第3話 ドラゴンとの遭遇
グォォォォォォォォォォォッ!!!!
禍々しい遠吠えが森に鳴り響く、鳥たちが慌てて飛び立ち、森に住む魔物たちが逃げ惑う。
俺は逃げてくる魔物にぶつかり蹌踉めきながらながらも、なんとか避けつつ先へと進み、煙の出処へと辿り着いた。
アルトさんの見立て通り、森は炎上していた。
ゴオゴオと音を立て、皮膚が溶けてしまいそうなほどの熱気が押し寄せ、今にも気を失いそうになる。
腕で顔を守りながら、炎上の原因を探ろうと目を凝らしてみると、大きな影が炎の中に立っているのが見えた。
その時、後ろから肩を叩かれて振り返ると、クレアをおんぶしたアルトさんが立っていた。クレアを降ろすと、アルトさんが俺に話しかけてきた。
アルト「コウ様!怪我はしていないか!?」
コウ「俺は大丈夫だよ、ちょっと様子を見てくるだけなのに大袈裟だって」
クレア「お兄ちゃん、アルトさんに迷惑かけたらダメでしょ!」
コウ「俺には強力スキルが付いてるんだから大丈夫だって。それよりも、炎の中に何かいるみたいなんだ」
アルト「なっ、ここは魔王城から遠く離れた平和な森の中だ。あり得ない、あり得る話じゃない……」
コウ「アルトさん?どうしたの……?」
アルト「コウ様、今すぐクレア様を連れて、ここから離れるんだ」
クレア「アルトさんは……?」
アルト「……私はここで、魔王を迎え討つ」
コウ「ま、魔王!?」
アルト「ここは魔王城から最も離れた安全で平和なこの国で、これだけの大災害を起こせるのは魔王しかいない。あるいは、別の何か……」
ドシンドシンと、足音がこちらへと近づいてくる。
アルトさんの手が小刻みに震えている。
前にある程度の経験を積んだ人は、対象の放出する魔力量から、対象の実力を把握することが出来るのだと聞いた。
アルトさんは王国中の皆が認める実力者、そんなアルトさんが震えるほどの何かが来ようとしている。
俺はクレアの手を引き、走ってこの場から離れようとしたその時。
次の瞬間、背中に重い衝撃が走ったと同時に、目の前が真っ暗になって、気を失った。