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短編:詩&エッセイ

私にはあなたしか・・・

作者: 尖角

好きだった。

あなたの事も、あなたの行動も。


大好きだった。

あなたという存在の全てが。


全てを失った私。

無駄になった愛しき経験。


苦しくって、

もう思い出したくもない過去。


あなたの温もりは私を苦しめるだけ。

私の隣にはあなたはもういないんだ。


受け止めたくはない。

あなたがいなくなってしまった今を。


温もりだって、苦しくたって、

無いよりはマシなのかもしれない。


あなたが褒めてくれた長い髪も、

今はもう短くなっているんだよ。


あなたがくれた香水だって、

私はどこに売っているかわかんないから、

今はもう香りを思い出せなくなってしまって。


離さないって言ってくれたのに。

何も私には話してくれなくって。


困ったことがあったのなら、

私に躊躇わずに言って欲しかった。


愛は偽りだったの?

恋をしていたのは、私だけだったの?


私は全てあなたに話していたのに。

突き放さなくたっていいじゃない。


苦しくって、寂しくって、

あなたの言葉を忘れられない私は、

あなたの感覚を思い出そうと過去を振り返る。


矛盾しているのはわかっているの。


あなたを思い出したくはない。

だけど、あなたがいなければ、私は・・・。


矛盾しているのはわかっているの。


でも、離さないと誓い合った二人の覚悟は、

一体どこに消えてしまったというの?


矛盾しているのはわかっているの。


でも、あなたがいなかった頃には、

もう二度と戻ることはできないのよ。


あなたの優しさを私は知ってしまったから。

あなたの存在を私は感じてしまったから。


終わりのない恋がないってことは知っていた。

恋は必ず終わるというもの。 そんなのはわかっていた。


苦しくたって、支え合って生きていければ。

あなたの声を思い出せば、前に踏み出せるって。


信じてたけれど、私の心はもうボロボロで。

信じることはもう無理だよ。 私には。


何もかもを失った私に、

何もかもを信じろだなんて・・・。


絶対に無理なんだよ。

私にはあなたしかいない。

私にはあなたしかいないんだから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 香水のくだりで。 香りはその人を思い出させてくれるから、そう言われて香水を貰った事を思い出しました。 矛盾しているのは分かっているの、の、繰り返しが、彼女の葛藤を凄く伝えてきます。 温もり…
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