで………。」

「「ふざけないで!!」」

「怖っ!」

「良いから言いなさい。今の貴女の現状を!」

 少しがっかりしたような表情になるグリムゲルデ。


「えっと、先ず、私は男に生まれ変わったんだわ。」

 っ………!!

 ちょっと、……かなり衝撃だった…。

「そしてこの世界…、国の人間の平均寿命がだいたい八十年なんだ。」

 ………。

「八十年って………。」

 それじゃ何にもできない……。

「だから三十歳も過ぎるとかなりなオッサンに……。」

「言わないで!!」

 あの可愛かったグリムゲルデが……オッサン?

「うそでしょ?またそうやって私をからかって……。」

「いやいや……。ウソも何も……。」

「じゃあ身体を創造して魂を入れ替えて元のグリムゲルデに戻そう。うん、そうしよう。」

「おぉう…。フィッテ姉にあるまじき早口…。てか、待って待って!私、今こうして普通に姉さん達と話してるけど、オッサンな私は姉さん達の事はおろか、そちらの世界がある事すら知らないから。今の私を抹殺しないで……。」

「オッサンな私………。」

 orz………。

「泣かないで、フィッテ。ちょっとひどいわよグリムゲルデ!」

「いや、ヒドイも何も本当の……。ってか姉さん達の方がひどくね?!」

「今からそっち行くから!昔のグリムゲルデに戻すから!!」

「ちょ、まっ……。いや、こっちに来させようと思ってはいたんだけど……。なんかそーしたら私、やばくね?」

「行けるの?!」

 私より冷静だったジーグルーネが御守りにかじりつく。

 危ないなぁ、もう。また御守り取り落すとこだったわよ。

「や、来させるつもりだったんだけど………。」

「行くから!」

「ちょっとフィッテは黙ってなさい!」

 カーッと威嚇された。

 (´・ω・`)。

「できるのね?!」

「こっちに来るって解決法では二つやり方があるよ。」

 ……………。

「……そんなあっさり……。」

 しかも二つも……。

 反乱を決意した私達がうんうんうなってた二十年っていったい………。


「一つ目は転生。メリットはちゃんとした人間として生まれ変われること。口を滑らせてこっちの話をしたって不思議ちゃんやら電波女って思われるだけ。」

「不思議ちゃん?電波女?」

 何ソレ?

「デメリットは姉さん達の力と転生前の記憶を一時、失ってしまう事。零歳から始めなければいけないこと。」

「記憶は取り戻せるの?」

「結論から言えば戻せるよ。私が自身を使って実験したからね。」

 そうか、グリムゲルデが転生した方法で……。

「で、もう一つの方法って?」

 いや、ちょっとジーグルーネ、今の方法で良いじゃない?考えるまでも無いって……。

「もう一つは私の英霊になる事。あはー。」

 …………。

 ん?ちょっと待て……。


「えーと……。それって私達がグリムゲルデに召喚されて戦うってこと?」


 だから待ってって!さっさと理解して会話進めんな!私の頭の回転の遅さなめんな!んーと……。


「ああ、戦いは無いわ。この世界……、…国ではもう七十年位戦争は起こってないし。それにこの世界の戦争は姉さん達の考える戦争とはかなり違ってる。」


 んー……。

 てか、二人で普通に会話進めてんなーー…いつも置いて行かれる私………。


「戦いが無いなら私達が英霊になる意味は何なの?」

 今までの私達は色々な世界の英霊を使役して身体を生成し、敵と戦わせてきた。


「単に私の世界に呼び寄せる手段でしかない。」

「それのメリットって何なの?」

「失敗しない事。現在の記憶も能力も絶対失わない事。私の戦闘力を上乗せできる事。まあ英霊については姉さん達の方が詳しいでしょ。」


 んー、私達がグリムゲルデの英霊になるってことは………。


「じゃあデメリットは?」

「まず用意する身体が普通の人間のそれと少し異なること。それと能力が人間とは段違いになる。素手で戦ったら寝てても殺されないくらい強くなる。だから私はこの方法は勧めない。」

「それのどこがデメリットなの?勧めないって……?」


 んー、グリムゲルデは英霊達を大切に……てか、かなり可愛がっていたなー……。


「……………この世界にはね、科学力って恐ろしい力がある。いろんな英霊が使っていたどんな能力より怖い。そんな世界で私達の存在とか、世界を知ったら、アルフィル姉様を敵に回すより恐ろしい事態になる。」

「科学力…。それを使われると私達を殺せるという事ね?」

「多分そっちの世界ごと灰になる。」


 なんか怖い会話でもしてんのかな?ジーグルーネ、息飲んでんだけど……。

 うん、グリムゲルデの英霊たち、正直うらやましいなー、と思っていた事はかなりあるんだよね………。


「不死身のフィッテ姉でも物量で削り殺されると思う。まあ多大な犠牲は出すと思うけど……。」

「物量……。」

「そっちの世界のざっと一万倍って考えてくれて良い。兵器となると更に倍率ドン。」

「うー……。敵にはまわせないという事か。と言うかさっきからそっちの世界のしぐさとか言いまわしとか止めっ!イラっとする。…で、他に?」


 もし、私がグリムゲルデの英霊として活躍したらっ!!


「そうだね。あと、この方法、5番目の姉様、エイルトロイデに気付かれる、勘付かれる可能性がある。」

「あー、諜報のスペシャリストだし。」

「彼女からアルフィル姉様の耳に入れば………。とにかくこれはリスクが………。」



「グリムゲルデにかわいがってもらえる!!!」



「………。」

 気付いたらジーグルーネが凍えるような視線で私を見ていた。

 グリムゲルデは苦笑している。

「あのね、空気を読みなさいよフィッテ。私達かなり追い詰められてるんだよ。」

「だって、グリムゲルデの、英霊に、なれるってことは、頭なでなでとか…ほ、抱擁…とか、きゃーーー!!」

「おっさんに抱擁されて嬉しいんか?」

 orz…………。

「はい、バカはほっといて…、でも私もフィッテと同じで転生よりは英霊になる方が確実だし、面白いと思うんだ。」

「あはー。面白いってとこがルー姉らしいね。」

「うん。私の勘も告げてる。」

「勘…ね。ルー姉が言うならそれがベストなんでしょう。」


 じゃあ、と、グリムゲルデから物資が送られてくる。

「今の私はこれが精一杯。」


 最後に送られてきたモノは一抱え程度の粉だった………。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 姉妹同士の何やらあたあたした会話の掛け合いが、超常じみてて良いですね。 [気になる点] ここから読み込みやすくなるかな? [一言] 矢を沢山抜くのすごい痛そうっすね、なまじすごい強いと苦し…
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