友人の家
おい、本当にここか? ここでいいんだな?この人が助けてくれるんだな?
あの、すみません。ここで忘れたいことを忘れさせてもらえるってこいつから聞いたんですけど、本当でしょうか?
あと、お金はとらないって聞いたんですけど、本当ですか? 一応、もしかしたら必要かもしれないと思って、いくらかは持ってきたんですけど。足りないようであればまた、後日持ってきます。
わかりました。ありがとうございます。これを読めばいいんですね?
おい、なんだよ。え、そんなのオレが知るかよ。あ、ちょっと待て、やめろって、あっ。
すみませんすみません、もう一枚貰ってもいいですか? 汚しちゃって、本当にすみません。ありがとうございます。すみません、本当に。
えーっと。それじゃあ、読みます。
『私はこれから話す話について、一切の権利を放棄します』
ペンネームは『佐藤』でお願いします。
大丈夫です。本名じゃないんで。
―――
『友人の家』PN.佐藤
友人の家。つまりはこの、隣にいる奴の家に昨日、遊びに行ったんですけどオレ、そこで開けないでくれって言われた部屋を開けちゃったんです。
そうしたら変なもの、こいつが言うには座敷童子ってやつらしいんですけど、そいつに付き纏われるようになっちゃって。
忘れたら大丈夫らしいんだけど、そんな事言われたって忘れようにも忘れられなくて。
だから、こいつの紹介でここに来ました。よろしくお願いします。
……はい、オレが忘れたいのはそれだけです。何か、おかしいですか?
部屋を開けて、見てしまったものだけ忘れられたら、それで。
おい、何笑ってんだよ。確かに勝手に開けたオレが悪かったけどさぁ、うん、ごめんって。今度、部活の帰りに何か奢る。あんまり高いのはやめろよな。
あっ、すみません。こいつ、ちょっと空気読めないところあって、でもすごい良い奴なんです。不快に思ったらすみません。
……えーっと、幼馴染ってやつです。家が近所で。といっても、オレの家は狭いアパートで、こいつの家は蔵とかがある地元でも有名なお屋敷で。でも、昔からよく一緒に遊んでて。
はい、ちょっとこういうこと本人の前で言うのは恥ずかしいんですけど、親友ってやつかなって。
……おい、笑うなって。うわっ!急に背中叩くなよ。あー、もうー……。そんなんだから友達少ないんだぞ……お前は…………よくそんな恥ずかしいこと言えるな。そんな、さっきのオレの言葉より恥ずかしいやつよく言えるな、普通に。
え?あ、はい。ありがとうございます。もういいんですか?……まぁ、いつもこんな感じなんで。ずっと、昔から。
多分、これからも仲良くやってくと思います。
うわっ!びっくりした!猫かぁ……、人見知りなんですか?お前、すっごい威嚇されてんじゃん。うける。何もしてないのにそんなに威嚇されることあるか?
……寝たら忘れるんですね?わかりました。今夜はちょっとまだ、怖いんで、眠くなるまでこいつに付き合ってもらおうかと思います。えっ?それがおすすめ?はぁ……わかりました。じゃあ、そうします。
それじゃあ、今日は本当にありがとうございました。




