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そして僕らは平穏を望む。  作者: 犀島慧一
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「どなたか彼女を知りませんか


白い肌に、青い瞳。銀色の髪は腰までの長さがあって、背丈は140センチで細身。

白いワンピースに履き潰した運動靴。あと片手には500ミリリットルのカフェオレパック、首からは双眼鏡をかけています。最近は蝉の観察にはまっているのでそこら辺の木によじ登る可能性もあります。


とにかく、そんな少女をどなたか知りませんか」


何度も繰り返した彼女の説明に、何度も否と返される。それでも僕はめげずに探し続けていた。

日が暮れて真昼より少し温度が下がったとしても外はまだ蒸し暑い。彼女のカフェオレはそろそろ飲み干された頃だろうか。自転車をゆっくりこぎながら、考える。

彼女にお金は持たせていないから交通機関の線はない。逆におなかを減らしても食べ物を買うことができない。助けを求めようとも彼女はまだ言葉に難がある。

いくらかの状況を整理し、僕は大きくため息を吐いた。

何で彼女を外に出したのか……などではない。

正直、彼女は今までも出かけては何事もなかった顔で帰ってきていたし、身を案じる必要は1パーセントもない、と思っている。

――ただ困ったことに、最近は「おまけ」がつくようになってしまったのだ。

それを知って何故外出を許したのか、そればかりが悔やまれる。


前かごに置いた携帯電話が鳴り、僕は自転車を止めた。送信元は僕と共に彼女を探す友人から。


『少女を発見した、至急南公園に来られたし』

呼びつけるということは、何事か起きているのだろうな。僕は苦笑いを浮かべながら公園へ自転車をこぎ出した。

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