第6話 強くなる為に
俺はクレアとアルトさんに謝罪してから、二度と会う事は無くなった。
クレアとアルトさんは、特に飛び出した事を気にしてはいなくて、寧ろ、俺の両足の骨折について心配してくれた。
寛容的な態度に自分が情けなくなって、その場から逃げ出した。
後から知ったことだけど、アルトさんが戦っていたのはドラゴンという災害級の魔物だったらしい。
そして、何の情報も上がらなかったドラゴンを率いて来たと思われる黒ローブの強者、彼が残した所詮影という言葉からシャドーリーパーと名付けられた。
この話は瞬く間に国中に広がった。
と言っても、国の上層部間だけではある。
一応国民には、山火事ということにしてはあるらしい。
ドラゴンがどこにでも召喚出来る?という情報が国民に知れ渡ればパニックとなる、少なくとも上層部はパニックだ。
と、俺が長い廊下で車椅子を自分で漕ぎながら、そんな考え事をしていると、背後からクレアの声が聞こえて、車椅子を止めた。
クレア「お兄ちゃん!」
コウ「……」
クレア「ちょっと!なんで無視するの!」
コウ「……俺が飛び出したせいで2人に後遺症を残してしまった。もう顔向けなんて出来ないよ」
クレア「そんなのクレアもアルトさんも気にしてないよ!」
コウ「……俺は償いたい、そうしないと、気が持たないから……」
クレア「お兄ちゃ……」
俺は背を向けたまま、立ち尽くすクレアを置いて、その場を後にした。
俺はスキルのことを勉強する為に書斎へと向かった。
書斎には様々な分野の書物が保管されていて、一種の資料庫となっている。
広い書斎を見回りながら、スキルに関連した本を探していると、クリーム色の髪をした少女が上の方にある本を取ろうと必死に手を伸ばしていた。
見兼ねたので、近くから踏み台を持ってきて、隣に置いてあげた。
?「……なんですか」
コウ「上の本を取りたいんだよね?この踏み台良かったら使ってよ」
?「……私はそんなものが無くても届きます」
コウ「そんな見栄はらなくても、身長が低いのは仕方がないんだから使いなって」
?「……わかりました、お気遣いありがとうございます」
そう言いながら、不満そうに上の方にあった本を取った。
ふと、本のタイトルを見ると、“スキルの入門書”と書いてあるのが見えた。
この場から立ち去ろうとする少女に俺は声をかけて止めた。
コウ「ねぇ!もしかして、スキルの事を勉強しているの?」
?「……それ、あなたに関係がありますか?」
コウ「俺もスキルの事勉強しようと思っててさ、良かったら一緒に勉強しない?」
?「もしかして口説いてます?子供のクセに立派なものですね」
コウ「口説くって何?」
?「……」
コウ「?」
?「……良いですよ、こっちに来てください」
こうして、クリーム色の髪の少女とスキルの勉強をすることになった。