表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界戦記は何気にハード  作者: ポン害山城
雄黄編
6/174

眞の都はいと凄し 上

 朝がきた。南の空から日が差し込み、雄黄の山々を照らす。そしてその光は、障子の隙間から玲祈に降り注いだ。


「んん……、あっ!見送り!」


 玲祈は、眞へと向かう影奏を見送るために、日の出前から起きようとしていた。だが、玲祈が目覚めたときには既に日が出てしまっているではないか。

 急いで飛び起きた玲祈だったが、その視線の先では影奏が旅支度を進めている。玲祈が起きたことを知ると、影奏は玲祈に笑みを向けた。


「まだ出立には早いですから、もう少し寝てても大丈夫ですよ。」


 まだ影奏が近くにいると確認できたからなのか、玲祈は安堵の表情を浮かべた。


「今更寝てられないよ。 すぐに朝御飯持ってこさせるね。」


 それだけ言い残すと、玲祈は犬のように厨房の方へかけていった。


 数分後、二人は共に朝食を摂った。貝の味噌汁に玄米ご飯と焼き魚、平凡な品だけだが、当分の間故郷を離れる影奏には嬉しいようで、


「はぁ、染み渡る。」


 目を閉じ、味噌汁を味わう影奏の姿は、なんとも年寄り染みている。


「なにお婆ちゃんみたいなこと言ってるの(笑)」


「そうですか?」


「うん。」


「うふふ。でしたら、姫様に養っていただかねばなりませんね。」


「安心して。いくらでもお世話して上げるから。」


 微笑ましい会話に包まれた食卓。そんな楽しい時間は鉄砲玉の様に過ぎ去り、遂に影奏が出立する時間となってしまった。


 門を境に、玲祈と影奏は向き合う。互いに笑みを向け合うが、玲祈の笑顔はどことなくぎこちない。


「体には気を付けてね。」


「はい。姫様こそ、無理をし過ぎないように。」


「うん。 行ってらっしゃい。」


「はい。では、行って参ります。」


 お供を数人引き連れ、影奏は街道を西へと向かった。






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 雄黄国の西、江喜国。その主府、圏府(けんふ)。多くの人々が行き交う中、影奏とそのお供の一行がやってきた。

 目的は、西大陸最大の勢力、眞との国交を開く為である。


雄宰(ゆうさい)殿、此方です。」


 役所の前にて、江喜家の家老が手をあげ影奏を誘導する。

 ちなみに、“雄宰”とは影奏のことである。連合国の家老達は、それぞれの主家の姓の一字の後に“宰”をつけて呼ぶのが通例である。なので、


 江喜の家老→江宰(ごうさい)


 苑儒の家老→苑宰(えんさい)


 金統の家老→金宰(きんさい)


 と呼ぶ。


 さて、影奏が到着したことで、四家老が揃った。四人は最終確認を済ませると、眞の主府“帝都”へと向かった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ