俺は笹山さんが好きなのに、学年1の美少女が手を離してくれない!
俺は合崎まなと。
普通の男子高校生…なはずだ。
二年生に進級して、クラスも変わり春が巡ってきた。
そして俺はある1人のクラスメイトを好きになった。
その子は笹山さん。
いつも優しく、おっとりしていてとても可愛らしい。
しかし美少女というわけではない。あくまで俺の中では天使級に可愛いのだ。
俺はそんな笹山さんと距離を近づけたくて、何度も話しかけた。
相変わらず誰にでも優しい笹山さんは笑顔で俺と話してくれた。
あー、好きだ…。めっちゃ好き…。
でも俺は気付いていなかった。
教室の隅から感じるあの視線に。
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笹山さんと少し仲良くなり始め、しばらく経った。
今日はなんと!放課後に一緒に帰る約束までしてしまったのだ!!すごい!!確実に距離が縮まっているぞ!!
これは付き合う日もそう遠くは……いやいや油断するな、俺みたいなモブ男がそんな簡単に付き合えるわけない…!もっと慎重に…。
俺は今教室で笹山さんを待っていた。
笹山さんはバレー部に所属しているのだが、その顧問から呼び出しを受けたらしい。おそらく新入部員のことについてだろうと笹山さんが言っていた。
彼女はバレー部のキャプテンだった。そんな子と仲良くなれたのは奇跡に近い…!このチャンスを逃してはならん…!!
自分の席で1人ワクワクしていると、教室のドアの開く音が聞こえた。
あれ、意外と早かったな…?
「笹山さん、おかえ……り…!?」
「合崎まなとくん、一緒に帰りませんか…?」
ドアの方にいたのは笹山さんでは無かった。
艶やかな黒髪を靡かせ俺の席まで来た彼女は、学年1の美少女と言われている宮本飛鳥さんだった…。
え…!?何が起こってるんだ!?
俺は宮本さんと話したことは無い。彼女は高嶺の花だった。一年生の時も同じクラスだったがその時も一切話したことは無かった。
俺が状況を掴めずにいると、宮本さんはクスッと小さく微笑んだ。
「私…前から合崎くんのこと見てて、ずっと一緒に帰ってみたかったんです…」
…いやいや、急すぎっていうか、全く意味わからん…!?!?
「……最近ほかの女の子と仲良いですよね…羨ましいです。私も合崎くんと仲良くなりたいのに…」
さ、笹山さんのことか…?本当に訳がわからず呆然としている俺に宮本さんは妖艶な笑みを見せた。
「私、ずっと前から好きでした。合崎くんのことずっと見てました…。あんな子より私を選んでくださいますよね…?」
彼女は俺の手を掴んで、胸に当てた…。え?…………胸!?!?!?
「合崎くん、ここで私たちのラブラブっぷりを見せつけてやりましょう…?」
…は!?俺は笹山さんが好きであって、別に宮本さんには何の感情も抱いていない。いや、凄く可愛いとは思う。でもそれが好きかと言われたら違う。駄目だ。こんなの良く無い。
「宮本さん、俺、君の気持ちは受け取れない…!その気持ちは凄く嬉しい。でも俺には心に決めた人がいる…!だからごめん…!」
未だに宮本さんが俺のことを好きだとは信じられない。けれど彼女の思いは顔を見るだけでひしひしと伝わってきた。俺も男だ。きっちりけじめをつけて…
「………嫌です…」
え?
「私だけの合崎くんなんです…誰にも…誰にも渡さない!!」
「…は、ちょ!?」
彼女は掴んでいた僕の手を引っ張り押し倒した。
急なことで脳が追いつかずにいると、宮本さんが俺の首元を舐め出した。
「ちょ、なにやって…!ん!」
俺が反応してしまう様子を見て、さっきよりも妖艶に微笑み、そして身体をいやらしく触ってくる。
「敏感な合崎くん可愛いです。ビクンビクンしていやらしいね…?」
彼女は俺のベルトに手を掛けた。それを見て俺は青ざめる。流石にそれはやばいだろ…!!
「宮本さん、いい加減に…!」
ガラ!!
ドアが開いた音がした。
さらに俺は顔を真っ青にさせる。
「合崎…くんと、宮本さん…?」
「さ、笹山さんこれは違っ!」
「笹山さん、合崎くんは私と付き合ってるの。だからあんまりベタベタしないでよ」
誤解を解こうとする俺に被せて宮本さんが嘘をついた。…俺は付き合うって言った覚えは無い、宮本さんは辛辣に笹山さんに言う。
「はやく出てって、今から合崎くんとイチャイチャするの」
「…そ、そうなんだ!ごめんね!もう邪魔したりしないから…!…ごめんなさい!」
笹山さんは急いで教室を出た。
待って!と俺が言おうとすると、宮本さんは俺の口を塞いだ。
「…合崎くん、いっぱいイチャイチャしようね…?」
宮本さんの瞳はとても濁っていた…