表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界戦記は何気にハード  作者: ポン害山城
雄黄編
22/174

馬鹿を廃していざ出陣

 国境での大勝利は、すぐに本城の玲祈の元へと届けられた。不安で胸膨らませていた玲祈は、報せを受けるなり飛び上がって喜んでいる。


「やったーっ!」


「姫様、もう少し落ち着かれませ。」


 いさめる文官達も、態度では押さえているが、確かな喜びを感じている様子だ。


 そんな時、帝都では、別の思惑が蠢いていた。




 帝都の一角に、質素ながら存在感のある建物がある。人々は、そこを丞相府と呼ぶ。その丞相府にて、暁権と冥興(みょうきょう)が密談をしていた。


「なぁ、なんであんな馬鹿を大都督にしたんだ?」


 不服そうに問いかける冥興。実は、今回の出征の直前、帝に大都督にして欲しいと嘆願したものの、それをはね除けられたのが相当悔しいらしい。


「あの男にしかできないからですよ。」


「へぇ。 大敗して討ち取られる奴が適任だってのか?」


 皮肉る冥興だったが、暁権は首を横に振る。


「いいえ、適任とは言っていません。端的に言うと、厄介払いです。」


「どう言うことだ?」


「あの男は、先帝に媚びへつらい、今の地位を手にしました。現帝は聡明ゆえ、あの男を重用しませんでしたが、それでも無視できない存在です。」


「だから、失敗させて処罰しようと?」


「はい。 お陰で、邪魔な派閥を一掃できました。」


 不服を申し立てていた冥興だったが、真相を聞くと、満面の笑みを見せる。


「そう言うことだったか。けど、もう一つ気になることがある。」


「なんですか?」


「なんで帝は、あんな山ばっかで、ちっぽけな半島が欲しいんだ? むこうは従うって言ってたんだから、受け入れりゃ良かっただろ?」


 この問いを、暁権ははぐらかした。


「さて、どうしてでしょうね。」


「知らねぇ訳ないだろ。 帝の懐刀のお前がよ。」


「さて、どうしてでしょうね。」


 二度連続で同じ回答をされ、冥興は眉間にしわを寄せる。


「てめぇ、ふざけんのも大概にしろよ?」


 咥えていた煙草を摘まむなり、冥興はそれを暁権に押し付けようと手を突き出す。一方の暁権は、押し当てられまいとその手を止めた。


「止めてください。 」


「じゃあ答えろ。」


 押し付けようとする冥興、それはさせまいとする暁権。とは言え、力では冥興に勝てるはずもない暁権は、遂に観念する。


「それは、いずれ帝が自ら語られるはずです。」


「てめぇが答えろ。」


「帝から口止めされているのです、お察し下さい。。」


 帝の名を出されては、冥興もそれ以上追及することはできない。舌打ちして、黙りこんでしまった。


「ちっ」


「そんなに不機嫌にならないで下さい。 これから、あなたには存分に戦っていただきますから。雄黄国でね。」


 雄黄国で戦える、そう聞いた途端、冥興は暁権の方へ勢いよく振り返った。


「……あの女、影奏だったか。 あれと戦わせろ。」


「はい、どうぞご自由に。 では、参りましょうか。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ