第1話 生まれながらの天才
「おぎゃあ……!おぎゃあ……!おぎゃあ……!」
暦1000年、とある王城で甲高い産声が鳴り響いた。
名は主人・コウ、主人家の長男として産まれた。
俺は何不自由ない暮らしをしながら、親の愛情を浴びながらすくすくと育ち、齢5歳となった。
今日は齢5歳の誕生日、家族に見守られながら誕生日ケーキに刺された5本のロウソクを消した。
この世界では5歳になると、“スキル”が目覚める。
スキルとは、言わば第三の腕のようなもの。
人によって様々な能力があり、誰もが自由に操れるのだ。
スキルの発現には、特別なことは必要がない。
ただ、心の内にある灯火を外に出すだけ。
俺はひたすら念じ、体が熱くなっていくのを感じると共に、スキルが発現した。
俺の右手には激しい炎が燃え上がっていた。
父「こいつは驚いた、炎系スキルを発現させるとはなぁ」
母「私の血を色濃く受け継いだようね」
炎系スキルは一般的なものだが、俺の炎は常軌を逸していた。
スキルを発現したての子供が出せる炎、火の粉の域を裕に超していたのだ。
このことは瞬く間に広まり、天才王子として国中に轟いた。
だが、齢5歳の俺にとってはどうでも良くて、みんなからチヤホヤされることにだけ有意義を感じていた。
そんな俺の人生に大きな転機が訪れたのは齢6歳になった頃のことだった。