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異世界戦記は何気にハード  作者: ポン害山城
准救編
51/174

ここまで来たらやっちまえ

「……」


 璃都の外れに集められた百人の兵を見て、玲祈は絶句していた。集められた兵は皆痩せこけており、明らかに生気がない。


「姫様、姫様?」


「あ、ごめん。」


「お気持ちはお察ししますが、ここはしゃきっとしてください。」


 影晶に背中を押され、玲祈は兵の前に躍り出た。


「皆の者、これより、民を苦しめる賊を征伐する!」


「「「お~」」」


 やはり返事にも力がない。初端から絶望的な状況の中、玲祈の二度目の戦が幕を開けた。



 出発から一時間。目的の賊の拠点に程近い平地に到着した玲祈は、そこに陣を張った。とは言え、兵の士気は最悪。道中の役所で兵糧を支給してもらえなかったため、兵糧は相変わらず一日分しかない。


「……」


 着陣からかなりの時間が経っている。その間、玲祈は一言も発さずにいた。初陣が初陣というだけもあり、戦に対する抵抗があるのかもしれない。


「お茶でも飲んで、心を落ち着けて下さい。(あら?)」


 玲祈の不安を除こうと、影晶はそっとお茶を差し出す。お茶を出す瞬間、うつむき加減の玲祈の顔を覗きこんだ。その時の玲祈の顔に、不安はない。これを見た影晶は、考えを改める。


「姫様。」


「ん?」


「よい策は思い付きましたか?」


「うん、一つだけだけど……」


「でしたら、その策で行ってみましょう。」


 迷うことなくそう言い放った影晶に、玲祈は驚きを見せた。


「何も言ってないのに分かるの?」


「はい。姫様は聡明なお方。最善の道を見つけておられるはずです。」


 ここで、玲祈はつい不安を口にしてしまう。


「本当に大丈夫かな?」


 今の玲祈の心中には、前へ進もうとする玲祈と、昔の敗戦を引きずる玲祈がいる。状況の悪さもあり、どうしても一歩踏み出せずにいるのだろう。だが、そんな不安は、影晶が振り払ってしまう。


「大丈夫です。この私が保証いたします。」


「分かったっ! すぐに始めるよ!」


「御意!」


 そこからの玲祈の行動は早かった。近場の漁師から魚や※ほう肉を譲り受けると、すぐさまそれを調理し始めた。


※ほう肉……ぬっぺぽうという妖怪の肉。この世界では安価に手にはいる。

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