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早すぎませんか? この戦
深傷を負った江喜の伝令よりもたらされた報せ。それは誰もが耳を疑う報せであった。
「はぁはぁ……、い、一大事に御座います。圏府が、圏府が陥落しました……」
「え……」
あまりのことに、玲祈だけでなく、周りの者達も言葉を失った。
伝令は、なおも血が吹き出し続ける傷口を押さえ、報告を続ける。
「わ、我が軍は壊滅。 主君は、東の湎叉城に籠り、抵抗を試みておりま…………」
伝令は、そこで事切れた。
「ど、どうしよう。」
震える声で、玲祈は影奏の方をむいた。
「ここは一旦、斥候を送りましょう。 加えて、国許に防備を固めるように伝えるのです。恐らく、すぐに金統様が参られます。進むか退くかは、その時に決めましょう。」
「うん。」
影奏は手際よく指示を出した。その隣で、玲祈はうつむき、拳を強く握っている。
(悔しい。 全部、影奏に任せっきりなんて。)




