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1 成人式当日の朝

 成人式当日の朝を迎えた。

 起床したのは午前6時ごろ。夜はぐっすりと眠れなかった。


 成人式の会場は小学校の体育館で、受付時間は午前9時50分、式典は10時開始。

 今から準備して十分間に合うが、朝になっても行くかぎりぎりまで迷っている。ひとまず顔を洗って、ごはんを軽く取って、いつも通りの朝の支度をする。

 外に出てみると結構寒い。気温は2度。昨晩から朝にかけて雪が降っていたから、まだ道路にも雪が残っている。今日の天気は晴れ予報。山々の間から顔を出す朝日が、周囲の住宅街に光を照らしだす。

 美しい景色を眺めながら、過去を振り返る――。


 小・中学生のころは、普段通りの学校生活を送っていた。

 高校に入学して普段通りに通学していたが、ある時期から学校に行けなくなっていった。理由はわからない。朝起きるのでさえきつくなった。そして、通信制の高校に転入学。そのころには今まで連絡を取っていた友人や同級生でさえ徐々に自ら距離を取っていた。連絡が全くなかったわけではない。既読だけで何も返すことはしなかった。同級生や他の人と繋がっていた複数のSNSのアカウントをほどんど一度消した。自ら一方的に関係を閉ざした。

 高校卒業後は、通信で学べる大学へと進学した。

 地元の同級生や友人と話したのは、高校1年のころが最後。連絡はそれっきり。


 今の状況のなかで地元の同級生と会うなんて気まずい。自ら一方的に関係を閉ざして、成人式にはのこのことやってくるなんて都合が良すぎだと思われて仕方のないこと。この状況を自分で勝手につくった。自分の知らないところで、みんなを傷つけてしまったかもしれない。ごめんなさい。

 一生に一度の成人式。もし行かなかったらこの先、一生後悔するだろう。そんなことは分かっている。行かないで損するより、行って損した方が良いかもしれない。ただ、周りにとっても一生に一度の成人式。その大事な式典に自分がやってきて気まずい空気をつくりたくない。

 今ごろ、同級生のみんなはそれぞれの道に進みながら頑張っているのだろう。専門学校や大学に進学する人、就職する人、自分のチャレンジしたいことに進んでいる人それぞれで、いろんな人と関係を取りながら生活を送っているのだろう。みんな、どんな大人の姿になったのかな。

 成人式には、行かない選択が良いかもしれないな……。


 ――そんなことを考えていると、道の奥から一台の車が近づいてくる。

 運転席と助手席には見たことのある姿がある。視線が合った。

 あ、まずい。

 隠れよう。

 もう手遅れだけど、隠れよう。


 ダッシュで家の中に入った。



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