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2 同級生

 車が家のすぐそばに止まり、足跡と話し声が聴こえる。

(((ピンポーンー)))

 インターホンが鳴った。

 まずい、どうしよ。出るか、出ないか。

 でも、姿がっつり見られてるし、目合ってるし、出るしかないか……。


 インターホンの画面を確認する。間違いない。

 画面越しでは応答せず、勇気を出してそのまま玄関の扉を開けた。

「はい」

「お、悠貴(ゆうき)!」

「悠貴久しぶりじゃん!元気にしてた?」

「まぁ、うん。久しぶり」

 運転席に乗っていた蒼真(そうま)と助手席に乗っていた綾香(あやか)の二人が来た。

 小・中学校が同じ同級生で、あの頃はよく話していた。学校以外で遊んだこともある。

 蒼真の髪型はブラックのショートマッシュに、ネイビーのスーツを着用している。綾香の髪型はアッシュブラウンのロング姿、黄色の振袖を身に纏っている。二人とも立派な大人になっている。

「あれ、身長少し伸びた?大人になったな」

「ねー。さ、成人式行こ!早く準備して」

「え、いやぁ成人式は行く予定なくて」

「もう良いから良いから、早く行こうぜ」

「みんな待ってるよ。じゃ15分で準備してね。よーいスタート」

「えぇ」

 現在の時刻は午前8時30分。成人式の受付時間にはまだ間に合う。

 綾香が「準備しないなら家に入る」と言い、蒼真は「ごめん。俺はいつでも悠貴の味方だけどここは止められない」と言うので、急いで準備をする。ただ外は寒いので、家に入って玄関で待ってもらう。

 二人とも優しさは変わってない。成人式には行かない方が良いのか悩んでいた矢先に、わざわざ家に来て誘ってくれて嬉しい。自分は恵まれている。ありがたい。


 グレーのスーツを着用し、二人の元へ向かう。

「準備できたよ」

「お、もう終わったか。似合ってるなー」

「よっし、じゃ行こう!」

 スマホや案内状など必要最低限のものを忘れずに、乗車する。

 ちなみに蒼真のケツは濡れていたが、今朝自宅を出て乗車する前に雪で滑ったらしい。「これは大人へ駆け抜ける勲章」だと話す。玄関出る前にドライヤーの風を当てて、ある程度は乾いている。


 自分たちがいる地域は小学校の体育館が成人式の会場となっている。

 通学路や周辺で思入れのある場所に少し寄り道しながら、車を走らせる。

 この地域は市内の中心部から離れており、閑静な住宅街が広がっている。




 運転席には先ほど見た時と同じように蒼真が座り、助手席には綾香、後部座席に自分が座る。

 最近の状況を話し合った。蒼真は大学進学と同時に一人暮らしを、綾香は地元の大学に通っている。


 綾香に声をかけられる。

「悠貴とね、連絡取らなくなって心配してたんよ。何か送っても返してくれんし、かと言ってその当時の状況で強引に家にいくのはかえってよくないと思って何も動けなくてね」

「ごめん……」

「綾香、今はその話やめようや。成人式のある日に」

「全然そんな、むしろ自分もこういう日だからこそちゃんと話さないといけないと思うし」

「別に理由は話さなくていいよ。正直、その頃はイライラしてた部分もあったよ。蒼真にも相談してね、人それぞれ生き方があるからそこまで気を遣わなくていいかって」

「あの時は俺も相当抱え込んだなぁ。そして、綾香がそこまで人のことを想う人だなんて驚いたもん」

「うるせーなおい。人の心はちゃんと持ってるわ!ま、これからはそういうのなしにしようって話!悠貴は一人で考えすぎなんよ。他の人にもそれぞれ辛い経験があって、一人で抱え込むことじゃない。もし何か悩み事があれば気軽に相談して。すぐ返せなくても、1日、2日と時間がかかってもいいから話そ」

「うん、そうする。ありがとう」

「って言っても今のこいつ自分から声かけなさそーだな。もう毎日飽きるまでなんか送ろ」

「いやいやちゃんと自分から声かけるよ。笑」

「俺もそうしよっかなー。ここは俺も参戦するぞ」

「そして悠貴もっと元気出していこ!今日は大事な大事な成人式よ。よし、みんな元気出すために暖房切って、窓全開にするか!」

「おいおい綾香やめろってー」

(((ウィ――ン)))

 外の気温は5度。清々しい朝の風が車内に吹き込む。

『やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――』


 窓を開けるも、開けた本人が「寒すぎやろ」と言って、10秒ほどですぐに閉めた。そのままにしていても運転席の蒼真がすぐ閉めたと思う。このくらいならちょうどいい換気程度になった。


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